「あっ……」

足が何かに引っかかち、躓いた。
沖村の肉体のようだ。
そのまま床に膝を付いて前屈みになった裕子は、もう一度肉棒を自主的に咥えこんだ。
舌を使ってカリ首を刺激し、見えない二つの玉を掌で転がす。
すると、萎え始めていた肉棒に力がみなぎり始めた。
互いに言葉を交わすことも無く、勃起した肉棒を跨ぐように膝まづいた裕子は右手で軽く掴むと、そのままゆっくりと腰を沈めていった。

「ん……」

絨毯しか見えないのに、自然と陰唇が左右に分かれ、膣口が丸く開いてゆく。
そして、更に腰を沈めると膣壁が奥のほうまで広がっていった。

「んん……ふっ」

ビクンと体が震えると、お尻が中途半端なところで止まった。
しかし、お尻や太ももに生温かさを感じ、女座りしたという感覚がある。
膣内も満たされ、子宮口に圧迫感があった。
手を前に伸ばして床に付こうとすると、見えない胸板らしきものに触れる。

「……はぁ、はぁ、はぁ……んっ」

横に顔を向けると、ベッドで背を向けた鎮男の寝姿。
その様子を眺めながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。

「んっ、んっ、んんっ」

見えない体に手をつき、見えない肉棒で感じている。
いつ目覚めるか分からない鎮男に緊張し、腰を動かす行為はとても興奮した。
オナニーしているのではなく、男がマンションに入り込み寝室でセックスしているのだ。

「ぁっん」

乳房が歪に変形した。
下のほうがVの字にへこみ、そのまま体の揺れとは異なった方向に揺れ動く。
硬く勃起した乳首が独りでに動き、裕子を悶えさせた。

「ぁっ、ぁっ。んんっ、んっ」

前後に、そして左右に動く腰。
見えない肉棒に膣の中をかき回され、子宮口をごりごりと押されている。
こんなに奥まで突かれた事がなかった裕子は、蕩ける様な快感に身を委ねた。
乳首を弄っている見えない腕を掴むと、より一層強く摘まれる。

「んんっ!んっ、はぁ、はぁ……ん」

もう我慢できない。
最後までイキたい。
そう思った裕子は、さらに激しく腰を動かした。
上下に跳ねながら、時に見えない体にクリトリスをこすりつけるように前後に動く。

「ぁっ、ぁっ、ぁぁっ……ぃぃっ!んんっ」

そのとき、裕子に背を向けていた鎮男が寝返りを打ち、こちらに顔を向けたのだ。

「…………」

息を呑み、鎮男の目蓋をじっと眺めた裕子。
今、目覚めてしまったら――。
しかし、鎮男はそのまま寝息を立てて目蓋を開かなかった。
少し安心したような、それでも声を出せば気づかれてしまう気がする――。

「あんっ!」

思わず漏れた自らの喘ぎ声に、慌てて口を塞いだ。
いきなり裕子の体が上下に跳ねたのだ。

「だ、だめっ……い、今はっ」

両腰が掴まれた感触と共に、自然と体が上下に揺れる。
声が漏れないよう、両手で口を塞ぐだけで精一杯だった。

「んっ、んっ。はぁ、はぁ、はぁ、ぁっ、んんっ」

お尻が二十センチほど宙に浮いて、女座りしているという中途半端な体勢の裕子は、
揺さぶられるように跳ねていた。

「んん、んんっ、んんっ、あっ!」

そして今度は、後ろに倒されるかと思うと不意に体が宙に浮いたのだ。
持ち上げられたという表現が正しいだろう。
足をM字に開いたまま、体を抱きしめられている感じだ。
おそらく沖村が中腰になり、蟹股に足を開いているに違いない。

「い、いやっ。近づかないで」

陰唇が左右に分かれ、開いた膣を覗き込めば子宮口が見えそうな状態で宙に浮き、鎮男が寝ているベッドに移動させられる。

「えっ!?な、何?ちょっ……はぁっ!」

ベッドの前まで移動すると膣を圧迫していた感覚がなくなり、床に下ろされた。
しかし、今度はベッドに両手を付かされ、前かがみになったところを後ろから突かれたのだ。

「んんっ!」

目の前、ほんの数十センチのところに鎮男の寝顔がある。
目を開けると、裸の裕子が両手をベッドについて見えない者に犯されている姿を見られてしまうのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ、ぁっ、ぁっ、んんっ」

必死に唇を閉じて声を殺す裕子だが、後ろから子宮口を激しく突かれる度、もうどうしようもない快感に襲われた。
しかも、内股になっている太ももやお尻が波打つたびに肉がぶつかり合う音が聞こえ、開いた膣から涎の様に愛液が垂れ流れて太ももを伝い落ちる。
何度も腰がひきつけられ、その度に髪の毛が、そして垂れた胸が激しく揺れ動いた。

「いっ……んっ、ふんっ、ふぅっ、ふぅっん」

いっそシーツに顔を埋めてしまいたい。
そう思うのだが、後ろに引かれているので顔がシーツに届かない。
足を崩そうにも細いウェストを下から抱きかかえるように持たれ、強制的に立たされているので自由に体を動かせない。

「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁぁっ。はぁ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」

何か夢を見ているのだろうか。
鎮男は寝ながら顔をボリボリと掻いている。
今、目を開けられたら――。

「ひっ!だ、だめぇ〜っ。ぁ、ぁ、ぁぁぁぁっ。ィっ……クッ!はぁぁぁぁっ」

裕子は掠れた喘ぎ声を漏らしながら、寝ている鎮男の前でオーガズムに達してしまったのだった――。