一階まで駆け下りてすぐにある扉。本来ならば掛かっているはずの鍵だが、手で軽くスライドさせればあっさりと開いた。先に恵美が入ると、周囲に人影が無い事を確認した蕗谷が入り、扉を閉めた。

「誰かが入ってきたら面倒だから鍵を掛けとけよ」

 真面目で大人しい生徒会長からは考えられない男性の様な荒々しい言葉が、彼女の声のまま聞えた。保健室独特の消毒用アルコールのような匂いに、恵美の女の子らしい香りが混じっている。 内側から鍵を掛けて振り向くと、幹川恵美が少し息を切らせながら立っていた。両腕を真っ直ぐに下ろし、軽く拳を作っている。紺色のブレザーに包まれたウェストが細く見えて、大人の女性を意識させた。そして視線を下げると絶対領域だ。彼女はニヤリと笑いながら眼鏡越しに彼を見つめていた。
生徒会長乗っ取り3
「あ、あの……。何か喋ってくれない?」

 少し不安げな表情をする蕗谷が問いかけると、「へへ。喋らない方が生徒会長の雰囲気をかもし出していて良くないか?」と返ってきた。

「も、もう一度確認するけど、幹川さんじゃなくて尾原……だよね」
「だよねって、変な喋り方するなよ。気持ち悪いからいつもどおりに喋れよな」
「だ、だってさ。何処から見ても幹川さんにしか見えないから」
「その生徒会長がお前の手を引っ張ってこんなところに来ないだろ? ああ、そうだ。いいもの見せてやるよ」

 彼女は振り向くと、カーテンの閉められたベッドに歩み寄った。そして徐にカーテンを開き、ベッドで仰向けに寝転がる男子生徒の姿を見せた。目を瞑ったまま無表情で、眉一つ動かさない尾原の顔は、死んでいるのかと思えた。息をしているのかさえ分からないほど微動だにしない体だが、顔色は悪くない。魂の抜けた状態を初めて見た蕗谷は、少し顔を引きつらせながら眺めていた。

「どうだ? これで俺が尾原だって信じるだろ?」
「マ、マジで幽体離脱してるんだ。ははは、信じるよ。お前、尾原なんだな」
「そういう事さ。こうして他人の目で自分の姿を見るのって変な感じだよ。魂の入っていない体がいきなり動き出したら焦るよな」

 恵美の体を乗っ取った尾原は、笑いながら魂の抜けた自分の体を叩いた。全く反応の無い男子生徒は、ベッドのクッションで左右に揺れるだけである。

「こうして生徒会長に触れてるってのに、俺の体は全然反応しないのか。勿体無いな」
「そりゃ仕方ないんじゃないか? 魂が抜けているんだから。動いたら一目散に逃げるよ」
「まあ、そうなんだけど。意識の無い俺の体が可哀想に思えてさ。おっ! いい事思いついたぞ」
「何だよ」
「へへへ〜。この手で触ってやろうと思ってさ。ちょっとだけ待っててくれよ」
「さ、触るって何を触るのさ」
「決まってるだろ! 記念にチンポを触っておくのさ」

 恵美はベッドの横に跪くと、意識の無い尾原の腹部に優しく手を乗せた。そして、蕗谷に見せ付けるように下腹部へと移動させていった。

「……ねえ、尾原君。今から私が尾原君のオチンチン、触ってあげようか。生徒会長に触れるのって光栄でしょ?」
「なっ……」

 彼女の喋り方を真似た尾原に、蕗谷はゴクリと唾を飲み込んだ。細くて長い手がズボンの股間へ添えられ、優しく円を描くように撫で始める。

「み、幹川さんが、尾原の……」
「どう? 私に撫でられて気持ちいいでしょ。 私がこうして男性のオチンチンを撫でるのは二人目なんだから」
「ふ、二人目って……どう言う事だよ?」
「うふふ、後で教えてあげる。私、尾原君のオチンチンが見てみたいな。付き合っている彼のオチンチンよりも大きいなら、この口で食べてあげる」

 いやらしく微笑みながらズボンのファスナーを下ろした彼女が中に手を忍ばせ、トランクスから肉棒を引き出した。意識の無い体だが、不思議な事に、肉棒に血液が漲り始めている。

「ふ〜ん。魂は抜けていてもオチンチンはしっかり反応するんだ。生理現象かな?」

 半勃ちした肉棒を右手で包み込み、牛の乳を搾るような手つきで握り締めている。あの生徒会長が友人の肉棒を握り締めている。しかも、自ら進んでやっているのだ。喋り方を真似ると、尾原の存在が全く見えなくなってしまう事に蕗谷は驚き、そしてそのいやらしい行為に下半身を熱くさせた。
 同じように、ベッドに横たわる尾原の肉棒も血液が十分に満たされ、彼女の手の中で硬く勃起した。

「す、すげぇいやらしいよ。生徒会長が尾原のチンポをしごいているなんて。めちゃくちゃ興奮するっ」
「そう? じゃあ蕗谷君のオチンチンも後でしごいてあげる。さてと……」

 勃起した肉棒から手を離した恵美は、机上にあったウェットティッシュを手に取ると、もう一度ベッドの横に膝立ちして肉棒を綺麗に拭き始めた。

「どうして拭いているんだ?」
「きまってるでしょ。彼のオチンチンよりも大きかったからよ」
「そ、それってまさか……」

 彼女は、ずれた眼鏡を掛けなおすとベッドの上に移動し、意識の無い体の下半身を跨ぐように四つん這いになった。突き出したお尻がとても魅力的で、スカートの裾からパンティが見えそうだ。絶対領域が広がり、生の太ももが蕗谷を頗る興奮させた。

「た、たまんないよ。幹川さんのお尻が見えそうだ」
「オナりたいならオナってもいいよ。私のスカート、捲っても構わないし」
「い、いや。この絶妙なチラリズムがいいんだ」

 我慢出来なくなった蕗谷はパイプ椅子を手に取ると、四つん這いになった彼女の後ろ姿が良く見えるようにベッドの後ろに置き、ズボンとトランクスを脱ぎながら座った。そして視線を上げた瞬間、鼻血が出そうになった。スカートの裾から、お尻と女性器を包み込む白いパンティが見えたのだ。スカートを捲らずに絶対領域とパンティを見る事が出来るアングルは、しごかずとも射精しそうなほど彼をときめかせた。そのときめきが伝わったのか、恵美は更に背筋を猫の様に弓なりにし、お尻を突き出した。緩く揺れるスカートの裾は、手を伸ばせば届く距離にある。しかし、蕗谷は決して触ろうとせず肉棒をしごき始めた。

「すげぇっ。み、幹川さんの絶対領域と股間がこんなに近くにあるっ」
「良かったじゃない。でも、あまり見つめないで。見られていると思うと、オマンコ濡れちゃうから」

 生徒会長の口から「オマンコ」という言葉が飛び出した事に、しごく手を早める。更には、彼女の体が前後にゆっくりと動き始め、「んっ、んっ」と篭った声が聞えると、あっという間に臨界点へと達した。
 後ろからだと見えないが、恵美は尾原の肉棒を咥えているのだ。他人の体に乗り移っているとはいえ、自分の肉棒を咥えるという行為を嫌だとは思わないのだろうか。そんな事を考えた蕗谷であったが、一瞬で消し飛んだ。
 握り締めた肉棒から白い精液が迸る。その液体が放物線を描き、揺らめくスカートにも飛び散った。

「ああっ! はぁ、はぁ、はぁ、ううっ」
「んっ、んっ。あら、もう出たの? 早いね」
「だ、だってさ。このアングルって最高にいやらしいんだ。それに、そのフェラする声を聞かされると我慢できないよ」
「そうなんだ。私の絶対領域とパンチら、そんなに興奮した?」
「携帯を持っていたら何十枚も撮っておきたいくらいだ」
「残念だね。携帯持ってなくて。二度と見れないから、しっかりと目に焼き付けておいてね」

 しばらくの間、尾原は彼女の口を使い、自らの肉棒を愛しそうにしゃぶり続けた。ゆっくりとした口使いでは射精に至らないのか、彼の肉棒は勃起したまま変化を見せなかった。

「んっ、ふぅ。別に射精しなくてもいいか。これだけ舐めてもらったら十分だ」

 男口調に戻った恵美はベッドから降りると、射精の始末を終えた蕗谷に近づいた。