「へへっ、全部見ちゃった」
「め、めぐみっ!」
「よかったね、お兄ちゃん。初めてバレンタインデーにチョコもらったんだ。それも2つ!」
「お、おまえ、いつの間に……」
「お兄ちゃんが部屋に入った後すぐだよ。お兄ちゃんたらそわそわして私の事、ぜんぜん気付かないんだから」
「盗み見したのか」
「失礼ね。一緒に見てあげただけじゃないの」
「何言ってるんだよ。それを盗み見っていうんだろ」
「そんなのどうだっていいでしょ。でも大変だね。一度に二人から告白されちゃって。どうするの?」
「そ、そんなの今すぐには分からないよ。まだ1ヶ月あるんだ。ちょっと考えるさ」
「ふーん。そっか。あのね、のぞみって私とおんなじクラスなんだよ」
「えっ、そうなの」
「そうなのって、妹のクラスくらい覚えときなさいよ。のぞみってすごくかわいいでしょ。クラスでも男子生徒から人気があるんだよ」
「そ、そう」
「だけどね、今日は他にチョコレート渡してなかったんだ。だから、きっとお兄ちゃんだけに渡したんだと思うよ」
「…………」
「一途だよね、のぞみって。お兄ちゃん、告白断ったらのぞみ死んじゃうかも」
「お、脅かすなよっ」
「ふふっ、冗談よ、冗談。私から言ってあげようか?お兄ちゃんには別に好きな人がいるって」
「い、いいよ。まだ誰って決めたわけじゃないか」
「そっか。でも、早いうちにどっちかに決めてる方がいいと思うよ」
「わ、分かってるよ、そんな事」

そうは言っても、今までこんな事経験したことがないからどうしたらいいのか分からない。

どっちも付き合う?

いや、それは出来ないだろう。
付き合った事が無いのだから、断った事なんてあるはずがない。
だからどうやっって断ればいいのか検討がつかない。
でも、「のぞみ」か「くるみ」。どちらかを断らなくてはならない。

「はぁ。どうしたらいいんだ……」

結論が出ないまま1ヵ月。
とうとうホワイトデーを迎える事になった。