もちろん女性物の下着を身に付けるのは初めてだ。しかも、看護師の空河久美子が穿いていた下着を、彼女の手を使って彼女の体に穿かせるのだ。興奮しないわけが無かった。脹脛から太ももの掛けて引き上げると、足の太さに合わせて生地が伸びる。そして、陰毛の生えた股間とお尻まで包み込むと、彼女の体の線に合わせてパンティがフィットした。トランクスには無い滑らかな肌触り。お尻の食い込んだ生地を直す仕草を自分がしていると思うとたまらなかった。

「陰毛がはみ出してる。こんな姿を見られたら、久美子さんはどう思うだろうなぁ」

 俯きながら陰毛をパンティの中に入れた敦司は、白いパンストを手に取った。パンティとは違ったナイロン生地だが、こちらも非常に良く伸びる。
 ベッドに腰を下ろした後、パンストをたくし上げて靴下を穿くように右足を入れた。何となく温かい感じがするのだが、少し足を動かすと縫い目から風が入って涼しい。パンストを破かないように膝まで引き上げると、今度は左足も同じようにパンストに包み込んでゆく。白い生地が清楚に見えて、本来の彼女を表しているかのようであった。
 嬉しそうな表情で立ち上がり、少しずつパンストを引き上げてゆく。太ももからパンティを穿いている下腹部まで引き上げると、股の間に隙間が出来てしまった。

「もう少し引き上げないといけないのか」

 もう一度パンストを股間まで下ろし、力を入れながら引き上げると綺麗に股間へ密着した。

「よし。これで穿けたぞ。パンストを穿くと余計に足が細く見えるよな。久美子さんの足、すごく綺麗だ」

 白いパンストに包まれたお尻を見たり、蟹股に足を開いて生地に隠れた股間を撫でてみる。また、足を開いてしゃがみ込み、彼女が小便するシーンを妄想した。

「いやらしいなぁ、久美子さんの足。こんな足を持っているなんてすごく羨ましいよ」

 お尻を摩り、下着に包まれた感触を楽しんだ敦司は、ブラジャーを手に取り胸に付けた。自分でホックを掛けるのは少し難しかったが、柔らかい彼女の腕は容易に背中に回すことが出来た。はみ出た乳房をカップの中に押し込み、胸の谷間を強調する。直接胸を見るより、ブラジャーに包まれた谷間を見る方が何となく興奮する。彼はそんな風に思った。

「ブラジャーを着けたままパイズリって出来るのかな?この方が絶対興奮すると思うけど。ビキニならやりやすいか?」

 窓ガラスに久美子の体を映し出した敦司が、両手で髪を後ろに掻き上げ、そのまま頭の後ろに手を回した状態で彼女にポーズを取らせる。試しにウィンクすると、下着姿の久美子が誘っているように見えた。

「どう広畑君。私と一発したくない?」

 わざとらしく久美子の口調を真似すると、本当に彼女が言っているように思える。

「すげぇ。こんな風に誘われたら、どんな男も簡単に引っかかるだろうな。女って……やっぱり久美子さんが羨ましいよ」

 彼女の口調を真似する事で、彼女の意識と一体化出来たように錯覚する。言葉さえ女性らしくしゃべれば、敦司の存在が全くと言ってよい程、見えなくなるのだから。

「広畑君の事、愛しているわ。私と結婚して欲しいの。ねえ、いいでしょ?」

 窓ガラスに近づき、彼女の顔を大きく映し出す。いくら見つめても敦司の顔は映らず、ニヤニヤといやらしく笑う久美子だけが見つめ返してきた。

「ふふふ。広畑君に私のナース姿、見せてあげるわ」

 彼女に成りすませる事に興奮する敦司は、口調はそのままに半袖の白いワンピースを拾い上げると、久美子の体に纏い始めた。襟元に入った髪を手で払い、首元のボタンから一つずつ留めてゆく。敦司は、久美子の手が一つずつ留める様子を、彼女の目を通して見ていた。この細い指が、自分のものとなっている事を改めて実感する。
 胸元から下腹部まで付いていた全てのボタンを留め、ベッドの下に落ちていた彼女の白いナースシューズを履くと、また窓ガラスの前に姿を映した。
 いつも見慣れているワンピース姿。これが本来の彼女であり、患者と接する時の正装である。

「久美子さん……。もう誰にも渡したくないよ。この顔、この声、そして姿。いつも優しく話しかけてくれる久美子さんは僕だけの人であって欲しいんだ」

 両腕で体を抱きしめ、愛しそうに撫で回す。その姿は他人から見れば異様に感じるかもしれない。それでも敦司は、乗り移った彼女の体を自分の物として大事そうに抱きしめた。

「……それじゃ、そろそろ看護師として広畑君の体を慰めてあげるわ。私は広畑君の物だから。広畑君のチンポを私の膣で包み込んであげる」

 敦司はまた彼女の口調を真似すると、ナースシューズを脱いでベッドに上がり、横たわる自分の体に沿うようにして寝転んだ。