その頃、美喜子に乗り移っていた平治は会社に戻り、女子トイレの鏡の向かって上半身を映し出していた。まだ張りのある肌と艶に、ファンデーションが綺麗に乗っている。指の爪に塗った淡いピンクのマニキュアが可愛らしい。

「へぇ〜。これでまだ彼氏がいないのが不思議だよな。まあ、消極的な性格が災いしているんだけど。大胆になれば男くらいすぐに釣れるのにさ」

 鏡の前で髪を弄り、後姿を映したりしながら美喜子を理解する平治は、彼女の全てを手に入れた満足感に頬を緩ませた。
 ジャケット越しに胸を揉み、その柔らかさと弾力を楽しむ。胸のサイズが九十センチだということは彼女の記憶から読み取れているのだが、実際に触ってみる感触とは誤差があった。

「すげぇな、この感触。今までは俺と同じ高校生にしか乗り移ったことが無かったけど、やっぱり年上の女にも乗り移ってみるもんだな」

 何度も胸を揉み、ブラジャーに包まれた乳首が勃起した頃、鏡に映るタイトスカートの隠れた下半身に視線を移した。
 疼いているのだ。美喜子の下半身が。

「……会社のトイレでオナニーするってのもアブノーマルな感じがしていいな。この体も欲しがっているみたいだし」

 両手でタイトスカートを捲り上げ、パンストとパンティに包まれた股間を眺める。ここから幽体を侵入させ、彼女の体を乗っ取ったのだ。
 人魂となった幽体で弄るのと、直接彼女の手で弄るのではどのくらい違うのだろうか?

「とりあえず、個室に入ってオナニーするか」

 他人に見られるのは宜しくない。そう考えた平治はトイレの個室に入った。学校では女子生徒に乗り移り、何度かトイレでオナニーした事がある。膣に指を入れると、クチュクチュといやらしい音を奏でた。
 美喜子の膣も女子生徒と同じように、いやらしい音を奏でるはずだ。
 洋式便器に背を向け、タイトスカートを捲り挙げた美喜子は、両手でパンストとパンティを足首まで引きおろした。それまでパンストで包まれていた足からひんやりとした感覚が伝わってくる。
 先ほど平治が幽体で股間を弄り、感じていたのでパンティにうす黄色いシミがついていた。

「感じちゃったんだもん。仕方ないよ」

 そう呟きながらもう一度タイトスカートを捲りつつ便座に座ると、おもむろに細い足を広げた。指を使って無言で陰唇を開くと、まだそれほど使われていないピンク色の綺麗なクリトリスと膣口が現れる。オナニーしたのは三日前。友達が彼氏とセックスをしたという話を聞いてムラムラとした時だ。
 すでに昼休みの疼きはおさまり、あまり塗れていない陰唇の中。平治は美喜子の指を舐めると、直接クリトリスを弄り始めた。

「んっ……はぁ」

 ビクンと足に力が入り、切ない吐息が漏れた。
 そのまま指の腹で弄りつづけると、充血しながら皮が剥けてしまった。女性の体で最も敏感であろう場所を、彼女の指を使って彼女の体で感じる。

「あっ、はぁ、はぁ。んっ」

 普段話しているトーンよりも高い声で小さく喘ぐと、指を四本真っ直ぐに並べた状態にし、そのまま円を描くようにクリトリスを刺激した。
 膣口から滴り始めたヌルヌルとする愛液が潤滑剤となって滑らかに動いている。

「はぁ、はぁ、はぁ。んっ、クリトリス気持ちいい」

 喘ぎ狂うのではない。家で行っている様に、ある意味冷静にオナニーする美喜子。おそらく海十ならば激しく喘いでいるだろうが、女性の快感を何度も経験した事のある平治は彼女の地をそのまま表現する――或いは彼女に成りきってオナニーしていた。

「んっ、んっ。今度はこっち」

 クリトリスを弄っていた指が二本、そのまま膣の中に滑り込む。そして、間接を曲げてGスポットを押すように刺激した。

「ふっ……んっ!イイッ、ここがすごく感じるの」

 どこに平治がいるのだろう。そう思わせるほど、美喜子は普段どおりのオナニーをしていた。

「はぁ。んっ、んんっ。んん……んっ。あっ」

 内腿を伝い落ちる愛液が糸を引いて便器に落ちていく。しかしそれはいつもの事。彼女は愛液の分泌量が多く、オナニーのときは敷布団に大きなシミを作ってしまうほどだった。

「あんっ!気持ちいいよぉ。はぁ、はぁ。はんっ」

 ジャケットの胸元に手を差し入れ、ブラウスの上から胸を揉みしだく。口元から伝う涎も、彼女が如何に感じているのかを物語っていた。
 また膣から出てきた指がクリトリスを執拗に弄る。

「うっんっ……。はぁ、はぁはぁ。イイッ。た、たまんないっ」

 白い壁を見つめながら自慰を続ける美喜子は何を想像しているのだろうか。本来なら、好意を持っている男性とセックスしているシーンかもしれないのだが、今、彼女の頭の中で渦巻いているのは、優しく接してくれる一つ年上の先輩とのレズセックスシーンだった。
 彼女の中にある先輩のイメージ。平治はそのイメージを使って美喜子と絡んでいるシーンを思い描く。それが官能的で、更に下半身が疼くのだ。

「んんっ。はぁ、はぁ、はぁ……っはぁ。うっ、はぁ、はぁ。ぁんっ」

 止まらない指が快感を増幅させ、美喜子の体をオーガズムへと誘った。

「はぁ、あっ。イクッ、もうすぐイクッ!」

 クリトリスが赤く腫れる程擦った後、膣の中に潜り込んだ指が激しく動いた。

「んっ、んっ、んんっ。イクッ!イクッ!イク〜ッ!」

 美喜子は声を殺しながら喘ぐと、足を浮かせて体を丸めた後、一気に背筋を伸ばしてオーガズムに達した。膣が痙攣して指が締め付けられる感じを覚える。

「ぁっ、ぁっ、ぁっ……は、はぁ。はぁ、あっはぁ〜」

 全身に力を込めて美喜子の快感を堪能した平治は、しばらく便器に座って余韻を楽しんだ。



「弄りすぎたか。クリトリスがちょっと痛いな。まあ、この体は堪能したからもういいか。そう言えば海十は上手く乗り移れたんだろうか?満足したから昼寝した後に様子を伺うとするか」

 オーガズムを迎えてから五分ほど立った後、平治は美喜子の魂に溶け込んでいた幽体を膣の中に凝縮し、人魂のような状態となった。

「うっ……あぁ」

 平治の幽体から開放された美喜子の意識はなくなったのだが、膣内に凝縮し、わざと半実体化することで膣壁が圧迫されてしまった。

「ぅぅ……んっ」

 気を失ったままの美喜子の膣口が自然に開きはじめ、中から見えない平治の幽体が出てくる。一時的に大きく開いた後、すぐに元通りに戻ったところをみると完全に外に出てきたようだ。

(さて、とりあえず自分の体に戻って昼寝するか)

 力なく便器に座っている美喜子を眺めた平治は家に飛んで帰り、自分の体に戻るといびきをかきながら昼寝を始めた。