この作品は「新入れかえ魂Vo.1」に掲載されたものです。
全編終了までに、「超能力」「MC(マインドコントロール)」「事実誤認」「憑依」が含まれます。
また、一部ダークな内容が含まれますので、読みたいと思われる方のみお読みください。
 今日は朝からCTスキャンなど、脳に対しての検査があった。その結果、特に異常はないという医師の判断。また、足の検査のあり、順調に回復している事が分かった。

「明後日には退院出来るんだって」
「そっか」
「良かったわね。でもしばらくは通学が大変よ。朝、父さんに車で送ってもらうように言ってあげるわ」
「いいよ母さん。そんな事しなくても大丈夫だから」
「でも、松葉杖で歩いたり電車に乗ったりするの、大変じゃない」
「大丈夫だって。それくらい何とでもなるから」
「そう?それじゃあ明後日のお昼頃に迎えに来るから」
「ああ」

 母親は検査の結果を聞いて安心したのか、嬉しそうに帰って行った。

「明後日か。俺の入院生活も後二日かぁ」

 思えばこの二週間、すごい体験をしてきたものだ。
 非現実的な事が次々に起こり、それらは利和を夢中にさせた。
 超能力、催眠、そして憑依現象。
 本当に神になったような気さえする。しかし、この能力は何時まで続くのだろうか?
 退院したら無くなるとか?
 それならずっと入院していた方がいい。この能力を手放すなんて考えられない。
 そんな事を思いながら、ふと南 夏香はどうしているのだろうかと考えた。
 一度だけ見舞いに来てくれた彼女。
 しかも、利和のクラスの授業内容を書いたノートまで持ってきてくれた。あれから一度も現れないが、そろそろまたノートを持ってきてくれるだろうか?

 だったら、その時に能力を使って彼女を――
 まあ、来なくても退院したら幾らでも楽しめる。焦る必要は無いのだ。
 あの南夏香の体を自由に出来ると考えただけで、利和の肉棒はムクムクと大きくなっていった。
 そこには、すでに恋愛感情から捻れた性の欲望のみが存在していた。

「あと二日、とりあえず楽しんでおくか!」

 今日も女性の体を乗っ取り、女の性を堪能しようと考えた利和は、またしても仕事中の果乃を使って一階のロビーまで降りた。
 昨日のように頭痛がするかと思ったが、それほど痛くないようだ。これも、日々能力が向上しているせいかもしれない。

「とりあえず別の女性の体を乗っ取ろう」

 果乃の声でそう呟いた利和の視線に映ったのは、大きなお腹を抱えて帰ろうとしている妊婦の姿。
 そう、利和の家の隣に引越してきていた西原佐智恵だった。

「あ、西原さん」

 その後姿に声を掛けた利和。

「え? はい」

 振り向いた佐智恵はきょとんとした目で利和――果乃を見つめ返した。

「あ……」

 佐智恵の目には、看護師の果乃の姿しか映っていない。

「何か?」
「えっ……あ、そ、そうね。お腹の赤ちゃんは順調なの?」
「は、はい……」
「そ、そう。それなら別にいいの」
「はぁ。それじゃ私、帰りますので」
「え、ええ」

 面識がなかった果乃が話しかけてきたことを不思議に思ったのだろう。
 佐智恵は首をかしげながらゆっくりとした足取りで帰ろうとしていた。

「しまったな。この姿じゃ俺だって分からないか。それにしても西原さんのお腹、大きくなったよな」
 赤ちゃんの入ったお腹を下から支えるようにして歩いている佐智恵を見送る利和だったが――

「妊婦ってどんな感じだろう? やっぱりお腹が重くて大変なんだろうな」
心配そうな言葉を口にしているが、その口元はニヤけていた――



「ふぅ〜」

 お腹に負担が掛からないように、ゆっくりとロビーの椅子に座った佐智恵。優しくお腹を擦り、直に元気な産声をあげるであろう赤ちゃんに問いかけた。

「お前は佐智恵さんに似るのかな。それとも、あの旦那に似るのか?」

 マタニティワンピースの上からでも暖かさを感じることが出来る。

「そういえば……お腹の中に赤ちゃんがいる時にセックスしたらどうなるんだろう?」

 ふとそんな事を思った利和。この張り出したお腹をゆすりながらのセックス。お腹のせいで見えなくなった股間に肉棒を咥え、ゆっさゆっさと動くシーンを想像する。
そこに妙な興奮を覚えてしまった利和は、椅子からゆっくりと立ち上がるとお腹をさすりながら歩き始めた。

「西原さんには悪いけど、一度こういう体験をしておくのもいいかもしれないな。妊娠中の女性がセックスするってどんな感じなのかを」

 お腹が重いので、少し後ろに体重を掛けるように歩く。それも新鮮な体験だ。

「さて、どうしようかな。良く考えれば男とやるのは初めてなんだよな。そういう意味では最初は……」

 利和の目の前を歩いてゆく青いパジャマ姿。それは小学校高学年、或いは中学一年生くらいの男の子だった。

「いきなり大人の男ってもの怖い気がするし……」

 じっと男の子の後姿を見つめると、男の子は歩くのを止めた。そして妊婦の佐知恵――利和の下へと歩いてきた。もちろん、利和が能力を使ったのだ。

「良い子ね。名前は?」
「只野司郎です」
「歳は?」
「十三歳」
「ふ〜ん、じゃあ中学一年生か」
「はい」
「何処の病室?」
「四階の四〇三です」
「四〇三って、もしかして一人部屋か?」
「はい」
「金持ちなんだな」
「親が志賀陀不動産の社長なんです」
「へぇ〜、だからか。で、どうして入院してるんだ? 病気なのか?」
「交通事故にあって……別に何ともないけれど、親が無理矢理入院させたんです」
「……ということは、至って健康ってことだよな」
「……はい」
「病室には誰か見舞いに来ているのか?」
「いえ。みんな忙しいので夕方を過ぎなければ来ないです」
「よし、それじゃあ病室に案内しろ」
「はい」

 こうして、すでに利和の支配下にある只野司郎は、表に感情を出す事もなく病室へといざなった――



「広い部屋だな」
「…………」
「お前、セックスした事あるのか?」
「セックス……したことありません」
「そうか。じゃあ……お姉さんがセックスしてあげるわ。全裸になって」
「……はい」

 司郎は言われたとおりパジャマを脱いでゆく。それにあわせて、利和もマタニティーのワンピースを脱ぎ始めた。

「妊娠した西原さんの体ってどんなだろう」

 ちょっとドキドキしながらワンピースを脱ぎ終えた。白いネグリジェの下に見えるピンクのブラジャー、そして、張り出したお腹を下から支えるベージュ色したガードル。
 お腹の大きさもさることながら、授乳を前にした胸はとても張りがあり、異様に大きく見えた。

「すげぇ……これが妊娠しているときの体なんだ」

 利和は、ネグリジェはそのままに、わざとブラジャーとガードル、その下に穿いていたピンクのパンティを脱いだ。

「お腹の皮膚がひび割れてる……」

 俗にいう妊娠線というものだ。
 初めて見た利和にとっては、この分厚い血管が走っているような妊娠線はあまり気持ちの良いものではない様子。どちらかというと、見たくなかったかもしれない。

「こ、こんなになるんだ。ちょっと気持ち悪いな」

 言っている間に、司郎が裸になって立っていた。

「んふ!司郎クン。まずはココを舐めて気持ちよくしてね」

 佐知恵の声を使って司郎を誘導する。
 司郎はベッドに座った利和の――佐知恵の割れ目に口をつけると、犬のようにぺろぺろと舐め始めた。

「んああっ。そ、そう。もっとそこを舐めて」

 利和の指示に従い、更に舐めつづける司郎。妊娠してからほとんどセックスしていなかった佐知恵の体は、あっという間に火がついた。
 早速膣内から溢れ出した愛液が太ももを伝ってベッドの生地に滲んでゆく。

「はぁ、はぁ、はぁ……西原さんの体、こんなに濡れやすいんだ。これならすぐにセックスできるぞ」

 クリトリスを舐める司郎を斜めに見ると、まだ筆下ろしを済ませていないであろう肉棒がそそり立っているのが見えた。亀頭が皮で半分くらい包まれている。

「も、もういいわ。それじゃあベッドに横になって」
「はい」

 司郎は勃起した肉棒を天井に向ける形でベッドに寝転がった。

「まだ皮が剥けていないのね。お姉さんのココに入れて皮を剥いてあげるわ」

 いやらしい笑みを浮かべながら、司郎を跨いだ利和。ゆっくりと腰を下ろすが、お腹が大きいので上手く肉棒を導けない。
 それでも、しっとりと濡れた割れ目に亀頭を添え、そのままそっと腰を下ろしてゆく。

「い、痛いっ」
「大丈夫、すぐに気持ちよくなるから」
「だ、だって……ううっ!」
「んううっ……す、すげぇ……ほ、ほら……入った」
「ああ……」

 佐知恵の膣内で肉棒を包み込んだ利和。入れるときに皮が剥けて初めて亀頭が表に出たのだが、そこはいきなり膣の中。ラッキーなのかどうかは分からないが、非常に敏感な亀頭は生暖かい膣肉に包まれ、ヒクヒクとしていた。

「どう?気持ちいい?」
「す、すごく敏感で……」
「痛い?」
「す、少し……」
「すぐに気持ちよくなるから。オナニーくらいしてるんでしょ」
「はい」
「じゃあお姉さんが動いてあげる」
「……いっ!あっ、ああっ。ああっ」
「んっ、はぁ、あっ、あっ、あっ」

 利和が妊娠中の佐知恵の体をゆっくりと上下に動かし始めた。ヌチュ、ヌチュという音が、大きなお腹で見えない割れ目から聞こえてくる。

「すげぇ……セックスってこんな感じなんだ……」

 初めてのセックスに興奮した利和は、そのまま何度も何度も腰を上下に動かした。
 さすがにお腹が苦しいので激しくは動けないが、重力に従って落ちる重い体は、まだ小さめの肉棒を膣の奥へ奥へとめり込ませようとする。

「んはぁ。はぁ、はぁ……ほらほら、すごく気持ちいいでしょ」
「あうっ、あっ、あうっ」

 司郎は言葉にならないうめき声を上げながら体を震わせていた。剥けたての亀頭から発する敏感すぎる快感に、ベッドから崩れ落ちてしまいそうだ。
 そんな司郎の左足を肩に担いだ利和。乳輪が広がり、黒ずみ始めた胸に脹脛を押し当て、その足を抱きかかえるようにしながら更に腰を動かす。
 顔を赤らめ、恥ずかしそうな表情。そして必死に首を振って快感に耐える司郎は、 何の抵抗も出来ず、されるがままになっていた。

「はぁ、あっ、あっ……いいっ。セ、セックス最高っ!」
「はぁ、はぁ……あっ。くっ……うはぁっ」

 司郎の下腹部に佐智恵の膣から吹き出た愛液がほとばしる。
 ブジュブジュといういやらしい音を立てながら快感を貪る利和は、膣肉ではじけそうな肉棒を締め付けながら絶頂へと駆け上っていった。
 その激しい刺激を与え続けられた司郎も、もはや限界と言った感じ。痛みは麻痺し、鋭い快感が何とも言えない極上へと変化してゆく。
 そして、若い精巣で作り出された精子たちが尿道を通り、一斉に膣内へと噴出していった。

「で、でるっ!う、うあっ……あああっ!」
「ああっ!もっと!もっと膣の中に出してぇ〜。んああっ!」

 射精を合図に、佐智恵の体は絶頂を迎えた。
 ほぼ同時にイク事が出来た二人。ハァハァと息を切らした利和は、司郎と同じくベッドの上に崩れ落ちた――



 それから十分ほど経っただろうか?
 落ち着いたところで元通り服を着た利和は、何事も無かったかのように司郎への暗示を解き、病室を出ようとした。
 しかし――


「えっ……い、いた……い」

 利和は、下腹部に異様な痛みを感じた。
 それは今まで感じたことの無い痛さだった。
 もしかして――陣痛がはじまった?
 男では体験した事の無い痛さだ。

「や、やべぇ……早く西原さんの体から抜け出ないと……」

 そう思っても、あまりの痛さに精神を正常に保つ事が出来ない。
「どうしたの?」

 廊下を歩いていた看護師が苦痛に顔をゆがめる利和を見て話しかけてきた。

「お、お腹が……い、痛い……」
「陣痛が始まったの?」
「はぁ、はぁ、はぁ……」

 苦しそうに頷いた利和は立っている事も出来なくなり、その場に膝を付いてしまった。

「陣痛なのね。ちょっと待ってて」

 看護師が別の看護師を呼んできて、利和を両側から支える。

「しっかりして。分娩室に行くわよ」
「はあ、はぁ。ぶ、分娩室って……」
「赤ちゃんが生まれるんじゃないの」
「え……そ、そんな……イタタタ」

 まさか、俺が生むのか!?
 頭の中が真っ白になる。
 看護師に分娩室まで連れて行かれた利和は、そのまま助産婦の指示で分娩台に座らされた。下半身に身につけたものを全て脱がされ、両足を大きく開かされる。
 助産婦の一人がその足の間に入り、子宮口の様子を調べるため膣内に専用の器具を挿入した。
 金属の冷たい感触を下腹部に感じる。

「うっ……はぁ、はぁ」
「もう随分子宮口が開いているわ。赤ちゃんを生めるわね……」

 そう言って専用器具を引き出したのだが、その器具には粘度のある怪しい白い液体が付着していた。

「…………」

 助産婦はそれが何か分かったようだ。しかし、チラッと利和の顔を見ただけで何も言わなかった。
 陣痛はもう三分おき。いや、それ以上の早い感覚で襲い掛かっている。
 その痛みが和らぐ一瞬に抜け出そうと思うのだが、気持ちが同様しているし周りにいる数人の助産婦、看護師が気になって抜け出せない。

「ほら、いきんで」
「はぁ、はぁ……い、いきむって……何?」
「ええっ?いきみ方も分からないの?習ったでしょ」
「イテテ……はぁ、はぁ……うっ」
「呼吸を整えてっ。ちゃんと呼吸しないと赤ちゃんも苦しいんだよ。ヒーヒーフー」
「ヒ、ヒー、ヒー、フー」
「ヒーヒーフー」
「ヒー、ヒー……うっ。ふ〜」
「そう。そしていきんでっ!」
「キ、キバればいいのか??ふぅ〜っ!」
「そう、頭が出てきたわよ。呼吸を整えてっ!」
「ヒ、ひぃ〜、ひぃ〜、ひぃ〜、ふ、ふぅ〜」
「そう、じゃあいきんでっ」
「ふぎぃっ!」

 下腹部を襲う例えようの無い痛み。そして、何かが出てくる異様な感覚。
 もう何が何だか分からない状態に卒倒しそうな利和は、助産婦達の言葉を耳にしながら佐智恵の代わりに、身ごもった赤ちゃんを産み落としたのだった――

 オギャー、オギャー

 遠くで元気な赤ちゃんの声がする。

「ほら、元気な女の子よ」
「…………」

 気が緩んだのか、意識が薄れていた利和がゆっくりと目を開けた。助産婦が綺麗に拭いてくれた皺くちゃの赤ちゃんが元気に泣いている。

「……お、俺が……生んだのか……」
「どう?自分の赤ちゃんは」

 利和はまだ意識が朦朧とした状態で赤ちゃんを見つめた。
 そしてゆっくりと目を閉じると、ほっとした表情を浮かべ、そのまま深い眠りについた――



「ん……」
「と、利和っ。もうっ!心配ばかり掛けないでよっ」
「……あれ……母さん?」
「母さんじゃないわよ。また意識がなくなったって聞いて慌てて飛んできたんだから」
「……あ……俺」

 利和は自分の姿に戻っている事を確認した。
 周りを見てみると、今朝まで寝ていたいつもの四人部屋。どうやら知らないうちに佐智恵の体から抜け出たようだ。
 少しホッとしながら母親の小言を聞く。

「念のためにもう一度精密検査をしましたが、異常はありませんでした。しかし、なぜ意識が無くなったのかは分かりません」
「俺、大丈夫だから。昨日の夜、ちょっと夜更かししただけだし」
「本当にそうなの?」
「本当だって。先生も異常はないって言ってるじゃないか」
「でも……」
「お母さん、それでしたら念のためにもうしばらく彼に入院してもらいましょうか」
「……そうですね」
「いいって! 俺は明日退院するんだ。先生、大丈夫でしょ。俺は全然元気だから」
「……まあ、これといっておかしなところは見受けられなかったから大丈夫だとは思うが……」
「じゃあ決まりっ!俺、疲れてるからもう寝るよ。今何時?」

 利和は暗くなった窓の外を見ながら話しかけた。

「九時前だけど……本当に大丈夫なの? 利和」
「何度も言わせるなよ。じゃあお休み!」
「…………」

 布団に潜ってだんまりを決めた利和に呆れた母親は、少し担当医と話をしたあと帰ってしまった。