ビクンッ!
急に胸を触られた感触を覚えたのは白坂和葉だ。
彼女は今、仲良しの女子社員三人と共に部屋でトランプをしていた。
布団はすでに敷かれており、みんなその上に寝転んでいたのだ。
和葉だけは掛け布団を身体の上から被っている。
「和葉の番だよ」
「あ、うん……」
愛生に促された和葉が、愛生の手元からカードを一枚取る。
和葉は浴衣で自分の手が見えないよう、指を少しだけ出していた。
今、彼女達は「ババ抜き」をしている最中。
和葉はカードを揃える事が出来なかったので、次の彩葉(いろは)に手札を見えないように差し出した。
「よっと!……よしよし」
彩葉はクイーンのカードが揃ったらしく、二枚のカードを布団の上に置いた。
そして次は冴弥(さや)の番。
「私は、これにするわ」
冴弥が彩葉から一枚カードを引くと、これまた揃ったらしく二枚のカードを布団に置いた。みんな楽しそうにトランプをしているが、和葉だけはこの状況を楽しめなかった。
いや、楽しむ余裕なんて全く無かったのだ。


――広間での夕食の時、彼女の身体には異変が起きていた。
いつの間にか箸を掴む手がゴツゴツとした男の手のようになり、体つきもいつもの自分ではない感じ。
ひと回り大きくなった身体は、浴衣の中で確実に「男性」と化していたのだ。
周りの人に気付かれないようにそっと浴衣の中を覗くとブラジャーがしぼみ、いつものふくよかな胸がなくなっている。
少し胸毛が生えていて胸板が厚い。
それは男性としか見えないような体つき。
女座りをしている足がだんだんと痛くなってきたので正座しようと足首を掴むと、それが異様に太いと感じた。
振り返って足を見てみると、自分の足よりもかなり大きい。
かかとがザラザラしている。
何が起きているのか分からない。
周りの目を気にしながら小さく身体を丸めていた。
「ど、どうなってるの……」
心の中でつぶやきながら、周りにいる彩葉や愛生たちと話をあわせる。
その途中、急に胸を掴まれた様な感じがしたのだ。
「あっ……」
和葉は思わず胸を押えた。
しかし、押えた胸は明らかに自分の胸ではない。
それでも胸を触られた感じがしたのだ。
「……い、今のは一体」
訳も分からないままキョロキョロと周りを見渡す。
張本人が目の前にいる事も知らずに――。


夕食の時間が終わると、愛生たちに断りを入れてトイレに駆け込んだ。
急ぎ足で歩いている時も、身体に不自然さを感じていた。
まず目線がおかしい。
周りの景色がこれまでより低く見えたのだ。逆に言うと、視線が高い。
それに歩幅が違う。
その感覚に慣れていない和葉は足を引っ掛けそうになったが、かろうじて体勢をたてなおしトイレに入った。
小さな個室で浴衣を脱ぐ。
そして――。
「…………」
何の言葉も出なかった。
ブラジャーは窮屈そうに横に伸びてしまい、パンティは異様なふくらみを帯びている。
身体全体が、「男性」のようだ。
「な……なによ。……これ」
和葉は必死に今起こっていることを理解しようとした。
身体が男性になっている。
ちょっとお腹が出ていて中年太りしているみたい。
だんだん現実を飲み込み始めた和葉は、ここでやっと声を上げた。
「き、きゃぁ〜っ!」
トイレで人一倍大きな悲鳴を上げる。
でも、少し奥まったところにあるトイレから聞こえる悲鳴を聞くことが出来た人はいなかったようだ。
「ど、どうして!?何なのよこれっ。どうなってるの??」
何度見てもその身体は男性の身体にしか見えなかった。
あの豊かな胸やくびれたウエストはどこに行ってしまったのだろうか?
「や、やだ。私の身体……どうなっちゃったの」
急いで浴衣の紐を締め直してトイレから出た和葉は、一目散にみんなのいる部屋に駆け込んだ。
息を切らせながらガラリと襖をあけると、愛生、彩葉、冴弥の三人と目があった。
「どうしたの、そんなに慌てて?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「わざわざ走ってこなくてもちゃんと待っててあげるわよ。早く座って。カード配るから」
「はぁ、はぁ。わ、私……」
「早く座りなよ、和葉」
「わ、私の身体」……
そこまで言って黙りこんでしまった和葉。
それ以上の事は言えなかったのだ。
「トイレで何かあったの?」
「誰かに覗かれたとか」
「それともカッコイイ人でもいた?」
「……う、ううん。な、なんでもない」
和葉は俯きながら三人の元に近づき、掛け布団を被りながら寝転んだのだ。
そして三人も同じように寝転びながらトランプを始めた――。



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「どうだ?女性の身体の感触は」
「すごく柔らかいんですね。こんなにスベスベしてるし」
「見てみろ、胸の突起が硬くなっているだろ。彼女が感じているんだ」
「し、白坂君が……感じているんですか……」
「お前がそうやって胸を揉んでいるからさ」
首から下、白坂和葉の身体と入れ替わっている青木は、今は自分の物となったふくよかな胸を両手で揉んでいる鈴木に言った。
俺が胸を揉んでいるから白坂君が感じている――。
鈴木は自らの手で女性を感じさせるという行為を初めて行ったのだ。
確かに手の中にある胸の突起がプクッと膨れて硬くなっている。
「部長」
「ん〜?」
「あの。その……む、胸を……」
「好きなようにしても構わんよ。お前の行動を見ていたら何となく恥ずかしくなってしまうな」
「あ、ありがとうございます」
鈴木はドキドキしながら両手で掴んだ状態で左胸に口を近づけた。
そして少し唇を開き、左胸の突起を口の中に含んだのだ。
口の中で舌を使って胸の突起をコロコロと転がす。
「なかなか舌使いがうまいな。きっと白坂君は気持ちいいと思うぞ」
「んんっ、ありがとうございます」
「もうこの身体はかなり出来上がっているようだな」
「??」
青木は下半身が熱くなっていることを感じていた。
「快感」はないが、身体の変化は理解できるのだ。
鈴木が胸を弄んでいる事で、白坂和葉の身体にスイッチが入った事が分かったのだ。




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――五分ほど前。

「んっ!」
また胸を揉まれている感じがする。
今度は両胸を揉まれている感じだ。
「どうしたのよ、和葉」
「えっ、あっ、な……なんでもない」
ごまかしながら、愛生の手元からカードを一枚引く。
そして、今度は揃った絵札を布団の上に置いた後、また彩葉に手元の札を見えないように差し出した。
こうしている間も、ずっと胸を揉まれている感じがする。
「うっ。んん……。くぅ〜」
声を漏らさないように唇に力を入れて我慢する。
「ひんっ。ん、ぅぅ」
今度は胸の突起を吸われているような感覚。
ザラザラとした舌の様な物が突起をクリクリと弄んでいる。
和葉は眉を歪めて必死に耐えた。
「あっがり〜っ!」
「うっそ〜」
愛生が一番で上がった。
気を良くした愛生が障子とガラス窓の間に置いてあった缶ビールを取り、プシュッと開けて飲み始める。
「とりあえず私が二番目に!」
冴弥がトランプを引いている。
そんな彼女達の会話は和葉の耳には届かなかった。
そして、胸を弄ばれた感覚に翻弄されていた和葉は更に驚くことになるのだ――。




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「下の方も触ってみろ」
「し、下の方……ですか」
胸の突起を口に咥えるのを止めて、両足を開いた青木の下半身を眺める。
青木が座ったまま少し窮屈になっていたトランクスを脱ぐと、やらかそうな茂みに包まれた和葉の股間が現れた。
鈴木は右手を股間に近づけ、中指をその茂みの中にそっと沿わせてみた。
ヌルッとした感触と共に生暖かいものが指にまとわりついてくる。
「ぶ、部長……」
「すごいだろ。お前の愛撫が白坂君の身体をこんなにしてるんだ」
「僕が……」
「お前も準備できているようだな」
青木は微妙な笑いを浮かべながら鈴木のはだけた浴衣から見える異様に盛り上がったトランクスを眺めていた。
「あっ!」
その視線に、鈴木は慌ててトランクスを隠した。
「構わないさ。俺だって逆の立場ならお前と同じようになっているさ。こんな機会はもうないぞ。一度舐めてみるか?」
青木は座椅子ごと鈴木の方に身体を向けた。
背もたれにもたれかかり、両手で両膝を掴んで左右にギュッと広げる。
すると、和葉の股間が鈴木の目の前に惜しげもなく披露されたのだ――。




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「あっ!」
大きな声を出した和葉は、急いで手で口をふさいだ。
「どうしたのよ、いいカードでも引いてたの?」
和葉は身体をモジモジしながら首を横に振った。
和葉の大事な所が誰かに触られている。
指のようなものが感じるところを刺激しているのだ。
その指から逃げようと腰を動かしても、触られている感覚は全く消えようとはしなかった。「ぁ。ぁぁ……。やぁ〜」
和葉は小さく声を漏らした。
自分ではどうしても逃れられない感覚。
それどころか、何度も腰を布団に擦りつけているので男の「物」がだんだん大きく硬くなっていくのだ。
下腹部に硬い物が当るのを感じながらも、股間を刺激されている感覚はとても奇妙なものだった。
顔をしかめながら揃ったトランプを布団に置き、彩葉に手札を差し出す。
「やだ……。こんなのって……」
そう思いながら彩葉がカードを選んでいる姿を虚ろな目で見つめていた――。




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先ほど鈴木が触っていた股間。
茂みの中心あたりが程よく湿っているのが分かる。
「ほら。遠慮するなよ」
「は、はい」
全てが初めての体験。
鈴木は青木の前で正座したあと、そのまま身体を前に倒した。
そして両手の指で茂みを左右に分けたあと、始めてみる女性の股間をまじまじと眺めた。「すごいだろ。それが彼女の股間だ」
「…………」
「お前だってアダルトビデオくらい見たことあるだろ。それと同じようにすればいいんだ。さあ」
「……は、はい……」
ビデオくらい見たことがある。でも、それをいざ自分がするとなると、とても緊張してしまうのだ。
「ぶ、部長。本当にいいんですか?」
「ああ。でもそうやって俺の顔を見上げるなよ。男に股間を舐められるって想像すると俺だって気持ち悪くなるだろ」
「す、すいません」
鈴木からしても、青木の顔さえ見なければ白坂和葉といるように思えるのだから、極力顔を上げたくない。
もちろん声も聞きたくないのだが。
「そ、それでは……」
鈴木は、そのしっとり濡れた和葉の一番感じるところをそっと舐め始めたのだ。


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「っ!!」
布団の中に潜り込んでいる和葉。
つい先ほどトランプも終わり、気分が悪くなったと言って一人布団を頭から被っていたのだ。
誰にも気づかれないよう横向きに寝て、慣れない男性の物の更に下のほうを両手で押えている。
「ぁっ。あぁ、んんっ」
まるで股間の茂みを指で無理矢理左右に開かれ、大事な所を舐められているような感覚。とろける様なその感じに、和葉は我を失いそうだった。
「うっ、んん。はぁ、はぁ、ああぁん」
和葉は自分でも気付かないうちに、大きくなった青木のムスコをギュッと握り締めていた。

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「うっ!」
「んん。どうしたんですか?部長」
「多分彼女が俺の物を握り締めているんだ。俺のやつも大きくなっているだろうからな。どういう訳か分からないが、かなりきつく握り締めているぞ。ちょっと痛い」
「ど、どうしましょう……」
「ちょっと舐めるの、やめてくれないか」
「は、はい」
鈴木は和葉の股間からそっと唇を離した。
口の周りにねばねばとした液がついたので、テーブルにおいてあったティッシュで拭取る。


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「…………」
股間から伝わってきた快感が急に消えた。
「???」
ホッとしたような、少し残念なような。
複雑な気持ちで布団から顔を出す。
愛生、彩葉、冴弥の3人は、唯一バラエティ番組が映るチャンネルを見ながらケタケタと笑っていた。
三人ともお酒がかなり入っていて上機嫌だが、愛生が布団から顔を出した和葉に気付いた。「大丈夫?気分良くなったの?」
「う、うん。少し良くなった」
「でもまだ顔が赤いわね」
「何言ってるのよ。あんたの方がよっぽど赤いわよ」
「そ〜う?あははははは」
「和葉もこっちに来て飲みなよ。まだビールあるからさ」
「あ、もう少ししたら行くわ。まだちょっと気分がすぐれないから」
「あれ?和葉ったらもしかして飲みすぎ?」
「そ、そうじゃないけど・・・」
和葉自身、お酒には結構強かったのだ。
宴会で飲んでいたくらいのビールの量では全然酔っていない。
顔が赤いのはもちろん「恥ずかしい快感」を得ていたから。
和葉はみんなから視線を外し、ごろんと壁のほうに身体を向けた。
緑の土壁を見ながら身体のあちこちを触ってみる。
肩から胸板、お腹に股間――。
太ももを触ってみると、改めて少し毛深い足になっている事に気付いた。
「どうしてなの?私の身体、どうなっちゃったの?」
和葉はまた頭から布団の中に潜り込み、身体を小さくしてうずくまった。
暗闇の中で目をパチパチさせながら、今日の出来事を思い出す。
確か、夕食を取る前、すなわち温泉に使っているときは絶対にこんな男の身体ではなかったのだ。
夕食を取っているときに、いつの間にか――。
「食べ物の中に変な物が入ってたのかな」
そんなことしか思い浮かばない。
食べ終わったときにはもうこんな身体になっていたのだから。
「でも、みんな同じ食べ物だったし……」
まさか、たまたま自分の食べ物だけに何かが入っていたのか?
それならすごく運が悪い。
「…………」
ちょっと考える事に疲れた和葉は、そのままそっと目を閉じた。
「こんな身体……これからどうすればいいの?」
そう思いながら、全身の身体の力を抜いた。
真っ暗な布団の中、ぽかぽかした暖かさが和葉の身体を包み込む。
「ふぅ……」
ゆっくり足を伸ばすと、かかとがザラザラしているので敷布団が引っかかる感じがする。
それに、布団の中に篭る「体臭」が自分のものと違う事にも気付く。
何をするにしても、自分とは明らかに違う身体。
「…………」
布団の外から聞こえる3人の笑い声。
こんなに辛い思いをしているのに、あの三人は全然気付いてくれない。
いや、気付かれたくない――。
このまま気づかれたくないと言う気持ちと、助けてほしいと言う気持ち。
どちらが強いのだろうか?
頭の中では、三人に助けてほしいと言う気持ちが徐々に大きくなっているように感じる。でも、こんな身体をみんなに見せられない。
和葉は悶々としながら知らない体臭を嗅いでいたのだった――。


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「もう大丈夫だ。握るのを止めたようだな」
「でも、快感だけ伝わるんじゃなかったんですか?」
「基本的にはな。でも、快感と一緒に「痛み」も伝わるのさ」
「痛みも?」
「握られた時は気持ちいいという感覚もあるだろ。それに加えて強く握られると「痛い」という感覚も一緒に伝わるんだよ」
「はぁ」
「まあそれはいいとして……鈴木。とうとうお前も「男」になる時が来たようだな」
「あ……」
青木は座椅子から立ち上がると、奥に敷いていた布団の上に移動した。
「お前もこっちに来い」
「は、はい」
鈴木はドキドキしながら全裸になった青木の下に歩いて行く。
首から下は本当に女性の身体だ。
「俺もお前の裸を見るのは嫌だからな。お前だって俺の顔を見ながらってのも今ひとつだろ。だからこの体勢でいてやるよ」
青木は布団の上で団子虫のように小さく丸まった。
両手で頭を抱えるようにして頭が見えないようにしたあと両膝を立てながら左右に開き、クイッとお尻を持ち上げたのだ。
「両手で頭が見えないからまるで白坂君だと勘違いしそうだろ」
確かに、その体勢を後ろから見ると「女性」としか思えない。
「何してるんだ?早くしろよ。彼女、ずっと待ってるぞ」
青木はわざとお尻を左右に振って鈴木を挑発した。
その姿はどう見ても女性の姿――白石和葉にしか見えない。
「そ、れじゃ。部長、失礼します」
鈴木は急いで浴衣とトランクスを脱いだあと、青木が突き出したお尻のすぐ後ろで膝をついた。
和葉のお尻を左手で掴んだあと、右手で大きくなったムスコを持って和葉の股間にあてがう。
「こ、この辺ですか?」
青木は何も言わずに、頭を抱えていた右手を股間の下から伸ばし、鈴木のムスコを入口へと導いてやった。
何となく生暖かい感触をムスコの先で感じている鈴木。
そのままゆっくりと腰を前に動かすと、
ムスコが徐々に視界から見えなくなっていった――。


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「えっ!?」
急に股間に何かが当ったような感じがした。
そのあと、何かがゆっくりと中に入ってくる感覚。
布団の中で閉じていた目をパチッと開いた和葉。
どんどん身体の中に何かが入ってくる。
「あっ!やだっ。ちょっと」
和葉は反射的にお尻にギュッと力を入れた。
しかし、その「何か」は遠慮なしに中に入ってくる。
「ひっ!ど、どうしてっ。こんな!?」
たまらず股間を両手で押える。
「だ、だめっ!入ってきちゃ……あっ。や、やめてっ。そんな……ああっ!」
まるで男性に突かれた様な感覚。
和葉は布団の中で悶え始めたのだった・・・


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「す、すごく気持ちいい……」
初めて女性の中にムスコを入れた鈴木はとても感激している。
ムスコを包み込むような暖かい彼女の中。
ヌルヌルしてムスコがとろけそうだ。
「う、動いてもいいですか?」
その言葉を聞いた青木は、OKするかのようにお尻を前後に何度か動かした。
「うっ!」
パンパンと二〜三回ほど和葉のお尻と鈴木の下腹部があたる音がした。
「はぁ、はぁ」
緊張と気持ちよさで息苦しくなった鈴木は両手で和葉のお尻を掴むと、勢いよく前後に腰を動かし始めたのだ。


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「あっ、あぐっ。うっ、んんっ」
布団をギュッと握り締める和葉。
何度も何度も中に入れられる快感が押し寄せてくる。
自分が何かされているわけではなく、その「感覚」だけが伝わってくるのだ。
「あっ、あっ。いやっ……やっ、んん。あんっ」
ひたすら突き上げられる感覚。
でも、布団の中にいる彼女の身体は全然動いていない。
「んっ、んっ、んっ、んふっ。んぐっ、んんんっ」
三人に気付かれまいと必死に布団を口に咥えて喘ぎ声が漏れないようにしている。
足をモゾモゾと動かしながらその快感から逃れようとするが、なす術がない。
呼吸が荒くなり、布団の中では息苦しくなる。
和葉は顔をしかめながら片手でみんなのいない壁側の布団を持ち上げ、中に空気を送り込んだ。
新鮮で冷たい空気が布団の中に入ってくると、息がしやすくなる。
「はぁ。はぁ。んっ……はぁ。ふっ、くぅ〜」
いつまでこんな快感が続くのだろうか?
今の和葉には、耐える事しか出来なかった。


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パンパンパンッ!
身体と身体が当る音が部屋に響いている。
「はぁ、はぁ、はぁ」
鈴木は目の前で前後に動く和葉のお尻をしっかりと掴んでいる。
激しく腰を動かしながらそのくびれたウェストや青木の頭を包み込んでいる細い腕を見ていた。
女性の身体の中がこれほど気持ちがいいなんて――。
鈴木はそう思っていた。
しかも、部下である白坂和葉の身体なのだ。
まさか彼女とセックスできるなんて思っても見なかったから尚更興奮する。
「うっ。はぁ、はぁ、ううっ」
青木が時折股間を締めると、ムスコが暖かい壁に締めつけられる。それが何とも気持ちがいいのだ。
「あうっ、はぁ。も、もう……はぁ、はぁ。イキそうですっ」
その言葉を聞くと、青木は和葉の股間に力を入れて鈴木のムスコを締めあげた。
「あっ!そんなにきつくっ。はぁ、ううっ、だ、だめだ!」
最後の力を振り絞って腰を動かす鈴木。
「うっ、うっ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……で、出るっ!」
鈴木はムスコを和葉の中から抜くと、そのしなやかな背中に大量の分身達を放った――。

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「は……あ……あああぁ〜」
和葉は目を見開いたまま固まっていた。
あまりに激しい突きに、思わずイってしまったのだ。
信じられない出来事。
快感だけが脳を刺激し、麻薬のような気持ちよさを感じさせている。
「はぁっ。ん、んん〜」
しばらくその余韻に浸る和葉。
身体の中に入って来ていたものが無くなり、何となく物足りなさを感じる。
でも、「イカされた」和葉は、そのままゆっくりと目を閉じて深い眠りについてしまったのだ――。


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「はあっ、はあっ、はあっ」
自分の分身達が飛び散っている和葉の背中を見ながら、鈴木は勢いよく布団の上に尻餅をついた。
「す、すごかった……。こんなに気持ちがいいなんて」
女性との初体験に満足そうだ。
青木がゆっくりと身体を横に倒し、布団に寝転がった。
顔はさておき、その艶かしい身体をしばらく見つめた鈴木は、テーブルに置いていたティッシュを取ってくると背中についたものを綺麗に拭取った。
「気持ちよかっただろ」
「はい。すごく気持ちよかったです」
「お前が仮に白石君とセックスしてもこれほどは気持ちよくないはずだぞ」
「えっ、どうしてですか?」
「お前のムスコ、よく締めつけられただろ」
「はい。それがもうすごく気持ちよくて・・・」
「白石君本人ならこんなに締め付けられないはずだからさ」
「そ、そうなんですか?」
「本人なら「感じている」はずだからさ。そんな状態でお前が気持ちよくなるように出来るわけ無いだろ。もちろん少しは出来るだろう。でも、何の快感も感じない俺は、力の限り締めつけることが出来るんだ。これはかなり大きいと思うがな」
「なるほど」
「俺も一度彼女とやってみたいよ。まあかなわぬ夢だけどな」
「…………」
「まあいい。とりあえずお前もこれで「男」になったんだから。これからはビシビシ働いてもらうとするか」
「は……はいっ」
――こうやって鈴木は青木の特異体質のおかげで無事「男」になる事が出来た。それにしても白石和葉にとっては、とんだ社員旅行となったものだ。





部長の特異体質……終わり




あとがき
場面がクルクル変わるので読みにくいです(苦笑
でも、同じ時間軸で別のところにいる人を表現しようとすると、当時はこの方法しか思いつかなかったのです。
今もあまり良い方法は思いつきませんが……。