私が戻ると、浩子達が昼食の準備をしているところだった。

「食べに行く?」
「うん」

もう一人の同僚はお弁当を持ってきているので、いつも浩子と二人で外に食べに行く。
浩子の準備が終わるのを待ち、二人で会社を出た。
高層ビルの窓ガラスに太陽の光が反射して余計にまぶしい。
対向2車線の道路には、トラックよりも乗用車がたくさん走っていた。
歩道の信号が青に変わると、人の束がゼブラゾーンを器用にすれ違ってゆく。

「今日は何にする?」
「私は何でもいいけど」
「そう。私、パスタな気分なんだけど」
「じゃあ……」

ということで、私たちはここから歩いて3分のところ、ランチメニューのあるパスタ屋に入った。
12時になってすぐ出たので、比較的空いている。
あと10分もすれば、きっと満席になるだろう。
二人で窓際の明るいテーブルの席に座り、ランチメニューを注文する。
私はシーフードパスタ。浩子はナポリタン。
パンとスープ、サラダがついて880円は安いと思っている。

「ねえ敬菜。さっきは何を考えていたの?」
「え?」
「仕事中よ、仕事中。与一君のこと?」
「あ、ああ。あれね」

本当のことは言えず、とりあえず適当な事を言ってごまかした。
与一が彼氏だということは浩子も知っている。
でも、与一に変身能力があることは少なくとも私の周りの人間は知らない。

「与一君、元気にしてる?」
「えっ、う、うん」
「あの様子じゃ、ほかに好きな人が出来たんじゃない?実はもう与一君とは別れたとか」
「そ、そんな事ないけどね……」

今ここにいるんだけど――とは言えないが、与一には聞こえているんだろう。
自分の存在を示すように、パンストに包まれた右足が勝手に動いて対面に座っている浩子の足を軽く突いた。

「え?」
「あ、ごめん。足当たっちゃった」
「ううん」

与一の仕業と気づかない浩子は、何食わぬ顔で話を続けている。
私の足は、勝手に組んだり蟹股に開いたり。
他人が見たら忙(せわ)しくて落ち着きがない女だと思われそう。
勝手に動くので、腕をテーブルにつけていないと不安定になる。
でも、こうやってふざけて足を動かしているだけならまだマシだ。

しばらくして、私たちの目の前にパスタが並んだ。

「じゃ、食べよっか」
「いただきます」

食べ始めると、与一のいやらしい悪戯が始まる。
お尻を撫でまわし、内ももを舐められる感触。
そして、生暖かい下半身、右足の親指がより一層生暖かくなった。
まるで口の中に含まれている感覚。
そのまま親指の腹を舌で舐められ、指と指の間をチロチロとはじかれる。
会話をしながら食べる私の手が緊張していた。
一本一本指を咥えられるたびに、ぞわぞわと寒気が走り、下腹部が熱くなるのを感じた。

ファッションや仕事、彼氏の話。
浩子はいろいろと話題を提供してくれるが、会話に集中できなかった。
楽しい会話に、なぜ緊張しなければならないのかと思いつつも、この状態がしばらく続く。
尚も悪戯を続ける与一は、タイトスカートの裾で制限される足をできるだけ開いた後、事もあろうか私の割れ目をグイッと開いてみせた。
窓際の席。
たまたま窓を背に向けて座っていたから大丈夫なものの、もし窓側を向いて足を開き、割れ目まで開かれていたことを考えるとたまったもんじゃない。
タイトスカートの暗闇で怪しく開く割れ目。
埋まり始めたテーブルの客に気づかれないか心配。

開いた割れ目の中を、いつ与一に触られるのだろう。
そう思うと、手を動かしてパスタを口にすることが出来なかった。

「どうしたの?もう食べないの?」
「えっ……そ、そうじゃないんだけど」
「今日の敬菜、何か変だよ。本当は何か心配事とかあるんじゃない?」
「あぁ。心配事じゃないんだけどね」

話している間も、ずっと足が開いて割れ目も開かれっぱなし。
そのうち、タイトスカートの裾がジワジワとずり上がってきて、足を開く角度が大きくなってきた。

ハシタナイ――

私は足に力を入れて閉じようとした。
いや、最初からずっとしているのだが、与一の力が私よりも上回っているので閉じられない。
これ以上はまずいと思った私は、椅子に座りなおすフリをして両手も加えて足を閉じようとお尻を上げた――のだが、逆に思い切り足を開かされてしまった。
完全にタイトスカートがずり上がって、足の付け根まで捲れている。
おかげで隠れていた股間が私からでも見える状態。
陰毛が、そして割れ目が思い切り左右に開かれている。

「やんっ!」
「えっ?」
「あっ……ううん。な、何でもない」

誰かに見られたら!?
白いテーブルクロスのおかげで、かろうじて周りに座っている客達からは見えなさそうだ。
でも、少しかがんで覗き込まれたら――
もう鼓動は高鳴りっぱなし。
お願いだから早くこの足を閉じさせてっ!

「下に何かあるの?」
「えっ!?」

私が俯いてばかりなので、浩子も気になったようだ。
体を横に倒してテーブルの下を覗き込もうとしている。

「あっ!だ、大丈夫だから」

ダ、ダメっ!
今覗かれたら、私のはしたない姿を見られてしまう。

「ひ、浩子っ」

私の問いかけに返事をしなかった浩子の頭が、テーブルの下へと消えていった。

もうダメっ!

私はとっさに両手で股間を隠した。
すると、両手を挟み込むように両足がギュッと閉じた。

「何してるの?」
「えっ……あ、だ、だから」

顔を上げた浩子が首をかしげている。

「か、痒いの?」
「そ、そうじゃない……けど……ちょ、ちょっと痛くて」

タジタジになりながら、急いで捲れあがったタイトスカートを元に戻した。
股間に触れた指がすごく濡れている。
午前中に乳首を弄られていたこともあるが、こうやって変態的な痴態をさせられたことで妙な快感が増幅してしまった。
はっきり言って私、体が疼いてる。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか――与一はとうとう私の股間を弄り始めた。
少し足を開かされると、割れ目の中にパンストの生地がめり込んでゆく。
十分に充血したクリトリスの皮を剥かれ、舌のような感覚でチロチロ舐め始めると体中に電気が走った。

「っ……は、はぁ」
「敬菜、大丈夫?」
「ぁっ、んっ……ご、ごめん。ちょっとトイレ」
「う、うん」

やだっ、浩子の前でっ。

私は急いで立ち上がると、近くにある女子トイレの扉を開いた。
そして、中に2つ並んでいる小さな個室に駆け込んだ。