病院の壁を通り越し、病室を串刺しにするように飛んで祐司の姿を探す。

「あっ!」

病室のある2階から探し始めて4階まで飛んだとき、やっと祐司がベッドで横になっている姿を発見した。
ちょっと狭い病室だけど、個室というのはラッキーなのかな?

「祐司っ!」

私は嬉しくなって祐司に話しかけた。
でも、祐司は私の存在に気づいていないようで、じっと天井を見ているだけだった。

「私に気づいてくれないんだ……」

それは先ほど、母親が気づかなかったときと同じ。
この幽体離脱した姿は誰にも見えないし、声も聞こえないんだ。
残念だけど、祐司の元気そうな姿を見れただけでも良かった。

コンコン

誰かがドアをノックした。

「はい」と祐司が返事をすると、扉を開いて若い女性の看護師が入ってきた。

「どう?腰は痛くない?」
「はい、大丈夫です」
「そう。それなら明日には退院できそうね」
「早く退院したいですよ」
「うふふ。じゃあ俯けになってくれる?腰に薬を塗ってあげるから」
「あ、はい」

看護師はそう言って、ベッドの上で祐司を俯けに寝かせた。
そしてパジャマを背中まで捲った後、パジャマのズボンとトランクスに手をかけて祐司のお尻を半分見せた。

「たくましい体ね。部活してるの?」
「はい、陸上を」
「ふ〜ん、どうりで。少し冷たいけど我慢してね」
「はい」

チューブ入りの薬を手に取り、祐司の背中に塗っている。
私はそれを見てちょっと腹が立ってしまった。
だって、馴れ馴れしく私の祐司に触っているんだもの。
しかも、その手つきが何だかいやらしくて。
祐司も気持ちよさそうな表情をしている。

「大丈夫?」
「はい、気持ちいいです」
「じゃあマッサージもしてあげる」
「えっ。あ、はい」

薬を塗り終わった後、祐司の腰に両手を当ててマッサージを始めた。
そんな事までしなくていいのにっ!
しかも、必要のない背中の上や、捲れたズボンの中に手を入れて太ももまで揉んでいる。

「や、止めなさいよっ!」

と叫んだところで二人には聞こえない。
ヤキモキしながら5分間。
ようやくマッサージが終わると、看護師はニコニコしながら部屋を出て行った。

「もうっ!いやらしいんだから。ねえ祐司」

私は届かない声で祐司に話しかけた。
祐司は仰向けになると、股間に手を添えて「ああ、気持ちよかった」と呟いた。
やだっ!
祐司のアレ、大きくなってる。
あの看護師のマッサージに感じちゃったんだ。

く、くやし〜っ!

祐司も祐司だよ。
私という彼女がいるのに、看護師のマッサージくらいで感じちゃって!
そりゃ、私よりも女性らしくてセクシーな感じだったけど――

祐司が元気なのが分かって良かったけど、こんなんじゃ気持ちが収まらない。

「あの看護師め〜っ」

私は何とかあの看護師に仕返しできないか考えた。
物に触れられたら幽霊のように悪戯できるんだけどな。
壁をすり抜けられるくらいだから物なんて掴めないし。

でもこのままじゃ納得いかないよっ。

そう思った私は、何か仕返しできないかと看護師の下へ飛んだ――









――それからしばらくして。

コンコン

私は祐司のいる病室の扉をノックした。

「はい」

祐司が返事をした。
私はその返事を聞いた後、ゆっくりと扉を開けて祐司の寝ているベッドのそばまで歩いた。

「どうしたんですか?」

祐司が私に話しかける。

「ダメじゃない。私以外の女性に……アレを大きくしちゃ」
「へっ?」
「祐司もエッチなんだから」
「えっ?えっ?」

戸惑う祐司が妙に可愛い。
まだ私だって気づいていない様子。

「そんなにマッサージが気持ちよかったの?」
「あっ、そ、それは……」
「心配したんだよ。祐司が軽トラックに轢かれたって聞いたから」
「えっ!?」
「私の家へ見舞いに来たせいで事故に遭ったんだから。私、心配で心配でっ」
「ちょ、ちょっと。何を言ってるんですか、看護師さんっ」
「看護師さんじゃないのっ!」
「へっ」
「……私、私だよ」
「わ、私って……えっ?」
「……新菜。廣川新菜なの」
「に、新菜?はい?」
「借りたの、この看護師の体を。クスッ!」

私はそう言ってぺロッと舌を出した。
私も信じられなかったけど、看護師の体に触れたらすっと私の体が溶け込んで、
自由に動かせるようになった。
最初はびっくりしたけど、この体なら祐司と話が出来るし、それに――

「ほ、ほんとに新菜なのか?」
「うん、そうだよ。さっき看護師が祐司の背中に薬を塗っている時には病室に来てたんだよ」
「ど、どこに?」
「あそこ」

私は病室の空中を指差した。

「あ、あそこって……」
「なんていうのかな。多分幽体離脱って言うのになって、魂みたいな感じで漂ってたんだ」
「ゆ、幽体離脱?」
「うん」
「そ、そうなんだ……すげぇな」
「私も信じられなかったけど……どういうわけか今の状況になってるの」
「へぇ〜」

祐司は看護師の姿でも私だと信じてくれている。
それがすごく嬉しかった。

「祐司……」
「な、何?」
「ねえ……」
「えっ」
「…………」
「……んん」

私は寝ている祐司の唇を看護師の唇で塞いだ。
茶色くて長い髪の毛が祐司の胸元に落ちている。
そんな状況でしばらく舌を絡めあった。

「……ふぅ。に、新菜。ま、まずいんじゃないか」
「何が?」
「だ、だって……今は……その、看護師さんの体だし……」
「……いいの。私の祐司に手を出したんだから、この体は私がしばらく自由に使わせてもらうの」
「そ、そんな事言ったってさ……」
「いや?この看護師の体じゃ」
「そ、そういうわけじゃないけど」
「だって……祐司のここ、すごくおっきくなってるじゃない」
「そ、それは……その……」
「いいよ。体は違っても、私だと思ってくれるなら。だから……しよっ」
「…………」
「私が舐めてあげる」
「ほ、ほんとにいいのか?こんな事して……うっ」
「んっ、んっ。んんっ」
「くっ……」

私はほっそりとした看護師の手でパジャマのズボンとトランクスをずらすと、そのままいきり立ったアレを咥え込んだ。
口の中でピクピクと震えてる。
祐司のアレは私だけのものだよっ。
だから私が慰めてあげる。

「んっ。はむっ、んっ、んふっ、んんんっ」

看護師の声を鼻に掛けると、祐司は私の頭を押さえて気持ちよさを伝えた。
だから私は更に喉元まで飲み込んで、そのまま上下に頭を動かした。
ブジュ、ブジュといやらしい口の音がなっている。
私が興奮すると、看護師の下半身が熱く火照ってきた。
私の感情に、素直に反応する体。
この看護師の体は、ほんとに私のものになっているんだ。

「や、やばいっ。もう出そうだっ」
「んっ、んんっ、ん、ん、んふっ、んっ、んんっ」
「くっ……でるっ!」
「んっ……んぐっ!んんん……んふっ……んっ。コクン、コクン」

苦い感じが口の中に広がる。
私はその感じを全て喉の奥に飲み込んだ。
そして粘々したアレを綺麗に舐め取ってあげた。

「はぁ、はぁ……す、すげぇ気持ちよかったよ」
「よかった。祐司が喜んでくれて」
「マジで新菜なんだよな。看護師の姿をしてるけどさ」
「うん。ねえ祐司。上に乗っても大丈夫?」
「えっ。あ、ああ。大丈夫だけど」
「……じゃあ、私が上で動いてあげる」
「そ、そんな事まで……」
「だって、この体が疼くんだもん。もう止められないよ」
「俺、看護師さんと……するんだ」
「体はそうだけど、心は私だよ」
「……あ、ああ」

私は看護師の股間を包んでいたパンティをスルスルと脱ぐと、わざとナース服をはだけさせて祐司の上にまたがった。
もちろんブラジャーも外して。

「大きいよね、この胸。私の胸より随分大きいよ」
「そ、そうだな」
「嬉しい?」
「べ、別に」
「いいよ。この胸を好きにしても」
「…………」
「じゃあ入れるね」
「……ああ」
「……んっ!」
「うっ……」
「んっ……うぅっ。は、入った」
「ああ。すげぇ暖かいよ」
「祐司のもすごく暖かいよ。腰は大丈夫?」
「ああ。全然大丈夫だ」
「動いても大丈夫かな?」
「多分大丈夫だと思う」
「出来るだけ祐司に負担が掛からないように動くからね」
「そんなに気を使わなくてもいいよ」
「うん。……んっ、あっ」
「はぁ、はぁ」

私は看護師の体をゆっくりと動かし始めた。
祐司のお腹にそっと手を当てて、両ひざをベッドに付いて祐司の体に負担が掛からないようにした。

「んっ、んっ、あっ、あっ、あっ」

自然と漏れる喘ぎ声。
いつもの私の声じゃなく、大人びた看護師の声。
私も大人になったらこんな艶のある声が出せるのかな?
そんな事を思いながら、体を上下に動かした。
他人の体を使ってのセックス。
自分の意思で動くのに、自分の体の感覚とは全然違う。
とても不思議な感じ。
自分の体よりもすごく感じることが出来る。もしかしたら、この看護師の体が
エッチなことに慣れているからなのかもしれない。

「あっ、やっ。す、すごく気持ちいいっ」
「お、俺も気持ちいいよ。はぁ、はぁ……」
「んっ、んっ。あっ、あんっ」
「そ、そんなに大きな声をだしたら……」
「だ、だって。勝手に声が出るんだもんっ。ああっ、はぁ。あんっ、あんっ」

蕩けるような気持ちよさ。
祐司の手が乳首に触れると、ビクビクって体が震えてしまう。
こんなに大きな胸なのに、すごく敏感。

「ああっ。祐司ぃ、祐司ぃ。気持ちよすぎるよぉ」
「か、看護師さんの声でそんなこと言われたらっ。へ、変に興奮するだろっ」
「いいよ。もっと興奮して。あっ、すごいっ。この体っ……感じすぎるよっ」
「はぁ、はぁ……うっ。はぁ、はぁっ……はぁ」
「んっ、んっ。いいっ!いいよぉ。わ、私……もうすぐイッちゃうかも。はあんっ」
「ああ。お、俺もまたイキそうだっ。い、一緒にイこうっ」
「うんっ。じゃ、じゃあ……もっと動くね……あっ、んっ、あっ、ああっあん」
「うっ、す、すごい締め付けだっ……くっ」
「だ、だめっ。まだイっちゃだめっ……い、いいっ、いいのっ!いいのっ」
「だって……そんなにしたら……や、やばいっ」
「あっ、あっ。イクッ、イクッ、イッちゃう!あっ、祐司っ!祐司っ」
「はあっ、はあっ……ダメだっ。もう出るっ!」
「わ、私も……もうっ!あっ、あっ、ああ……ああああ!」
「うっ……くうっ!」

私と祐司は、ほぼ同時に絶頂を迎えた。
ビュッ、ビュッとアソコに注ぎ込まれるのを感じることが出来る。
祐司のが――祐司のが私の中に――って。えっ!?

「だ、だめっ!これ、看護師の体なんだからっ!」
「えっ……だ、だって……」
「やだっ。祐司の子供が生まれちゃうっ!」

私は慌てて祐司の体から降りると、何度かジャンプして中から祐司の熱い液体を出そうとした。
ヌルッとした感触と共に、股間を押さえていた手に落ちてくる。
でも、まだ中に入っているだろう。

「どうしよう。祐司の子供が……」
「ちょっと来てみろよ」
「えっ」

私が祐司に近づくと、祐司はいきなり股間に指を入れ始めた。

「ちょ、ちょっと……あんっ」
「指で掻きだしてやるよ」
「そんな事じゃ……あっ、あっ……んんっ」

中指と薬指を根元まで入れて、中から掻き出す祐司。
その指が――多分Gスポットっていうところだと思うんだけど、そこに擦れて足がガクガクと震える。

「あっ。あんっ、んんっ!」
「かなり出てきたぞ。これくらいで大丈夫じゃないかな」
「んっ。お、奥まで入ってるから……んふっ。全部は出てないよ」
「それじゃあ洗ってくるしかないなぁ」
「……うん。ちょっと行ってくる」
「ああ」

私は身なりを整えると、パンティを穿かないまま近くのシャワー室に駆け込んだ。
そして震える体で、中まで綺麗に洗い流した――




「大丈夫だったかな?」
「分からないよ。多分大丈夫だと思うけど……」

その後、私は自分の体に戻ることが出来た。
そして祐司も無事退院し、数日後にはいつものように部活をはじめることが出来た。
気になるのはあの看護師のこと。
もしかしたら祐司の子供が出来ているかもしれない。
そう思っていたんだけど、数ヵ月後に病院の前を通ると、たまたま看護師が退院する患者を見送るところを発見した。
お腹が膨れていないところを見ると、きっと妊娠していないんだろう。
それが確認できた私はホッとした。

ただ、後から聞いた話では、更に数ヵ月後に病院を辞めたらしい。
それは結婚したからなのか、子供が出来たからなのかは分からなかった――
どうか祐司の子供が出来ていませんように。

おわり