自分に変身能力がある事に気づいてから、何度か他人の姿を借りたことがあった。
 母親、先生、そして憧れを抱く女性アイドル。
 友達の体を借りての外出も体験した。
 全ては好奇心からくるもので、自分の体との違いを確認したり、瑶子という存在を消して他人の体で人前に出るという、一種の優越感に浸るための行為であった。
 目を合わせているのに、他人の視線で瑶子を見る母親には戸惑いを覚えた。
 部活動の部長に変身して同級生と話すと、全員が敬語を使って話しかけてくるので何故か自信が付いた。
 だからといって、変身した本人には迷惑を掛けない様に心がけてきたつもりだ。
 しかし、今は親しく遊んでいた夏美の体を異性である隆也に見せようとしている。
 もちろん、本人の許可無く。
 重ね着しているピンクとパープルのキャミソールから腕を抜き、夏美の下半身にフィットしたジーンズのボタンを外して脱いでゆく。
 瑶子自身も惹かれる夏美の下着姿を、隆也は鼻息を荒くしながら見つめていた。
瑶子12
「すげぇ。結構胸が大きいんだな。下半身はスラッとして綺麗だ」
「それって私と比較して?」
「そういう意味じゃないって」
「…………」
「なあ瑶子。伊出河さんの体、自分で比較してどんな感じなんだ?」
「どんな感じって……。それは……綺麗だと思うけど」
「女同士でもそう思うんだ」
「ね、ねえ隆也。やっぱり止めない?夏美は隆也に自分の体を見られているって知らないんだよ。私、夏美に申し訳ない気がしてきて……。私の体に戻っても……いい?」
「だ〜め。本人は知らないんだから問題ないって。俺達が言わなきゃいいんだ。それに思わないか?今は伊出河さんの体なんだ。自分の体とは気持ちよさが違うかも知れないってさ」
「そ、それは……」
「それとも、俺の知らない間に変身して一人で体験してみたとか」
「そ、そんな事する訳ないじゃない。人の体で……そんな事」
「だったら試してみてもいいじゃん。いつもどおりの事をしてやるからさ」
「だ、だって……んっ。はぁ」

 隆也は彼女に近づくと、優しく抱きしめながら首筋に唇を沿わした。
 震える体で抱きしめ返してくる夏美の背中を撫でたあと、右手でブラジャー越しに胸を揉んでみる。

「伊出河さんの胸、大きくて柔らかいよ」
「うん。私の胸よりも谷間が出来るから」
「自分でも分かるんだな」
「そうだね……あっ。隆也……」
「感じるのか?」
「はぁ、はぁ。んん……」
「瑶子の声じゃないって事にも興奮するよ」
「わ、私も変な感じ。夏美がこんな声を出すなんて思ったこと無いから」
「じゃあもっと喘ぎ声を出してみてくれよ」
「は、恥ずかしいよ」
「へへ。それなら無理やり出させてやるよ」
「た、隆也?あ、あんっ!ちょ、ちょっと……んんっ。あっ、んうう〜」

 胸を揉んでいた手が白いパンティの中に潜り込み、いやらしく蠢き始める。
 抱きしめていた腕に力を入れ、隆也の胸板に夏美の頭を付けた瑶子は自然と漏れる他人の喘ぎ声に妙な興奮を覚えた。

「可愛い喘ぎ声だな。なあ瑶子。ちょっと伊出河さんの口調を真似してくれよ」
「んっ、んっ……。く、口調って……」
「隆也じゃなくて、織河君って言って欲しいんだ」
「どうして私がそんな事まで……はんっ」
「頼むよ瑶子」
「はぁ、はぁ……もう」
「こうして弄られると気持ちいい?」
「うっ、うっ……はぁ、あっ。う、うん……織河君。気持ちいいよ」
「うわ、マジで伊出河さんに言われているみたいだ。すげぇ興奮するよ」
「んっ。そんなに興奮するの?」
「そりゃ……まあな」

 空いていた手で背中のホックを外し、夏美の体からブラジャーを脱がせた隆也は、パンティの中に忍ばせていた手を抜くと、両手を使って足元まで引き下ろした。