「だ、だめ……」

ダブルベッドで鎮男が裕子に背を向けて寝ている。
その横で悶える裕子。
ブラジャーはベッドの横に落ち、白いパジャマのボタンは全て外されていた。
両腕を敷布団に押し付けられながら、全身に重みを感じる。
そして、透明な液体に濡れた乳首が重力に逆らって上に伸び、そこからチュパチュパといやらしい音を奏でていた。

「んっ……んんっ。ぁっ、いやぁ……。はぁ、はぁ……んんっ」

頭を左右に振って、その行為から逃れようとする。
しかし、性感帯を弄られすぎた裕子には、すでに抵抗する力がほとんど残っていなかった。
寝息を立てている鎮男がいつ起きるか分からない。
乱れたパジャマで喘ぐ自分の姿を見たらどう思うだろう。
一人でオナニーしていると勘違し、軽蔑されるだろうか?
それとも、そんなに寂しかったのかと慰めてくれるだろうか?

「んぁぁ……。んっ、くぅぅ」

勃起した乳首は伸びたままなのに、乳房が全体的に潰される。
いやらしい胸の動きだ。
それが見えない者によって弄られているのだと思うと、裕子は尚更興奮してしまうのだった。

「い……やぁ」
体にかかる重みがなくなると、パジャマのズボンとパンティが独りでにずり落ち、脱げてしまう。抵抗しようとしたが、両足を強制的にM字に開かされた。

「ふぁぁっ!。やっ……だぁ。ぁっ、んんっ、んんん〜」

生暖かい感触にクリトリスが包み込まれ、引っ張られるような感覚とともに転がされた。
上半身を反らせ、シーツを握りしめた裕子。
自然に陰唇が開き、クリトリスが揺れ動いているように見える。
ヒクヒクと痙攣する膣口から透明な愛液が滲み出て、お尻を伝ってシーツに滴り始めた。
更には、その膣口がゆっくりと開き、中の様子が伺えるようになる。

「あっ。はぁ……な、中は……んんっ。んんっ、んっ、んっ」

膣内を掻き回される感覚。
Gスポットを押されるたびに、快感の渦が大きくうねった。
同じベッドで夫が寝ているにも関わらず、別の男性の愛撫に体を火照らせてしまう。
透明人間になっている沖村は、無言で裕子に愛撫をし続けた。

「うっ、はぁ。んっ……ぁっ。ぁんっ、はぁ、はぁ……んんっ」

膣がクチュクチュといやらしい音をリズムよく奏でている。
かなり激しく掻き回されているようだ。
音と共に、雫となってシーツや太ももに飛び散る愛液が物語っていた。

「んっ、んっ、んんっ……ふぅっ。はぁ、はぁぁっ、ぁっ、ぁっ」

大きな声が出てしまいそうだった。
鎮男に気づかれないよう、枕に顔を押し付けている。
しかし、その枕は強制的に奪い取られ、部屋の向こうに放り投げられてしまった。

「だ、だめっ……こ、声が出ちゃうぅ」

裕子は人差し指を噛んで、声を殺した。

「ぁっ、ぁっ、ぁっ。だ、だめぇ……お、お願いだ……からぁ」

掠れる声で嘆願した裕子だが更に激しく掻き回され、M字に開いた足のつま先をキュッと立てて足の指に力を入れた。

「んんっ!んっ、んっ、んっ。あっ、あっ、ああぁっ……はぁ、はぁ。あぁぁっ!?」

膣への愛撫が止まったのは、オーガズムを迎える直前だった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

大きく胸で呼吸する裕子は、一瞬どうなったのか分からなかった。
イカされると思っていたのに、直前で止められた。
そしてしばらくの間、部屋が静まり返った。

「はぁ、はぁ……はぁ」

沖村が部屋を出て行ったのだろうか?
そう思った瞬間、また足をM字に開かされた。
そして、膣が生暖かい物で一気に満たされたのだ。

「んぁぁぁ!はぁ、はぁ……あっ」

大きく開いた膣口の形がゆっくりとした動きで規則正しく変形する。

「はあっ。あっ……あっ……あっ」

大きな動きで、しっかりと奥まで入り込んでくる。
その動きにあわせて、裕子の口から切なくも艶やかな喘ぎ声が漏れた。
ねじ込まれるような感覚は裕子の理性を蕩けさせる。
出してはいけないと思う喘ぎ声が自然と大きくなり、裕子が如何に感じているかを知らしめていた。

「はぁ……はぁ。あっ……あっ、あっ、あっ、んっ、んっ、んんっ」

次第に動きが激しくなり始めると、ベッドがギシギシと軋み始めた。
裕子の喘ぎ声と、肉同士がぶつかり合う音も同じように早くなる。

「あ、あ、あ、あっ。ああっ……だめっ。もうっ……んんんっ!?」
(えっ……ま、また?)

またイキそうになった瞬間、膣内の動きが止まった。
今度は中に入ったままだ。
膣が満たされているが、あくまで入っているだけの状態。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

どうやら沖村は、裕子がオーガズムを迎える直前で動きを止めているようだ。
満たされない感覚に、裕子は戸惑った。
早く沖村から離れて、乱れたパジャマを正したい。
それは、微かに残る理性が作り出した上辺だけの気持ちで、本当は最後までイカせて欲しいという気持ちに支配されていたのだ。
また鎮男の寝息だけが聞こえる時間が続く。
今なら膣に入り込んでいるものを抜いて下着を付けられるのに――裕子はそうしなかった。
それが裕子の答えだったからだ。
しかし――。

「はぁ……はぁ」

鎮男はまだ向こうに顔を向けて寝ている。
その背中を眺めていた裕子は、次第に理性を取り戻していった。
早くこの状況から脱しなければならない。
このまま鎮男が起きたら、幸せな生活が壊れてしまう。
そう思った矢先――。

「ううっ!はぁ、はぁ、ぁっ、ぁぁぁっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、いやっ、やっ、あっ」

今までにないくらい激しく突かれたのだ。
横に寝ている鎮男の体が揺れるくらいの激しい動き。
裕子の体は一気にオーガズムへと駆け上った。
両手で口を押さえ、最後の時を迎えようとする。
激しく揺さぶられ、天井がぶれて見える。
そして、円を描きながら波打つ乳房。
鎮男にはされた事が無い、激しいセックス。

「ああっ!んんんっ、んんっ、んんっああ!あ、あ、イ、イクッ!はああっ……?」

まただ。
またイク瞬間に動きを止められてしまった。

「ああ……はぁ、はぁ」
(ど、どうして?わざと私をイカせないようにしているの?)

膣に入り込んでいた物――沖村の肉棒がヌルリ抜けた。
そしてベッドが軋んだ後、裕子の横に飛んできた。
正確には、沖村がベッドの横に歩いてきたのだが、愛液が付いた部分しか見えないので透明な肉棒が飛んできたように見えたのだ。
その愛液の付き具合から、勃起している事が分かる。
沖村はベッドの横でずっと立っているだけだった。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

この透明な肉棒が膣の中をかき回していたのだ。
これで子宮口まで突かれ、オーガズムに達しようとしていたのだ。
裕子は戸惑った。
沖村が望んでいることは分かっている。
しかし、自分から進んでするなんて事は出来ない。
それでは合意の下でセックスをした事になってしまう。
鎮男の――夫の前で悪戯され、苦痛を感じていたはずなのに。
それなのに、体はこの肉棒を求めている。
下腹部が、また満たされたいと要求している。
そして、オーガズムを迎えたいと裕子の理性に訴えかけていた。

「はぁ……はぁ……」

上半身を起こし、鎮男の寝ている姿を見つめた裕子はぎゅっと目を瞑った。

「鎮男……ご、ごめんなさい。私……」

胸の前で拳を作り俯く様は、まるで理性を押し殺そうとしているかのようだった。
ゆっくりと瞼を開いた裕子は、透明な肉棒を眺めた後、戸惑いながらも唇を近づけていった――。