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「大丈夫です? 小谷先輩」
「うん。今日は飲みすぎちゃったね」
「でも楽しかったですよ。それに……」
「それに……何?」
「こうして小谷先輩と二人きりで帰れるんですから。家が同じ方向で良かったです♪」
「……箕形君って彼女はいるの?」
「いないですよ。入社してすぐに別れました」
「どうして?」
「彼女、留学したかったみたいで。大学を卒業してすぐにアメリカに行っちゃって。しばらくは連絡を取っていたんですけど、どうも向こうで彼氏が出来たらしくて。まぁ……フラれたって感じですね」
「ふ〜ん。でも好きだったんでしょ?」
「ええ、まあ。でも別れて良かったです。何ていうか、入社してから気になる人が出来たので」
「そうなんだ? うちの課の女性?」
「はい」
「誰かな? 箕形君だったら同期の篠原さんとか」
「違いますよ。彼女、可愛いですけど軽いからタイプじゃないんです」
「へぇ〜。私が男なら彼女みたいな女性を好きになるかも」
「そうなんですか? 僕はもっと落ち着いた女性が好きです」
「ふ〜ん。落ち着いた女性ねぇ……」
「あ、あの……」
「何?」
「小谷先輩って彼氏、いるんですか?」
「……それ、アラサーの女性に聞く?」
「あっ……いえ。すみませんでした。そ、その……彼氏がいなかったらいいなって思っただけなんで」
「いなかったらって……何よそれ。私には結婚願望が無いって言いたいわけ? 私だって女に生まれたんだから結婚して幸せな家庭を作りたいわよ。子供だってたくさん欲しいしっ!」
「す、すみません……」
「ごめんね箕形君。大きな声出しちゃって。実はね、仕事が忙しくて彼氏を作る時間が無いの……な〜んてカッコいい事を言ってみたいけど、私みたいなオバサンを相手にしてくれる男性なんていないの。人生の中で2回くらいはチャンスがあったんだけどなぁ〜」
「小谷先輩」
「……んん?」
「僕じゃダメですか?」
「…………」
「入社してからずっと小谷先輩の事が気になっていました。最初に声を掛けてくれた時はすごく嬉しかったです。辛い時は小谷先輩が仕事をしている姿を見ると頑張れる気がしました。それに、いつもさりげなくサポートしてくれて、僕を導いてくれる。その……助けてもらえるからっていう事じゃなくて、落ち着いていて美人で……素敵な女性だと思います。年下ですけど、先輩に追いつけるように頑張ります。あっ、し……仕事の事じゃなくて……ああっ。僕は何を言ってるんだろう。そのっ……僕は小谷先輩が……す、好きなんです……はい……」
「ねえ箕形君」
「はい……」
「どうして私が箕形君をサポートしていたか分かる?」
「えっ……。あの、すみません。先輩のサポートを受けなくてもいいように、もっと一生懸命頑張ります」
「そういう意味じゃなくて! ねえ、私は誰にでもサポートしている訳じゃないのよ。気づいてなかった?」
「えっ……はい……。あの、小谷先輩。すごく顔が赤いです」
「もう……全部言わなければ分からない?」
「……言ってくれなきゃ分からないです。僕は……僕は小谷先輩が好きで、付き合いたいですっ! 僕と付き合ってくださいっ!」
「ちょっと! そんなに大きな声を出したらっ。もうやだぁ、なんでこのタイミングで言うのよ……グスッ」
「あ、あの……。すみませんでした。一方的に気持ちを伝えて……これ、綺麗なハンカチなので……」
「はぁっ……じゃあ言ってあげるわよ。でもここでは言わない」
「えっ……どこなら言ってもらえるんですか?」
「電車、来たわ。箕形君……一人暮らしなんでしょ。家で飲みなおすわよっ」
「僕の家でですか? だってワンルームで片付けもしてないですよっ」
「だから何? ほらっ、最終電車なんだからっ。扉が閉まっちゃう」
「わっ! せ、先輩っ。腕を絡めないでくださいよっ」
「嫌なの?」
「……う、嬉しいです。でも先輩の胸が当たって……」
「いいじゃない。彼女の胸なんだから遠慮する事無いでしょ」
「えっ! か、彼女……ほ、ほんと……ですかっ?」
「聞き直すなら自分の家に帰るわよ。ほら、そこに座って」
「あっ、き……聞き直さないですっ……って言うか近すぎですよっ」
「分かるでしょ。これが付き合っている男女の距離感。もう離さないからねっ♡」
「……はいっ」

……みたいなことが、このイラストでは起こっているんですよ!