どうしてこうなるの〜!?
「お、俺!?」
「わ……私!どうして目の前に私がいるのよっ」
「それは俺が聞きたいよ。お前……もしかして香津美か?」
「……き、清志?清志なの?」
「何だよそれ。俺達、体が入れ替わっちまったのか?」
「そんな……。どうして?」
「今、ぶつかった時に頭を強く打ったからかもしれない」
「あ、頭をぶつけたくらいで体が入れ替わってたら世の中、何人の人が入れ替わってるのよっ」
「そんな事、俺に言われたって知らないよ。でも、ぶつかる前は自分の体だったんだから」
「そ、それはそうだけど……。私、ほんとに清志の体になっちゃったの?」
「……どこから見ても俺の体だな。俺も……やっぱり香津美の姿なのか?」
「どこから見ても私よ。はぁ〜、こんなの信じられない」
「もう一度頭をぶつけるか。自分の体に戻れるかもしれないぞ」
「そうだね。さっきは思い切りぶつけちゃったから、同じくらいの強さでぶつからないと」
「あんなに激しいぶつかり方、痛すぎて出来なくないか?」
「そんな事言ってたら、いつまでも体が入れ替わったままだよ。ほら、行くわよ」
「ちょっと待てよ、心の準備が」
「遅いっ!男ならスパッと決心してよ。えいっ!」
「わ、待てって!うぎゃっ!」

ガツン!

「痛ってぇ〜」
「痛った〜い……」

「な、何だよ。戻ってないじゃないか」
「おかしいなぁ。同じくらいの強さでぶつかったのに」
「痛かっただけじゃないか。どうしてくれるんだよ」
「そんなの私に言わないでよ。じゃあ清志が元に戻る方法を考えて」
「そ、そんなの思いつかないよ」
「だったらいちいち文句言わないで。日が暮れる前に元に戻らないと、家に帰れないよ」
「俺、お前の姿で家に帰ったら何て言われるだろ……」
「馬鹿ね、こうなったら体にあった家に帰るしかないじゃない。私は清志の家に、そして清志は私の家に」
「え〜。俺、香津美の家に帰らなきゃならないのか?そんなの絶対に嫌だよ。だって、お前の家って室内で犬を飼ってるじゃないか」
「仕方ないでしょ、家族全員、犬が好きなんだから」
「俺、大の苦手なんだよ」
「そんなの知ってるわよ。でも仕方ないでしょ。私だって清志の家に帰るなんて嫌よ。自分のお父さんとお母さんの家に帰りたいんだから」
「だったら早く元の体に戻らないと。こうなったらもっと強くぶつかるか」
「何よ、さっきは躊躇ってたじゃない」
「犬と一緒に暮らす事と頭が痛い事を比べると、頭が痛いほうがマシだ」
「あっそ。じゃあ思い切りぶつかるわよ」
「ああ。俺だって」


ゴツンッ!

「うぎゃ!」
「ぎゃんっ!」


さて、二人は自分の体に戻れたのでしょうか!?
……ということで、入れ替わりの王道でした(^^