この作品は「新入れかえ魂Vo.1」に掲載されたものです。
全編終了までに、「超能力」「MC(マインドコントロール)」「事実誤認」「憑依」が含まれます。
また、一部ダークな内容が含まれますので、読みたいと思われる方のみお読みください。
「もしこれが出来ればすごい事になるぞ」

 そう呟いた利和の上では、ナース姿の果乃が腰を振っていた。たまにギシギシと軋むベッドの音。カーテンで囲われたこのスペースでは、今日もいやらしい検温が続いていた。
 このままセックスをしている最中に果乃の体を乗っ取る事も可能だ。だが利和はそれをしなかった。

「んっ、ふぅ〜。今日も平温ね」

 そう言って利和の上から降りた果乃は、記録用紙に体温を書き込むと、カーテンを開いて病室を出ようとした。
 その果乃の後姿をじっと見つめる利和――
 瞬間、果乃の動きが止まり、記録用紙を足元に落としてしまった。しかし、すぐにそれを拾い上げると病室を出て廊下を歩き出した。

「池澤さん、アソコがまだ疼いてる」

 歩きながらボソッと呟いた果乃。もちろん果乃自身ではなく、果乃の体を乗っ取った利和が呟いたのだ。
 ギブスの呪縛から解き放たれ、自由に動く足。しかもそれは、ナース服と白いパンストに包まれている。白くて底の浅いナースシューズも似合っていた。
 とりあえず、このまま仕事のある果乃の体に居座るわけには行かない。だからと言って、自分の体に戻るわけではない。利和が試そうと思っていること。
 それは、他人の体に乗り移った状態で、別の体に乗り移れるかという事。すなわち、他人の体を次々に渡り歩くことが出来るかを試したかったのだ。
 ただし、自分の体(脳)が事故のきっかけで能力を得たと考えると、果乃の体になっている状態では上手くいかない可能性が高い。
 それでも試してみる価値はある。
 そう考えた利和は、一階のロビーに来て診察を待っている人達を見渡した。
 包帯を巻いている人は体に不自由があることは分かるが、その他の人はどういう理由で来ているのかよく分からない。
 それに――何故か、妙に頭が痛くなり始めていた。
 これは、一階に降りてくるときから徐々に感じていた事。もしかしたら、自分の体から離れてゆくと精神的なダメージが大きくなるのかもしれない。
 それに、いつまでも果乃の体を使っている時間はない。利和は一旦自分の病室に戻るため、階段を上がった。
 思ったとおり、徐々に頭痛が和らいでゆく。

「やっぱり自分の体から距離が離れるとダメみたいだな。一階のロビーはちょっと厳しそうだから俺の体の周りにいる人で試さないと」

 すれ違う患者が利和に挨拶をしてゆく。利和も果乃の真似をして「おはようございます」と笑顔で返した。
 そんな中、ふと別の病室に目を向けると二人の女子高生がいることに気が付いた。
 どうやら朝早くから見舞いに来ているらしい。
 とはいえ、学校は始まっている時間なので少し遅れて登校するのかもしれない。二人とも学校の青いカバンを足元に置いている。

「……よし、ここなら全然頭も痛くないし……試してみるか」

 どちらも女子高生も平均的な背の高さ。
 一人は濃いブラウンでセミロング。もう一人は黒いショートカットの女の子だった。白い長袖のブラウスに青いプリーツスカートは、利和の通っている学校の制服ではなかった。

「どこの学校かは知らないけど、とりあえず……」

 利和は、果乃の目を通して黒いショートカットの女の子を見つめた。すると、瞬間的に視界が変化し、目の前にはベッドに寝ている高校生くらいの女の子が見えた。きっとこのベッドで寝ている女の子は、見舞いに来た女子高生の良き友達なのだろう。

「でね、貴子」
「…………」
「貴子?」
「……えっ?」
「えっ?じゃないよ。どうしたの? 急に黙り込んで」
「あっ……う、ううん。なんでもない。ちょ、ちょっとトイレ」
「なんだ、我慢してたの? じゃあ私も一緒に行くよ」
「……うん」

 この女の子は貴子という名前らしい。利和は貴子の体を使い、女子トイレへと歩いた。もう一人の女の子も付いて来る。
 先ほどまで体を乗っ取っていた果乃は、廊下でキョロキョロしている。きっとどうしてこんなところにいるのか戸惑っているのだ。
 そんな果乃の横を通り過ぎた利和は、この状況を利用してまた良からぬ事を実行しようとしていた。

「ねえ……」
「何?」

 利和は立ち止まり、一緒に歩いていた女子高生を見つめた。

「…………」
「名前は?」
「千代田 忍です……」
「何処の学校?」
「河西谷第二高校です……」
「私の名前は?」
「端川 貴子です……」
「端川貴子か。何歳?」
「十八歳です……」
「私と忍は同級生?」
「はい……」
「ふ〜ん。じゃあトイレに行こうか」
「はい……」

 何を聞かれても素直に応える。
 利和に……いや、端川貴子に言われた事は何でも素直に答える。そして、言われた事は何でも行う。
 それが忍の意識に埋め込んだ内容だった。忍は本当に催眠術に掛かったような虚ろな目をしていた。
 そんな彼女を引き連れて小奇麗な女子トイレにたどり着くと、身体障害者が使用する広いスペースの個室に誘い込んだ。内側から鍵を閉めてニヤリと笑う。

「ねえ忍」
「はい」
「今からレズろうね」
「はい」
「じゃあまずはその便座に座ってオナニーして」
「はい」

 忍は無表情に答えると、便座に座って徐に胸を揉み始めた。柔らかそうな胸を両手で揉み、ちょっと切ない表情をしている。

「いつもそうやって胸を揉んでオナニーするの?」
「はい……胸を揉んで気持ちよくなった後にアソコを触ります」
「アソコってどこ?」
「アソコ……です」
「アソコじゃ分からないな。ちゃんと何処を触るか答えろよ」
「……クリトリスです」
「どうやって触るの?」
「指で……皮を捲って……」
「へぇ〜。気持ちいいんだ」
「はい……んふっ」
「もう乳首勃った?」
「はい……」
「じゃあ見せて」
「……はい」

 微かな抵抗があるのか、忍は少し恥ずかしそうな表情をしながらブラウスのボタン、そしてフロントブラのホックを外した。ブラジャーのカップを左右に開き、まだ綺麗なピンク色をしている乳首をさらけ出す。

「へぇ〜。もしかして忍ってセックスしたことないの?」
「……はい」
「十八歳にもなってセックスしたことないのか。そういえば……私はあるのかな〜」

 一番手っ取り早いのは膣の中に指を入れることだ。
 処女膜が無ければ既に経験済み。でも、激しい運動をすることで膜が破けることもあるらしいので一概には言えない。とはいえ、指で破って痛い思いをするのも嫌だ。
 そう思っていると、忍がスカートを捲って白いパンティの中に右手を入れ始めた。

「んっ……はぁ。あっ……んっ」

 切ない表情に可愛らしい声。しばらく彼女のオナニーを見ていると、下半身が熱くなるのを感じた。
 貴子の体が疼き始めているのだ。肉棒が勃起するのとはまた違った感じを不思議に思いながらも、忍と同じように白いブラウスのボタンを外し、ブラジャーを上に競り上げて貴子の胸を露にした。触ってもいないのに乳首が勃起している。
 その乳首も、鮮やかなピンク色をしていた。

「ふ〜ん、もしかして私も処女かもしれないな。折角だから……お互いの体を触りあおうか」
「はい」

 貴子の声を使って促すと、忍は透明な愛液で濡れた手をパンティから引き抜き、便座から立ち上がって利和の前に立った。
 そこから何もいわなくても、お互いの手が胸を、そしてしっとりと濡れた割れ目を弄り始める。

「うっ……あぁ」
「んっ、あっ……あっ」

 利和が忍のパンティに右手を忍ばせると、彼女も利和の――貴子のパンティに手を忍ばせた。
 忍の温かい割れ目の中、クリトリスを弄ると体が震え上がるのが分かる。
 はぁはぁと呼吸が上がり鼓動が早くなった頃、利和が忍の唇を奪った。忍もそれを拒まず、そっと唇を開いて舌の侵入を許した。
 互いの舌を絡めあい、互いの唾液を吸いあう二人。
 それは、女子高生が病院のトイレで行う行為ではない。だからこそ興奮する利和であった。

「んっ。んんっ、んふぅ」
「ん〜……んっ……はぁん」

 少し大人びた色気のある声が、トイレの壁に反響している。

「ん……はあ。声はまずいから出すなよ」
「は、はい」
「じゃあ足を開いて」
「こ、こうですか?」
「そのままじっとして声を出すなよ」
「はい……んっ!くぅ〜」

 忍の前で膝を突いた利和は、スカートの中に潜り込むと、パンティを引き下ろしてクリトリスを直接舌で舐め始めた。
 ブルッと震えた忍の体。
 少しのアンモニア臭と女性特有の匂いが鼻をつく。
 それでも利和は忍の秘部を攻め続けた。声を出すなといわれた忍は、両手で口を押さえて喘ぎ声が漏れないように必死だ。それでも、彼女の手の中からは小さく篭った喘ぎ声が聞こえていた。
 膝をガクガクと震わせながら、その快感に耐えている忍を更に弄ぶ利和。そんな利和の行為にもう限界なのか、忍は力の入らなくなったと膝をゆっくりと崩し始めた。

「ちゃんと立ってないとダメだろ」
「はぁっ、んくっ……は、はい……」
「私にクリトリスを舐められるの、気持ちいいでしょ」
「はぁ、はぁ……はい」
「じゃあ今度は私がしてもらおうかな。同じように舐めて」

 スカートから頭を出した利和が立ち上がると、今度は忍がスカートの中に潜り込んだ。
 同じようにパンティをずらし、生暖かい舌の先で貴子のクリトリスを刺激する。

「ううあっ……す、すご……はぁ、はぁ……あっ」

 その猛烈な快感に、たまらず利和はスカートの生地ごと忍の頭を掴んだ。でも忍は利和に言われたとおり、ずっとクリトリスを舐めていた。
 前かがみになった利和は、忍がクリトリスを下から舐めあげる度、かかとをヒクヒクと上げた。貴子の体が自然にそうしてしまうのだ。

「あっ……ううっ。そうやって舐められると……た、たまらなく気持ちいいっ」

 指で触るのと舌で舐められるのでは相当違うらしい。女子高生同士――どこかの個室で忍とレズセックスしたい。
 でも、こうやって忍の舌で弄られているだけでイッてしまいそうだった。
 このまま貴子の体で絶頂を迎えるのもいいか。これから幾らでも楽しめるのだから。

「はぁ、はぁ。あっ……そのまま舌でイカせて」
「はい……うっ、うくっ」

 スカートの中から忍の篭った声が聞こえると、クリトリスへの刺激が更に強まった。
 いつの間にか唇の間から涎が垂れている。忍が両腕で抱きかかえるようにしているお尻にギュッと力を入れ、その快感を全身で受け止めた利和。
 まるで快感の波が襲い掛かってくるような――その波は徐々に巨大になり、精神の壁を乗り越えてきた。

「あっ! うっ……あああっ!」

 トイレの中に響く女子高生、貴子の喘ぎ声。
 全身に力が入り、つま先立ちが止まらない。
 震える両手でスカートの生地ごと忍の頭を強くつかみ、絶頂という巨大な津波が収まるまで耐える。

「ああ……あっ……は、はぁっ、はぁっ。イ、イッた……も、もういいっ。舐めるのストップ」

 貴子の上ずった声で忍の行為を制止させ、そのまま床に膝をついた利和は、肩で息をしながら体を落ち着かせた。
 異様に気持ちよかったこの体。貴子という女子高生が、普段はオナニーなどの性的行為をほとんどせず、弄られていないクリトリスが敏感だったからか?いや、【トイレで女子高生レズ】というシチュエーションが更に快感を増幅させたのかもしれない。そう思いながら、もう一勝負するつもりの利和だったが、疼きが収まるにつれて貴子の頭がズキズキと痛み始めた。
 どうやら精神的にかなりの負荷が掛かってしまったらしい。

「はぁ、はぁ、気持ちよすぎたせいかな。とりあえず今日は自分の体に戻るか」

 利和はしゃがみこんだまま虚ろな目をしている忍を見つめて元の状態に戻すと、貴子の体も開放して自分の体へ戻った。もちろん貴子は何も覚えておらず、忍も今の状況を理解できずにうろたえるばかりであった――



「それにしても、レズるのって最高だよなぁ」

 頭痛薬を飲み、天井を見ながら先ほどの淫らな行為を思い出す。結局、彼女達が処女であったかどうかは分からなったが、あの体で極上の快感を得られたのだ。膣でイカなくてもクリトリスだけで十分。
 そんな事すら思えていた。

「まだ頭が痛いな。とにかく今日は大人しくするか……」

 相当なダメージだったのかもしれない。
 昼になっても頭痛がしていた利和は、明日はどんな悪戯をしようかと思いながら大人しく休養する事にした――