たまに書きたい言う衝動に駆られることがありますね。
そういう時は、結構すんなりと書けるものです。
ODと言っても、素直なODではないのですが、こんな展開も個人的には好きだったりします。
超SSですけど。
まぐりょ時代を思い出しますねぇw




「優二の誕生日には、私がピアノで素敵な曲を弾いてお祝いしてあげるよ」
「それは嬉しいな。でも亜樹はピアノ、弾けないんじゃないの?」
「うん、今はね。でも、啓子姉がピアノの先生しているから、簡単な曲くらい弾けるようになるよ。だって優二の誕生日まで一週間もあるし」
「っていうか、一週間しかないと思うんだけど」
「一週間って、二十四時間が七回もあるんだよ」
「それくらい俺にだって分かってるって。でもさ、俺も小さいときにピアノを習おうと思ったことがあるんだけど、あれってかなり難しいんだ。両手の指が同じように動いちゃうしさ」
「ドンマイ!優二」
「うっ……そこまで言うなら期待していいんだな」
「任せといてよ。「Happy Birthday to You」の曲と共に、歌ってあげるから」
「あ、ああ。素敵な曲って、それか……」
「何?」
「い、いや。別に何でもないけど」

亜樹は十八歳になる優二のために、ピアノの演奏で祝ってあげるつもりだ。
彼女、そうと決めたらとことん頑張る人だが、人にはどう頑張っても無理だと言うこともある。
それを実感したのが、このピアノ演奏だった。



「啓子姉!もっと簡単に弾く方法は無いの?」
「そんなの無理よ。だって、優二君の誕生日、明日なんでしょ」
「だから言ってるのよ。啓子姉みたいにさらりと弾ける様になりたいのよ」
「たかが一週間の練習で、そんなに上手くなれるはずないじゃない。亜樹も私と同じように幼稚園の頃から練習していれば良かったのに」
「あの時はピアノなんて興味なかったのっ」
「今更ピアノが弾きたいなんて、無謀すぎるよ」
「うう〜」
「ずっと練習していれば、頭で考えなくても体が覚えているものよ」

啓子は話しながら、さらりと曲を弾いて見せた。
自転車に乗るのと同じように、体が覚えていることが良く分かる。

「だめかなぁ……」
「仕方ないんじゃない?明日は私もピアノ教室が休みだから付き合ってあげようか?私がピアノを弾いて、亜樹が歌ってあげたらいいんじゃない?」
「それじゃ意味無いもん。私がピアノを演奏してあげるって約束したんだから」
「なら諦めなよ。謝れば許してくれるでしょ」
「諦められないから相談してるんじゃないのっ!もうっ」
「ふふ、いつでも弾いてあげるからね」

部屋を出て行こうとする亜樹の後姿に、啓子は笑いながら話した。