「じゃあ今度は蕗谷の番だ。何からして欲しい?」
「な、何からって……」
「このまますぐにセックスしてもいいぜ。お前がジロジロと見ていたせいで、幹川さんのマンコは十分に濡れているみたいだし」
「触ってないのに分かるのか?」
「まあな。下半身がジュンと熱く火照るんだよ。こうなったら濡れている証拠なんだ。幹川さんの記憶がそう言ってる」
「幹川さんの記憶が?」
「ああ。ほら、さっきも言っただろ。チンポを撫でるのは二人目だって。あれって記憶を読んでたんだ。幹川さんって同じ三年で生徒会の安堂って奴と付き合っているんだ。真面目で大人しい同士だから気が合うみたいだな。でも、やる事はやっているんだ。しかも、あの生徒会室で」
「へ、へぇ〜。そうなんだ。見かけに寄らないな」
「っていうか、実は中学の頃からずっと付き合ってたんだってさ。成績優秀な二人は同じ高校に進学して、同じ生徒会に入った。もう六年の付き合いになるんだから、セックスくらいするだろ。と言っても、セックスはほんの半年ほど前に初めて体験したんだけどな」

 蕗谷は、恥かしげも無く坦々と語る恵美を眺めながら、相手の記憶まで読む事が出来る「憑依」という現象に驚かされた。

「そんな事まで分かるんだ」
「他人の脳を含めて乗っ取っているんだから、簡単な事さ。それよりもどうする? 今なら幹川さんに何でもさせられるぜ」
「そ、そうだよな。いざ、何でもしてもらえるとなると迷うよ」
「じゃ、手始めに幹川さんのストリップショーでもやってやろうか」
「ストリップショー?」
「この制服を脱いでやろうかって言ってるんだ」
「俺の前で?」
「誰の前で脱ぐんだよ」
「……だよな。幹川さんの下着姿が見れるなんて、想像しただけで勃起するよ」
「よし、じゃあ脱いでやるよ。折角だから幹川さんに成りすましてさっ!」

 軽く咳払いをした後、眼鏡の奥に見える瞳を潤ませた恵美は本来彼女が喋る口調で蕗谷に話しかけた。

「ねえ蕗谷君。本当の私は絶対にこんな事、しないのよ」
「わ、分かってるよ。尾原が体を乗っ取って操っているんだから」
「そう。尾原君が私を操っているの。こうして見ず知らずの男の子の前で制服を脱ぐなんて、絶対にしないんだから」

 彼女は少し困った表情をしながら、ブレザーのボタンを一つずつ外していった。そして恥かしそうにブレザーを脱ぐと、青いリボンを外し、白いブラウスのボタンに手を掛けた。

「ね、ねえ蕗谷君」
「何?」
「後ろを向いて脱いでもいい?」
「えっ……」
「恥かしいの。お願い」

 ニーソックスの足をモジモジさせながら問い掛けてくる恵美に心臓が激しく高鳴る。三年の生徒会長が一年の蕗谷に懇願するなんて有り得ない事実であると共に、尾原が楽しむためにわざと演出しているのだと気付いた。

「……だ、だめだ。そのまま脱いで」
「そ、そんな……」
「いいからそのまま脱いでよ」
「……わ、分かったわ」

 顔を横に逸らしながら、ブラウスのボタンをゆっくりと外してゆく。その全身に溢れた羞恥心を見て、蕗谷は頗る興奮した。恐らく、尾原は恵美が安堂と初めてセックスした時の雰囲気を読み取り、表現しているのだろう。
 少し顔を赤らめながらブラウスを脱ぎ去った恵美の手が、スカートのホックに伸びる。

「はぁ、はぁ。幹川さんって可愛いブラジャーしているんだね」
「言わないで。恥かしいよ」
「さっき四つん這いになった時に見えたパンティの柄と同じだ」」
「そ、そうよ。夏子と一緒に買いに行ったの」
「へぇ〜。夏子って誰?」
「同じ生徒会の二年生よ」
「幹川さんより胸は大きいの?」
「……私の方が少し大きいみたい」
「ふ〜ん。幹川さんのサイズは?」
「私のサイズ? 教えたくない」
「教えてよ」
「……上から八十五、五十七、八十八よ」
生徒会長乗っ取り4

 彼女の両足からスカートが抜き取られると、白い下着に紺色のニーソックス姿の恵美が出来上がった。

「うおお。ニーソックスを穿いたままってのもそそられるよ」
「恥かしいよ。そんなに見つめないで……ってね! こんな感じの幹川さんもいいだろっ」

 軽く髪を掻き上げた恵美の口調が尾原に戻り、不安げな表情も何処かへ消えてしまった。

「今言ったスリーサイズって、ほんとのサイズなのか?」
「そうさ。まあ、数字よりもこのスタイルを見てくれれば分かると思うけどさ」
「ウエスト、すげぇ細いよな」
「だろ。女性の大人って感じだぜ。ムチッとしたニーソックスもたまんねぇよ」

 尾原が彼女の手を操り、ニーソックスを撫でた。

「俺、もう鼻血が出そうだよ」
「じゃあもっと強烈に刺激してやるよ。ほらっ!」

 恵美はパンティを両手で掴むと、足を蟹股に開きながら強引に引き上げた。先程、尾原が言っていたように、彼女の体は興奮しているようだ。食い込んだパンティの股間にシミが広がっている。更には、細く伸びた生地の左右は縮れた黒い陰毛が見え、いやらしい雰囲気をかもし出していた。

「す、すげぇっ!」
「へへ。これが生徒会長の幹川恵美だとは思えないだろ」
「目の前でこんな事されたら……た、たまんねぇよ。あの幹川さんが……クゥ〜っ! 扱きてぇっ!」
「待て待て、そう慌てるなよ。自分で扱いたら勿体ねぇだろ。折角この体があるのにさ」

 股間を押さえる蕗谷を見てニヤニヤと笑った恵美は、食い込ませたパンティをそのまま引き下ろし、足元に落とした。更にはニーソックスを丁寧に片足ずつ脱ぎ、ブラジャーのホックを外す。

「幹川さんの全てをお前に見せてやるよ」

 彼女は呟くと、肩紐を抜いてブラジャーを取り去り、足元へ落とした。

「へへへ、どうだ? これが……私の全てよ」
生徒会長乗っ取り5

 生まれたままの姿になった恵美が、そのバツグンなスタイルを惜しげもなく蕗谷に見せ付けた。片手を頭の後ろに回しながらポーズを取った彼女に、蕗谷は息を荒くし、目を血走らせた。

「み、幹川さんの胸、すげぇ綺麗だ」
「まだセックスの回数も少ないし、家ではあまりオナッてないからな」
「はぁ、はぁ、はぁ。も、もう我慢できねぇよ」
「じゃ、どうしたい?」
「セ、セックスしたいっ!」
「いいぜ、今すぐにセックスしても。この体、すっかりスイッチが入っちまってるからさ。その様子じゃ、幹川さんにしてもらうと言うより、自分からしたいって感じだな」
「押し倒したいよ。ベッドに押し倒して無茶苦茶にしたいっ」
「じゃあ、受身で抱かれてやるよ。ねえ蕗谷君、私とセックスしてくれるの?」
生徒会長乗っ取り6

 雰囲気ががらりと変わり、本来の恵美が現れた。しかし、嫌がっている様子は全く無く、本能をむき出しにする蕗谷を受け入れる笑顔を見せていた。

「ああっ!」
「フフ、分かったわ。その代わり、安堂君よりも上手にしてね。私が感じるところは全て教えてあげるから」
「早くベッドへ行こうっ」
「分かってるわよ。あんっ!」

 華奢な背中を見せ、ベッドに足を掛けた恵美の後ろ姿に抱きついた蕗谷は、彼女を押し倒すと仰向きに寝かせ、馬乗りになった。