私は野球部の部室が見える校舎の影まで歩いていくと、そっと部室の様子を伺った。
野球部の生徒が数人のグループを作って部室から出て行くところ。
もう晶君は部室から出てしまったかもしれない。

チャララチャララ♪

ドキドキしながらそんな事を思っていると、英莉香のカバンから携帯の着信音が鳴り始めた。
他人のカバンを開けるなんて初めてだけど、今はお互い様。
ジッパーを開き、明るく光る携帯の画面を見ると、「あっきー」という名前が表示されていた。
これはきっと晶君のことだろう。
私に話すときは『晶』って呼んでるけど、本人にはあっきーと呼んでいるんだろうか?
兎に角、通話ボタンを押して耳に当てた。

「英莉香?」
「えっ……あ、う……うん」
「今何処?」
「あ、あの……」
「俺さ。今プールの横にあるシャワー室でシャワー浴びたとこ。教室にいるのか?」
「あ……えっ?教室?」
「じゃなかったっけ?お前の教室で落ち合うって言わなかった?」
「えっ……あ、う、うん」
「どうしたんだ?」
「う、ううん。何でもない……けど」
「……そっか。じゃあすぐに行くから」
「……うん」

電話を終えた私は、震える手で携帯をカバンに戻した。
話がよく分からかったけど、きっと英莉香が約束していたという事だろう。
英莉香ったら、そういう風に約束してたって教えてくれればよかったのに。
忘れていたのかもしれないけど――晶君を目の前にして、英莉香の様に振舞えるだろうか?
そして、英莉香の様に積極的になれるのだろうか?

晶君の目には、私が映らない。
私を見る目は、英莉香を見る目。
私が晶君に話しているのではなく、英莉香が話している。
英莉香になった私を、歩美だと思うことは100%ないはず。

そして、英莉香が協力してくれたこのチャンス。
だから私は英莉香として晶君と接する。
そう心に刻んで、緊張を自信に変えてゆく。
私は英莉香。
だから……晶君は私のものなんだ。
自分に暗示をかけるように――そこまで思いこんだ私は、英莉香のカバンを握り締めると誰もいない教室に戻った。
外から見えないように教室のカーテンを閉め、電気をつける。
すると、ちょうどそのタイミングで晶君が現れた。

「よお!待った?」
「……ううん。全然」
「さっき電話した時は誰かいたのか?お前らしくなかったから」
「……ごめんね。歩美と話していたところだったの」
「へぇ〜」
「もう帰ったけどね」

晶君が誰かの机の上にカバンを置いて、別の机に腰を下ろした。
その仕草が結構かっこよくて――
今の私なら――英莉香の姿なら大胆になれる。

「ねえ。あっきー」
「ん?」
「……しよっか」
「……今すぐにか?」
「いや?」
「いやじゃない。俺、そういう積極的な英莉香が大好きだ」
「うん……」

やっぱり晶君は私の事を英莉香だと思い込んでいる。
そしてドキドキする鼓動も悟られていない。
もう後戻りはできない。
こうなったら英莉香の体を使って私のしたいように――


手が震えているのが分かってしまうかもしれない。
そう思いながらも平静を装いつつ、晶君のズボンとトランクスを脱がした。
生で見るのは初めて。
徐々に大きくなりつつあるチ○ポは、少し黒ずんでいてグロテスクに見えた。

「なあ英莉香」
「な、何?」
「お前も服を脱げよ」
「えっ……い、いいわよ」

男子生徒の下半身を自らの手で露にしただけでも精一杯の行動。
なのに、英莉香の体とはいえ目の前にいる晶君に裸を見せる!?
大丈夫、やれると思っていたけれど、やっぱり私の本心が拒否している。

「どうした?顔が引きつってるぞ」
「あっ……」
「何だかよそよそしいな。何かあったのか?」
「う、ううん。何もないわよ。ちょ、ちょっと考え事してただけ」
「こんな時に考え事?」
「だ、だから何でもないっ」

ま、まずい――
ばれるかもしれない!?

ばれたらどうなるんだろう。
英莉香も私も嫌われるだろうか?
それとも変人扱いされるかも?

晶君にばれたら――最悪の状況を考えると、顔が青ざめそう。
このままじゃダメ!
ばれるのは絶対にまずい!
焦る気持ちが恥ずかしさを追い抜いた。

セーラー服を、ブラジャーごと競り上げて英莉香の胸をさらけ出す。
そして、ニヤリと笑顔を作って晶君のチ○ポをギュッと握り締めた。

「イタッ!」
「あっ。ご、ごめんなさい」
「そんなにきつく握らなくても」
「う、うん」

私が蓄えた知識を総動員。
晶君が気持ちいいようにしごいてあげる。
晶君は私がしごいている手と、さらけ出された胸を見ながら気持ちよさそうな表情をしていた。

「あ……いいよ。もう少し早くしごいてくれ」
「うん」

私の――手コキを喜んでいる。
きっと英莉香もこうやってしてあげているに違いない。
更には――

「うっ……」
「んっ……んふっ」

私は晶君の前で膝を付くと、英莉香の口を使ってフェラチオしてあげた。
目を細めて私のフェラチオを見ている晶君。
私、こんなに大胆になれるんだ。
もっと晶君を喜ばせたい。
そんな気持ちすら感じるようになってきた。

「す、すごいよ英莉香……はぁ、うくっ」
「ん、ん、ん……ねえ、気持ちいい?」
「あ、ああ。すげぇ気持ちいい」
「良かった!はむっ……んっ、んっ、んっ」

顔の横にある晶君の太ももがピクン、ピクンと震えている。
これって、きっと気持ちいいという証拠だ。
歯を立てないように喉の奥まで飲み込んで口の中、全体で慰めてあげる。
舌を硬くしてチ○ポの先やカリ首を刺激してあげる。
その度に晶君は「あっ……あっ」となよなよした声を上げていた。
晶君もこんな表情をして、こんな声を出すんだ。

英莉香の体もすごく感じている。
触られてもいないのに乳首が勃起して、パンティの生地がヌルヌルとしているのが分かる。
英莉香の体がいやらしいのか、私が興奮しすぎているのか――

晶君の手が、フェラチオしている私の――英莉香の胸を優しく撫で始めた。
時には乳首をコリコリとつまんで、この体を身震いさせる。
その気持ちよさにフェラチオが疎かになると、

「口が止まってるよ」

と指摘される。
こんな状況が数分続いただろうか?
私はもう時間の感覚が分からなくなっていた。
長いようで短い時間。

晶君が私を優しく引き離すと、スカートに手を掛け、そしてすっかり湿り気を帯びたパンティを脱がせた。
いやらしく糸を引いた股間を見て、

「今日はすごく感じてるんだな」

なんていうから、私は真っ赤になってしまった。
そんな私を机に伏せさせると、後ろからお尻に手を宛がった。

「いくよ」

晶君が私の――英莉香のアソコにいきり立ったチ○ポをヌルリとめり込ませた。

「んああっ!」

思わず大きな声で喘いだ私。
それが嬉しかったのか、晶君は勢いよく腰を降り始めた。
セックスの経験のない私は、いきなり襲われた感覚にどうしていいのか分からなかった。

あまりに――あまりに気持ちよすぎる!

膣に入れられるのがこんなに温かくて気持ちいいなんて。
そして切ない。
英莉香の体は私に女性の喜びを教えてくれた。

「あっ!ああっ。はあんっ!あ、ああっ」
「はっ、はっ、そんなに気持ちがいいのか?」
「い、いいよぉ。すごく……あっ、いぃ〜っ」
「じゃあもっと気持ちよくしてやるよ」
「えっ……あっ!あっ!んああっ!」

グリグリと子宮口まで届くチ○ポ。
そんなに膣の中で暴れまわらないで!
そう思いたくなるくらいの刺激だった。
足がガクガクが止まらない。

快感が快感を呼んで、更に大きな快感へと膨れ上がってゆく。
晶君は私の体を起すと、胸をつかみながら腰を振った。
乳首から痺れるような快感、膣からは体全体を包み込むような大きな快感。
私は晶君に成すがままにされ、最後の時を迎えた。

一際大きな快感が英莉香の体から押し寄せてくる。
そして、次の瞬間――

「んああああっ!」
「ううっ!」

その強烈な快感の渦に、私は気を失った――









「どうだった?」
「う、うん……」
「晶ってすごく上手いでしょ」
「……うん」
「もっとセックスしたいって思ったんじゃない?」
「そ、そんな事……ないよ」
「嘘ばっかり。しっかり顔に書いてるよ」
「えっ!」
「……なんてね。私も色々買わせて貰ったから助かっちゃった」
「う、うん」


――私はあの後、数回のセックスを経験して晶君といる時間を楽しんだ。
そしてすっかり日も暮れた6時過ぎ、楽しい時間を惜しみながら家路につく事にした。

英莉香の家に帰り、英莉香の様に振舞って過ごした夜が終わり――


次の日の朝。
私達は元の体に戻った。
その時は、何故か自分の体に戻りたいと思わなかった。
何故だろう――そんな事、考えなくても分かっている。
まだまだ英莉香の体で晶君とセックスしたいと思っているから。
そして、晶君と恋人同士でいたいと思っているから。

でも、英莉香は私の体になって自分の好きな物を買ったから満足しているみたいだった。

また好きな物を買っていいよって言ったら、体を交換してくれるかな?
そんな事を本気で考える私って――すごくエッチな女の子なのかもしれない。




――というか、実は私の知らないところで――




「どうだった?歩美のか・ら・だ!」
「まあ、なんていうか男の体とは随分と違うもんだな」
「そりゃそうよ。気持ちいいでしょ!」
「全然違うよな。男と女の快感ってさ」
「約束守ってくれたよね」
「ああ。ちゃんと処女のままだ。お前が欲しがっていた物だって代わりに買ってきてやっただろ」
「さすがに処女を奪っちゃったらまずいもんね」
「それより俺の体はどうだった?お前に成りすました歩美ちゃんを相手にセックスしたんだろ?」
「うん!私もビックリだよ。あっきーってあんな風に感じるんだ」
「でも、自分の体のほうが気持ちいいだろ」
「そりゃ女の快感に比べたらね。でも、歩美ったら大胆なんだもん。それにもビックリしちゃった。まさかほんとに手コキやフェラするなんて思わなかったよ」
「結局、歩美ちゃんに本当の事を言わなかったのか?」
「うん。ずっとあっきーのフリをしてたよ。その方が歩美も嬉しいだろうし」
「でもさ、事実を知ったらビックリするだろうな。実はあの後、もう一つある人形を使って俺達も体を入れ替えていたなんて」
「だよね。きっと歩美は、また私と体を交換したいって言ってくると思うよ。だってすごく感じまくってたし、元に戻る時も何となく躊躇してたから」
「じゃあ、また俺も歩美ちゃんの体になれるかもしれないな」
「そうね」
「今度歩美ちゃんの体になるときは、処女じゃなくなってたらいいんだけどなぁ」
「なら、私の体を試してみる?」
「だからそれは嫌だって何度も言ってるだろ。俺は付き合ってる女の体になんてなりたくないんだよ」
「変なこだわりなんだから……」
「いいだろ別に」


――ううっ。私って、もしかして利用されていただけかも。


おわり