その頃、千佳の部屋に戻った春斗は勉強机に鞄を置くと、枕元にクマのぬいぐるみが飾ってあるベッドに腰を下ろした。タンスやクローゼット、姿見など、白で統一された清潔感のある部屋だ。

「すごいな。俺が女子高生の部屋に堂々と入るなんて。それに今は……」

 俯き、紺のジャケットを盛り上げる胸に視線を送った彼は、太ももを隠すプリーツスカートの裾を両手で掴み、ゆっくりと捲っていった。徐々に現れる女子高生の滑らかな生足。そして、股間を覆い隠す白いパンティが視界に入った。張りのある内腿を撫でながら足を蟹股に開いた彼は、ゴクリと唾を飲み込んだ。

 女子高生の着替えやオナニーは幽体となって何度も見たが、こうして自分で肉体を操り、思い通りに出来る事に頗る興奮する。

「この股間が今は俺のものなんだよな」

 白いパンティを引っ張ると、由香利よりも深い陰毛が覗き見えた。

「触れるんだよなぁ……」

 そっとパンティの中に手を差し入れ、陰毛を指に絡めてみる。そしてそのまま下に指を移動させ、滑らかな女性器に優しく触れてみた。

「うっ……。やっぱり女性の体だ」

 肉丘の間に指が割込み、ヌチャリとした愛液が絡みつく。その指でクリトリスに触れると、由香利の体と同じ様な女性の快感があった。

「千佳ちゃんの体が疼いてる。これってやっぱり俺が興奮しているからだよな。帰って来る時からずっとオナニーの事を考えていたからなあ」

 そんな卑猥な事を千佳に呟かせた春斗は、普段彼女が取っている行動と同じ様に制服を脱ぎ、壁際のハンガーに掛けた。白いブラジャーに包まれたBカップの胸。そして由香利ほど女性として発達していない、女子高校生らしいウェストの細さと尻の肉付き。どちらかというと痩せ気味な体形だ。勉強机の横にある姿見に下着姿を映した後、背中に両手を回すと、長い髪に引っ掛からないようにしながらブラジャーを取った。

 控えめな乳房に由香利よりも小さな乳輪。そして薄茶色の乳首が勃起していた。全体的に、ツンと上を向いている。

 姿見を見ると、腰まであるストレートの髪に整った顔立ちの女子高生が、白いパンティだけを身に着け、春斗を見つめていた。

「すごいな。これが今の俺なんだ」

 千佳が目を細めながら呟き、白いパンティに手を掛けた。そのままゆっくりと引き下ろしてゆくと、膣口からトロリと粘り気のある愛液が滴り、パンティの生地に染み込んだ。

「千佳ちゃんって処女なのに、こんな風になるんだ」

 この肉体がセックスを経験していない事は、彼女の記憶から分かっている。

 もしかしたら、処女を汚さないでほしいという気持ちから、わざと開示したのかもしれない。

 股間がひんやりとする中、姿見に近づいた春斗は千佳の裸体を色々な角度から映し出した。特に、後ろ向きになり、手で長い髪を掬って白い項を見せる仕草は、女子高生と言えども大人の雰囲気を醸し出していた。

「ふ〜ん。自分で好きなように操れるから、つい由香利さんと比べてしまうけど、千佳ちゃんも色っぽいところがあるんだな。じゃあ早速……」

 春斗は掛布団を捲り、ベッドの上に寝転がった。長い髪が邪魔にならないよう、体の横に靡かせると、女子高生の声で「んっ……」と切ない吐息を漏らした。

「そうだ……」

 胸を触っていた手を止め、勉強机に置いていた千佳のスマートフォンを取ると、顔認証を使ってロックを解除した。慣れた手つきでカメラを起動し、彼女の顔が映るようにフロントカメラに切り替えた。

 枕に頭を乗せ、体を横に倒しながらスマートフォンを覗くと、千佳の顔が大きく映し出された。

 思っていたよりも長いまつ毛に、二重瞼の大きな目。淀みのない黒くて綺麗な瞳は、白目とのコントラストを際立たせていた。軽く唇を舐めると艶っぽく見える。少し目線を上げると、おでこに小さいニキビを二つ見つけた。

「やだ伊野崎さん。そんなに拡大して見ないでください。恥ずかしいじゃないですか」

 わざと千佳の口調を使って囁くと、画面に映る彼女の口元が緩んだ。

「今から私の体を使ってオナニーするんですか? 私、他人に操られてオナニーするのは初めてなので、何だかドキドキします」

 もし彼女が目の前にいたとすれば、こんな事を言ったかもしれない。そう思いながら、右手を股間へと移動させた。

「あっ……ん」

 スマートフォンに映る彼女が眉を歪めた。

「可愛いよ、千佳ちゃん」

 体を横に倒したまま片膝を立て、足を開いて股間を弄りやすくする。濡れそぼった膣から溢れる愛液を指に絡ませながら、充血したクリトリスの皮を向き、中指の腹を使って上下に扱いた。

「うっ……あっ。はっ、あっ……ん」

 スマートフォンを握る彼女の左手に力が入った。春斗は、じっと画面に映る千佳の表情を見ながらクリトリスを弄った。ドクドクと鼓動が鳴り、息苦しさを感じる。「はっ、はっ……あっ、はっ、はっ、あっ……あんっ」と、彼女の上ずった喘ぎ声をあげた。

 気持ちいい事には変わりないが、由香利の感覚とは違う感じがする。何度もセックスを積み重ね、出産まで経験した人妻の肉体と、まだ男を知らない初心な女子高生の肉体――。

 肉体の個体差か、経験の違いかは分からないが、千佳が喫茶店で話していた「他人の体って自分とは全然違うから楽しいです」という言葉が分かる気がした。こんな感じで色々な人に乗り移り、オナニーを体験できるならすごく楽しいだろう。

「んっ、んっ、あっ。千佳ちゃん」

 彼はスマートフォンに映る千佳の火照った顔を見ながら、勃起したクリトリスを執拗に弄った。

 更には指を揃えると、右手全体で円を描くようにクリトリスの周辺を刺激した。次第に仰向けの大勢になり、M字に足を開きながらお尻をクイクイと上げ下げする。

「うっ、ああっ。気持ちいいっ!」

 スマートフォンを枕元に置き、空いた左手で勃起した薄茶色の乳首を執拗に弄る。

「ふあっ……んっ! あっ、はあっ……んっ! あっ、あっ、はっ、はあっ、ああっ」

 心臓がバクバクと脈打ち、胸に少しの痛みを感じた。顎を上げながら必死に呼吸するが、息苦しさは拭えなかった。それでも春斗は、昇りつめてゆく千佳の快感に身を捩らせ、オーガズムを手に入れようと激しくクリトリスを刺激した。

「はあっ、はあっ。あっあっあっああっ! イクッ……はっ、あっ。イクイクッ! んああっ!」

 腰が浮き上がり、膣が激しく潮を吹いた。その女子高生のオーガズムと引き換えに、胸が締め付けられるような痛みに襲われ、たまらず体を丸める。まるで心臓を鷲掴みにされているような感覚だった。

「いっ! ぐあっ! あっ、あっ、うううっ……」

 険しい表情で目を閉じたまま何度も何度も息を吸い込み、胸の痛みに耐える。すると、徐々に痛みが治まり始め、ドクドクと脈打っていた鼓動が小さくなっていった。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……はあ……」

 気づくと、額から冷や汗が出ている。

「な、何だよこれ……。まるで全速力で走り続けた後みたいな感覚だ」

 由香利の体とは明らかに異なる違和感に戸惑う春斗は、暫くの間、体を丸めてゆっくりと呼吸をした。