「イタタタっ。そんなに強く押し倒すなって」
「俺、もう止まんないよっ」

 尾原は眼鏡越しに恵美の瞳で睨み付け、男口調で喋ったが、蕗谷は両脇から腕を差し入れ、華奢な体を力一杯抱擁した。

「んはあっ! うっ……はぁっ」

 二つの乳房が押しつぶされ、背中が仰け反る。友人に、それも男の抱擁にも拘らず、尾原は恵美の体から沸き起こる幸福感のようなものを感じ取った。蕗谷の体重が上半身に圧し掛かり、互いの体温が触れ合う。耳元の聞える荒々しい男の息。背中をいやらしく這い回る大きな手。そして、下腹部に擦れる、硬く勃起したたくましい肉棒。
 恵美の記憶と体が、この強引で男らしい蕗谷の愛撫を望んでいるように思えた。

「ま、待てって蕗谷っ。そんなに強く抱きしめたら……うううっ!」

 首筋を舐められると鳥肌が立った。耳の中に舌が入り、いやらしく嘗め回る。その初めて味わう感覚に、尾原は恵美のつま先に力を入れ、細い足をピンと伸ばした。

「はあっ、はあっ、はあっ」

 蕗谷は息を荒げながら、目の前にある女体にしゃぶりついた。母親以外では初めて見る女性の生乳房。勃起したピンク色の乳首を口に含むと、恵美の体が更に仰け反った。

「んあっ。ふ、蕗谷っ……はぁ、はぁ、あっ……あうっ」

 吸い付きながら舌で転がされると、尋常ではない快感が尾原に襲い掛かる。空いている乳首も指で摘ままれ、コリコリと弄られると喘ぎ声が裏返った。

「はあんっ。ち、乳首がっ……あっ、すげっ……気持ちいいっ」

 男口調とはいえ、生徒会長である幹川恵美の声に違いはなく、今の蕗谷にとっては喋り方なんて全く気にならないようだ。特に、快感によって自然と漏れる裏返った喘ぎ声は本人が出しているとしか思えず、彼の性的な欲望を更に増幅させた。

「ああっ、あっ、はぁ、はぁ、あっ」

 彼女の細い指たちが、乳首を愛撫する蕗谷の肩を強く握り締めた。彼を引き離すためではなく、何かに捕まっていないと体が浮いた感じがして落ち着かないのだ。それでも蕗谷が徐々に下半身へと移動すると、その手は肩から外れ、今度はシーツを強く握り締めた。彼が両手で強く胸を揉みつつ、鳩尾から臍へと愛撫する。滑らかな肌が彼の舌によって汚される度に、恵美の体が小刻みに震えた。

「ううっ。な、舐めすぎだっつ〜の」
「幹川さんの体、全部舐めたいっ」
「へ、変態みたいなこと言うなって……んあっ!」

 また乳首を摘まみ、指の腹で刺激された尾原は恵美の声で官能的に喘いだ。今度は強引に俯けに寝かされ、背中を愛撫される。肩から背骨に掛けて丁寧に舐められると、尾原は恵美の丸い尻に力を入れた。

「はぁ、はぁ。この背中がたまんねぇよ」
「はぁ、うっ……。はぁ、はぁ……んっ」

 滑らかなウェストを舐めながら尻に手を掛けた蕗谷は、胸と同じように強く揉んでみた。胸よりも大きな肉の塊は自分の尻とは全く違う柔らかさで、何度揉んでも飽きない。
 激しい愛撫によって全身の力が抜けた尾原は、「はぁはぁ」と息を乱しながら肩を揺らしていた。

「うっ。こ、今度は何するんだ」
「膝を立ててくれよ」

 ほっそりとした太腿を持ち、両膝を立たせた蕗谷は少し赤くなった尻を突き出させ、二つの肉を左右に開いた。肛門から女性器までをジロジロと眺めた彼は、陰毛の茂った陰唇から太ももにかけて垂れる透明な愛液を確認し、自分が年上の生徒会長を感じさせたのだと思った。

「うわぁ。これが幹川さんのマンコとケツの穴なんだ。ヒクヒクしてすげぇいやらしい。それに愛液が滴って……」

 ゆっくりと顔を近づける。昨夜から何度も用を足し、愛液が滴る股間はお世辞にもいい香りがするとは言えない。しかし、それが彼女本来の体であり、蕗谷は興奮するのであった。肛門の周りを何度も匂った後、無理やり顔を押し付け、舌で陰唇の中を掻き回す。

「ふああっ! お、お前っ。後ろから舐めてるのか」
「はぁ、はぁ、はぁ。幹川さんのマン汁、甘酸っぱくてたまんないよっ」
「あっ、あうっ、はぁ、はぁっ。あっ」

 ジュルジュルといやらしい水音を立てながら舐める蕗谷に、尾原はシーツに顔を埋めながら何度も恵美の声で喘いだ。普段の彼女では絶対に見る事が出来ない肛門を眺めながら愛撫を続けた彼は、もう一度恵美を仰向けに寝かせた。そして、M字に足を開かせると、愛液が滴る内腿を綺麗に舐め始めたのだ。

「ううっ。はぁ、はぁ、あぁ……。ま、まるで全身が性感帯みたいだぜ。太腿を舐められただけでもすごく感じるっ。こんなの、幹川さんの記憶には無かったのに……あっん」
「もっと気持ちよくしてやるよ」

 徐々に女性器へと近づいた蕗谷の顔が両足の間に埋もれた。その瞬間、恵美の背中が強制的に仰け反り、彼が両肩で抱きしめるように持っていた太腿に力が入った。

「あああっ!」

 恵美の声で一際大きく喘いだ尾原は、彼女の頭を左右に振り、爪が折れそうになる程シーツを握り締めた。
 乳首よりも更に敏感で、蕩けそうな気持ちよさ。硬くした舌先が弾くように刺激するクリトリスは、恵美の記憶が持っている快感よりも数倍勝っているように思えた。もしかすると、彼女が今まで体験してきたセックスよりも激しく感じているのかもしれない。

「んあっ! あっ、あっ、ああっ。はぁ、はぁ……あっ、あっ」

 下から上に舐め上げられると、同じように尻を持ち上げる。リズムをつけて小刻みに愛撫されると、恵美の体は尾原の意志とは無関係にビクビクと震えた。すでにシーツには愛液のシミが広がっており、蕗谷の顎は涎を垂らした子供の様に激しく汚れていた。無我夢中でクリトリスをしゃぶり、恵美の喘ぎ悶える様子を堪能した彼は股間から頭を上げ、彼女の上半身に這い上がった。
 激しく息を乱す恵美の表情を見ながら、十分に血液が満たされた亀頭を膣口へ触れさせると、そのまま一気に肉棒を捩じ込んだ。

「ふああっ!」

 また恵美の裏返った大きな喘ぎ声が漏れた。体内に異物が挿入される違和感が気になったのは一瞬の事で、彼女の下腹部から沸き起こる快感が尾原の精神を包み込んだ。
 蕗谷も、恵美の生温かい膣壁に肉棒を締め付けられ、「ううっ」と低い声を漏らした。彼女の下腹部に飲み込まれ、その影も形も見えなくなってしまった肉棒に、「激しく動けっ!」と煽られている様に思えた。

「はぁ、はぁ。幹川さんの中、すげぇ気持ちいいっ」
「ううっ……。はぁ、はぁ、これがチンポを入れられるって感覚なんだ。俺もすげぇ気持ちいい。あっ、はぁ、んっ、うっ」

 互いに見詰め合った後、蕗谷が腰を動かし始めた。見えなくなっていた肉棒が何度も膣を往復する度に、恵美の口から短く甘い喘ぎ声が漏れる。
 蕗谷が上半身を倒すと、シーツを握っていた彼女の細い指が離れ、彼の体を抱きしめた。更にはM字に開いていた足を蕗谷の腰に巻きつけ、力を込めた。

「あっ、はぁ、はぁ、あっ、あっ、あんっ。腹の中にゴリゴリ入ってきてっ……。うはっ。ああぁっ」
「はぁっ、はあっ、幹川さんの喘ぎ声がたまんねぇよっ。もっと喘いでくれっ」
「んっ、んあっ、あっ、あっ、ああっ」

 蕗谷は必死に腰を振りながら、恵美の喘ぎ声を聞いていた。下からは、腰を打ち付けるたびに肉がぶつかり合う音がし、いやらしい水音も絶えず聞えていた。
 学校の保健室で生徒会長とセックスをしている。しかも、彼女は全く嫌がらずに、蕗谷に対して激しいセックスを求めているのだ。恵美の頭を抱えながら、肉棒を力一杯奥まで捩じ込むと、彼女は「んあぁぁ……あ……」と顎を上げ、両足を痙攣させた。

「奥の方でチンポの先が当ってる」
「あぁ〜。あっ……それ、し……子宮口」
「そんなところまで届いているんだ」
「んん……あっ。あひぃ」

 子宮口に亀頭を当てたまま円を描くように腰を回すと、恵美はパクパクと口を開きながら声の無い悲鳴を上げた。そして、肉棒を咥え込んだ下の口から、激しく潮を噴いてしまったのだ。生温かい感覚が互いの下腹部に広がると、蕗谷は我を忘れた様に、一心不乱に腰を振り始めた。

「んああああっ! あっ、あっ、あっ、あああっ」
「はあっ、はあっ、はあっ」

 興奮が止まらない。恵美の頭がガクガクと揺れ、眼鏡が鼻の下にずれ落ちた。半分白目を剥いたような状態で揺さぶれらる恵美の表情から、尾原が女性の快感により精神的にオーバーヒートしている事が伺える。それでも蕗谷は自らの性欲に対して忠実に体を動かし、射精へと駆け上った。

「ああっ、あっ、あひっ、あひっ、あっ、あっ、はっ……あっ。あっ、あああっ!」
「はぁっ、はぁっ、うっ、はぁ。も、もうっ……イ、イクッ!」
「あ、あ、あ、あっ。またっ……イグぅ。ひっ、ひぃ〜」

 射精する瞬間、蕗谷は膣から肉棒を抜くと、彼女の腹部へ精液を噴出した。一方、抱きしめていた手足を強引に外された尾原は、恵美の体から短時間で味わった二回のオーガズムによって意識が朦朧としていた。
 眼鏡がずれたまま目を瞑り、大の字になって胸で大きく呼吸をする恵美を眺めた蕗谷は、満足そうな笑みを浮かべながら息を整えた――。


 どれくらいの時間が経ったのだろうか。
 保健室の窓から差し込む夕日が、部屋全体を紅く染め上げていた。

「そろそろ幹川さんの体、返さないとまずいんじゃないか?」
「……そうだな。時間的にかなりやばい。早く戻らないと」

 視界がぼやけている事に気付いた尾原は、ずれた眼鏡を元通りに掛け直すと、恵美の上半身を起こした。大きくシミを作ったシーツが、激しいセックスを物語っている。

「なあ蕗谷。これって全部幹川さんの膣から出たのか?」
「ああ」
「すげぇよな。こんなになるなんて」
「掛け布団で隠しとかないとやばいな」
「だよな。それにしても……女の体って気持ちよすぎるぜ。自分の体で何回オナニーしても適わない」
「そんなに気持ちよかったのか? 幹川さんの体って」
「ああ。マジで比較できないほどだよ。やっぱり俺、幹川さんに乗り移って良かったよ」
「へぇ〜。俺は幹川さんとセックス出来たから、大満足だけど」
「それならいいけどさ。幹川さんが感じるところを教えてやろうと思ってたけど、お前に激しく愛撫されたら体中が気持ちよくなったよ。幹川さんが付き合っている安堂ってやつは下手くそって事か。いや、きっとお前との相性が良かったのかな」
「さあな。俺には全然分からないけど」
「どうも激しくされるほうが好きみたいだし。本人は分かっていないかもしれないけどさ。体がそう言っているんだ」

 尾原はベッドから降りると、床に落ちていたパンティを拾い上げ、恵美の足に通し始めた。その後ろ姿は何処から見ても本人にしか見えず、蕗谷の肉棒にまた血液が漲った。
 尻に食い込んだ生地を両手の指で引き伸ばした後、紺色のニーソックスを無言で穿いてゆく。細い太腿は、ニーソックスを穿く事によってより細く見えた。

「な、なあ尾原」
「んん?」
「そうやって着ている姿を見てると、また興奮してきたよ」
「でも、もう時間がないからな」

 彼女の記憶を使ってブラジャーを身につけた尾原は、手際よく制服を着た。見た目は生徒会室にいた時と同じだ。
 軽く手串で髪を整え、彼女本来の笑顔を取り戻す。
生徒会長乗っ取り7
「よし、これで完成。いつもの幹川さんに戻っただろ?」
「ああ。でもさ、もう一回やりたかったな」
「そりゃ俺だって同じさ。この体でもう一回イキたいよ。でも、マジで時間がやばいからな。これでも見てオカズにしとけよ」

 尾原は、恵美の右足をパイプ椅子の上に乗せると、スカートを捲り上げながらパンティを横にずらした。指で陰唇を開くと、先ほどまで肉棒を咥えていた膣口が滑りを帯びている。

「制服姿の幹川さんがそんなポーズ取るなんてたまんねぇよ」
「んふ。このオマンコに蕗谷君のチンポが捩じ込まれていたのよ。機会があったら、また捩じ込んでね」
「今からでもいいけど」
「今日はもう終わり。皆が待ってるから生徒会室に戻るわ。私の味、覚えておいてくれる? んっ……」

 膣に恵美の指を入れて愛液を絡め取った尾原は、その指を蕗谷の口元へ持っていった。興奮する彼は、その愛液の付いた細い指を口に含み、恵美の味を舌で感じ取った。

「んっ……くすぐったいよ。マン汁の味、覚えてくれた?」
「もちろん。前戯の時もずっと舐めてたからな」
「エロい舐め方だったよね。じゃあ私の体、返してくる」
「ああ……」

 こうして尾原は生徒会室の前まで戻ると、彼女の体から抜け出たのであった。すぐに意識を取り戻した恵美だが、何故か火照っている下半身と、随分と沈みかけた夕陽に戸惑いながらも、生徒会室に入って行ったのであった――。


 その後、蕗谷は自分の体に戻った尾原と共に学校を後にした。満足そうな表情で会話をする二人の話題は、幽体離脱できる薬についてだ。

「あ〜あ。今日は楽しかったな」
「ああ。女の体って最高だったぜ」
「尾原さ、あの薬はもう手に入らないのか?」
「入る事は入るけど、高いんだ」
「俺、バイト代を幾らか貯金してるけど」
「そんなんじゃ全然足りないっつ〜のっ」
「一体幾らなんだよ、あの薬は。そう言えば、ネットで手に入れたとしか聞いてなかったから値段は知らないな」
「教えてほしいか?」
「ああ」

 尾原はニヤリと笑うと、蕗谷の耳元で値段を囁いた。

「なっ……。そ、そんなに高いのか!?」
「だからすぐには手に入らない」
「し、知らなかった。でも、よくその値段で買おうと思ったな。本物かどうか分からないのに……っていうか、そんなに金を持ってたのか」
「まあな。でも本物だったから良かったぜ。小さい頃から貯めてた金、何に使おうか迷ってたところだったんだ」
「その決断力には恐れ入るよ」
「次はいつ買えるか分かんねぇな」
「だな。でも、俺も金貯めて絶対買うよ。女の快感ってのを味わってみたいんだ」
「蕗谷が乗り移った女とセックスさせてくれるなら、金については協力するぜ」
「マジで?」
「ああ。その代わり、眼鏡っ子限定だからな」
「そりゃ喜んで!」

 星が輝き始めた夜空を見上げた二人は、駅前のファーストフード店でハンバーガーを食べると、別々の改札口を通って家路に着いた。
 その後、彼等が薬を手に入れたのは大学を卒業する前で、乗り移った女性は前回と同じく、大人になった幹川恵美だったらしい。

おしまい