私には最愛の妻がいる。七歳年下の妻は若くて美人と会社でも評判だ。もちろん、私もそう思っているし、この幸せな生活がいつまでも続いて欲しいと願っている。
 ただ、私には結婚してからずっと思い続けていた、決して妻には言えない妄想があった。

 【私以外の男と寝ているところを見てみたい】

 妻を他人に取られるのは嫌だ。しかし、妻は私以外の男の前ではどんな風に悶えるのだろうか。一度、客観的に見てみたい。妻が寝取られている姿を。私のセックスと同じように、いやらしい声を出しながら応えるのだろうか。

「その妄想、叶えてあげましょうか?」

 先日、会社で飲み会があった帰り、ふらりと寄ったバーで見ず知らずの男が話しかけてきた。私よりも少し年上だろうか。少し皺の寄った茶色いジャケットを来た男と何気なく話をしているうちに、その言葉が彼の口から漏れた。

「え?」
「あなた、奥さんが他人とセックスしているところを見てみたいんでしょ」
「そ、それはそうですけど……。妻は絶対にそんな事をしませんよ。失礼ですが、あなたに声を掛けられても相手にしないと思います」
「もちろん。私はナンパして成功した例がありませんから」
「強引にレイプするなんて冗談を言うんじゃないでしょうね」
「そんな事はしませんよ。実は私、特殊な能力を持っているんです。その能力を使えば、あなたの妄想を叶える事が出来るんですよ」
「特殊な能力?」
「そう。もしもあなたが構わないと言うのなら……」

 私はその男の言っている事が真実とは思えなかった。ただ、随分と酔っていた事もあり、気分も大きくなっていたので何気なくお願いすることにした。

「それじゃ、奥さんが寝取られている状況をビデオカメラで撮影し、こっそりと会社に送ります」
「でも、本当にそんな事が出来るんですか?」
「ええ。撮影した映像を見ていただければ分かります」
「妻に……。妻に酷い事をするわけじゃないですよね?」
「私を信じて頂けるのなら、あなたの妄想を叶えますよ」
「……わ、分かりました」

 酔っ払っていなければ、絶対に断っていたに違いない。
 しかし、男から送られてきた映像を見て、私は断らなくて良かったと思った。
 数日後、会社に私宛に届いた厚めの封筒。貰っていた名刺に書かれていた男の名前で送られてきている。開封すると、クッション材に包まれたDVDが入っていた。
 仕事も終わり、部署内の人たちが帰った夜の九時過ぎ。
 私はパソコンにDVDを入れ、その映像を確認した。

「み、美代子!?」

 映像に映る妻の姿に、私は思わず声を上げてしまった。

寝取られる妻
「君、本当にいいのかい?」
「ええ」
「でも……。君のような美人がこんな俺と寝たいだなんて……」
「すいません。でも私、夫以外の男性と寝てみたかったの」

 何処かのラブホテルだろうか。美代子はセクシーな下着を身に付け、見知らぬ男と話をしていた。本当に美代子なのか?

「こんな事したら、旦那さんが怒るだろ?」
「……厚樹は怒らないの。だって……私が寝取られる事を願っているから」
「え?寝取られる事を?」
「そう。お金も何も要らないから、私を寝取って欲しいの。だめかしら?」
「だ、だめなんて滅相もない!こっちからお願いするよ」
「良かった。私、今から厚樹以外の男性とセックスするのね」
「それにしても旦那さん、こんな美人をほったらかしにするなんてねぇ」
「ねえ、話はこのくらいで……」
「分かった」

 何処から見ても妻にしか見えない。隠しカメラだろう。俺の名前を言う時に、チラリとカメラを意識して話していた。
 美代子が裸になった男とベッドに入り、愛撫されている。そして気持ちよさそうに善がり、「あっ、んんっ……」と喘ぎ声を漏らしている。
 見ず知らずの男と寝ている姿に、私は無性に興奮した。
 本当ならば腸が煮えくり返るくらい、この男が憎いはずなのに……。
 会社のオフィスであるのにも拘らず、ズボンの上から勃起した肉棒を握り締めた。

「んっ、んっ……んふっ」

 美代子が、大きなビール腹をした男の肉棒を咥え、美味しそうにフェラチオしている。勃起した黒い肉棒を、頬をへこませながら吸い付くように頬張る姿にそそられる。

「ん、ん、んぐっ!」

 口内射精されたか、苦しそうに咳をしている。多分、男の精液を飲んだのだろう。
 そして仰向けに寝転がり、M字に開いた美代子の股間に男が顔を埋めている。

「あっ、ああっ。き、気持ちいいわ。そこ……クリトリスっ。そんなに舐めちゃ……あんっ!」

 必死に股間を舐める男の頭を両手で押さえ、気持ちよさそうに喘ぐ美代子は、「ああっ。だめ……厚樹に怒られちゃう!」と、カメラ目線で声を上げた。

「今更、何を言っているんだ?君がしたいって言い出したんじゃないか」

 股間を舐めていた男が美代子の上に圧し掛かり、強引に唇を奪った。そしてそのまま肉棒を挿入したようだ。
 美代子がシーツを握り締め、男の体に足を巻きつけている。

「んん〜っ。ん……ふぅっ。あっ、あ、あ、あんっ。あっ、あっ、あっ」

 唇を解放された途端、美代子の喘ぎ声が男の腰の動きに合わせてリズムよく漏れ始めた。
 何て刺激的なシーンだろうか。
 理性を失った私は、ズボンのファスナーを下ろしてトランクスの中から肉棒を取り出し、しごきはじめた。妻が自分以外の男とセックスして喘いでいる。しかも、こんなに気持ちよさそうに。私が相手をしているよりも感じているような雰囲気だった。
 男は複数の体位を強要したが、美代子はさほど嫌がらずに応えている。自ら男の上に跨り、喘ぎながら跳ねていた。
 そして最後は後ろから奥深くまで突かれ、背中に射精された。
 私も同じタイミングで射精し、パソコンのキーボードに精液を飛ばしてしまった。

「ああ……、あっ、あっ……はぁ〜」

 満足そうに男に寄り添う美代子。
 私はポケットティッシュで飛び散った精液を拭き取りながら映像を眺めていた。
 しばらくして、男がシャワーを浴びにベッドを離れた。美代子もベッドから起き上がったのでシャワーを浴びに行くのかと思ったが、隠しカメラの前に歩いてくるとニコリと微笑み、カメラに向かって話しかけてきた。

「どうでした?奥さんが他人の男とセックスしているシーンを見て」
「なっ!」
「奥さんの体、とても気持ちよかったですよ。また奥さんの寝取られている姿を見たかったら、名刺に書いている番号に電話してくださいね。この体なら大歓迎です。ちなみに、奥さんには先程の男とセックスしている記憶は残っていないので、あなたが自分から話さない限り分かりません。それでは私はもう少し奥さんの体で楽しませてもらいます。そうそう、奥さんの体は正常位よりもバックで突かれる方が気持ちいいようです。胸は左の方が感じますね。それから愛撫は首筋を舐めてあげると喜びますよ。今後の参考にしてもらえればと思います」

 美代子がウィンクしたところで、DVDは終わった。

「ほ、本当に乗り移っているって事か……」

 他人の体に乗り移り、自由に操る事が出来る。あの時、男はそう言っていた。
 美代子の体は乗っ取られていたのだ。そして男は美代子のフリをして見知らぬ男をラブホテルに連れ込み、セックスしたという事か。
 私の肉棒が、また大きく勃起した。

「あの男に頼めば、妻に内緒で他人に寝取らせる事が出来るんだ」

 もう一度DVDを再生する。
 もしも若い男――高校生くらいに抱かれたら、妻はどんな反応をするのだろうか。
 私は肉棒を握り締め、誰もいないオフィスで二回目の射精を行った――。



……ってなわけで、こんな旦那さんもいるかもしれませんね。
私は嫌ですけど〜w