玄関から階段を上った二階の奥が隆也の部屋だ。
 両親は共働きをしていて、日が落ちるまで帰ってこない。
 隆也の願望を叶えるための時間は十分にあった。

「ごめんな。あんまり掃除してなくてさ」
瑶子8
「そうだね。いつもの事だから別にいいけど。それよりもどうして夏美の姿にならなきゃならないのよ」
「へぇ〜。伊出河さんってお洒落な服を着てるんだな。どこかに行くつもりだったのかなぁ」
「知らないわよ、そんな事」
「やっぱり私服の伊出河さんもいいよなぁ」

 家に着いたとたん、夏美の姿に変身して欲しいと頼んだ隆也。
 嫌々ながらも賭けに負けた手前、言う事を聞かざるを得ない瑶子は学校で変身したように夏美をイメージし、彼女になった。
 家に帰った夏美は家着ではなく洒落た服を着ていた。友達と出かけるのか、或いは見知らぬ彼氏の元へ向うつもりなのだろうか。


瑶子9
「ねえ隆也っ。いつまで夏美の姿でいなくちゃいけないの?」
「えっ、ああ。それは……」
「もう自分の姿に戻るよっ」
「このままエッチしたい」
「……なっ、何それ。この姿で?私、夏美になってるんだよ?」
「ああ。だからさ……」
「信じられない。やっぱりそれが目的だったの?」
「ま、まあな」
「嫌だよ。どうして夏美の姿でエッチしなきゃならないの?」
「頼むよ瑶子」
「だって……そんなの嫌だよ」
「頼む」


瑶子10
「だから嫌だって言ってる……んっ……やんっ」
「好きだ、瑶子」
「ちょっ……んっ、んんっ……んふっ」

 隆也は嫌がる瑶子に近づくと、強引に唇を奪った。彼の腕で強く体を抱きしめられ、唇を割って入ってきた舌が彼女の口内でいやらしく蠢くと、抵抗が治まるまでさほど時間は掛からなかった。
「んっ、はぁっ……んん」


瑶子11
「ふぅ。な、頼むよ」
「……もうっ。いつも強引なんだから」
「いいだろ?」
「……い、一回だけだからね。私よりも夏美の事、好きにならないでよ」
「そんなの当たり前だろ」
「…………」
「じゃあさ。その服、脱いでくれよ」
「……いいよ」
 若干の不安を抱えながらも、瑶子は自分のものとなった夏美の服を恥ずかしそうに脱ぎ始めた。