透明人間痴漢1
「うっ……はぁ。い、いや……」

 それは突然訪れた悲劇だった。たまたま電車に乗った厚子が涼しげなワンピース姿で立っていると、背後に人気を感じた。ふと、後ろを振り向いたが人の姿は無い。しかし、何かが背中に密着し、耳元に荒い息遣いを感じたのだ。
 誰かがいる?
 そう思った瞬間、ワンピースの胸元に何かが忍び込んできた。思わず「きゃっ!」と叫ぶと、周りの乗客が不思議そうな目で厚子を見ている。見えない手に胸を触られていると、厚子は直感した。これが幽霊なのか、透明人間なのかは分からない。しかし、俯いてみるとワンピースの胸元が異様なほど蠢いているのだ。

「あっ……くっ」

 明らかに痴漢されている。誰かに助けを呼ばなければ。
 そう思う彼女だが、見えない者を相手に誰が信じてくれるだろうか?
 厚子が声を出さないのをいい事に、両脇から入り込んだ見えない手はふくよかな胸を弄んでいる。

「くんっ……。あっ、はぁ。や、やだっ」

 ワンピースの生地が膨れた。見えない手が乳首を摘んでいるのだ。更には、足元に気配を感じた。裾が捲りあがらないように、何かが入り込んでくる。足を閉じて拒んだが、それは厚子の股間に辿り着き、いやらしく蠢き始めた。

「ふっ……あぁ。ど、どうして……ぁんっ」

透明人間痴漢2

 ――手だ。
 見えない手がワンピースの裾から入り込み、股間を弄り始めたのだ。誰にも見つからないワンピースの中でクチュクチュと膣を掻き回している。

「はぁ、はぁ、はぁ。い、いや……だ、だめっ」

 変に思われるかもしれない。
 厚子はその刺激に喘ぎ声が漏れるのを我慢した。見えない手が三本。そして後ろから聞える激しい息遣い。恐らく、痴漢は二人いるのだろう。
 恐怖で体が動かない。しかし、執拗に弄られる体は少しずつ快感に溺れていった。
 上ずった声が自然に漏れ、その手に身を委ねてしまう。他人の目がある中、堂々と痴漢をされているなんて。こんなに胸が歪に動いているのに、どうして誰も気づかないのだろう。

「はうっ。そ、そんなに中までっ……。あっ、だめよっ」

 膣の奥深くに、二本の指がめり込んだ。しかも、親指らしきものにクリトリスを弄られている。
 厚子の目が虚ろになり、体から力が抜けてゆくと、彼女の右手が体の後ろに回され、何かを掴まされた。生温かい棒のような物。男性の肉棒だ。
 彼女の手が、自分の意志とは無関係に前後に動き始める。今、私の手で肉棒をしごかされているんだ。厚子はそう思った。
 次第に手の動きが早くなり、背後から「うっ」という呻き声が聞えると、手が解放された。
 茶色のワンピースのお尻に、白い粘り気のある液体が付着している。それは厚子の指にも付いていた。見えない相手の正体は男に違いない。
 そう思ったが、厚子自身もオーガズムを迎えようとしていた。
 ワンピースの裾が不自然に揺れ動き、股間の辺りが盛り上がっている。

「はぁ、はぁ、はぁ、あっ、あっ、あっ、いやっ……イ、イクッ!」

 厚子は両手で口を塞ぐと、背中を丸めて体をビクビクと震わせた。
 足元には数滴の液体が垂れている。

「あっ、はぁ、はぁ、あぁ〜」

 目を瞑ってオーガズムを迎えた彼女の体から、見えない手が遠ざかっていった――。