「潔癖症の沖河先生の体を使って、海十の姉貴を綺麗に洗ってやるよ」

 平治がボディーシャンプーを泡立てながら美香の上半身に塗りこんでゆく。

「こうして塗るだけでも気持ちよくて乳首が勃起するよ。さあ、沖河先生をソープ嬢に仕立ててやる」
「ソープ嬢か。本人が聞いたら卒倒したりして」
「へへ……そんなこと無いわよ。私も汚れているから、互いの体を擦りつけて綺麗にするだけじゃない」
「今日の沖河先生は言っている事と、やっている事がコロコロと変わるな」

 ボディーシャンプーを塗りこんだ美香が蟹股にしゃがみ、香帆の肩に手を添えながら上半身を背中に密着させる。
 肌が直に触れ合う温かさ。
 背中に感じる柔らかな乳房の感覚。そして思っていた以上に勃起した乳首の感触が伝わってきた。
 その乳首の感触が背中を上下に揺れ動く。

「どんな感じだ?背中に胸を押し付けられるのは?」
「素直に気持ちいいよ。ヌルヌルして温かいな」
「香帆の背中も滑らかで温かくて気持ちいいわよ。乳首が擦れて、触らなくても下半身が疼いてくるのが分かる」

 背中に上半身を擦りつけつつ脇から両腕を差し伸べ、後ろから胸を揉みしだくと香帆の体がビクンと震えた。
 姉の胸が泡のついた女性の手で好き勝手に揉まれている。
 そのいやらしい行為に興奮した海十は座ったまま足を広げると、香帆の手で自らクリトリスを弄り始めた。
 
「あっ、んっ、んんっ」
「そんなに慌てなくても弄ってあげるのに」
「だって……んっ。そのボディーシャンプーの付いた指で触ると痛いから」
「確かに沁みるね。ならローションを持って来ようか。それまでオナッててくれよ」
「ああ」

 美香の手が胸から離れ、バスルームを出てゆく。その間にも海十は香帆の手で何度もクリトリスを弄って快感を高ぶらせていった――。



「んっ。はぁ、あっ……姉貴っ」
「持ってきたぞ、海十」
「はぁ、はぁ。あ、ああ」
「これを塗りながら刺激してやるよ」

 平治は美香の体についていた泡を流した後、透明のボトルに入ったローションを手に取り上半身に塗りつけた。もちろん香帆の体についたボディーシャンプーも流し、手に取ったローションを後ろから塗りつけてゆく。

「ちょっと冷たいけど、このヌルヌルした感じはボディーシャンプーとはまた違った感じだな」
「ああ。この感じがたまんないな……んっ」
「しっかりと塗ってやるからさ」
「あっ、んんっ。はぁ、はぁ……あっ」

 ローションで滑った美香の手が香帆の陰唇に割り込み、クリトリスを中心に蠢く。皮膚に貼りついた陰毛が妙ないやらしさを表現していた。
 体がビクンと震えるたびに、開いた足が軽く開閉する。

「ほら、膣の中にも塗りこんでやるよ」
「んんあっ……。も、もうそこは濡れてるからさ……んんっ」
「そうだな。なあ海十、折角だから向かい合って体を擦りつけ合わないか?」
「あ、ああ」

 二人は立ち上がると互いに向き合い、女性の裸体を眺めた。その後、大量のローションを体に塗り、胸を押しつぶすようにして抱き合った。

「あっ、んっ、ん。すごっ……」
「はぁ、はぁ、あっ。このヌルヌル感がたまんねぇっ」

 抱きしめ合いながら膝を曲げ、上下に体を擦り付けあう。
 乳房同士が変形しながら擦れ、乳首が触れる瞬間に大きな快感を得ることが出来た。
 ニチャニチャという粘り気のある音。
 ローションのついた張りのある艶やかな乳房が滑らかに、そして予想外の動きをする。
 大人の女性がバスルームで抱きしめ合い、絡み合う姿には激しく興奮するものがあった。

「あうっ。はぁ、はぁ、はぁ」
「はぁ、はぁ……うっ。はぁ」

 二人は無言で腰に回していた手を背中やお尻に移動させて、互いの快感を高ぶらせていった。
 更には陰毛が貼りついた股間に手を添えあい、陰唇の中に指を埋めてクリトリスを弄り始めた。

「ああっ。はぁ、はぁ。あっ、あっ」
「ん!あっ、あっ、あっ、あんっ」

 香帆の上ずった切ない声。
 赤い唇から漏れる美香の喘ぎ声。
 互いに目の前にいる女性の股間を弄り、感じさせているのだ。
 バスルームに響くのは、互いが発する女性の艶やかでいやらしい声とローションと愛液で滑った股間が奏でる水音のみ。

「あっ、あっ、あんっ。はっ……ああっ。あっ」
「んんっ。んっ、あっ……んっ、んっ。はぁ、はぁ」

 平治と海十は何も会話をせず、ひたすら互いの股間を弄りあった。
 足が蟹股に開き、弄りやすくなった膣にほっそりとした指が入り込む。

「ああっ!あ、あんっ。あんっ」
「はぁ、は、はぁ、はぁ、あっ、あんんっ」

 どう見ても女性二人が弄りあっているとしか思えず、男言葉を使わなければこの空間に平治と海十は存在しない。
 無意識のうちに男の存在を消し、中尻香帆と沖河美香という女性がレズ行為に酔いしれているシーンを作り出しているかのようであった。
 膣やクリトリスを刺激してくる手の動きに合わせて腰を前後に動かすと、二人の喘ぎ声が激しさを増した。
 高揚した香帆と美香の体が、乗り移っている海十と平治にオーガズムを与えようとしているのだ。

「あ、あ、いいっ。あんっ、あ、あ、ああ」
「ああんっ。あっ、んっ、んっんっんっ、あんっ」

 必死に股間を弄り、空いている腕で互いの上半身を抱きしめ合った二人は、その温もりと快感を共有しながら膝を崩すと一心不乱に腰を動かし、最後の瞬間を迎えた。

「はぁ、はぁ、あっあっあっ、イクッ!イクッ!」
「あ、あ、あ、ああ。ん、んっ、あっ。イクッ、イクッ、イクぅ〜っ!」

 ニチョニチョというよりは、ビチャビチャという擬音が正しいかもしれない。
 それほど二人の膣からは愛液が迸っていた。
 相手の体を抱きしめる腕に相当な力が入り、四つの乳房が押しつぶされる。
 その後、声にならない声を上げながら床にお尻をつけ、大きく呼吸をした。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」
「はあっ……はあっ。ふぅ〜。はぁ〜」

 二人の息遣いだけが聞こえる空間。
 抱きしめていた腕を開放し、互いの顔を見つめあった平治と海十は、普段ではあり得ないほど乱れた髪と表情をする香帆と美香を目の前に、満足げに微笑んだ。



「風呂場でレズるのって最高だったな」
「ああ。女同士ってあんなに激しくなれるんだ」
「それは俺達が乗り移っていたからだろ」
「そうだよな。それにしても良かったなぁ」

 髪と体を綺麗に洗い、バスルームから上がった二人は下着姿で女座りをしながら話をしていた。
 すでに外は暗くなり、普段の香帆なら家に帰っている時間だ。

「どうする?海十」
「そろそろ姉貴に体を返さなければならないからな」
「じゃあ今日は大人しく帰るか」
「平治はどうするんだよ」
「俺も帰るよ。潔癖症の沖河先生をこれだけ激しく乱したんだ。十分に堪能できたからな」
「明日から沖河先生を見るたびに乱れた姿を思い出して興奮しそうだよ。それじゃ、そろそろ自分の体に戻るとするか」
「お前はその体で家に帰らないとまずいだろ」
「ああ。こんなところで体から離れたら、方向音痴の姉貴は家まで帰れないからさ」
「もうジーンズも乾いているだろうから穿いて帰れよ」
「だな!ふあぁ〜……。さてと姉貴、そろそろ家に帰ろうか」

 海十は独り言のように呟くと、元々香帆が身につけていた服を着込んだ。

「じゃあ平治、先に帰るな」
「ああ。俺も海十が帰ったら沖河先生の体から抜け出るよ」
「また次の女性を誰にするか考えような!」
「おうっ!」

 こうして二人は美香と香帆の体を開放した。
 もちろん、美香と香帆は自分の身に何が起きていたのか知る良しも無いのであった。
 


あとがき

 ……という事で、一区切りとなりました。
 二人が乗り移れると言うのは少々書きにくいものがありましたね。
 途中から気合が入らずに苦労しましたよ(^^
 自分でも作品(文章)の質が落ちてきたのが分かるので悲しかったです。
 気合を入れなおさなければなりませんねぇ。。。
 何はともあれ、最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。
 Tiraでした。