Ts・TS

主にTSFを取り扱った創作物と、
個人的な日記を掲載しています。
創作物は
フィクションです。

その後

その後(最終話)

PiPiPi――


「あ、電話。同僚の純一からだわ。出てもいい?」
「あ、ああ」
「ちょっと待ってね」

和馬はテーブルに置いていた携帯を手にすると、通話ボタンを押して話し始めた。
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その後(その5)

しばらくして――。

アイスコーヒーの氷が溶け終わった頃、景子はゆっくりと目を開けた。

「はぁ。もう決めたんだろ。その決心は変わらないって事か」

和馬は無言でこくんと頷いた。

「……それでさ、景子が結婚したいっていう彼女はどんな人なんだ?」
「…………」

無言でかばんから携帯電話を取り出した和馬は、ディスプレイに映っている画像を見せた。
そこには、見たことのあるテーマパークの白いお城を背景に、楽しそうに笑っている二人がいた。

「えっ!この人って……も、もしかして!?」
「そうよ」
「まさか……付き合っていたのか?」
「……ええ。学校を卒業してからね」
「嘘だろっ。俺の初恋……片思いだった人と付き合っていたなんて……」
「ごめんね。でも最初は付き合うって感じじゃなかった。元々、寛子と私は親友だったでしょ。体は和馬になってしまったけど、私自身は寛子と友達でいたかったの。だから私から寛子に積極的に話しかけたわ。寛子は和馬になっている私を嫌がらなかったのよ」
「じゃ、じゃあもしかして俺が自分の体のときに、付き合って欲しいって告白すれば……」
「寛子は付き合っていたと思うよ」
「そ、そうだったんだ……。そりゃさ、あの時、景子の体になって寛子と色々と話せたのは嬉しかったけど……ますます気が重くなってきた」
「そんな事言わないで」
「別に景子を責めているんじゃないよ。俺自身、大事な人生の分岐点で何度も間違えていたと思ってさ」
「私と入れ替わってしまった事を後悔しているの?」

和馬は景子の言葉に表情を曇らせた。

「後悔じゃなくて……あれは事故だったんだし。景子だって本当は自分の体で一生を過ごしたかっただろ?」
「……最初はそう思っていたわ。でも今は自分の体に執着していないの」
「……一生、俺の体でも構わないって事か」
「私の体、そんなに嫌?」
「そうじゃないんだ。俺さ、いつか自分の体に戻れるんじゃないかって淡い期待をしていたんだ。だから、もし景子が自分の体に戻ったときに嫌な思いをしないように、こうやって景子の体を綺麗に保っていた……」
「和馬……」
「でも、景子が寛子と結婚してしまうのなら……景子が俺の体で一生過ごしたいというならその必要も無くなったって事だな」
「…………」
「はぁ〜……そっか。でもさ、これで良かったのかもしれないな」
「えっ」
「だってさ。いつか戻れるかもしれないって思いながら結局戻れなくて後悔するよりも、景子のように割り切ってしまえば精神的に楽かもしれないし」
「わ、割り切ってというか……その……」
「おめでとう、景子」
「あ……」
「俺の体、一生景子が使ってくれ。そして寛子を幸せにしてやってくれよな」
「か、和馬……」
「その代わり、景子の体は俺が自由に使わせてもらうからな」
「…………」
「実はさ。景子の体、まだ男を一人も知らないんだ」
「……うそ?」
「ほんとだって。嫌だろ?元に戻った時に、すでに男を知っていたなんて」
「そ、そんな気を使ってくれてたんだ……。ご、ごめんね。和馬」
「いいよ、そんなに申し訳なさそうな顔しなくても」
「そ、そうじゃなくて……」
「そうじゃなくて?」
「わ、私……和馬の体で……子供、作っちゃった」
「……へ?」
「あの……。寛子のお腹には私の……和馬の赤ちゃんがいるの」
「……ええ〜っ!」
「さっき、お父さんが禁煙したって言ったでしょ。あれ、妊娠した寛子が家に遊びに来るときに煙草の煙は良くないだろうって、自主的に禁煙してくれたのよ」
「……そ、そうか。結婚する前に出来ちゃったのか。そういうオチだったんだ。ははは……」
「私、幸せよ。和馬の家族と、私が作った家族で過ごせるんだもの」
「それは良かったな。うんうん、俺も何だか幸せな気分になってきたよ」

景子は椅子から転げ落ちそうになりながら眉毛をピクピクと震わせ、ぎこちない笑顔を作っていた。

その後(その4)

「それにしても私の体、スタイルいいわよね」
「だろ。このスタイルを維持するのって結構大変なんだ」
「高校のときは、結構好きなもの食べてたのにね」
「入れ替わった後、ストレスで五キロくらいは痩せたよな。景子の両親も随分心配してたっけ」
「頬が痩けて……いつ倒れてしまうかもしれないって思ったもの。見ていてちょっと辛かったな」
「ああ。でも、景子はそれほどでも無かったよなぁ」
「うん。こういう時は女性の方が精神的に強いのかも」
「そうだな」

トイレから戻ってきた後、二人はまた雑談を始めていた。
色々と話したいことがたくさんあるのだが、そろそろ肝心な話がしたいと思った和馬の姿をした景子は、少し間を置いた後、話を切り出した。

「あの、和馬」
「ん?」
「実はね、今日来てもらったのは和馬に知らせなければならない事があったの」
「だと思ったよ。そうでもなければわざわざ会いたいなんて言わないもんな」
「そんな事無いけど、大事な話なの」
「うん、聞くよ」

真剣な顔つきにで話すものだから、景子も一旦腰を浮かせて座りなおした。

「で、どんな話なんだ?」

景子は両手を太ももの上に置いて、じっと和馬を見つめた。

「和馬は……好きな人、出来た?」
「俺?」
「うん」
「そ、そうだな。好きな人って言っても、男を好きになれるほど女性には成り切れていないからな。近づいてくる男は結構いるけど」
「そ、そうなんだ」
「女子短大に行っていた頃に知り合った女性がいてさ。結構男勝りなところがあるんだ。彼女なら気兼ねなく話せるから、親友としての付き合いはあるけど」
「そっか。やっぱり体が私でも、精神は和馬だから好きになるのは女性だよね」
「その内、男を好きになれるかもしれないけど、今は全然考えられないな。でもどうしてそんな事を聞くんだ?」

和馬はその質問にごくりと唾を飲み込むと、拳をギュッと握り締めて口を開いた。

「え、ええ。じ、実はね……私、結婚する事にしたの」
「……け、結婚……って?」
「うん。好きな女性と結婚する事にしたのよ」
「す、好きな女性!?だ、だってさ。いくら俺の体だからって……女性を好きに!?」
「……お、おかしいよね。私の感覚って」
「お、おかしいとかそういう問題じゃなくって……け、結婚!?」

体は異性でも、まさか同姓を好きになって……しかも結婚まで決意するなんて。
景子は思わず身を乗り出していた。

「色々あったんだけど、ずっと付き合っていると彼女が愛しくなってきたの。彼女も私の事を愛してくれているの」
「そ、そりゃ外見は俺なんだから、彼女は男と付き合っていると思っているだろっ」
「そうね」
「彼女には何も言っていないのか?」
「ええ。話していないわ」
「気づかれたらどうするんだよ?」
「だから、結婚してからも気づかれない様にやっていくつもりよ」
「彼女、実は中身が女だと分かったら悲しむんじゃないか?騙されたと思って」
「……大丈夫。私、和馬として……男としてやっていけるわ」
「……し、信じられないよ……」

深く腰を下ろした景子は、大きくため息をついた。
予想通りのリアクションだったのだろうか。
和馬は落胆した景子に、「ごめんね」と誤った。

「別に俺に対して謝ってもらわなくてもいいんだけどさ……」
「うん……」
「それにしても……。そうか……」

言葉が続かないようで、景子は上を向いたまま目を閉じてじっと考えている。
和馬もあえて話しかけないようにしていた。

その後(その3)

――あれは高校二年の夏休み。
クラスメイトというだけで、お互いに友達という感覚は無かった。
そんな二人が偶然交通事故に遭遇して――。
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その後(その2)

「ねえ和馬」
「んん?」
「お互いの言葉で話さない?」
「……そうだな。周りには誰もいないし」
「慣れてはいるけど、人と話す時は自分の言葉をずっと押し殺しているから」
「だよな。こういうチャンスはなかなか無いからな」

随分離れたところにウェイトレスが立っている。
客は入口近くのテーブルに座っているおばさんが二人だけで、二人の会話が届く範囲に人はいない。
二人はグラスをテーブルに置いた後、互いの顔を見合った。

「いざしゃべろうと思っても、何だか改まった感じで変よね」
「ああ。でも折角の機会だし」
「そうよね。それじゃあ私から話すわ。えっと……お袋は元気にしているか?親父は相変わらず酒ばかり飲んでいるのか?」

景子と入れ替わってしまった和馬は、ためらいながらも自分の口調で両親についての質問を投げかけた。

「ええ、元気よ。今はもう私の事、すっかり『和馬』だと思い込んでいるの。お父さんは禁酒したのよ」

その体格から考えると非常にミスマッチな口調で返答した和馬。
男性の体で女性の口調は他人から見ると違和感を覚えるが、和馬の体になってしまった景子からすれば、それが正しいのだ。

和馬の口から父親が禁酒したという事を聞かされた景子は、目を丸くして驚いていた。

「禁酒?嘘だろ。タバゴ漬けの親父が禁酒なんかできるわけない」
「ううん。三ヶ月くらい前からだけど、一本も吸っていないの」
「へぇ〜、信じられないな。親父にしては頑張ったってところか」

華奢な体で男らしく腕組みをながら感心する景子に、和馬は「禁酒した事には理由があるんだけどね」と付け加えた。

「理由?どんな?」
「……それは後から話すわ。それより私の両親は?特にお母さんは元気にしてる?」

和馬の顔に似合わない、心配そうな表情に景子は笑いかけた。

「ぜ〜んぜん大丈夫。二人とも元気さ。ついでに弟の将冶もな」
「そ、そう。それなら良かったわ」
「俺の事、みんな『景子』だと思って疑わないよ」
「やっぱり誰も気づかないのね。私達が入れ替わってしまった事」
「ああ。最初は大変だったけどな」
「ええ。ほんと、大変だったわね……」

二人は六年前に起きた出来事を思い浮かべていた。

その後(その1)

ランチタイムを過ぎた人気の少ないファミリーレストラン。
外は快晴で心地よい風が吹いているのだが、店内には強い日差ししか差し込んでこないため、大きなガラス窓には水色のカーテンが下ろされていた。
店の奥にある禁煙席に座っているのは紺色のリクルートスーツに身を包んだ若い男性。
二十代前半だろうか。黒い短髪が爽やかな印象を感じさせた。
アイスコーヒーのグラスが汗をかいているところを見ると、結構前から座っているようだ。
誰かと待ち合わせをしている感じだが、いらだっている様子もなく、ただカーテンの隙間から見える窓の外をじっと眺めているだけだった。
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