小さな掌一杯に広がる生温かい感触。瀬里奈は興奮しながら握った手を上下に動かしてみた。
 亀頭を包む皮が伸び、尿道口が見え隠れしている。そして肉棒からは、しごかれているという感覚が伝わってきた。

「はぁ、はぁ。何、この感覚。しごくってこんな感じなんだ……」

 顔を赤らめながらしばらくしごき続けると、透明で粘り気のある液体が尿道口から出てきた。左手の指で触ってみるとヌルヌルとしている。それはまるで、女性の性器で言う愛液のような感じに思えた。

「オ、オチンチンからも出るんだ。すごい……」

 そう思いながらしごいていると、亀頭を包み込んでいた皮が伸びて頭が半分ほど出てきた。皮が突っ張っているような感じがして、少しの痛みを感じる。瀬里奈はそれ以上皮が捲れないように握り直すと、稔の体でオナニーを続けた。

「はぁ、はぁ、はぁ、んっ。はぁ、はぁ」

 静まり返った部屋に、まだ声変わりしていない小学生の吐息だけが聞こえる。
 しごき続けて三分ほど経っただろうか。急に小便がしたいという気分に駆られた。それは何かが強制的に出てこようとする感覚でもあった。

「ううっ。な、何っ! こ、これって……はぁ、はぁ」

 それでもしごく事をやめなかった瀬里奈は、初めて味わう男性の快感を稔の体から受け取ったのであった。
 肉棒にギュッと力が入り、亀頭から白い精液が勢いよく飛び出してくる。

「ああっ! あっ、あっ、あっ……あぁ〜ん」

 どうにも止められない手の動きは、精液が出尽くすまで続いた。先程、ゴミ箱に入っていたティッシュと同じ生臭い匂いが立ち込め、瀬里奈をクラクラとさせる。小さな心臓が激しく脈打ち、何度も小刻みに呼吸をした。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。あはぁ……」

 肉棒を握る手に、そして太ももからシーツに掛けていやらしい男性の精液が飛び散っている。ヒクヒクと震える肉棒から手を離した瀬里奈は、しばらく手に付いた精液を眺めていた。

「こ、これが男性の……オナニーなんだ」

 落ち着いた彼女はティッシュで精液を拭き取ると、イケナイ事をしてしまったという罪悪感を覚えながらベッドに寝転がった――


 一方、稔は瀬里奈の部屋で服を脱ぎ、部屋の隅に置いていた姿見に姉の裸体を映し出していた。自分の体とは全く違う構造を持つ女性の体。範子と愛し合った姉の体は、稔の体よりも何倍も大きな快感を齎してくれる。

「姉ちゃんの体って、最高に気持ちいいな。どうしてこんなに違うんだろう」

 両手で胸を揉みながら独り呟く稔は、いやらしい笑みを浮かべる瀬里奈にゾクゾクした。普段は見た事もない姉の表情を意図も簡単に作り出す事が出来る。

「本当の姉ちゃんは、チンポなんて言わないしね。チンポチンポチンポ。うわ、姉ちゃんってエロいなぁ」

 わざと姉に隠語を言わせた稔は両手の指で乳首を弄り、体を震わせた。こうして弄っているだけでとても気持ちよく、下半身が火照ってくる。自分の体では感じる事の無い感覚だった。
 硬く勃起した乳首を強引に引き上げ、舌を出して舐めてくる。

「うはっ! 自分でおっぱい舐められるなんてすごいや。姉ちゃんも同じようにしてるのかな? はぁ、はぁ、あふっ」

 舌を伸ばし、チロチロと乳首を舐める姉の姿が異様にセクシーに思えた。まるでエッチな本に載っている女性の様に感じる。それを思い出した稔は、椅子を姿見の前に持ち出すと、浅く座って足を大きく開いた。

「へへ。こんな感じで股を開いて……」

 稔は両手で陰唇を左右に広げ、姿見に対していやらしい笑みを浮かべた。ピンク色の膣口から透明な愛液が滴り、大人の女性を感じさせる。

「うわ。やっぱり姉ちゃんってエロいや。エッチな本に載っていた女の人と同じだ。範子さんの体でもしてみたかったなぁ。うっ……はぁ、あっ、あぁ」

 足を開いたままクリトリスを弄り始めた稔は、瀬里奈の上ずった声で喘いだ。何度味わっても飽きない、クリトリスの快感。体の芯が痺れて、自然と声が漏れてしまう。
 稔は姉のいやらしい表情を眺めながら、只管にクリトリスを弄った。

「あっ、あっ、はぁ、はぁ。あっああっ。き、気持ちいいっ。姉ちゃんのココ、すごく気持ちいいよっ」

 椅子から滑り落ちそうになった瀬里奈の体で座りなおし、また姿見に映る姉の姿を眺めながら快感に酔いしれる。限界の無い姉の体は、稔の心を虜にした。
 ニチニチといういやらしい愛液の音と瀬里奈の喘ぎ声は、隣に居る瀬里奈本人にも聞えそうだった。

「ね、姉ちゃんっ。すごいよっ! はぁ、はぁ、あっ、あっ、あっ。気持ちいいっ。気持ちよすぎるっ」

 右手でクリトリスを弄り、左手で乳首を摘んだ稔は顎を上げながら女性の快感を貪った。オーガズムが近づき、両手の動きが早くなる。

「あっ、ああっ。はぁ、はぁ。あっ……気持ちいいっ。はぁ、はぁ、イ、イクッ! ね、姉ちゃんっ。はぁ、はぁ、あっあっあっ。んあっ!」

 瀬里奈の背中が仰け反り、開いていた足が浮いた。
 全身に力を込め、オーガズムを迎えた稔は大きく息を乱しながら背凭れに身を預けた。

「はぁ、はぁ、はぁ、ああぁ〜。ね、姉ちゃん……」

 意識を朦朧とさせた彼は、しばらくすると椅子から立ち上がり、裸のまま瀬里奈の体をベッドにダイブさせたのであった。