「ぼ、僕の罰って何だよっ」

 一瞬、母の股間に視線を向けた芳郎は勃起した肉棒を隠すように体操座りすると、那津子に対して背を向けた。

「へへ、分からないだろうなぁ。お漏らしチャンには」

 母は足を開いたまま、両手を胸に添えてニヤニヤと笑っている。

「八歳までオネショしてたんだね。それに、小学校でもお漏らししたんだ」
「な、何だよそれ……」
「何だよって、自分がした事を忘れたの? 学校から泣いて帰ってきたじゃないか。あの時の顔……ははは。おばさんの記憶にしっかりと残ってるよ」
「おばさんの記憶? 何言ってんだよ母さん。おかしいんじゃないか?」

 普段の母からは考えられない皮肉めいた話をする那津子に、芳郎は眉間に皺を寄せ言葉を尖らせた。
「おかしく見えるよねぇ。加賀原芳郎君には。それにしてもおばさんの胸、ほんとに柔らかくて気持ちいいや」

 那津子は指で挟むように乳房を揉んだ。マシュマロのような柔らかさだが、質量感がまるで違う。水玉風船に近い重みだがゴムのような手触りではなく、もっと滑らかで触り心地が良い。何時までも触っていたい気分だ。

「か、母さん。さっきから俺の前で何やってんだ。自分の息子の前でそんな事して、恥ずかしくないのか?」
「そろそろ気付いているでしょ。僕が君の母さんじゃない事」
「……ど、どういう事だよ」
「まあ、僕も実際に乗り移ってしばらくは信じられなかったから」
「乗り移って? ゆ……幽霊なのか」

 普段の母とは全く違う雰囲気を目の当たりにし、彼の表情が強張った。生霊が人の体に憑依するという話は聞いた事がある。自分の母親が生霊に乗り移られるなんて信じられないが言動を見ていると、そう考えるのが自然に思えた。その手の話が苦手な芳郎の顔から血の気がなくなるのを見た那津子は、M字に立てていた膝を左右に開いて蟹股に座ると、熟女とはいえまだ肌の張りが残っている柔らかな内腿を撫でながら話を続けた。

「幽霊か。似ているけどそうじゃないよ。だって僕はまだ生きているんだから。単に幽体になって君のおばさんに乗り移っているだけさ。おばさんの体は僕が自由に操る事が出来るし、記憶も覗き見れるんだ。ねえ、僕が誰だか分かる? おばさんの声だけど、僕の喋り方を思い出してよ。苛めの大好きな加賀原クン」
「苛めの大好きな……。ま、まさか……」
「分かった? 僕が誰なのか」
「……お前。もしかして……岡原なのか?」
「さすが。自分が誰を苛めているのか、良く分かっているじゃない」
「う、嘘だろ? どうして岡原が母さんの体に乗り移っているんだっ」
「へへ、ある薬を手に入れたんだ。その薬を飲めば幽体となって自分の体から抜け出せるんだ。幽体になってしまえば、他人の体に乗り移るなんて簡単な事さ。最初は加賀原クンの体に乗り移って、君のフリをして色々と悪事をしてやろうと思ったんだけど、それじゃ加賀原クン自身が覚えていないからつまらないと思って。僕が乗り移って行動している間は、本人の意識は無いからね。だから君のお母さんに乗り移ってやろうと思ったんだ。この体なら君に色々と仕返しが出来るから。僕が作ったレアのトンカツ、美味しかっただろ? それにおばさんの裸も結構魅力的に思えたんじゃない? それだけ勃起していれば否定できないよね」
「な、何考えてんだよ。母さんから出て行け! じゃないと明日、酷い目に遭わせるぞ」

 相手が岡原だと分かった芳郎は強がって見せたが、彼の母親である那津子の体を得た岡原は憎たらしい笑顔を崩す事はなかった。

「いいよ別に。でもさ、僕は薬さえ飲めば何度だっておばさんの体に乗り移る事が出来るんだ。明日、僕を苛めれば、またおばさんの体を操って裸のまま外を走り回ってあげるよ」
「なっ……」
「ねえ、分かってる? 僕はおばさんの体を自由に使う事が出来るんだよ。僕が加賀原クンにされた様に、おばさんの首にカッターナイフを押し付けたり、バッドで体を殴る事だって簡単なんだ。何なら、今からバットを持ってきて、おばさんの体中に青あざをつけてあげようか」

 那津子はニヤリと笑いながら、自らの手で太ももを何度か叩いた。その音からして、かなりきつく叩いたようで太ももが赤く腫れ始めた。

「や、やめろっ。母さんには関係ないだろ!」
「そんな事無いよ。子供が非行に走ったり苛めをするのは親の教育や育て方が悪いんだ。だからおばさんも同罪でしょ。ほら、こんなに赤く腫れてる。おばさんの体、痛がってるんだ」
「バカかお前はっ。くだらない事をやってないで、早く母さんの体から出て行けっ」
「嫌だね。折角おばさんの体と記憶を手に入れたんだから。加賀原クンよりも立場が上になったんだ。僕の言う事を聞かなければ、おばさんがどうなっても知らないよ」
「ひ、卑怯だぞっ」
「よくそんな言葉が言えたもんだね。君が僕に対して、今まで何をやって来たのか分かってるの?」
「早く出て行けって言ってるだろっ」
「いつもそうやって僕を怒鳴るけど、今日は全然怖くないよ。ほら、殴ってもいいよ。加賀原クンの気が済むまでね!」

 岡原は、乗り移った那津子の両腕を左右に広げ、無防備な体勢で勝ち誇ったように芳郎を見つめた。普段から母親に対しては偉そうな事を口にする彼だが、手は一度も出した事はない。芳郎は、両膝を抱きしめたまま拳に力を入れた。

「僕をサンドバッグみたいに殴るのに、おばさんには手を出さないんだね。そんなにおばさんの事が大事なんだ。それなら、その大事なおばさんの体、僕が奴隷の様に扱ってあげるよ」

 わざと那津子の頬を抓り、上下に引っ張る岡原に芳郎は煮えくり返るような怒りを覚えた。

「殺すぞっ、岡原」
 鋭い視線で睨みつける芳郎に、那津子は頬から指を離した。
「何、偉そうに言ってるの? まだ自分の立場が理解出来てないんだ。とりあえずさ、おばさんの乳首を赤ちゃんの様に吸ってよ。じゃないと……分かるよね」

 母は膝立ちしてベッドを歩き、体操座りしている芳郎の元へ近づくと、彼の横顔に勃起した乳首をちらつかせた。

「ほら、早くしてよ。小学校でお漏らしした加賀原クンっ!」
「お前……。明日、絶対にぶっ殺してやるっ」
 芳郎は、ニヤニヤと笑いながら乳房を上下に揺さぶる母を強烈に睨み付けた。