「あの、先生……」
「何?田宮君」
「僕、本当に大丈夫なんですけど」
「自分でそう思っていても、大丈夫じゃないかも知れないでしょ」
「でも……」
「いいからついて来なさい」
「は、はい」

 タイトスカートのお尻が左右に揺れ、大人の女をかもし出している。
 背中を撫でる髪はもともと束ねていたため、ゴムで止めていたところだけ少し癖が付いていた。
 そして田宮も気づいていた。背中のブラウスに、ブラジャーのラインが見えないことを。それは美術室に沖河先生が来たときから分かっていた。白いブラウスに乳首の膨らみが浮き出ていて、とてもいやらしかった。
 実は田宮も清潔好きで、学校に入ったときから潔癖症だと噂になっていた沖河先生に親近感を抱いていたのだ。生徒に触れない、やたらと制服の乱れを気にする。そして、いつもスーツを着て清潔感を漂わせている姿に、少し遠い存在もしたが大きな信頼と好意を持っていた。だから不得意で好きではない美術部にも、顧問をしているからという理由だけで入部したのだった。
 それなのに、今日の沖河先生は普段からは想像できない容姿をしている。田宮には、まるで別人になってしまったようにさえ思えたのだ。しかし、何故か今の沖河先生にときめく気持ちが芽生えていることも確かにあった――。

「あら?谷口先生、いないわね」

 保健室に着いた二人が扉を開けると、保健医の谷口先生はいなかった。もちろん、この時間に谷口先生がいないことは美香の記憶から知ることができる。平治は海十との待ち合わせまでの時間をつぶすために田宮を弄ろうと、わざとこの場を用意したようだ。

「田宮君。ベッドが空いているから、とりあえず横になりなさい」
「あ、あの。沖河先生」
「何?」
「僕、もう大丈夫ですから美術室に戻ります」
「だめよ。横になりなさい。体温を測ってあげるから」
「…………」

 どうしても帰してくれない沖河先生に、田宮は仕方なくベッドに体を預けた。少し硬めのベッドと枕に、白い長袖カッターシャツと黒いズボンが横たわる。
 その様子を眺めていた平治は壁際の棚からデジタル体温計を取り出し、ベッドの横に置いてあったパイプ椅子に座った。
 ちょうど椅子が田宮の頭の位置になるように動かし、美香の足を軽く開く。田宮が頭を横に向けると、美香のタイトスカートに隠されていた股間が見える位置だ。

「はい。測ってみなさい」

 平治は何も気づかない振りをしながら体温計をベッドに置いた。俯いていた田宮が頭を横に向け、ベッドに置かれた体温計を取ろうとしたとき、視線が体温計の向こうに見えるタイトスカートに移動する。一瞬、視線が止まったかと思うと、さっと目を逸らし慌てて体温計を手にした。

「どうしたの?」
「あっ……。い、いえ。何でもありません」
「そう。先生が測ってあげようか?」
「いえっ。け、結構です」

 真っ赤な顔でカッターシャツのボタンを外し、体温計を脇に刺す田宮を見て沖河先生がニヤニヤと笑っている。

「顔が真っ赤よ。相当熱があるんじゃない?」
「ち、違います。そうじゃないんです」
「そうじゃない?じゃあどういう事?」
「……な、何でもありません」

 沖河先生に顔を向けようとすると、どうしても視界にタイトスカートが入ってしまう。そして、その中を意識してしまうのだ。
 必死に理性を掻き集めているであろう田宮に様子に、平治は噴出しそうな笑いをこらえていた。美香の記憶には、彼があまり絵が上手ではないが真面目で部活をサボるような性格ではない、また清潔好きでやりやすい生徒だという印象を持っているようだ。
 また、若干の好意を持たれているのではないかという予想もしている。

「先生。平熱でした」

 熱を測り終えた田宮が体温計を差し出すと、平治は美香の手で田宮の手を握り締めるようにしながら体温計を受け取った。手を握られただけでもドキドキしているようだ。

「そう?おかしいわね。体温計が壊れているのかしら」

 確かに平熱の温度を表示している。わざとらしく首をかしげた平治は、体温計のスイッチを入れなおした後、「私も測ってみるわ」と田宮の前でブラウスのボタンを更に二つほど外した。
 お臍の辺りまで外れたボタンは、すでにブラウスを体の前で繋ぎ止める能力を失っている。

「田宮君、こうしてきちんと脇に挟んだ?」

 田宮をこちらに振り向かせるような問いかけをすると、左手でブラウスを大胆に開き、右手で脇に挟んだ。
 ブラウスの生地から、発育途上の高校生では殆ど見られないであろう大きな左胸がこぼれ、勃起した乳首が惜しげもなく披露される。問いかけられて沖河先生を見た田宮は、目の前に現れた生胸を見ると、驚くほどの速さで視線を逸らせた。

「ほら、よく見なさい。こうやって挟んだの?」
「は、はい」
「見てないじゃない。しっかりと見なさい」
「で、でも……」
「先生の言うことが聞けないの?田宮君は清潔好きで真面目だから先生も信頼しているのよ。田宮君には元気でいて欲しいの。分かるでしょ?」

 美香の声を使い、嘘八百を並べた平治に田宮は恐る恐る顔を向けた。
 おろおろしながら見つめた乳房は、田宮が想像していたよりも随分とボリュームがある。
 そして、大き目の乳輪には硬く勃起した乳首がついている。体温計を脇に挟む右手で胸を隠すのではなく、乳首が見えやすいようにわざと腕を上げる沖河先生の姿を見て、ズボンの前が窮屈そうに盛り上がっていた。
 ふと視線を下ろすと、タイトスカートの生地が伸びるほど足が左右に開かれている。その中にうっすらと見える沖河先生の股間。

「…………」
「何、黙ってるの?」
「えっ、あっ……そ、その……」
「こうやって測ったの?」
「は、はい。測りました」
「そう。測る場所が悪いのかしら?ちょっと待って」

 中途半端に体温を測った後、一旦ベッドに置いた平治は、ブラウスのボタンはそのままに椅子から立ち上がると、田宮の前でタイトスカートを捲り上げてパンストとパンティを足元まで引き下ろした。

「田宮君。ごめん、ちょっとこれ持っててくれる?」
「えっ……」
「はい」
「あ……」
「マン汁で濡れてるけど綺麗よ。だって私の膣から出たマン汁だもの」
「…………」

 目の前で脱いだパンストとパンティを左手に握らされた田宮は、緊張でぎゅっと力を入れているだけだった。

「そんなに握り締めていたらパンストが破けるでしょ。もっと優しく握りなさい」
「す、すいま……せん」

 掌に感じる温かさ。そして湿り気。ほんの数秒前まで沖河先生が穿いていた下着が手の中にある。指を動かせば生地の感触を知ることが出来るのだが、田宮にはその勇気がなかった。
 また電源が切れてしまった体温計のスイッチを押した平治は、田宮に見せびらかすようにタイトスカートを捲り上げると、陰毛の生えた股間をさらけ出しながら椅子に座った。

「せ、先生っ」
「どうしたの?」
「あ、あの。何を……」
「ここなら正確に測れるかもしれないわ」
「こ、ここって……」
「マ○コよ、マ○コ。膣の中でしょ」
「なっ……」
「もう十分に濡れているからすんなりと入るわ。まあ、体温計なんて濡れて無くても入るけどね」

 次から次へと信じられない行動を取る沖河先生に、田宮は同様を隠しきれない。
 本来の彼女ならば一生、話さないであろう隠語を平気で口にする。しかも生徒の前で。

「田宮君が入れてみたい?」
「け、結構です」
「遠慮しなくていいのよ。先生、田宮君を信じているから」
「ぼ、僕は……したくないです」
「そう。それじゃ、私が自分で入れて測るわ」

 タイトスカートが完全に捲りあがり、足が大きく開かれている。
 その中心に体温計の先を近づけた平治は、美香の左手で陰唇を左右に開くと、まだあまり使われていない膣の中にゆっくりと差し込んだ。

「んっ。あっ……あんっ」

 わざとらしく美香の声を使い、吐息を漏らす。その姿を見まいと、田宮は目を瞑っていた。それでも聞こえる沖河先生の吐息。

「はぁ、はぁ……あっ。やだっ……こんなに細いのに……感じちゃうっ」

 平治は差し込んだ体温計で膣をグリグリと掻き回した。
 細い先が膣壁にめり込み、刺激を与える。あまり強く弄ると痛いので、程ほどに掻き回しつつ、陰唇を開いていた左手の指でクリトリスを弄る。

「んっ、んっ。た、田宮……君。体温計が……膣の中で暴れまわってるの」

 沖河先生のイメージがガタガタと崩れてゆく。
 握り締めていた下着を離した田宮は、目を瞑ったまま両手で耳を塞いだ。