「アイツの隣の部屋か」

伊賀原は友莉子の部屋の前に立つと、何のためらいもなく扉を開いた。エアコンの冷気が足元から廊下に漂う。壁に男性アイドルのポスターがいくつも貼られている女の子らしい部屋を軽く見渡した伊賀原の前には、制服のままベッドに片手をつき、もう一方の手で執拗に股間を弄る友莉子の姿があった。そんな彼女の後ろに立った伊賀原は、おもむろに短パンとパンツを脱ぐと、友莉子のスカートを捲り上げ、華奢な腰を掴みながらいきり立った肉棒を陰唇の間にめり込ませていった。

「んんっ! あっ……はぁ」

「うっふぅ〜」

根元までねじ込んだ肉棒を引き出し、まためり込ませる。

「んっ、ふっ……あっ!」

「声出すなよ。隣にアイツがいるんだから。五分以内に済ませるぞ」

そう言って腰のストロークを徐々に上げた。

「っ……! はっ、ぁっ、ぁっ、あっ、あっ、あんっ!」

友莉子の上ずった吐息が肉のぶつかり合う音と共に響く。ニチャニチャといやらしく鳴る膣が伊賀原の肉棒を強く締め付けた。

「これ、マジで気持ちいいっ。クソ妹のマンコ、最高だっ」

「んっ、んっ! ぅっ……ぁ、ぁ、ぁっ……んっ」

前後に激しく揺らされる友莉子は、溢れだすセックスの快感に眉を歪めながら手で口を塞ぎ、必死に喘ぎ声を堪えた。

それからほんの一分ほど。

「イクッ!」

 これ以上、動かせない速さで乱暴に腰を振っていた彼が、掴んでいた彼女の腰を開放しながら短く声を上げた。すると友莉子が「んぁっ!」といやらしい声を漏らし、体を反転させて彼の前に膝をついた。そして目の前でビクビクと脈打つ肉棒を咥えると、小さな手で肉茎を前後に素早く扱いた。

「うっ! うっ……ぁっ……ううっ!」

 射精のタイミングでビクッ、ビクッと三度ほど身体を震わせた彼は、眼下で亀頭に吸い付きながら肉茎の精液を絞り出している友莉子を見つめた。彼女はコクンと喉を鳴らし、肉棒全体を咥えながら綺麗に舐め回していた。

「それでいいぞ。遅くなると竹端に怪しまれるからな」

 伊賀原の言葉に、友莉子は「んっ……ふ。やっぱ経験が浅いから変に敏感だったな。でも気持ち良かったからまた乗っ取ろうぜ」と言って口を拭いた。そして一口だけスポーツドリンクを飲み、濯ぐ様にしながら飲み込むと、まだ少し余っているペットボトルを彼女が部活から持って帰って来た鞄に入れた。

「じゃあ今度乗っ取る時は、お前と俺、逆パターンって事で!」

「ああ。じゃあ俺は竹端の部屋に戻るからバレねぇようにしとけよ」

「分かってるって。お前も俺なんだからいちいち指図しなくても分かるだろうが」

「まあな」

 パンツと短パンを穿いた伊賀原が出てゆくと、友莉子はティッシュで軽く股間を拭き、下着と制服を身に着けた。少し乱れた髪を整えた後、外見に異変が無いかもう一度確認する。

「よし、これでベッドに寝てりゃ、バレねぇよな!」

 伊賀原と瓜二つの口調で呟いた友莉子は、ベッドにダイブするとゆっくりと目を閉じた――。

 

 

 とりあえずトイレで水を流した伊賀原は、真守の部屋に入るなり「俺、もう帰るわ。めっちゃ面白かったけどお前ももう少し腕を上げた方がいいぜ。じゃあな!」という捨て台詞の様な言葉を残し、すぐに部屋を出て行ってしまった。

「えっ! あっ……ちょっ……」

 妹の事を問いたかったが、返答も出来ずに立ち尽くす真守は、「はぁ……」とため息を付くと、ほんの少しした後に友莉子の部屋に向かった。

 扉をノックしても返事が無いので、「友莉子っ! おい友莉子っ!」と大きな声を出した。すると、友莉子が少し疲れた表情で扉を開いた。

「友莉子、だ……大丈夫か?」

「えっ? 何が? 何か私、ちょっと寝ちゃってたみたい。もうお昼前なんだ」

「ね、寝ちゃってたって……。さっきまで一緒に僕の部屋にいたじゃないか」

「お兄ちゃんの部屋に?」

 彼女は怪訝そうな表情で首を傾げた。

「そうだよ。僕が伊賀原君と一緒にゲームしてただろ!」

 真守が「伊賀原君」という言葉を言った瞬間、ハッとした友莉子は「エロ魔人!」と声を上げた。

「思い出した?」

「思い出したっ! エロ魔人、まだ家に居るのっ!?」

「い、いや。さっき帰ったよ」

「そ、そうっ。良かったぁ〜。まあ……寝てたから気にならなかったけど」

「いや、だから寝てたってなんだよ。覚えてないのか? 友莉子も僕の部屋にいたじゃないか」

「そんなの行くわけないじゃない。どうしてわざわざエロ魔人がいるお兄ちゃんの部屋に行かなきゃならないのよ」

 友莉子のまるで全く覚えがないという言い方に驚きを隠せない。

「ほ、ほんとに覚えてないのか? あっ、そうだ。友莉子が飲んでいたスポーツドリンクが入っていたペットボトル。僕の部屋で伊賀原君にあげてただろ!」

 普段よりも強めの声で問い掛けた真守に、彼女は「ペットボトル? 私が部活で飲んでいたやつ? そんなのあげるわけ無いじゃない。気持ち悪っ……想像しただけで吐き気がするわ」と言って、鞄に仕舞っていたペットボトルを取り出した。

「ほら、あるじゃない」

「そ、そうじゃなくて……。友莉子が伊賀原君にあげたそのペットボトルを、また自分でここに持ってきたんだ」

 真剣な表情で話す真守だが、彼女は目の前でそのスポーツドリンクを飲み干すと「お願いだからエロ魔人の事を話さないで。この家にいたって事実がもう気持ち悪くて仕方ないんだから。シャワー浴びてくる」と、部屋を出て行った。

「お、覚えてない? なんで? どういう事なんだ……」

 ふと、あの噂を思い出した。男子トイレから伊賀原と一緒に出てきた女子生徒は、誰もが事実を否定する。妹の友莉子も全く同じだと思った。

「なんなんだ……」

 友莉子の態度に、どうしようもなくモヤモヤとした気持ちを拭い切れない真守であった――。

 

 

「ねえ伊賀原君。友莉子、僕の部屋にいた事を覚えてないって言うんだ」

 休みが終わった月曜日。真守は登校早々、伊賀原を捕まえて話をした。

「そんなの知らねぇよ。あれじゃないか? 援護射撃って言いながらお前の部屋にいたけど、俺に触ってた事を思い出したくないとか。玄関にいる時、思い切りエロ魔人って言いながら避けてたもんなぁ。ありゃ最悪だったな。俺、会った事も無かったのにどんだけ嫌われてんだよ・」

「そう言うレベルじゃなくて、全く記憶が無い感じなんだ」

「それって、学校で俺が噂されてる事と同じじゃねぇか。頼むよ竹端。これ以上、俺を貶めるのはやめてくれ。嫌われるのは懲り懲りなんだよ」

「そ、そうじゃなくて。僕はだた……」

 伊賀原は頭を掻きながら自分の席に戻っていった。

「伊賀原君は覚えてるから、友莉子に説明してもらおうかな? でも、友莉子は絶対に会いたくないだろうから……」

 友莉子自身、何も気にしていないなら構わないのか――そう思いながらも、土曜日の事がどうしても納得できなかった。

 

 

 そして放課後。

 部活も終わり、ほとんどの生徒が下校した人気の無い校舎。男子トイレの個室では、ズボンとパンツを脱いだ伊賀原が便座に座っていた。そして、黒い競泳水着を着た友莉子が彼の股の間にしゃがみ、いきり立った肉棒を美味しそうに咥えていた。

「なんか競泳水着を着たままフェラされるとすげぇエロくてたまんねぇな」

「んっ、んふっ。だろっ! そう思って制服の中に着たままここに来たんだ。水泳部らしく、水着姿でやろうぜ」

 いやらしく肉棒を舐め回した友莉子は、彼の前で後ろ向きに立つと、自ら股間を隠していた水着をずらして「お兄ちゃんには内緒だからね。さすがにエロ魔人とセックスを楽しんでるって知ったら、何をしでかすか分からないから」とウィンクした。

「もうバレてるって。アイツの目の前であんな事したんだからな」

 そう言った伊賀原は立ち上がると、彼女の尻を掴んで陰唇に亀頭を沿えた。

「んっ! お前がこの身体でやったんだろ。俺ならあそこまでしなかったのに。うっ、はぁ〜」

友莉子はそう言うと、細い指を使って肉棒を掴み、そのまま膣の中に導いた。

「うっ……入った。弄って無いのにマンコ、ヌルヌルじゃん。でもこうして交代でクソ妹の身体を楽しめるって最高だよな」

 伊賀原がゆっくりと腰を動かすと、友莉子はビクンと身体を震わせ、背中を逸らせた。

「あっ、んっ……んっ。あ、ああ。これすげっ……アイツの家でよく我慢出来たよな。俺なら絶対、喘ぎ声が出てるぜ」

 彼女はそう言いながら、肉棒を膣に捻じ込まれる度に「んっ、んっ」と喘いだ――。

 

 

三年生になって早々、伊賀原は原因不明の病気で四日間ほど高熱にうなされ、学校を休んでいた。部屋で解熱剤を飲みつつ、安静にしていたのだが、あまり効果はなかった。

そして意識が朦朧とし、両親から入院した方が良いかもしれないと心配されていた頃、ふと身体から抜け出る感覚を覚えた。ふわりと浮いた感じがして、天井が近づいてくる。ふと身体を反転させると、眼下に寝ている自分の姿があった。しかし、その身体は喉が渇いたのか、枕元に置いていた水筒を手に水を飲んでいる。まるで自分が二人いる様に思えた。

恐ろしくなり、慌てて自分の身体に戻ると別の意識が存在した。二重人格になったかのようだった。そこから一つの身体に「伊賀原 郷太」の人格が二人、存在する事になったのだ。

次の日には熱も下がり、学校に行き始めたのだが、高熱が続いた後遺症なのか――不思議な事に何故か一つの人格を身体の外に出せるようになった。その人格は魂の様な存在で、他人の身体に入り込み、操る事が出来た。最初は驚いたが、次第にその能力の素晴らしさを実感するようになった。

二つの人格は、交代で外に出ては他人の身体に入り込み、好きに操った。最初は母親、そして同じマンションに住むOL、更には通っている学校の女子生徒へと範囲を広げていった。

「あっ、すげっ! もっと奥までねじ込んでくれっ」

「分かってるって。それにしても……うっ、アイツの妹のマンコはきつくて良く締め付けてくる。生徒会長やバレー部の新垣よりも気持ちいいっ」

「んんっ! あっ、あっ、あっ、俺も気持ちいいっ!」

 伊賀原に身体を操られた友莉子は、両手をトイレの壁について背後から突き上げられる快感に酔いしれた。そんな彼女の両脇から競泳水着の中に手を忍ばせた彼は、小さな胸を揉みながら大きく腰を動かし、クラスメイトの妹の膣を楽しんだ。

「はぁ、はぁ、はぁ。で、出るぞっ!」

「あっ、あっ、ああっ! お、俺もっ……イクッ!」

 目一杯、腰を振った伊賀原は、肉棒を抜くと黒い競泳水着の背中に大量の精液を放った。白くて濃い精液が、黒い競泳水着に映えていた。

「あっ……はっ……ああぁ〜」

 オーガズムを全身で感じ、幸せそうに眼を閉じる友莉子と、射精に満足した伊賀原。

 こうしてまた噂が一つ増えたのであった――。

 

噂の真相 おわり