「はぁ〜。女の絶頂ってすげぇな。オナニーでこんなに気持ちよくなれるものなんだ。ちょっと休憩」

 ゴロンと寝転がり、ボックスティッシュを手にした留美は体や床に飛び散った愛液を拭き取った。そして腰に力が入らない体で姿見を引き寄せると、体の細部までを観察し始めた。
 両手で髪を左右に分け、髪の毛がどのように生えているのかを見ると、一つの毛穴からニ〜三本の髪が生えているのが分かる。

「こんな風に髪の毛が生えているんだ。俺の後頭部、少し薄くなってきたからな。これくらい密集して生えていればいいんだけど」

 続いて顔を大きく映し、ファンデーションの塗られた決め細やかな頬を手でなぞる。普段から手入れしているのだろう。瑞々しい質感とシミのない肌は、部屋の隅に転がっている男性のそれとは正反対であった。
 更に指で鼻の穴を開き、鼻毛まで処理されている事を知って驚く。

「うわぁ。これって鼻毛を切っているのか? 鼻を摘んだらチクチクするもんな。そしてこれが留美さんの口か」

 大きく口を開けて、中の様子を確認する。歯並びもよく、銀歯は無いようだ。舌を伸ばして裏を見てみたり、息を吐いて匂ってみたり。

「やっぱり人間だから、いい匂いはしないよな。これは俺と同じだ。でも、悪臭じゃないところがちょっと違うか」

 髪を上げ、耳の裏に黒子が一つある事を発見する。更に脇の下が綺麗に処理されている事、また腋臭のない事を確認した。

「ふ〜ん。こう考えると女性は大変だな。毎日綺麗に処理していなければならないんだから。俺ってやっぱり自由人だ」

 だらしなく転がる体を見ながら苦笑した留美は、両手で胸を掬い上げると、その重みや弾力を楽しんだ。脂肪の塊なのに、しっかりと揉まれているという感覚があるし、乳首を触らなくても気持ちがいい。男の体では考えられない事だった。

「うっ。どうして乳首ってこんなに気持ちがいいんだろ。ほんとは俺の乳首も気持ちいいのかな。んふっ、こうして捏ね繰り回すと体がビクビク震えるよ」

 姿見の前で胡坐を掻いて座り、胸を揉んでいる美人の姿は少々滑稽に思えた。しかし、その不自然さが本当の留美ではないと認識でき、彼女は満足げに笑った。

「へへ。留美さんが今までした事がない態度や行動をさせる事が出来るんだよな。これってすげぇ興奮するよ」

 余分な脂肪が付いていない腹を撫でた後、足をM字に開いて姿見に股間を映す。水着用に処理された陰毛が薄っすらと生えており、その下の陰唇は足を開いた事によって左右に引っ張られ、中が少し覗き見えていた。彼女の手がその陰唇を更に広げ、いやらしい姿を姿見に映し出した。

「うわぁ。美人が自分で開いているよ。いやらしいよなぁ。こんなところばかりを写真にとって写真集にしたら大儲け出来そうな気がする」

 陰唇を開いた左右の指を膣口に滑らせ、穴を広げてみる。すると薄暗い膣から愛液が涎の様にとろりと垂れてきた。腰をずらし、姿見を少し斜めに倒して見えやすくすると、数センチほど先まで膣の中を見る事が出来た。

「クスコだっけ? 膣の中を見る器具は。あれがあればもっと奥まで見えるのに。それにしても、膣の中って赤ピンク色しててちょっと気持ち悪いな。でも……この中にチンポを入れればすげぇ気持ち良さそうだ」

 その後、太ももの滑らかな曲線を撫でながら女性らしい足を楽しんだ後、姿見に背を向けて四つん這いになり、セクシーなお尻を眺めた。
 お尻からウェストに掛けての引き締まった曲線が何ともたまらない。お尻を開くように力を入れると、肛門がヒクヒクと動く。

「こんな姿を旦那が見たらどう思うだろうな? 裸になって鏡に肛門を映して喜んでいるんだから。ドン引きするんだろな。あ、でもこうして俺がしゃべったら本人じゃないってバレるか」

 そんな事を言いながら股の間に手を沿え、中指を膣の中に入れた留美は「あんっ」と喘いだ。

「この喘ぎ声だけ聞いていると留美さんと同じなんだろうけど。んっ、んんっ」

 股の間、姿見に映る中指が留美の喘ぎ声と同じタイミングで見え隠れする。切ない表情をする彼女はしばらく膣を掻き回していた。

「はぁ、はぁ。ああ……。やっぱり指じゃイマイチ満足出来ないな」

 そう思って、部屋の隅に横たわる男性の姿を見た。

「魂が無くても勃つのかな。もし勃つなら……」

 膣から指を抜いた留美は、口の中でその甘酸っぱい愛液を舐めた後、魂の入っていない男性の横にしゃがみ込んだ。

「ここじゃやりにくいから部屋の真ん中に移動させるか。でも、引きずれるか?」

 非力な体で巨漢を移動させる事が出来るのか心配だった彼女は、とりあえず太い手首を掴んで綱引きの様に引っ張ってみた。微妙に動くが引きずれるような状況ではない。

「重たっ。やっぱりこの体じゃ動かせないか。下に何かを敷くか? それだけでも大変そうだけど」

 しばらく考えた彼女が思いついたのは、ゴロゴロと転がす方法だった。引きずる事が出来ないが、丸い体なのでひっくり返す事か、転がす事は出来るかもしれない。そう思った留美は、仰向けの体を必死になって裏返そうとした。手でダメなら足を使えということで、壁を背凭れにして両足で強引に押す。すると、仰向けの体を裏返す事が出来た。

「はぁ、はぁ、はぁ。やっと裏返った。もう一回転がして……」

 タックルをするように肩から支えつつ、フローリングの床に足を突っ張って格闘する事、五分。額に汗を滲ませた留美の眼下には、仰向けに寝転がる男性の姿があった。

「はあっ、はあっ、はあっ。俺の体ってこんなに重いんだ。これじゃ、何かあっても運び出してもらえないかもしれないぞ。ダイエットしなくちゃ……」

 そう思いながら少し休憩した留美は、男性の横にしゃがむと、その巨漢をマジマジと見つめた。

「やっぱり何だな。この体とセックスするのはちょっと萎える感じがする。でも、他の男と犯る方が気持ち悪いしなぁ。……あ、そうだ」

 彼女は小さな冷蔵庫の扉を開いた。

「……無いか。有るはず無いよな、買ってないんだから」

 キュウリか茄子があれば――と思った留美だが、元々買った覚えが無いものが入っているはずが無い。買いに行くのも面倒だと感じた彼女は、また巨漢の横にしゃがむと、トランクスの上から肉棒を撫でてみた。

「うわ……。これがチンポを触った感触か。自分で触るのとは全然感じが違うよ」

 汚い物を触るような手つきでしばらく摩っていると、魂の無い男性の肉棒に血液が充満し始めた。

「おっ、この状態でもチンポって勃つんだ。へぇ〜」

 トランクスの生地が盛り上がり、肉棒の形がはっきりと分かる。留美はトランクスの前に付いているボタンを外し、勃起した肉棒を引っ張り出した。

「おおっ。そそり勃ってる! 美人に触られた事が分かったのかな。それにしても腹の肉が邪魔だ」

 下腹部が大きく膨れた男性の体は、セックスには不向きなようだ。しかも、本人は動かないので留美が騎乗位の体勢でセックスしなければならない。

「まあ、出来ない事も無いけど。こうなる事が分かっていたら、最初からダイエットをしてたのに。でもいいや。とりあえずこうして……」

 留美は、火照った下半身に手を忍ばせ、膣から愛液を手に取ると勃起した肉棒に塗り始めた。

「うわぁ。俺のチンポが美人の手で愛液を塗られてるよ。風俗店みたいだ」

 塗れば塗るほど、肉棒が大きく固くなる気がした。潤滑剤としての愛液をしっかりと根元まで塗り込んだ彼女は、ドキドキしながら巨漢を跨ぎ、ゆっくりと腰を下ろし始めた。

「女としてのセックス。どんなだろ? ちょっと怖いけど……んっ」

 肉茎を持ち、亀頭を膣口に合わせると、そのまま体を沈めてゆく。

「んううう〜。は、はぁ、あっ……はぁ〜」

 亀頭が減り込み、肉茎が飲み込まれてゆく。その、体内へ侵入を始めた肉棒の感覚に、留美は目を瞑りながら深く呼吸をした。

「んふぅ〜。はぁ、はぁ……あっん。はぁ〜。すげぇ、全部入った」

 巨漢の上に女座りした留美は、大きな腹の上に両手を添え、満たされた膣から発する快感を全身で感じていた。

「これがマンコにチンポを入れた感じなんだ。男じゃ絶対に想像できない感覚だな。でもマジで勿体無いよ。折角、赤岸留美さんが自ら騎乗位でセックスをしてくれるってのに、大人しく寝ているだけなんて。ほら、起きろよっ」

 そう言って腰を浮かせ、男性の頬を叩こうとした留美は「ああっ」と喘ぎ声を上げた。肉棒が膣の中で擦れ、思わぬ快感が押し寄せてきたのだ。

「ううっ。はぁ、はぁ。膣の中が擦れたらすげぇ気持ちいいっ。これ、病み付きになりそうだ」

 もう一度ゆっくりと腰を上げ、そのまま下ろすとグチュッといういやらしい音と共に、下腹部に快感が走った。

「はぁ、はぁ。うっ、はぁ。気持ちいいっ。すげぇ気持ちいいっ」

 留美の口から「すげぇ」という言葉が連発する。そして彼女の細い腰が一定のリズムで上下に動き始めると、喘ぎ声も同じリズムで漏れ始めた。手を付いていた男性の腹に肘を付き、蛙の様に大きく足を開きながら喘ぎ続ける。どうしても後ろへ滑り落ちそうになる体を踏ん張り、快楽をひと時も逃さないように肉棒を減り込ませた。

「ああっ、あっ、はぁ、あっ、あっ、んっ、んんん」

 男性が着ているTシャツを握り締め、膣から聞えるグチュグチュという水音に興奮する。全く目を覚まさない男性の肉棒は、留美の膣内で常に固く勃起し続けていた。

「はぁ、あ、膣が貫かれてっ……。あっ、はぁ、あっ、あっ。たまんねぇっ」

 胸が上下に、そして円を描くように揺れ、激しく息が乱れる。開きっぱなしの口から垂れた涎が顎を伝って男性のTシャツにシミを作っていた。無我夢中で腰を振る留美は、しばらくするとオナニーをした時と同じような絶頂が迫っている事を感じ、更に激しく動いた。クリトリスと膣では少し感じ方が違う――そんな風に思う余裕は殆ど無かったが、彼女はクリトリスではなく、膣によるオーガズムを迎えたのだ。

「うあっ! あっ、イクッ! また留美さんの体でっ……あっ、あああっ〜! あっ……あっ……あぁ……ああぁ」

 顎を上げたまま背筋を伸ばし、体をビクビクと痙攣させ彼女は、声を震わせながら男性の胸に上半身を預けた。

「うっ……」

 Tシャツの胸元から汗臭い匂いが漂い、思わず顔を背けて横に寝転がる。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。はぁ〜」

 大の字に寝転んだ彼女の膣がヒクヒクと動き、愛液が溢れ出ていた。

「はぁ、ふぅ、ふぅ。し、幸せだぁ〜。俺って男なのに女の快感を知る事が出来たんだ。しかも、赤岸留美さんの体で。旦那だってこんな風にした事ないのにっ」

 そういいながら自らの体を愛しそうに抱きしめる。フローリングが若干冷たく感じたが、火照った体には丁度気持ちよかった。

「女ってこんなに感じる事が出来るんだ。男に生まれて損した気分だな。これじゃ、毎日オナニーやセックスがしたくなるよ。女って、よく我慢できるよな」

 しばらくセックスの余韻を楽しんだ彼女は起き上がると、男性の肉棒がまだ勃起している事に気が付いた。どうやら留美の膣ではイケなかったようだ。

「こうしてみると俺のチンポも可哀想だよな。折角だから、この手を使ってイカせてやるか。その方が、自分の体に戻った時にスッキリしているだろうし」

 トランクスには、彼女の愛液や涎がいやらしく染み込んでいる。そのトランクスから生えている肉棒を掴んだ留美は、ニヤニヤしながらしごき始めた。

「どうだ? 気持ちいいだろ。その感触をよく覚えていろよ。俺が体に戻った時に、思い出しながらオナニー出来るようにさ!」

 いつも男性がしているようにしごいてやると、二分ほどして激しく射精した。

「わっ! 昨日もオナニーしたってのにすげぇ量だ。これってやっぱり女の手でしごいたからかなぁ」

 尋常ではない精液が噴出し、トランクスやTシャツ、そして彼女の手に付着した。精液独特のいやらしい匂いが立ちこめ、鼻に衝く。

「この精液をマンコの中に押し込んだら、俺と留美さんの子供が生まれるかもしれないな。ま、そうなったら面倒だからしないけど。よく考えたら危なかったよな。セックス中に射精していたかもしれないんだ」

 ペロリと舌を出した留美は、ティッシュで精液を拭き取るとまた一人でオナニーを始めた。男とは違い、何度イっても果てない体は精神を蕩けさせる麻薬の様に思えた。

「はぁ、はぁ、はぁ。ああ……た、堪能したっ! こんなにイってもまだイケそうだ。でもそろそろ時間が来たか……。まあ、今日はこのくらいにして、体を返すか」

 明るく照らしていた太陽が紅く色付き始めた頃、留美は下着を身につけ、服を元通りに着直した。立ち上がると腰に力が入らず、フラフラと壁に手を付いてしまう。

「流石に七回もイッたら体がガクガクするな。留美さん、気がついたらどう思うだろ。きっとビックリするだろうな」

 そんな事を呟きながらワンルームマンションを出た彼女は、自分の家に戻るとソファーの上で意識を失った――。




「う〜ん!」

 ワンルームマンションでは、巨漢が目を覚ましたようだ。ゆっくりと体を起こし、肉棒が顔を覗かせる、汚れたトランクスを見てニヤニヤと笑った。

「このトランクスの汚れが留美さんと俺が一緒だった証拠だよな。このまま洗わずに取っておこう」

 像のようなお尻を覆っていたトランクスを脱ぎ、別のトランクスに穿き替えた彼は、まだ少し残っている彼女の残り香を嗅ぎながら幸せそうな表情をした。

「あのドリンク、もう売り切れたかな。まだ売っていたら持っているお金を全部叩いて買い占めてやろう。いや、その前にダイエットかな」

 彼はそんな事を呟きながらノートパソコンの電源を入れ、怪しいサイトへアクセスするのであった――。


おしまい