まだ開店前ということで客は誰もいない。
香夏子が担当するのは、一日五回のエアロビクス。
基本的にはハード系なので、一回六十分のメニューを五回行うと体力も限界に近くなる。
十五メートル四方ほどあるスペースは、全面フローリングが施されていて、艶が出るほど磨かれていた。
だからと言って、滑って転倒するような事は無い。
前面の壁には鏡が一面に貼られており、エアロビしている自分の姿を確認することが出来た。
香夏子はその鏡に自分を映しこみ、じっと胸元を眺めた。
オレンジ色のトップスに包まれた胸。
この中に、孝彦のチ○ポが忍んでいるのだ。
試しに、勃起したチ○ポに力を入れてみると、胸の谷間あたりが微妙に動くのが分かった。
それはまるで、チ○ポがここにいるぞと主張しているかのようであった。

「孝彦君のオチンチン、ずっと興奮してるんだ。疲れないのかな?」

チ○ポが勃起していると言うことは、香夏子が興奮していると言うこと。
香夏子はそれが分かっていながら、胸元に囁いた――。

しばらくすると、孝彦本人と理恵が現れた。
スポーツ狩りよりも少し長めのダークブラウンの髪。
同じく小麦色というよりは黒い肌。
そして、タンクトップの生地に映し出される男らしい筋肉。
身長百八十五センチはあるだろうその体は、香夏子の憧れだった。
あの体に抱かれたい。
香夏子は孝彦のチ○ポを胸に抱きながらもそう感じた。

そんな孝彦が理恵と楽しそうに話しながら香夏子の元へ歩いてくる。
理恵は香夏子よりも小柄だが、スタイルでは香夏子に勝っている感じがする。
胸はCカップほどだが、くびれたウェストがとてもうらやましい。
それよりも、引き締まったお尻と長い足に嫉妬した。

「おはよう香夏子」
「おはよう、理恵」
「おお、今日は早いじゃないか。香夏子がこんな時間に来ているなんて珍しいな」
「わ、私だってたまには早起きするのよ」
「ははは、そうか。今日は気合が入っているんだな」
「そういうわけじゃないんだけどね……」
「ねえ香夏子。今日仕事終わったらちょっと付き合ってくれない?買いたい服があるんだ」
「あ、うん。ごめんね理恵。今日はちょっと寄りたい所があって、一人で帰りたいんだ」
「そうなの、じゃあ仕方ないわね」
「理恵、俺が付き合ってやろうか?」
「孝彦に付き合ってもらっても仕方ないの。私の服を選ぶ感覚なんて分からないでしょ」
「まあ、それはそうだな。俺、トレーニングルームで少し体を動かしてくるよ」

孝彦は軽く手を上げると、引き締まった後姿を見せながら歩いていった。

「孝彦に見せるための服を買いに行くんだから、本人が付いてきちゃ意味ないもんね」
「そういうこと……か」
「今度付き合ってくれない?」
「いいわよ。明日でも構わないから」
「そう。じゃあ明日ね。私も孝彦と一緒に体を動かしてくるわ」
「うん」

理恵が「孝彦」と呼び捨てするのに対して、香夏子は「孝彦君」と君付けで呼んでいる時点で随分と差が開いているような感じがする。
もちろん香夏子も分かっていた。
理恵に負けていることは。

香夏子は少しもやもやした気持ちになりながら十分ほど時間を遅らせ、トレーニングルームに向った。