普段とは違い、生徒の殆どいない構内を彼女達についていく二人。
体育館を横目に進むと、ドンドンとボールを弾ませる音が聞こえた。
この音の大きさは、きっとバスケットボールだろう。
興味を持った博和が体育館の壁に上半身をのめり込ませ、中を確認している。

(バスケの練習してるよ)
(へぇ〜、やっぱりバスケットボールの音だったのか)
(帰りに寄ってみないか?女子バスケのユニフォームもなかなか良かったぞ)
(そうだな。それだけの精神力があればそうするよ)
(そうだな。何たって俺達には怖いものが無いんだから)
(怖いものか。そうだなぁ……)
(何かあるのか?)
(とりあえず、幽体になっている間に自分の身体を殺されたりしたら嫌だよな)
(まあ……それはそうだけど。でも、そうなれば他人の身体で一生過ごすだけさ)
(お前って能天気だよな)
(志郎だってそうするだろ?)
(さあ、分からないな。俺は独り者だから大して気にしないけど、博和は妻子持ちなんだからちょっとくらいは気にしろよ。お前がいなくなったら悲しむだろ)
(……ま、まあ俺も死ぬ気は全く無いけどな。有紗や子供を誰かに取られるなんて思いたくもないし)
(怖いもの、あるじゃないか)
(そういう意味ではな。でも、幽体は銃で撃たれようが刀で切られようがへっちゃらだろ)
(たぶんな。試したことが無いから何とも言えないけど)
(大丈夫だって。物理的な攻撃は通じないんだから。壁をすり抜けられるのが証拠だろ)
(そうだな。それはおいといて、どうやら目的の場所に着いたみたいだぞ)
(えっ……あ、ああ。へぇ〜、そうだったのか)

二人がついて行った女子達は、広いグランドのベンチに集まった。
彼女達の前にも数人の女子が同じジャージを着て集まっている。
数えてみると、全部で十三人。大した数じゃない。
スポーツバッグから取り出しているのは、帽子や大きめのグローブ、スパイクなど。

(女子野球部か)
(いや、ソフトボール部だろ。あのボールを見てみろよ)
(あ、ほんとだ。確かにデカイな)

青いバケツが数個あり、その中には土で少し汚れたソフトボールがたくさん入っていた。
十二時五十分。
二人の女の子が現れて、合計十五人となった。
一年生らしき女子達がラインを引いたりベースを置いている。
その数、八人。
残りの七人はベンチの前で――。