ハードディスクを弄っていると、昔書いていた作品が出てきました。
私にしては珍しく、女性が男性に乗り移るお話です。
女子生徒が憧れの男子生徒の先輩に憑依してエッチな事をするので、男性はあまり興味が無い内容となっていますw
文体もイマイチですが、修正するのがしんどいのでそのまま〜っ(^^;




憧れの先輩っ!

10月に入り、朝夕がだんだんと冷え込む季節になってきた。
夏の、あの灼熱地獄から比べればずいぶんと過ごしやすくなったものだ。
今日も須藤高校のグランドから、大きな掛け声とともに、金属バットがボールを叩く音が響いている。

須三津高校野球部。

県内でベスト8まで勝ち上がったことのある、それなりに強い野球部だ。
朝連から始まり、夜は暗くなるまで練習を続けている。
入部希望の生徒も多く、レギュラーになるためには相当の実力が必要だった。
そうやって、みんなが必死で頑張っている姿に憧れ、マネージャーとして精を出す「神宮 愛美(じんぐう まなみ)」17歳。
ベンチの前、青いジャージ姿で汚れたボールをタオルで綺麗に拭取り、籠に入れている。
長い髪の毛を後ろでひとつに束ねているので、振り向くたびにその束ねた髪が大きく揺れる。
かわいい顔立ちで、誰にでも分け隔てなく話しているので部活の男達には人気者だ。
でも、愛美にはひそかに好きな男の子がいる。
ライトで4番を打っている「平石 琢馬(ひらいし たくま)」18歳。
身長179センチという長身で、スポーツ刈りをしている。
容姿もさることながら、白いユニフォームをいつも真っ黒に汚しながら練習している彼の男らしさにとても心惹かれていた。
彼のユニフォームが洗える事が、愛美にとってはとても幸せな事だった。
他の男子生徒と話すときは冗談も言いながら楽しく話せるのだが、琢馬と話すときだけどうしてもうまく話せない。やはり緊張してしまうのだ。
今も、彼がバッターボックスでバットを振っている姿をボーっと眺めているのだった。


しかし――。


琢馬:「危ないっ!」
愛美:「……っ!」

……悲鳴を上げる間もなく、愛美はその場に倒れこんだ。
琢磨の打ったボールが、運悪く愛美の頭部に当ってしまったのだ。

琢馬:「大丈夫かっ!!!」

琢馬や他の部員達が一斉に愛美の周りに集まる。
もう一人の女子マネージャーが倒れた愛美の横に座り、頭を抱きかかえるようにして膝の上に乗せた。

「愛美っ!愛美っ!しっかりしてっ!」

泣きそうになりながら、マネージャーが愛美の身体を揺さぶる。


琢馬:「あまり揺すらないほうがいいよ。俺が保健室まで運ぶから。先生、ちょっと保健室に連れて行きます」
先生:「ああ、急いで診てもらってくれ」
琢馬:「はいっ!」


琢馬はマネージャーがいる反対側から愛美を抱きかかえ、そのまま急いで保健室まで歩いて行った。
その姿を冷やかすものもいたが、それはすぐに批難の声に打ち消される。





ガンガンッ!




保健室のドアを足で蹴る音。


先生:「誰ですっ!足でドアを蹴るのはっ!」

ガラリとドアをあけた先生の前には、愛美を抱きかかえた琢馬が立っていた。

先生:「どうしたの?」
琢馬:「お、俺の打ったボールが彼女の頭に当ったんですっ!早く診て下さいっ!」
先生:「わ、分かったから。じゃあ奥のベッドに運んでちょうだい」
琢馬:「はいっ!」

琢馬は額に汗をかきながら、汚れたユニフォームのまま愛美をベッドまで運んだ。
スパイクの裏に付いている泥が保健室の床を汚している。


先生:「ちょっと離れてて」
琢馬:「は、はい」

先生が愛美の脈拍を確認したあと、頭部を念入りに調べ始める。
琢馬は、少し離れたところからその様子を見ていた。


琢馬:「先生……」
先生:「ん〜ん……どのくらいのスピードで当ったの?」
琢馬:「ど、どのくらいって……バッドの芯に当ったわけじゃないから……そんなに速くなかったと思うんですけど……」
先生:「そう。当ったところが少し膨れているけど、多分大丈夫だと思うわ。とりあえず冷やしておきましょう」
琢馬:「はい。ありがとうございます」


……大丈夫じゃないって!どうなってるのよ、一体……


保健室をふわふわと漂う幽体が一つ……
そう、これは愛美の幽体。ボールが当った時に、身体から抜け出てしまったようなのだ。
……どうなっちゃったのよ。どうして私がベッドで寝ているの?それに、今の私って……

先生:「こうやって、このタオルを彼女の頭に添えてあげて」
琢馬:「あ、はい」

琢馬がベッドの横に置いてあるパイプ椅子に座り、先生の代わりに愛美の頭部にタオルを添える。

先生:「今から担当の先生に言ってくるから。彼女のクラスと名前は?」
琢馬:「はい。えっと・・・・たしか・・・2年3組だったと思うんですが。名前は神宮さんです」
先生:「神宮さんね。分かったわ。ちょっと職員室に行ってくるからそのまま冷やしてあげてね」
琢馬:「はい」

そう言うと、先生は保健室から出て行った。