「ん……。んん」
 優梨子の瞳がゆっくりと開き、部屋を見渡す。
「……よし。やっぱりこうすれば乗り移ることができるんだ。それにしても……まだ少し下半身の火照りが残ってる」
 奥治は彼女の手を股間に宛がい、濡れた陰唇に隠れたクリトリスを触ってみた。
「あうっ。すごく敏感になったままだ。優梨子ちゃんの体、まだ感じたいと思っているんだな」
 椅子を軋ませながら立ち上がり、足元に散らばっているレオタードを眺める。
「……戻る方法が分かったから、このまま体を返す前にもう少し優梨子ちゃんで楽しみたいな。オナニーするのもいいけど、やっぱりここは……」
 ちらりとベッドに横たわる奥治を見た優梨子の手が白いレオタードを拾い上げ、そのまま足に通し始めた。
 今度はアンダーショーツもパンストも穿かず、直に身につけてゆく。
「白いレオタードって、今日はもう着ないから少しくらい汚れても構わないよな。このレオタード姿で……ニヒヒ」
 着終わった奥治は、ベッドの上に横たわる自分の体に近づくと、掛け布団を取った。
 死んだように見え無くもないが、不健康な脂肪に包まれている胸がしっかりと上下に動いている。
「こうしてみると、やっぱり俺の体って格好悪いよな。でもダイエットする気力もないし」
 カメラの向きを調整し、ベッド全体が写るようにセットする。
 そしてシャッターのリモコンを手にすると、優梨子の体をベッドに上がらせた。
「折角だから、優梨子ちゃんが俺に迫っているところをカメラに収めておこう。興奮するなぁ〜」
 優梨子の体で巨体の上に覆いかぶさり、あたかも彼女が迫っているような表情を取る。
「へへ。ねえ奥治、白いレオタード姿で慰めてあげるわ。私の体でどうして欲しい?」
 彼女の手でダブついた顎を撫で、パジャマの胸元を優しく撫でる。
 要所要所でリモコンのボタンを押し、艶かしい体で迫る彼女の様子をカメラに収めていった。
「太った人は嫌いだけど、奥治は特別だからね」
 パジャマのボタンを外して上半身を露にした後、白いレオタードに包まれた胸を押し付けて前後に擦り付ける。
 レオタード越しにも乳首が擦られて気持ちがいい。
「私の胸、好きに触ってもいいよ」
 彼女の口調を真似しつつ上半身を起こし、意識の無い体を跨ぐ様にして座る。
 そして、力の入っていない彼の右手を引っ張ると、レオタードの胸元に押し付けた。
「重たい腕ね。どう?私の胸は。柔らかいでしょ」
 そのまま手を重ねるように持ち、押し当てたまま円を描くように動かしてみる。
 それはまるで自分が優梨子の胸を揉んでいる様に見えた。
 カシャカシャとシャッター音が聞こえ、彼女のいやらしい笑みと行動が収められてゆく。
「ねえ。もうオチンチンも大きくなっているんじゃないの?私が確かめてあげようか」
 わざとらしく話しかけながら彼の上から降り、ベッドに女座りした優梨子の手がパジャマのズボン越しに肉棒を摩った。すると、可愛らしかった肉棒が徐々に大きくなり始めたのだ。
「ふ〜ん。意識が無くても刺激されたら勃起するんだ。これなら……私とセックスできるわね」
 優しく笑いかけた後、ズボンの中に彼女の右手を忍ばせて直接肉棒を掴んでみた。
「わ……いつもより硬くて大きくなっているんじゃない?そんなに私の手が気持ちいいの?」
 握り締めたまま、軽く前後にしごいてみる。
 彼の肉棒の膨張率は通常の人よりも大きいのだろう。
 優梨子の記憶にある、男性の肉棒を掴む感触と比較すると、一回り太く感じる。
 ズボンを捲って客観的に見ると、大きくてグロテスクな生き物の様に思えた。
「へぇ〜。俺のって、実は他の男性と比べると結構大きいほうなんだ。ちょっと自信が付いたな。……こんなに大きなオチンチン、私の中に入るかな?」
 ズボンとトランクスを膝まで下ろした後、勃起した肉棒を直接掴んでいる優梨子の様子をカメラに収める。
 自分の肉棒が優梨子の手によってしごかれているなんて信じられない。
 無表情で仰向けに寝転がる顔を横目に、肉棒をしごく優梨子の手を眺めていた奥治は、下半身がまた熱く疼いてゆくのを感じた。
 白いレオタードに包まれた股間を中指で押さえると、指の腹がめり込んで生地が左右に盛り上がる。
 そしてクリトリスの辺りを触ると、無条件にビクンと体が震えるのだ。
「うっ……ん。優梨子ちゃんが俺のチンポを欲しがっているんだ……ううん。そうじゃなくて私が言わなきゃ。私が奥治のオチンチンを欲しいの。フェラは嫌だけど、している真似なら構わないよ」
 カメラに対して横向きに映るような体勢を取った奥治は、肉棒を掴みながら顔を近づけた。
 長い髪で顔が隠れるようにすると、カメラからは優梨子が髪で顔を隠しながらフェラチオしているように見える。
 その状態で、少しずつアングルや頭の高さを変えて何枚か撮った。
「これで手コキもフェラシーンも撮れたよね。それじゃ、いよいよセックスシーンよ。騎乗位でしてあげる」
 すでに優梨子の体は準備が出来ている。
 白いレオタードの股間にはいやらしいシミが滲んでいて、ベッドの上で膝立ちしながら股間の生地をずらすと、粘り気のある愛液が陰毛を濡らしていた。
「これだけ濡れていれば入れても痛くないはず。でも、奥治のオチンチンも少しくらい濡れていないと入れにくいよね。私のマン汁を塗りつけてあげる」
 彼女の体を、自分の体の下腹部に跨がせると、股間の生地をずらしたままゆっくりと肉棒に近づけた。入れるのが目的ではないので、脂肪の付いた下腹部に肉棒を倒しながら腰を下ろす。
 彼女の濡れた股間が硬い肉茎に着地するよう調整すると、陰唇が左右に開いて陰茎を招き入れた。
「んふ。奥治のオチンチンと私の股間が触れ合っているの、分かるでしょ?」
 お尻を覆う生地ごと、レオタードを大胆に横にずらした奥治は、彼女の腰を前後に何度か動かした。
 黒い肉茎に愛液が塗り付けられ、いやらしく光っている。
「んっ……。これだけでもクリトリスが擦れて気持ちいいよ。折角だから写真も撮ってね」
 自分の体に優梨子が跨っている様子をカメラで撮る。
 このアングルなら、まるでセックスしている様に撮れているだろう。
 膣から湧き出た愛液を手に取り、黒光りする肉棒をしごくようにして更に滑らせる。
「このくらい濡れていれば大丈夫。じゃあ奥治、私の中に入って来て!」
 奥治は優梨子の口調を使い、自らの肉棒を彼女の膣へと導いた。
「んっ……。んんっ。は、はぁ、はぁ、あぁ〜」
 少しだけ腰を浮かし、陰唇に亀頭を押し付けたままゆっくりと座り込んでゆく。
 膣口を無理やり広げた亀頭が膣壁を広げながら奥へ奥へとめり込んで行くと、優梨子の口から力の抜けるようなため息と、軽い喘ぎ声が漏れた。
 肉茎が膣に飲み込まれ、優梨子と奥治の下腹部が密着する。
 膣内が満たされた感覚を実際に体験した奥治は、しばらく優梨子の体を動かそうとはしなかった。
 彼女の記憶が持つセックスシーンを思い浮かべながら、肉棒を飲み込んだ下腹部を優しく撫でる。
「この長さと太さ……私、初めてみたい。これが子宮口を押される感覚なんだ」
 優梨子の言葉を借り、今味わっている感覚を表現する。
 下腹部が満たされたという安心感。
 これが女性のセックス――女性の快感。
「女性に生まれていれば、こんなに気持ちよくなれるの。でも、奥治は男性なのに女性の快感を手に入れたのね。ちょっとずるいんじゃない?」
 自分に話しかけるような口調で呟いた奥治は、ようやく優梨子の腰を動かし始めた。
 優梨子がどうすれば気持ちよくなるのかは、彼女の記憶が教えてくれる。
 その記憶に便乗する奥治は、普段彼女が騎乗位でセックスする時に取る動きを再現しながら、女性の快感を楽しみ始めた。
「あっ、はぁ、はぁ、はぁ、はんっ。んっ……んっ、んはぁ〜」
 下腹部を前に突き出すように腰を前に動かし、そのまま下に体重を掛けながら腰を引く。
 膣内では、硬く勃起した肉棒が子宮口を擦り、肉壁を刺激している。
 指では届かない奥の方を掻き回されている感覚は優梨子の体を痙攣させた。
「太い……よっ。そして長いのぉ〜」
 優梨子に成り切る事に興奮するのか、奥治はずっと彼女としてのセックスを楽しんだ。
 しばらく同じ腰の動きを続けた後、今度はベッドに足を立ててカエルの様に開き、両手を横たわる体の胸元へ押し当てた。
 そして、体の上でバウンドするように上下に腰を動かし始めたのだ。
「あっ、あっ、あっ、あんっ……。はぁ、はぁ、はぁ、あっ、あっ」
 腰の動きに合わせて、膣からニチャニチャといやらしい音が聞える。
 その音の合わせるかの様に、優梨子の口から喘ぎ声が漏れた。
 膣を突かれるという感覚はこんなに気持ちのいい事なんだ。
 自分の肉棒は、優梨子をこんなに感じさせることが出来るんだ。
 奥治は優梨子の体が発する女性の快感を魂で感じながら、素直に喘いでみせた。
「ああ。あっ、はぁ、はあっ!ああっ、はぁ、はぁ、はぁ、あんっ」
 マグロ状態で寝ている自分の体。
 その体に戻り、優梨子自身がこうしてセックスしてくれたならどんなに幸せだろうか?
「はあっ、はあっ。あうっ……」
 自分の体が動いて突き上げてくれない限り、この体勢ではオーガズムを迎えられない事が分かっている奥治は、彼女の足を崩して自分の体に上半身を預けさせた。
 そして、抱き合いながら蟹股に足を広げた状態で腰を激しく振る。
 これで腰を素早く動かすことが出来、オーガズムを迎えることが可能となるのだ。
「あっ、あっ、あ、あ、あ、あ、あっ」
 腰の動きに合わせて、喘ぎ声も早くなる。
 シミ一つ無い丸いお尻が上下に揺れ、膣内にある肉棒を何度も何度も出し入れした。
 泡立った愛液が膣から溢れ、白く粘り気を伴いながら敷布団に染み込んでゆく。
「あっ、あんっ。はぁ、はぁ、はぁ、あっ、ああっ」
 セックスを始めて十分程度経っただろうか。
 優梨子の喘ぎ声が裏返り、息を乱しながら一段と腰の動きを早めた。
 自ら動き、オーガズムへと達するには相当の体力が必要らしい。
 額から汗が滲み、レオタードの胸元にも汗のシミが広がっていた。
「ああんっ。あっ、あ、あ、あっ、あっ。イ、イクッ、イクッ!イッちゃうっ……あっ、んあああっ!」
 彼女の膣で勃起した肉棒を締め付け、意識のない体にオーガズムを迎えた事を知らせる。
「あ……ああ……。は、はぁ、はぁ、はぁ〜」
 オナニーだけではなく、セックスまで堪能した奥治の幽体が、また優梨子の体からはじき出された。
 肉棒を膣に咥えたまま、力なく横たわる二つの体。
 先ほどと同じように、優梨子は気を失った状態のようだ。
(はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ〜。気持ちよかったなぁ〜。女性って絶対得だよ。こんなに気持ちよくなれるんだから)
 汗が滲む白いレオタードの背中をしばらく眺めていた奥治は、優梨子の意識が戻らないうちに再度彼女の体に乗り移った――。


 下半身の火照りが収まった頃、奥治の部屋では身なりを整えた優梨子がパソコンの前に座り、自分の容姿が映るディスプレイを眺めていた。
 レースクイーンとしての姿。そして女性として彼と交わっている姿。
「完璧だ。これで優梨子ちゃんを追いかけなくても堪能できる」
 満足そうな笑みを浮かべた後、パソコンの電源を切り足元に脱ぎ捨てられていたレオタードなどを紙袋に詰め込んだ。
「さて、そろそろ優梨子ちゃんの体を返しに行くか」
 これまでの人生で最高の日を過ごした奥治は、彼女の携帯でタクシーを呼ぶとイベント会場となっているドームへ戻った。
 そして誰にも見つからないように女子トイレに入ると、優梨子の体でオナニーをしてオーガズムを迎え、彼女の体から抜け出たのだ。
 そのまま家に帰り、自分の体に戻った奥治はパソコンの画面に映る彼女の様々なシーンを見ながら、男としての快感を堪能したのであった。
「ゆ、優梨子ちゃん!はぁ、はぁ。も、もうたまんないよ〜!」
 その様子を少し開いた扉の隙間から見ていた父親は、ズボンを大きく膨らませていた。
(まさか奥治がレースクイーンの彼女を作っていたなんて。あの娘が嫁に繰るなら大歓迎だが……)
 近い将来、息子からレースクイーンの優梨子を紹介されるかもしれないと思った父親は、自分が結婚するわけでもないのに頗る興奮した。
 もちろん、それは夢に終わるわけだが。
「はぁ、はぁ。優梨子ちゃ〜ん!」



僕だけのレースクイーン……おわり

彼女の体を使ってオナニー&セックスを終えたので、最後は駆け足になりました。
父親との絡みには手が出ませんでした(^^;
タクシーの運転手を誘惑したり、イベント会場に戻って他のレースクイーンとレズプレイなども考えましたが気力が続かず〜。
また機会があれば書きたいと思います。
それでは最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。
Tiraでした。