思い起こせば2000年。
まだ社宅にいた時からサイトを運営していたことを考えると、やっぱり15年はあっという間と言うよりは長かったですね(^^
途中で「まぐりょ」として小説を書いていましたが、Tiraとして復帰、よく続けたものですw
最近は「コミPo!」と「でじたるメイト」を使った漫画がほとんどですが、また小説も書きたいですね。

15年の間に、たくさんの方に遊びに来ていただきました。
どうもありがとうございました。

家庭の環境も昔と比べて大きく変わりましたので、それほど更新は出来ませんが、自分でもハァハァする作品を少しでも作りたいと思います。
いつまで続けられるか分かりませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

まだ全然完成していないのですが、この先1〜2年の間にもう一度、個人誌を出そうと思っています。
こうして日記に書いたら少しはヤル気が出るかと思いましてw

新作として、憑依系が2本セットで考えています。
一つは「理想の妻」というタイトル、もう一つは「続・義理の姉」のその後について。
「理想の妻」は、美人で優しい奥さんをもらった男性が、夜の生活に不満を持っており、会社の同僚からTOSという組織を紹介され、あんな事やこんな事になる展開。
数年前から作っているのですが、なかなか筆(キーボード)が進まず。
5万字は書いているのですが。。。
「続・義理の姉」のその後は、神社で出会った女子高生の千佳と、同じ大学の後輩である一葉さんが登場する内容を書きたいと思っています……が、全く手を付けていないというか、手を付ける気にならないというか(^^
何とかしたいものです。

「理想の妻」のプロローブ部分を掲載しますので、ご興味があれば見てくださいね!
全然内容は分からないと思いますが、雰囲気が伝われば嬉しいです。


ここしばらく、体重に大きな変化が無くてちょっぴり残念な気分です。
目標体重まであと2キロほどですが、この連休で太らない様に気を付けたいところです。
お腹にシックスパックが薄っすらと現れて来ているような感じがするのですが、その上にある脂肪が邪魔をしてよくわかりませんw
でも、お腹に力を入れて触ると、一応3段になっているんですよ!
脂肪さえ落ちれば…
脂肪さえ落ちれば…

頑張ります(^^;

「理想の妻」

プロローグ

 金曜日の夜とあって、駅前の居酒屋はとても賑わっていた。スーツを着た男性が大半を占めているが、女性の姿も散見できた。十ほどあるカウンター席で背中を丸め、芸能界の話で盛り上がる、若者達のテーブルを見ていた勝河直哉の肩を叩いた有藤は、顔を覗き込むようにして口を開いた。

「勝河、今日はやけに大人しいじゃないか」
「んん……そうか」
「一次会で飲みすぎたのか?」
「いや、そういう訳じゃないんだけどさ。あのテーブルで騒いでいるグループ、楽しそうだなと思って」

 グラスに入ったビールを一口飲むと、また騒がしい連中に視線を移す。入社して間もない歳だろうか。リクルートスーツを着た男女が、顔を赤らめながら少々迷惑なほどの音量で親しげに話をしていた。

「お前も混ざってくれば? でも、美人妻がいるから浮気なんて出来ないな」
「そうだな……」
「んん? どうしたんだよ。ノリが悪いな。奥さんと何かあったのか?」
「いや、別に」
「お前の奥さん、俺達の職場じゃ華だったんだ。泣かすような事はするなよ」
「分かってる。分かってるよ」

 直哉はビールを一気に飲み干すと、深く溜息をついた。
 何か悩み事があるのだろう。そう感じた有藤は、彼のグラスにビールを注ぎながら枝豆を一つ、注文した。

「実は一次会から気になってたんだ。何となく元気が無いなって。俺にも話せない悩みか?」
「いやぁ。そんな事ないよ。ま、別に悩みって程の事じゃないし」
「聞かせてくれよ。俺、そういうの大好きなんだ。いや、別にからかう訳じゃなくてさ、色々相談に乗るのが好きなんだ」
「有藤は前からそうだもんな。人の悩みにちょっかいを掛けたがる」
「そ、そういう言い方は無いだろ」
「冗談だよ。それで随分と助かっているんだ。やっぱり相談相手っていうか、悩みを打ち明けられる相手がいるってのは幸せだよ」
「だろ! じゃ、言っちまえよ」

 再度、直哉の顔を覗き込んだ有藤は、彼の肩を軽く数回叩き揺さぶった。グレーの背中が揺れると、直哉は軽く笑みを作り、ビールを一口飲んだ。

「実はお前の言うとおり、典子の事なんだ」
「おお。やっぱりそうか。さては喧嘩でもしたのか?」
「いや、結婚して半年、喧嘩なんて殆どした事が無いよ」
「じゃあ何だ。まさかお前、彼女以外に好きな女性が出来たって言うんじゃ無いだろうな」

 少し怪訝な表情をした有藤に、直哉は軽く首を振った。

「そんなんじゃないよ。俺は典子しか愛していない。会社を辞めた彼女は妻として十分に尽くしてくれているよ。家事も卒なくこなすし、通っている料理教室で腕を磨いた夕食はとても美味いんだ」
「……何だよそれ。悩みなんて全然無いじゃないか。いや、それ以上の事を望むなんて贅沢すぎるぞ。美人で家事も卒なくこなして、料理だって美味い。他に何を望むんだ……」
「望むって言うかさ、まあ……そうだよな」

 今度は直哉が有藤のグラスにビールを注いだ。丁度頼んでいた枝豆が来たので、一つ口にする。その後、また賑やかなグループに視線を送った。そんな彼を暫く見ていた有藤は、小さく囁いた。

「あれか? 夜の事か?」
「んん……まあな」
「全然していないのか?」
「いや、してるよ。ただ……」
「……なんだ?」
「彼女は全然積極的じゃないんだ」
「なるほど。でも、積極的過ぎる女性も大変だぞ」

 有藤は彼の悩みが然程、大した事ではないと分かると軽く咳払いをし、枝豆を数個口にした。自分だって何人かの女性と夜を共にした事があるが、アダルトビデオに登場するような、積極的な女性であった事はない。もちろん、人によって感覚は違うだろうが、同期入社で五年以上の付き合いがある二人だ。女性に対しての相談だって何度となくしており、その感覚は変わらないと思っている。

「まあ、彼女は元々派手なタイプじゃなかったし、真面目で礼儀正しいイメージがあったから頷けるよ。でもさ、そんな彼女が好きで告白し、結婚したんだろ? さっきも言ったけど、職場の華だったんだぜ。俺だってそうだし、他に彼女を射止めたいと思っていた男は多かったんだ」
「それは分かってるよ。もちろん、俺も彼女の誠実で真面目なところに惹かれたんだ。もちろん、容姿のポイントも大きいけどさ」
「完璧な人間なんていないさ。ましてや、自分にとって都合の良い事ばかりじゃないし」
「だよな。まあ、俺の贅沢って事だ」
「……それで終わっていいならこれ以上聞かないけどさ。良かったら教えてくれよ。彼女がどんな感じなのか。場所を変えようか? ここは五月蝿過ぎる」
「……そうだな。聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になるよ」
 二人はコートを羽織ると、勘定を済ませて外に出た。雪が降りそうな程、どんよりとした雲が暗い空を覆っていた。冷えた空気が風で踊ると、肌が切れそうになる。
「いつものショットバーでいいか?」
「ああ」

 歩いて五分程。深い茶色の木製扉を開けると、カウンターに数人の客が座っていた。シックで小洒落た空間が気に入った二人は、何度もここを利用している。

「いらっしゃい。お二人さん、今日は早いね」
「まあ、ちょっとね」

 六十は優に超えているだろうか。スキンヘッドに白い髭を蓄え、小さな銀縁の眼鏡を掛けたマスターがカウンターから出てくると、二人掛けの小さなテーブルにコースターを用意してくれる。何も言わずとも、雰囲気から二人だけで話がしたいと分かったようだ。

「随分と冷えてただろ。二人とも、いつものでいいかい?」
「ああ。勝河もそれでいいか?」
「いいよ」

 窓の外を眺めると、小さな雪が降り始めていた。控えめのジャズが店内を包み込み、耳に心地良い。コートを脱いだ二人は、しばらくの間、窓の外ばかりを見ていた。

「どうぞ。じゃ、ごゆっくり」
「ありがとう。マスター」

 軽くグラスを合わせた二人は、お気に入りのジントニックを一口飲むと、それとなく視線を合わせた。

「この店に通い始めたのは、どのくらい前だっけ」
「三年位前か。有藤が酷く酔った後に、フラフラになりながら入ったんだ」
「そうだったっけ。俺、その時の記憶が無くてさ。確か、随分とマスターに迷惑を掛けたんだよな」
「ああ。あの時のお前は大変だった。タクシーもまともに乗れないくらい泥酔してたからな」
「ははは。ま、若気の至りって事で」
「俺達も、もうじき三十だな」
「ああ」
「有藤は結婚しないのか? 今の彼女と付き合い始めて一年くらいになるだろ」
「そうだなぁ。香織にも急かされてるよ。結婚雑誌を買ってくるからな」

 有藤は苦笑いをすると、グラスを口にした。

「そろそろ身を固めろよ。じゃないと愛想付かされるぞ」
「まあな。選り好み出来る立場じゃないし」
「選り好みって、彼女は美人じゃないか。結婚式に来てくれた時は、一際目立ってただろ」
「お前の奥さんには及ばないよ。ああ、そうだ。こんな話をする予定じゃなかった。勝河の話が聞きたかったんだ」
「……まあ、そうだな」

 直哉はジントニックを一口飲むと、背凭れに上半身を預け、深い溜息をついた。

「あのさ。お前、彼女とやるときはどんな感じなんだ?」
「んん?」

 有藤が身を乗り出すと、直哉も同じように身を乗り出し、顔を近づけた。

「セックスだよ。セックス」

 小声で問い掛けると、有藤は周りを気にしながら口を開いた。

「どんな感じって?」
「色々な体位でやってるのか? 彼女、結構喘ぎ声を出すのか?」
「えらくストレートな質問だな」
「多少なりとも彼女から腰を動かしたり……騎乗位とかするのか?」
「まあ……彼女のプライバシーにも関わる事だから、全ての質問には答えかねるけど、逆にお前のところはそうじゃないって事だな?」
「……ああ。その通りだ。マグロ状態って奴さ」
「へぇ〜。流石にそこまで酷くは無いな」
「そして恥かしがり屋なんだ。セックスは夜、暗くなってから。部屋の電気をしっかり消して。ラブホテルでも同じさ。明るい場所でなんかした事無いし」
「なるほどな。真面目な彼女だったけど、そこまで極端だとは思わなかったなぁ」

 有藤は背凭れに凭れ掛かると、持っていたグラスを一気に空けた。

「マスター、もう一杯」

 その声に、マスターが軽く手を上げた。

「風呂も一緒に入った事が無いんだ。完全入れ替え制さ」
「へぇ〜。そういう風に聞くと、折角結婚したのに勿体無い感じがするよな」
「それだけじゃないんだ」

 直哉が言い掛けると、マスターが新しいグラスをテーブルに置いた。

「ああ……ありがとう」

 空になったグラスを渡した有藤は、「それだけじゃないって?」と聞き直した。

「服装も、地味って言うか……肌を隠したがるんだ」
「まあ、寒いからな」
「そういう意味じゃなくてさ。体の線を隠すような服ばかりを選ぶんだ」
「スタイル良さそうなのに。結婚式で着ていた純白のウェディングドレス、最高に綺麗だったよな」
「あのドレスは、まだマシかもしれない。普段着は必ずスカートなんだ。しかも、足首まで丈があるロングスカート。足を見せようとしないんだ」
「それも、恥かしがり屋だからか? そういうファッションが好きなんじゃないのか?」
「分からないけど、多分恥かしいんだと思う」

 直哉は深い溜息をつくと、有藤と同じように背凭れに凭れ掛かった。

「なるほどな。折角の美人も、そんな調子じゃ魅力が半減しそうだ」
「全くだよ。もっと自分を曝け出してくれたらいいのに……最初はそれ程でも無かったけど、最近は特に意識するようになってさ。さっきの居酒屋に居た賑やかなグループ。あそこにで盛り上がっていた彼女達を見ると羨ましくて」
「そういう事だったのか。まあ……同情するよ」

 グラスを口にした有藤は、腕を組むと顎を上げて目を瞑った。何か考えているようだ。その様子を見ていた直哉は、両手を頭の後ろで組んだ。

「何、考えているんだ?」
「んん? まあ……お前に教えてやってもいいかなぁと思ってさ」
「何を教えるって言うんだ」
「ああ。ある企業の話さ」
「企業?」
「夢の様な事を叶えてくれる会社さ」
「……どういう事だよ」
「俺も、知人からこっそりと教えてもらったんだけどさ」

 目を開けた有藤は、テーブルに両肘を着き、組んだ手の上に顎を乗せると直哉を見つめた。

「俺さ、今の彼女と付き合う前に、ある女性に猛烈な片想いをしててさ。彼女と付き合いたい……というか、ぶっちゃけセックスしたいと思ってたんだ」
「へぇ〜。それで告白したのか?」
「まあな。でも、やっぱりダメだった」
「高嶺の花だったんじゃないのか?」
「彼女の周りには、絶えず男が付きまとっていたよ。金持ちが多かったけどな」
「なるほど。そりゃ仕方が無いな。俺なら告白しないけど」

 直哉はジントニックを口に含むと、舌で転がしながら喉に流し込んだ。

「それでも彼女とセックスしたかった俺は、さっき話した企業にお願いしたんだ。彼女とやらせてくれって」
「仲介してくれる会社なのか?」
「いや、そういうレベルじゃなくて、本当にやらせてくれたんだよ」
「……まさか……」
「お前、何か危ない事を考えているだろ」
「そうじゃないのか?」
「まあ、ちょっと近いかもしれないけど。でも、頼んで良かったと思っている。普通に考えたら絶対に有り得ない事だし、彼女自身は俺とセックスしたなんて思ってなかったみたいだから。俺だけが楽しんだって感じかな」
「よく分からないな。それって本人だったのか?」
「ああ。正真正銘、彼女だったよ」
「へぇ〜。どういう方法で彼女を説得したんだろうな」
「説得したんじゃなくて、無理やりセックスしたって言う方が正しいか」
「やっぱりそれって強姦じゃないか」
「いやいや。本人は全く知らないから」

 話の筋が読めなかった。しかし、片想いの彼女とセックスをしたという事実は確かなようだ。何か裏があるのだろう。

「かなり怪しい会社だな」
「聞いているだけじゃ、そう思うだろな。一度会ってみろよ。TOSの人に。連絡先を教えてやるから」
「TOSって言うんだ。その会社」
「ああ。これが連絡先さ」

 有藤から連絡先が書かれたメモを受け取った直哉は、首をかしげながらも財布の中に仕舞った。

「これ、詐欺の会社じゃないのか」
「まあ、会ってみれば分かるさ。お前の悩みも解消できると思うから」
「……そうかなぁ」

 こうして二人は、一時間程酒を酌み交わすと、家路に着いた。