このお話は、「超常現象サークル」の番外編です。秋田によって好き勝手に身体を使われた紗枝が、秋田に仕返しをする内容になっています。
 女性同士、近親相姦が含まれますので、閲覧される方はご注意ください。
ちょこちょこと書いていきますので。
「珍しいわね。家に帰ってくるなんて」
「ま、まあな。暫くは家に戻ってくるよ」
「いいけど、彼女と一緒に住んでたんじゃないの? もしかして別れたの」
「いやぁ……。別れた訳じゃないけどさ」

 実家に戻った秋田は、ちょっと言葉を濁らせながら母親と会話をすると、久しぶりに二階にある自分の部屋に入った。今日は紗枝を顔を合わせるわけには行かない。実家の住所は知られているが、流石に単独で怒鳴り込んでくることは無いだろう。そう思いながら携帯を取り出すと、勝手に身体を使って申し訳なかったとの、謝りのメールを入れておいた。いつもなら十分もすれば返信が来るはずだが、一向に帰ってこない。それ程、腹を立てたのか――。
 一晩経てば多少は機嫌が直っているだろう。秋田はラフな格好に着替えると、ベッドに寝転び、紗枝に憑依した時の感覚を思い出した。あの、全身が蕩けるような快感は男の肉体では到底味わう事が出来ない。肉棒の何倍……いや、何十倍も敏感なクリトリス。そして膣に入れられた時の、脳天を貫かれるような衝撃的な快感。自分の乳首を弄っても、紗枝の肉体に付いていた乳首の気持ちよさは味わえない。普段、聞いている彼女の喘ぎ声を自分が出していた事にも興奮を覚えた。

「またあの快感を体験してみたいよな。紗枝以外の女性にも憑依する事が出来るんだろうか? 赤神の身体に触ってもすり抜けていたから、やっぱり霊感がある女性にしか憑依出来ないのかも知れないな。霊感って言ったら巫女さんとかか……」

 そんな事を思いながらしばしの時間を過ごした彼は、ベッドから起き上がると飲み物を取りに一階へと下りていった。

「ただいま」

 丁度階段を下りて廊下へ出たところで、玄関から声が聞こえた。ふと見ると、妹の琴美が高校から帰ってきたところだった。

「おお、琴美。久しぶりだな」

 軽く手を上げた秋田に、明美は「実家に帰る事くらい分かってたわよ。そう簡単に逃げられるなんて思わないでね。お・に・い・ちゃん!」と、スカートのポケットから見覚えのある小瓶を取り出し、彼に見せ付けた。

「えっ……」

 馬鹿にするような目で秋田を見た琴美が靴を脱ぎ、彼の元へ近づいてきた。スッと青ざめた秋田は、勢い良く床に膝を付くと、「ごめん紗枝。もうしないからっ!」と琴美に向かって土下座をした。
表紙_007

「私が妹さんに憑依している事、すぐに信じたみたいね。わざわざこの小瓶を取りに帰って良かったわ」
「ま、まだあったのか? そのドリンク」
「赤神君に貰ったのよ。霊感のある私なら、誰にだって憑依できるみたいね。この肉体にも簡単に憑依できたわ」
「悪かったよ。もうしないからさ」
「何言ってるの? あんな事して、簡単に許してもらえると思ってる訳?」
「だ、だからさ」
「お帰り琴美。あら、昇平。あなた何してるの?」

 琴美の声に気付いた母が現れ、話を遮った。

「い、いや。何でも無いんだ。ははは……そうだよな、琴美」
「まあね。ねえお兄ちゃん、すぐに私の部屋に来てくれるよね。久しぶりだから話したい事が沢山あるし」
「えっ……そ、そうだな。また後で行くよ」
「すぐに来ないと……分かってるよね」
「あ、ああ。すぐに……そう、すぐに行くよ」
「ねえお母さん、今日の夕食は何?」
「ビーフシチューだけど」
「そう」

 紗枝は琴美に成りすまし、母親の前でそれらしい会話をすると二階へと上がっていった。

「琴美、どうかしたの?」
「ど、どうかって?」
「だって、あんたの事をお兄ちゃんなんて。いつも兄貴って言ってるのに。何か良い事でもあったのかしら?」
「……むしろ、その逆だと思うけど」

 立ち上がった秋田は、深い溜息をつくと重い足取りで階段を上がった。