その後、十分ほどして稔(瀬里奈)が現れた。

「どうしてこんなに背が低いのよ」
「そんなの仕方ないじゃないか。五年生なんだから」
「部屋に入っても必要なもの以外は触らないでよ。絶対だから」
「分かってるって。でも姉ちゃんは僕の部屋にあるもの、全部触ったり見たりしてもいいから」
「別に稔が持っているものなんて見たくない」
「そっか。六時半だから、一時間もすれば母さんが帰ってくるね。姉ちゃん、上手く僕の真似してくれなきゃ、母さんにばれるよ」
「そんな事、言われなくても分かってるわよ。稔こそばれないようにしてよね」
「アタシは大丈夫。範子だってびっくりしてたんだから。アタシが普段どおりに喋ると、稔だなんて全然思わないんだって」
「くっ……。そ、そう。それならいいけどね」
「アンタの方が心配だよ。自分の部屋でしっかりと練習しててよね」
「わ、私の真似して偉そうに言わないでよっ」
「だって、アタシは稔にいつもこんな風に喋っているんだよ。結構嫌でしょ?」
「……知らないっ!」

 視線を逸らせた稔(瀬里奈)は、憂鬱そうな表情をしながら稔の部屋に歩いていった。

「へへ、じゃあ僕も姉ちゃんの部屋に入るか。母さんが帰ってくるまでに、もうちょっと姉ちゃんの体を楽しませてもらおっかな!」

 稔は、範子の制服に包まれた瀬里奈の胸を乱暴に揉むと、ニヤニヤと笑いながら姉の部屋に入っていった。

「ちょ、ちょっと何よこの本っ!」

 先に稔の部屋に入った瀬里奈は、無造作にベッドに置かれていたエッチな本を見て赤面した。

「マジでエロガキなんだから。これ、わざとアタシの目に付くように置いてたんだ。馬鹿にも程があるわ」

 小さな体で勉強机の椅子に座り、「はぁ」と溜息をついた瀬里奈は目の前に並んでいる教科書を手に取った。算数や国語、理科などの教科書をパラパラと捲ると、妙な懐かしさを感じる。

「へぇ〜。アタシも小学生の時はこんな勉強してたんだ。簡単でいいなぁ」

 算数の問題を見ても暗算で解ける。漢字は度忘れしているものもあったが、殆ど分かった。ついでに稔の勉強ノートを見てみると、汚い字ではあるものの、先生が黒板に書いた字をしっかりと写しているようだった。

「汚い字。うわ、こんな簡単な問題なのに間違えてる。ええ〜っ、どうしてこうなるのよ。基本が理解出来てないんだ。こんなんじゃ塾に行かないとマズいでしょ。折角ママも熟に行ってもいいって言ってくれてるのに……って、アタシが教えればいいのか。でも、嫌がるだろうし、アタシも自分の時間を割いてまで教えたいとは思わないし」

 また溜息をついた瀬里奈は、エッチな本を床に放り投げるとベッドの上に大の字になって寝転んだ。
 
「あ〜あ。声も子供だし、体だって小さくて不自由だし。アタシも小学生の頃は背が低かったんだなぁ。でも、これはこれで問題なくやってこれたんだよね」

 そう思いながらしばらく天井を眺めた後、ふと床に放り投げたエッチな本に視線を送る。

「アタシが小学生の時は、こんな本を見ることなんて無かったのに。そりゃ、友達と話をした事はあったけど……」

 別に見るつもりは無かったが、瀬里奈はこの退屈な時間を解消するために、それとなく手に取った。表紙には若い女性が白いパンティを穿き、ブラジャーの変わりに手で胸を隠している写真が載っている。笑顔が素敵な女性だった。
 そして軽くページを捲ると、数人の女性が恥ずかしげも無く裸体を披露していた。濃いアンダーヘアーの股間を軽く指で隠しながら腰をくねらせ、セクシーさをアピールしている。ある女性は、実際に入っているのかは分からないが、男性と下腹部を結合させ、うっとりとした表情をしていた。

「いやらしい……。稔、こんなの見てるんだ。まだ小学五年生なのに」

 大人の女性はこんなにも艶やかで色気があるものなのだ。自分の体も、こんなにセクシーな体型になるのだろうか。
 そんな事を思いながらページを捲っているうちに、体に違和感を覚えた。ベッドの淵に膝を揃えて座っていたところ、ショートパンツの股間がいやらしく膨れ上がっている。

「や、やだ。何これ……。み、稔の体が興奮してるの!?」

 赤面しながら股間を触ると、小学生の肉棒が勃起していた。

「うっ……。こ、こんなに硬くなってる」

 興味本意でショートパンツのゴムを引っ張って見ると、白いブリーフパンツの生地に勃起した肉棒の形が模られていた。更にそのブリーフパンツのゴムを引っ張ると、皮を被っていながらも男を象徴する立派な肉棒の姿があった。

「み、稔の……オ、オチンチン」

 オチンチンという言葉を発した瞬間、瀬里奈は赤面した。一度ゴムを戻した後、再度引っ張って勃起した肉棒を眺める。

「信じられない。稔、小学生だよ。なのに、こ……こんなに大きくなるなんて」

 それは生まれて始めてみた、生の勃起した肉棒だった。小さな心臓がバクバクと鳴っているのが分かるほど、瀬里奈は動揺した。そして妙な興奮を覚えた。

「も、もしかして稔、もう……してるの?」

 直接本人からは聞いていないが、これ程勃起した肉棒ならすでに男性としての機能を果たすのかもしれない。それとなく近くに置いていたゴミ箱を覗くと、ティッシュが何枚も捨てられていた。稔が体を入れ替える前にオナニーし、精液を拭き取ったものだ。

「こ、このティッシュって……」

 恐る恐る手に取った瀬里奈は、少し遠ざけながらティッシュを眺めた。微妙に匂ってくるのは、まだ彼女が知らない精液の香りだ。しかし、そのクラクラする匂いが何を意味するのかが直感的に分かった瀬里奈は、慌ててゴミ箱に戻した。

「まだ小学生だよ。それなのに……してるんだ」

 見知らぬ男性の快感。それを小学生の体でも感じる事が出来るのだ。瀬里奈はエッチな本をベッドに置くと足を閉じ、両手で股間を押さえつけた。

「だ、だめっ。大きくならないで。そんなに大きくなったら……」

 息が苦しい。幾ら押さえつけても、稔の肉棒が小さくなる事は無かった。すでに彼女の頭の中では葛藤が始まっている。

「お願いだから治まってよ。じゃ、じゃないとアタシ……」

 押さえつけた手で肉棒を握り締めると、瀬里奈は「ひんっ!」と可愛らしい声を上げた。どうすれば良いのかは分かっている。どうすれば良いのかは。
 それをするかしないか――
 今まで稔に対して偉そうな事を言っていたのに、逆の立場になると弟の行動が分かるような気がした。
 瀬里奈は目を瞑ると、ゆっくりと足を開いた。ヒクヒクと脈打つ肉棒から手を離し、大きく口を開けて深呼吸をする。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 必死に理性を総動員した彼女は、ベッドにうつ伏せに寝転がると枕に顔を埋め、それを両手で抱きしめた。
 敷布団に勃起した肉棒が押さえつけられ、下腹部に温かさを感じる。

「早く治まって……。み、稔の馬鹿ぁ」

 あまりにリアルな温かさから逃れようと、彼女は蛙の様に足を開いて腰を浮かせた。すると、軽く敷布団が擦れて妙な気持ちよさを感じてしまったのだ。

「んっ……」

 枕に顔を押し付けたまま篭った吐息を漏らした瀬里奈は、敷布団に肉棒を擦り付ける様にしながらゆっくりと腰を下ろした。

「んんっ。や、やだ……」

 気持ちいい。肉棒が擦れて気持ちいいのだ。だめだと分かっていても、理性を総動員していても、自然と腰が動いてしまう。何度か腰を動かし、息が苦しくなった彼女は枕から顔を離した。

「はぁ、はぁ、はぁ。い、いや。も、もうだめっ。稔の体、すごくエッチになってる」

 瀬里奈は仰向けに体を返すと、稔の足を内股にしながらショートパンツとブリーフパンツを脱いでいった。
 そして上半身を起こすと、興奮する稔の体に理性を崩されながら、右手で勃起した肉棒を握り締めた。