「絶対に子供が出来るな」
危ない日というのは、俊子の記憶から読み出した内容だ。
生理の周期を管理している俊子だったから、きっと当たっているのだろう。
「まあいいか。俺が生むわけじゃないしな」
そう呟きながら、バイト先の会社の自動ドアをくぐった俊子。
ガラス張りの明るいスペース、受付にはこの会社の制服を着た綺麗な女性が二人座っている。
「おはようございます」
「おはようございます」
受付の女性に挨拶をすると、笑顔で返事が返って来る。
「あの、聞いてくださいよ。さっきの電車で痴漢に会っちゃって、中出しされたんです。まだ痴漢の精子が膣に入ったままなんですよ。酷いと思いません?」
そんな事を受付の女性に話した俊子。
受付の女性は、お互いに顔を見合わせてどういう返答をすれば良いのか困っている様子。
「子供が出来たら、一緒に祝ってくださいね」
「…………」
俊子はニコッと笑うと、2階にあるオフィスへと歩いていった。
「おはようございます」
「おはよう、俊子ちゃん」
俊子に返事を返してきたのは、いつも俊子に仕事を依頼している「水谷 夏子」だ。
年上だが、俊子とはほとんど変わらないはず。
少しグレーがかったストレートの短い髪に、少しだけお姉さんの雰囲気を漂わせている顔立ち。
青いベストとタイトスカート。
そして白い半袖ブラウスには赤いリボンが付いている。
それがこの会社の制服だった。
「今日はこのデータを入力してくれる?」
「あ、はい。いいですよ、水谷さん。このパソコンを使っていいですよね」
「ええ、いいわよ」
男は、普段俊子が取っている言動を利用して夏子に返答した。
「そんなに多くないと思うんだけど」
「はい……あ、水谷さん?」
「何?」
「仕事の前に、少しだけ二人で相談させて欲しい事があるんですけど、時間は取れませんか?」
「今?」
「……は、はい」
珍しく相談に乗って欲しいという俊子の頼み。
午前中に特許関係の書類を整理しなければならない夏子は、ちょっと時間をみながら考えていた。
でも、「……そうね、少しくらいなら時間が取れるから、今から話を聞こうかしら」
と言って、俊子の……いや、男の頼みを受け入れたのだった。
(へへっ。これで俺が自由に使える金が出来るってもんだぜ)
どうやら男は、夏子の体に乗り移って特許関係の情報を手にし、それを売って自由に使える金を手に入れるつもりらしい。
そんな事を知るよしもない夏子は、俊子という人間を信頼し、まだ使われていない小会議室に俊子を招きいれたのだった――
危ない日というのは、俊子の記憶から読み出した内容だ。
生理の周期を管理している俊子だったから、きっと当たっているのだろう。
「まあいいか。俺が生むわけじゃないしな」
そう呟きながら、バイト先の会社の自動ドアをくぐった俊子。
ガラス張りの明るいスペース、受付にはこの会社の制服を着た綺麗な女性が二人座っている。
「おはようございます」
「おはようございます」
受付の女性に挨拶をすると、笑顔で返事が返って来る。
「あの、聞いてくださいよ。さっきの電車で痴漢に会っちゃって、中出しされたんです。まだ痴漢の精子が膣に入ったままなんですよ。酷いと思いません?」
そんな事を受付の女性に話した俊子。
受付の女性は、お互いに顔を見合わせてどういう返答をすれば良いのか困っている様子。
「子供が出来たら、一緒に祝ってくださいね」
「…………」
俊子はニコッと笑うと、2階にあるオフィスへと歩いていった。
「おはようございます」
「おはよう、俊子ちゃん」
俊子に返事を返してきたのは、いつも俊子に仕事を依頼している「水谷 夏子」だ。
年上だが、俊子とはほとんど変わらないはず。
少しグレーがかったストレートの短い髪に、少しだけお姉さんの雰囲気を漂わせている顔立ち。
青いベストとタイトスカート。
そして白い半袖ブラウスには赤いリボンが付いている。
それがこの会社の制服だった。
「今日はこのデータを入力してくれる?」
「あ、はい。いいですよ、水谷さん。このパソコンを使っていいですよね」
「ええ、いいわよ」
男は、普段俊子が取っている言動を利用して夏子に返答した。
「そんなに多くないと思うんだけど」
「はい……あ、水谷さん?」
「何?」
「仕事の前に、少しだけ二人で相談させて欲しい事があるんですけど、時間は取れませんか?」
「今?」
「……は、はい」
珍しく相談に乗って欲しいという俊子の頼み。
午前中に特許関係の書類を整理しなければならない夏子は、ちょっと時間をみながら考えていた。
でも、「……そうね、少しくらいなら時間が取れるから、今から話を聞こうかしら」
と言って、俊子の……いや、男の頼みを受け入れたのだった。
(へへっ。これで俺が自由に使える金が出来るってもんだぜ)
どうやら男は、夏子の体に乗り移って特許関係の情報を手にし、それを売って自由に使える金を手に入れるつもりらしい。
そんな事を知るよしもない夏子は、俊子という人間を信頼し、まだ使われていない小会議室に俊子を招きいれたのだった――