Ts・TS

主にTSFを取り扱った創作物と、
個人的な日記を掲載しています。
掲載している作品は
フィクションです。
実在の人物や団体などとは
関係ありません。

二人で行こう!

二人で行こう!(その21)……最終話

「俺達って、本当に無責任だよな」
「今更何言ってんだよ。憑依している時点ですでに無責任だろ」
「まあ……そうだけど。志郎って憑依する事になると冷静って言うかしっかりしてるって言うか……」
「……そうかな」

幽体となった二人は、校舎の屋上から少し高いところにフワフワと漂っていた。
遠くに見える太陽が少しだけ紅くなり始めている。

「なあ志郎、これからどうする?」
「どうしたい?」
「有紗が帰ってくるまで、もう少しだけ時間があるんだけどな」
「かと言って、楽しんでいるほどの時間はない?」
「微妙なところだな。有紗が帰ってきて、魂の抜け出た俺の姿を見たらさぞ驚くだろうから」
「だろうな。俺も人の事は言えないか」
「夕食を食べて来いって言っておけばよかったなぁ」
「まあ、今日はしっかり楽しめたことだし、この辺で十分じゃないか?」
「そうだな……」

博和は少し物足りなさそうな表情だった。

「戻るか」
「ああ。でもさ、志郎。次はどうする?」
「それは戻りながら考えようぜ」
「……そうするか」
「まだ一時間くらいはあるだろ。考える時間としては十分だ」
「ああ」

志郎の幽体の後を付いてゆく博和は、頭の中で次の機会がいつになるか考えていた――。




「さて、さっきの続きだけど、どうしたい?」
「そうだな。飛びながら色々考えたんだけど」

志郎はグラスに入ったオレンジジュースをストローで掻き回した。
それを見ている博和は少し落ち着かない表情。

「どうしたんだよ。ソワソワして」
「だ、だってさ。い、いいのか?」
「俺が目の前にいるんだから。それに今日の朝、すでに憑依しただろ」
「そりゃそうだけど……。人前で裕香ちゃんの身体に憑依しているのはちょっと……」

志郎の目の前には、妹の裕香が座っていた。
そして、博和の目の前には裕香の友達である、河東早苗の姿があった。
お互いの家の近くで話そうと思っていたのだが、眼下に裕香と早苗の姿を見つけたのだ。
折角だから、幽体で話すよりも裕香たちの身体を使って話すほうがいい。
そう思った志郎が、博和を裕香の身体に憑依させ、自分は友達の早苗の身体に憑依したのだった。

「次の休みがいつ取れるか……だよな」
「そうだな。でも、出来るだけ早く取りたい」
「今度はどんな女性に憑依したい?」

早苗が身を乗り出すようにして話しかけてくる。
テーブルの上に、長袖Tシャツに包まれている自慢げな胸を乗せて。

「う〜ん。今度は俺も女子高生じゃなくて大人の女性に憑依したいな」

裕香はテーブルの上で指を絡めながら答えた。

ここは駅から少し離れたところにある喫茶店。
周りのテーブルには客が数人座っている。
二人の会話を気に止める人はいなかったのだが……。

「そうか。大人の女性ねぇ……」
「今日は指マンだけだったからさ。今度は男のアレを入れてみたいんだ」
「俺は手首まで突っ込まれたから十分満足したけどさ」
「あれはほんとに興奮したよな。裕香ちゃんの手なのに、まだあの感覚が残っているような気がするよ」
「幽体が感覚を覚えているのかもしれないな」

さすがにこれだけ濃い話をすると、聞き耳を立てる客もいる。
しかし、二人は特に気にすることもなく会話を進めた。

「でもさ、それなら俺が女性に憑依する必要がなくなるよな」
「そんな事ないさ。適当な男を捕まえて三人でプレイすればいいだけなんだから」
「まあ、そうだけどさ。知らない男にぶち込まれるってのもなあ」
「志郎はそういうの、気にするのか?」
「う〜ん……。嫌じゃないけどさ」
「俺は気にしない。例えばあそこに座っている男にぶち込まれても構わないし」
「さすが博和だな。俺はやっぱり……」

ふと隣のテーブルに座っている女性二人を見ると、どちらの女性も赤面しているようだった。
どうやら志郎たちの会話を聞いて、恥ずかしくなったようだ。

「ゴホン!まあ、今度二人とも休めるチャンスがあるまでに考えればいいか」
「そうだな。じっくりと考えたほうが、より憑依を楽しめそうだし」
「色々なタイプの女性がいるしさ。俺も考えておくよ」
「ああ。さて、どうする?そろそろ抜け出るか?」
「少しこの身体で歩いてからにしようぜ」
「……了解!」

裕香が笑いながら早苗に敬礼した。
そして二人は喫茶店を出ると、沈み始めた紅い太陽を背に歩いた。
裕香と早苗の身体のまま――。



あとがき
これで二人で行こう!は一段落。
二人が女性に憑依してエッチするという目的を達成できて良かった良かった!
まあ、レズセックスとはいきませんでしたが(^^;
また気力と時間が出来たら新たな展開を書きたいと思います。
最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。
Tiraでした。

二人で行こう!(その20)

その後、数分間。
二人は何も言わずに、その余韻に酔い浸っていた。
特に志郎は、これまでに体験したことのない出産後の女性の身体が発する、快感の奥深さを思い知らされた感じだろうか。
机に力なく横たわり、まだ焦点が定まってない。

「はぁ、はぁ……。な、なあ志郎」
「はぁ……。はぁ……。はぁ……」

篠崎先生の股間は、博和が友里の手で無理矢理広げたせいで、まだ完全に閉じきっていなかった。
中でヒクヒクと痙攣しているようにも見える。

少し腰が浮いているような感覚を覚えながらも友里の身体で立ち上がった博和は、ぐったりと項垂れた篠崎先生の身体を抱き起こした。

「大丈夫か?」
「はぁ……。はぁ……」

虚ろな目が何度か瞬きをし、ゆっくりと友里を見つめる。

「……あ、ああ。大丈夫だ」
「悪いな。ちょっと激しくやりすぎた」
「……激しすぎるって。脳天がイカれるかと思った……」
「すまん」
「いいけどさ。それにしてもこの身体……こんなに感じたのは憑依して初めてだよ」

志郎は何とか自力で机の上に座り、まだ開いている膣に指を入れてみた。

「んっ……。ここに手首まで入ったのか」
「ああ。すごい状態だったよ」

博和が、先ほどまで入っていた右手を差し出した。
ネトネトして気持ち悪そうだ。

「こんなのが入るんだ……すごいな」
「だろ。だから俺も興奮しまくってさ」
「女性の神秘だよなぁ……」
「全くだよ」

二人は、その手を見ながらしみじみ呟いた。

「さて、どうする志郎」
「悪いけど、この身体はこのまま放置させてもらうか」
「そうだな。後始末が大変だし」

床に広がった水溜りを見た篠崎先生と友里は苦笑いした。

「友里ちゃんの身体だけ校舎の外に返して来た方がいいだろうな。ここで二人が目覚めたらある意味、大変なことになるし」
「ああ、じゃあ返してくるよ。それにしても、ハーフパンツがこんなに濡れてるし、ユニフォームは篠崎先生のションベンまみれになっているし、ちょっと可哀相だな」
「仕方ないだろ。じゃあ洗濯して返してやれば?」
「出来ないこと、わかってるくせに」
「冗談だよ。じゃあ俺は一足先に篠崎先生の身体から抜け出て、校舎の屋上で待ってるよ」
「ああ。じゃ、返してくる」

友里はネバネバした手をユニフォームで拭くと、教室を出て行った。
その姿を見届けた志郎は、とりあえずパンティと白いジャージのズボンを穿きなおすと、ジャージの上着のファスナーを引き上げた。

「篠崎先生。この身体、すごかったよ。おそらく先生自身も感じたことがない位の快感だったからさ、今度旦那さんと試してみればいいよ。でも旦那さんの手だと大きいだろうから、ちょっと入らないかな」

そんな事を口にした後、篠崎先生の意識はフッとなくなり、その身体は床に崩れ落ちた――。

二人で行こう!(その19)

「あ……ああっ……あっ、あっ」
「どう?五本の指が全部入っちゃった。後はこのまま手の甲まで……よいしょっ……」
「はあっ!あっ……そんなに……は、入らな……ないっ……」
「そうかな?結構簡単にめり込んでるけど……よっと……ほら、もうすぐ……」

ブルブルと篠崎先生の身体が震えた。
指の関節が全て入り込み、そして今、手の甲までもが半分ほどめり込んでいる。
博和も、その光景に興奮しまくっているようだ。
友里の……自分の右手が、膣の中に飲み込まれようとしているのだから。

「あうっ……あっ……や、やめて……お、お腹が……く、苦しい……」

グニュ……クチュ……

「はあ、はあ……せ、先生すごいよ。ほら……ぜ、全部……は、入った……」
「ううっ……あ。はぁ、はぁ……ああ〜」

膣から見えているのは、友里の細い手首。
その先は、全て膣の中に入り込んでいた。
手首から先が暖かい膣壁に包まれている。
こんな光景を見るなんて……本当に初めてだ。
博和はたまらず両膝を突き、友里の左手をハーフパンツの中に忍ばせた。
そして、友里のクリトリスを弄りながら、篠崎先生の膣に押し込んだ右手をゆっくりと動かし始めた。

「んっ!んあああああ!」
「あっ、ああ。すげぇ……ああっ」

少し抜き差ししながら、五本の指で膣壁を撫でる様に刺激する。
もう篠崎先生の口からは言葉になるような声は出なかった。
机に付いていた手がガクンと崩れ、机の上に仰向けになって寝転んでいる。
机からはみ出した頭は首に力が入らず、ブラブラとぶら下がっているだけのようだった。

「はぁ、はぁ……すげぇ、すげぇっ」

今度は右手を回転させたり、Gスポットの当たりを指でグリグリと直接弄ったりした。
篠崎先生の足が、カエルの様にビクン、ビクンと跳ねている。
足の甲をぎゅっと伸ばし、その指はグッと丸めたままだ。

「ああっ!あ、ああっ……あああっ。ああああ!」

教室の中に響き渡るほど大きな喘ぎ声を漏らす篠崎先生。
志郎も、こんなに激しい快感を感じたことがないのだろう。
その声を制御することは不可能だった。

互いの股間からグチュグチュといやらしい音が聞こえている。

「せ、先生っ……もうイッた?ま、まだ?……あっ、あっ。俺がイクまで付き合ってね」
「んああっ……あはっ……うっ、うっ……んああああ!ああっ……はぁああっ」

床に水溜りが出来るほど。
博和は気づいていないが、篠崎先生の身体は幾度となく絶頂を迎えているに違いない。
それが表現できないほど、志郎は篠崎先生の身体に飲み込まれていた。

「あうっ、あうっ……ああっ!あああ!」

声を裏返しながら悶える篠崎先生。
博和はハーフパンツの中で、左手をぎこちなく動かしながら、膣に飲み込まれている右手を思い通りに動かした。
たまにカプカプと、膣の中に空気が出たり入ったりする音が聞こえる。

「ああっ!ああっ!あっ、ああっ……んああああ!」
「はあっ、あっ、ああっ……あああ!」

机の上で、これ以上は曲がらないと思うほど背中を反らせた篠崎先生は、一瞬身体を膠着させると……失禁してしまった。
勢いよく飛び散る少し黄色がかった温かい水が、友里の右腕やユニフォームに飛び掛る。
その姿を見た博和も……友里の身体で絶頂を迎えたのだった。

「んっ……はぁ……」
「ああ……は……あああぁ……」

床に尻餅を付いたと同時に、ヌルンと膣から手が抜け出る。その指先は風呂上りのようにふやけていた……。

二人で行こう!(その18)

「先生、その机に腰掛けてよ」
「…………」

志郎はしっかりと篠崎先生に成りすまし、女性の身体と精神面を楽しんでいるようだ。
それが分かっている博和は、あえて志郎だとは思わず、篠崎という女性の大人に悪戯しているという感覚で接した。
お尻にひんやりとした机の感触。
そして、今までジャージやパンティで保温されていた股間も、空気に触れることでひんやりとした感覚があった。
机に浅く腰を下ろした篠崎先生の両足を開き、間に頭を割り込ませた友里。

「うわ……こんなに濡れて……綺麗……というよりはグロテスクだ」
「…………」
「どれどれ」
「……うっ……ああっ!」

友里の口が徐々に近づき、テカテカと光る股間に触れた。
可愛い口を、割れ目を覆うように縦に開いている。
そして、舌を使って割れ目の中にあるクリトリスをチロチロと刺激した。

ビクッ、ビクッ!

大人の女性が身体を震わせた。
背中を反らし、机の後ろに両手を付いて顔を天井に向けている。
女子高生に大事な部分を舐められる……羞恥心で赤面していても良いはずだが、その表情は微妙に喜んでいた。

(す、すごい……博和のやつ、そんな風にクリトリスを舐めたら……イっちまうよ)

そう心の中で呟いた志郎。
しかし、篠崎先生の口からは、

「ああっ。水月さんっ……お、お願いだか……い、いやっ。は、恥ずかしい……わ……」

という台詞を出したのだった。

「んんっ。んふぅ、レロレロ……へへ。こんなにグチョグチョに濡らしておきながら恥ずかしいだなんて。もっと生徒に舐められたいの間違いじゃないんですか?せ・ん・せ・い!」
「な、何を……あ、ああっ!ダメっ!吸っちゃいやっ……あっ、ああっ……あんんっ」
「あ、先生。今、軽くイッたんじゃないですか?身体がビクビク震えましたけど」
「はあ、はぁ、はぁ……し、知らないっ」
「イッたんだ。生徒にマンコ舐められてイッたんだ。先生ってほんと、いやらしいよね」
「……も、もう……いいでしょ……んああ!」
「いいはずないじゃない。ほら、私の指を二本も咥えてる」
「あっ、あっ……ダメッ!そんなに……お、奥までっ」

博和は、篠崎先生の膣に友里の指を二本ねじ込んだ。
すんなりと受け入れた膣が、指をぎゅっと締め付ける。

「先生の中、すごく暖かいよ。何本入るんだろうね」
「ダメッ!それ以上入れたら……あああ〜」
「三本入った。もう一本入るかな?」
「い、いやっ!そんなの入らない……の……にぃ……」
「うそ……ほんとに入った。四本目が」

友里の四本の指は、つぼみを作るような感じでまとまり、膣の中にねじ込まれている。
いやらしい愛液が止め処なく溢れ、太ももに伝い落ちていた。

博和は目の前の光景に興奮しながら、今度は開いている左手で篠崎先生のジャージの上着を脱がそうとファスナーを下ろした。
そして、ジャージを肌蹴させると、下から大きな胸を鷲掴みにした。

「ああっ……」
「先生、良い声だね……って、あれ?」

胸を揉んでいる手に湿り気を感じる。
不思議に思って、揉んでいた手を離すと、Tシャツの生地が乳首の周辺だけ濡れているのが分かった。
それも、両胸とも。

「……も、もしかして……篠崎先生って、出産した後なのか?」

妻の有紗が妊娠、そして出産し、赤ちゃんに母乳を飲ませている時を思い出した。
有紗も出産後は母乳が出て、こんな感じになっている。
もちろん、乳パッドをしていたのだが、篠崎先生は乳パッドをしていないようだ。

「へぇ〜、そうなんだ。結婚して子供まで出来ていたんだ」
「ああっ……はぁ、はぁ……そ、それは私も……知らなかったわ」
「知らないはずないだろ!まあいいや……いや、まあいいわ。それなら先生の膣は、大きな赤ちゃんが通ってきたんだもんね。指の四本くらい簡単に入るわけよ。なら、指じゃなくて……」
「ちょっと……な、何を考えて……。ダ、ダメっ!お願いだからそれだけはっ!」
「うふふ〜。志郎君はいつまで演技していられるかな?」
「あっ……い……ああああ!」

友里の指が徐々に中にめり込んでゆく。
しかも、指だけではない。
大きく開かれた割れ目に、右手が少しずつのめり込んでいくのだ。

二人で行こう!(その17)

「それは先生の行動で私が判断するんだから。まずはその白いジャージを股間に食い込ませてよ」
「えっ……そ、そんな……」
「嫌ならいいの。先生の秘密、皆に全部話すから」
「…………」

篠崎先生は恥ずかしそうに斜め下に視線を落としながら、両手でジャージの前を掴んだ。
志郎が作るその表情は、本人としか思えないほど。
ほっそりとした大人の手がそのままゆっくりと上に引き上げ始めと、白いジャージの生地が徐々に股間に食い込み始め、割れ目が左右に開いた。

「み、水月さん。もういいでしょ」
「ダメ。そんなんじゃ食い込みが足りないよ。一回股を開いて、閉じながら引っ張ってよ」
「だ、だって……」
「早くしてよ。私、練習に戻らなくちゃならないんだから」

ニヤニヤしながら友里が笑うと、篠崎先生は仕方なく足を蟹股に開いた。
そして、一瞬ためらった後、ジャージを引っ張りあげながらゆっくりと足を閉じた。

「うう……」
「すげぇな……生地が割れ目にめり込んで左右にプックリと膨れてる」
「も、もういい……でしょ?」
「ダメダメ!そのまま」
「…………」

ジャージを食い込ませる篠崎先生の股間の前に、嬉しそうにしゃがみこむ。
博和は半分演技、半分地を出しているといった感じか。

「へぇ〜。すごくいやらしいな。ねえ篠崎先生、生徒の前でそんなことして恥ずかしくないの?」
「は、恥ずかしいに決まってるじゃないの。貴方がそうするように言ったんでしょ!」
「そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない。それにしてもすげぇ。うわ、すごく柔らかいよ、ここ」
「あっ……」

友里の両手の親指が、割れ目の左右に膨れた肉をプニプニと押した。
その柔らかい感触を楽しむ指を、篠崎先生はじっと見ていた。

「ね、ねえ水月さん。もういいでしょ」
「だからダメだって」
「ちょっ……う……ふぅ」
「へへ。先生のここ、ちょっとおしっこ臭いよ」

食い込んだ生地の割れ目に、鼻を埋め込んで臭いを嗅いでいる。
そして、鼻の頭をすりすりと擦りつけたあと、口を開けて割れ目に熱い息を吹き込んだ。

「あぁ……そ、そんな事……」
「どう?蒸れちゃったかな?どれどれ」
「あっ……んんっ」

息を吹き込んだ割れ目に人差し指をめり込ませると、その敏感な感覚にジャージを引っ張りあげる篠崎先生の手が緩んだ。

「もういいよ。ジャージを持っていなくても」
「ああ……そ、そこ……ダメッ」
「ダメって何が?すごいよ、こんなに指がめり込んでる」
「んんん……」

異様にめり込んでゆく人差し指。
おそらく、そこは篠崎先生の……。

博和は友里の指を、ジャージの生地ごと何度も何度もめり込ませた。
すると、めり込ませたジャージの生地が、白から少しくすんだ色に変化してゆく。

「あ〜あ、篠崎先生ってジャージを濡らすくらい感じてるんだ」
「ち、違う……わ、私は……」
「だってこれ、明らかにマン汁でしょ」
「……い、いやらしい事……言わないで……」
「こんなに濡らしといて。どっちがいやらしいんだか」
「……あっ……も、もう許して……」
「ほら、動かないでよ」

友里の両手が白いジャージのゴムに掛かると、そのままズルズルと下ろし始めた。
もちろん、中に穿いていた黄色いパンティも一緒に。

二人で行こう!(その16)

おそらく二十代後半であろう。
茶色いセミロングの髪に、軽くパーマをかけている。
白い上下のジャージには、腕の部分と足の横に紺色の二本のストライプが入っていた。

「結構苦労したぜ。先生を探すのは」
「やっぱり志郎か!せ、先生ってもしかしてその人……」
「篠崎先生って、女子バスケ部の先生なんだ」
「女子バスケ?ソフトボールじゃくて?」
「ああ。ソフトボール部には先生の姿がなかったからな。ああそうだ。友里ちゃんの苗字って水月っていうんだ。亜季ちゃんと友里ちゃんを心配していた後輩達が言ってたよ」
「へぇ〜。水月友里ちゃんか。で、そのまま亜季ちゃんの身体を返してきたのか?」
「ああ。校舎の下で抜け出たんだ。彼女、周りをキョロキョロ見ていたよ。その間に幽体でグランドに行って先生に乗り移ろうと思ったんだけどな」
「そうか。で、先生がいなかったから、わざわざ体育館に行ってその女子バスケ部の先生に憑依したのか」
「わざわざっていうなよ」
「ああ、そういう意味じゃないけどさ。それにしても……亜季ちゃんの身体は止めたのか」
「何かさ、友里ちゃんの身体と絡んだから、生徒同士はもういいかなって思ったんだ」
「へぇ〜。でも折角なら亜季ちゃんの身体でオナニーくらいしとけばよかったのに」
「別にいつでも出来るんだから、彼女の身体にこだわる必要ないだろ」
「……さすがというか、憑依に慣れてる奴の言葉だよな」
「そうかな。まあいいじゃないか。女の先生と女子生徒の関係、結構いいだろ?」
「ああ、もちろん!」

白いジャージ姿の篠崎先生と、女子バレーボール部のユニフォームを着た友里はお互いの姿を見ながらニヤリと笑いあった。

「生徒に犯される先生がいいな」
「また志郎はアブノーマルだな。例えば、弱みを握られた先生が生徒の言いなりになるとか?」
「いいな、それ」
「じゃあ俺が色々と命令してやるよ。志郎は、嫌々従えばいい」
「そうだな。それ、いってみるか!」
「よし。じゃあ……ねえ篠崎先生。私の命令を聞かなかったらどうなるか分かってるでしょ!」

博和は調子に乗って友里の口調でしゃべり始めた。
それを聞いた志郎は、篠崎先生の表情をわざとらしく沈ませると、

「み、水月さん……お願いだから誰にも言わないで」

と、女性の口調でしゃべり始めたのだ。

二人で行こう!(その15)

「はぁ、はぁ、はぁ……あぁぁ〜」
「どうだ?他人にイカされた気持ちは」
「はぁ、はぁ……ちょ、ちょっと待ってくれ。腰が浮いた感じで……」

ハーフパンツの中から亜季の両腕をゆっくりと抜いた志郎は、その指をヌルリと湿らせている愛液をクンクンと臭ってみた。
女性独特の香りが漂うその指。

「両手ともグチョグチョだ」
「ふぅ……。友里ちゃんが淫乱な身体なんだよ」
「っていうか、博和が感じすぎてこうなったんじゃないのか?」
「俺が感じても友里ちゃんが感じても、結果的には同じ身体を使っているんだから変わらないだろ?」
「実際どうなんだろうな。比べよう無いし」
「まあ、そんな事はいいじゃないか。次は志郎の番だ」
「ああ。今度は俺を気持ちよくさせてくれよ」
「どうして欲しい?」
「そうだなぁ……」

少し考える表情。
亜季の身体で近くの机の上に座ると、落ち着いた博和が近づいてきた。

「志郎にやられたのと同じ事をしてやろうか?他人に指でイカされるのも、すごく良かったぞ」
「う〜ん、それもいいけどな」

志郎は亜季の身体を眺めると、両手で胸を鷲掴みにして揉んでみる。
女子高生の手で揉む、女子高生の胸。その感覚は、大学時代によく女性の憑依していたときの事を思い出させた。

「他に何かして欲しいことがあるのか?」
「ああ、そうだな。やっぱりちょっと待っててくれよ」
「待っててくれって、しないのか?」
「いや、すぐに戻ってくるから」
「……もしかして、トイレでオナニーとか」
「じゃなくてさ」
「そっか。すぐに戻ってきてくれよ。その間にオナニーでもしておくからな」
「ああ」

話しながら教室を出た志郎は、亜季の体を小走りで走らせた。


それから10分ほど。

教室では友里のオナニーが続いていた。
椅子に座って足を開き、ハーフパンツの中に両手を突っ込んでクチュクチュといやらしい音を立てている。

「ああ、あっ。気持ちいいっ……友里ちゃんの身体って底なしみたいだ」

すでにハーフパンツの股間は愛液が染みて濃い赤色に変化している。
女性の快感は男性のそれとは違い、レベルと継続性が違うようだ。
実は妻の有紗でオナニーした時も、博和は同じ事を言っていた。

「女の身体って底なしみたいだ」と。

オナニーに夢中になっているところ、教室の扉が開いた。

「はぁ、はぁ。遅かったな、志……郎?」

亜季の登場を予想していた博和は、その姿みた瞬間、言葉を失った。

二人で行こう!(その14)

「もっと気持ちよくしてやるよ」
「な、何するんだよ……。くっ……ん……」
「気持ちいいだろ。こうやって直接弄られるほうが」
「うっ……あ、ああ。そんなにコリコリと弄られたら……んあっ」
「可愛い声出しちゃって。自分がそんな声を出すなんて想像できなかっただろ?」
「はぁ、はぁ……まあ……な……」

博和は俯き、友里の目をとおしてモゾモゾ動くユニフォームを見ていた。
ユニフォームの中では、脇から侵入した亜季の手がスポーツブラを捲り上げ、硬く勃起した乳首を直接刺激している。
見えない服の中で行われる痴態に、博和はさらに興奮した。
後ろでは、友里の髪に顔を密着させ、その香りを楽しんでいる亜季がいる。
指の先に感じる女子高生の乳首。
そして、手のひらいっぱいに広がる乳房の柔らかさ。
男なら勃起するはずのチ○ポが存在しない代わりに、女性のアソコが熱く疼いて来るのを二人共、感じていた。

「な、なあ志郎……」
「……分かってるって」
「あっ……普通、そんなところから手を入れるか?」
「いいだろ。俺の好きなようにさせてくれよ」
「構わないけど……ああっ!」
「すでに大洪水って感じだな」
「す、すご……あっ、そこ……そんな風に弄ったら……あ、はぁああ!」

亜季の右手が、赤いハーフパンツの後ろ、腰のゴムを引っ張って入っていた。
もちろん、白いパンティの中にも忍び込み、何度か柔らかいお尻を揉みしだく。
そして、そのまま下に移動し、股の間に入り込んでいった。
その股の隙間、後から前の方に指が移動し、縮れた陰毛を掻き分けて割れ目にめり込んでくる。
ヌルヌルとした愛液が中指を濡らすと、そのままクリトリスを刺激し始めたのだ。

「生暖かくてねっとりしてる。友里ちゃんの身体、相当感じているのか」
「あ、当たり前じゃないか。んふっ……んっ。か、感じないほうがおかしい……だろ」
「だよなぁ。こうやって乳首とクリトリスを同時に弄られているんだから」
「はあ、はあ。あっ……んんっ。あっ、あっ……あっ」

気持ちよくてたまらない。
博和はその快感を、友里のお尻を左右に動かす事で表現した。
その動きに合わせるように、ハーフパンツに潜り込んでいる亜季の腕も動く。

「お尻を動かしても腕は一緒に動くだけだぞ」
「分かってるけど……ああ。すげぇ……高校生の身体でも、でもこんなに気持ちいいんだ」
「一度イカせてやろうか?」
「ええ?」
「指だけでイケるだろ」
「あ、ああ。多分……こんなに気持ちいいんだか……あひっ!」

会話も中途半端に、友里の口から裏返った喘ぎ声が漏れた。
亜季の中指が、ヌルンと膣の中に入り込んだからだ。
志郎は亜季の身体を友里の横に移動させると、乳首を弄んでいた左手をハーフパンツの前からズボッと突っ込んだ。
そして、左手の指でクリトリスを、お尻から回り込ませた右手の指で膣の中を犯し始めたのだ。
その気持ちよさに足がガクガクと震え、教卓に両肘をついてしまう。
中腰になり、お尻を突き出した友里を眺めた亜季の顔がニヤけ、更に刺激を強める。

「あっ、あっ、あっ!すごっ……な、中で指が……」
「膣をこねくり回される気分はどうだ?」
「はぁ、はぁ……あっんっ。ああ〜っ。あっ、あっ」

ほとんど言葉にならないようだ。
ついには、教卓に覆い被さるように崩れた友里。
今度は亜季の腕を挟むように足を閉じ、膝を伸ばして突っ張るように立っている。

「そらそらっ」
「ちょっ……あっ、ああっ!あああっ」
「イっちまえよ。その身体でっ」
「ああっ、ああっ、あっ、あっ」

亜季の腕が上下、前後に激しく動くと、ホットパンツのお尻がムニムニと震えた。
そして、絶頂を迎える寸前なのか、友里のかかとが両足とも浮き上がり、先立ちになった。

ホットパンツの裾から伸びる太ももに愛液が滴り、クチュクチュといういやらしい音が亜季の腕の動きに合わせてリズミカルに聞こえる。
何度も何度も膣をかき回され、クリトリスを擦られた友里の身体。

「はぁ、はぁはぁ、イッちゃえ!イッちゃえ!」
「うっ、うあっ。あっ……あっ……ああっ……はあ……ああ……あああああ〜!」

友里は、ビクン……ビクンと二回、三回と大きく身体を震わせながら、太ももとお尻で亜季の腕を思い切り締め付けた。
同い年の女子ソフトバレーボール部である亜季に犯された友里の身体が、博和に女性の絶頂を与えたのだ。
木製の教卓に、友里の涎が染み込んでいる。
その教卓にぐったりと上半身を預けたまま、友里は何度も何度も大きく息を吸っていた。

二人で行こう!(その13)

一階、二階、三階と階段を上り、人気のない四階の廊下を歩く。

「自分の体とは全然違うと思わなかったか?」
「思った思った。これだけ階段を上るとちょっと息が切れるもんな」
「若いっていいよなぁ」

と、おっさん染みた会話をしながら、四階に誰もいないことを確認した志郎たち。
一番隅の教室の扉に手をかけ、ガラガラと開いて中に入る。

「教室なんて懐かしいな」
「ああ」

この学校は黒板ではなく、黒板と同じ大きさのホワイトボードが設置されていた。
教室を見回した後、教卓に立った友里。

「先生になったら、こうやって教卓に立って教えるんだよな。ちょっといい感じだ」
「どれどれ」

その後ろに亜季が立った。

「どうだ?」
「ほんとだな」
「やっぱり先生に乗り移るってのも……って、おい志郎。この状態でやるのか?」
「別にいいだろ?何か問題でもあるのか?」
「いや……別に……」

教卓に両手をついていた友里に密着した亜季は、後ろから手を回してユニフォームの生地ごと胸を揉み始めた。
弾力のある二つの胸。
制服ではなく、女子ソフトバレーボール部のユニフォームである事も興奮する要素の一つであった。

「柔らかいよなぁ」
「そりゃ女子高生の胸なんだから」
「ああ。スポーツブラってのもいいよな」
「まあな。うっ……そこ、乳首だ」
「ここか?ほんとだ。ちょっと硬くなってきたぞ」
「そんなに集中的に弄るなよ……乳首が……んっ……はぁ、はぁ」
「友里ちゃんの体がビクビク震えてるぞ」
「志郎が乳首をしつこく弄るからだろ」
「博和が早くセックスしたいって言ってたんだろ」
「そりゃそうだけどさ。あっ……ううっ」

志郎は亜季の指で、友里の十分に摘めるほど硬くなった乳首をユニフォームの生地ごと弄んだ。
その刺激を目を瞑って体験する博和は、乗り移っている友里の手をずっと教卓の上に置いたままだった。
誰もいない教室で行われる二人の女子高生のいやらしい行為は、さらにエスカレートする。

二人で行こう!(その12)

「1,2……1,2」
女子ソフトボール部の女の子達が列になってグランドをランニングしている。
友里と亜季に乗り移っている二人も、彼女たちの中にまぎれて走っていた。
周りから聞こえてくるのは女の子達の声だけ。
もちろん、自分の口から出てくる声色も男のそれではなかった。
前後を女の子に囲まれた状態に、二人は終始笑顔だった。

グランドを5周ほど回った後、少し体をほぐしてキャッチボールをする。
もちろん、志郎と博和はペアを組んでキャッチボールをした。
おそらく、自分の手ならもう少ししっかりと握り締めることが出来るだろう。
握るたびに、女の子の手なんだということが実感できる。

そんなことを思いながらボールを投げあった。

そのあと、守備練習が始まり、二人もキャプテンのノックを受けることになった。

「行くよ」
「はい」

博和が友里の体を使ってソフトボールをキャッチしようとする。
しかし、ほとんど体験したことがないのでまともに取れるはずもなく。

「どうしたの?全然取れてないじゃない」
「す、すいません」
「もっと行くよ」
「は、はい」

結果は散々だった。
もちろん、そのあとにノックを受けた志郎も博和と同じく。
本来、亜季と友里という女の子はソフトボールが上手かったようだ。
そのギャップに、部員全員が首をかしげた。

「どうしたのよ、二人とも。今日は調子悪いの?」
「えっ……は、はぁ。まあ……」
「それにしても、いつもと全然違うじゃない。構え方からおかしいよ」
「ああ、それはその……ねえ」
「えっ……ま、まあ……」

二人は、キャプテンの言葉にお互いの顔を見合わせた。

「後輩も見ているんだから、もっとしっかり練習してよね」
「はい……」

そう返事はしたものの、これ以上上手く取れるはずもなく、またバッティングについては
1度もボールをかすめる事がなかった。

「どうしたのかな、先輩たち」

そんな声が後輩たちの間から漏れていた。

「やばいよな、志郎。どうする?」
「どうしたい?」
「う〜ん……」
「一旦この体から離れるというのも手だけどな」
「そんな、勿体無い」
「別に何度でも乗り移れるんだからかまわないじゃないか」
「いや、俺はそうしたくない。友里ちゃんの体でいたいんだ」
「わがままなやつだな」
「そんな事ないだろ」

「何話しているの?ほんと、今日の二人はおかしいよ」

二人の会話に不信感を抱いた先輩が声をかけてきた。

「ほら、博和が大きな声を出すから」
「だってさ……」

「ひ、博和?」

「ああ。何でもありません。ちょっとトイレに行ってきていいですか?」

「え……あ、い、いいけど」

「ほら、友里も一緒に行くんでしょ」
「えっ……あ、え、ええ!」

「ちょ、ちょっと……」

二人は皆が注目する中、校舎へと走っていった。


「はぁ、はぁ」
「もう戻れないな。このままこの体で遊ぼうぜ」
「俺はもっと亜季ちゃんに成りすまして楽しみたかったんだけどな」
「もう十分だろ。それに、あんな調子じゃ明らかにおかしいと思われるじゃないか」
「ソフトボールだからだめなんだよ。ほかの部活なら何とかなっていたと思うんだ」
「ほかの部活って何だよ」
「基本的には文化部さ」
「部活にこだわる必要ないし」
「まあな。でもこうなったら博和の言うように、このまま体を楽しむしかなさそうだな」
「だろ。どこに行く?」
「他の部活している生徒もいるからな。トイレもいいけど狭いし」
「使っていない教室にでも行くか」
「ああ、それがいい」

亜季と友里に成りすますことを放棄した二人は、並んで歩きながら校舎の中に消えた。

二人で行こう!(その11)

(俺から乗り移るぞ)
(ああ)

博和はにやりと笑うと、中腰になって亜季の背中を押す友里の後ろに立った。
一度志郎の顔を見た後、ユニフォームの背中を眺める。
うっすらと見えているのは、ブラジャーのライン。
ホックの金具が浮き出ていないのはフロントホックのブラか、スポーツブラか?
今はそんな事を考える必要は無い。

(よし!)

友里と同じように幽体の身体を屈めた博和が、ゆっくりとその背中に触れ始めた。
後ろから覆いかぶさるように、両腕を友里の首の左右に突き出している。

ビクンッ!

背中に悪寒を感じたのか、友里の身体が震えたように見えた。
亜季の背中を押していた手のひらが拳に変わる。

「ひ……」

引きつった表情に詰まる声。

ヌッ……いや、ズブズブという表現の方が合っているだろうか?
まさに今、半透明の幽体が生身の女の子の身体にめり込んでゆく瞬間。

「ぃ……ぁ……」
「ん?どうしたの?」

不思議に思った亜季が振向くと、両腕をだらんと下げて、じっと見つめ返してくる姿があった。
瞳が左右に小刻みな運動をしているように見える。

「ゆ、友里?」

横から見ている志郎の目にも、すでに博和の幽体が見えなくなっていた。
ほんのしばらく、友里が一、二回瞬きをした。
半開きの口が閉まると、そのままニッと唇が横に広がる。
そして、

「だ、大丈夫?」

と心配そうな表情で見つめる亜季に「ニヒッ!心配されるのは亜季の方じゃない?」と、両手を腰に当てまっすぐに立ちあがった。

「え?私が……」

返事をしたのもつかの間、亜季は今まで体験したことがない違和感を身体に感じた。
体中の神経が切断されていく。
反射的にグランドについていた手で土を握り締めた。

声が出ない。
まるで自分の身体ではなくなったような感覚。
金縛りという表現が正しいのか?
いや、そういう事を考える余裕が彼女にはなかった。
ニヤケながら見つめ返してくる友里の顔に助けを叫ぼうと最後の声を振り絞ったその瞬間、彼女の意識はフッと消え失せた。

「大丈夫?亜季」
「くっ……う。……うん」

気を失ったように見えた亜季が土を払った右手をスッと上げると、友里はその手を掴み立ち上がらせた。
互いに見つめあい、その姿を上から下まで舐めるように眺めている。

「ねえ亜季。もう苦しくないの?」
「友里こそ。あんなに苦しそうな顔をしていたのに」
「まあね。今はどうにも表現できないくらい嬉しいの」
「どうして?」
「分かってるでしょ、亜季にも」
「そうね。この声、結構好きだな」
「私も、こうやって自分の口から女の子の声が出ている事を実感するだけでも興奮するの」
「そう、良かったじゃない」
「ねえ、私、我慢できない。今からエッチしようよ」
「馬鹿ね。他の人に聞こえるじゃない。それに、部活が始まったばかりなんだよ」
「だって……」

友里はユニフォームの襟元を引っ張り、中を覗き込んだ。

「ほら……ああ、もうたまんねぇ……胸が白いスポーツブラに包まれて……結構大きいな」
「もう。たまんねぇだなんて。友里ったら男子みたいな話し方しないでよ」

亜季の言葉に耳を傾けない友里は、覗き込んだまま上半身を左右に振ってユニフォームの中で揺れる胸を眺めていた。
そして覗き込むのを止めたかと思うと、今度はそのまま襟元に鼻まで顔を入れて匂いをかぎ始めたのだ。

「はぁ、はぁ……女の子の匂いがする」
「友里ったらおかしいよ」
「よくそれだけ我慢できるよな。俺、もう真似なんかしてられないって」
「折角ここまで我慢したんだから、もう少しこの二人の雰囲気を楽しんでからでもいいじゃない。後で幾らでも……レズることが出来るんだから」

そっと耳元で囁いた。

「うう……そ、そうだな。じゃ、じゃあ我慢するよ」
「うん。ソフトボールなんて久しぶりだし……後輩を一人捕まえて剥いちゃうのも面白いかもね」
「……ほ、ほうほう!なるほど、それはいいかも。分かったわ亜季。私、友里に成り切るね!」
「そう来なくっちゃ!」

納得した友里……の身体を乗っ取っている博和は、志郎の言うとおり部活に汗を流すことにした。
この瞬間、志郎と博和という幽体の存在は消え、いつもどおりの女子ソフトボール部の練習が始まった。

二人で行こう!(その10)

(見ろよ志郎!)
(おっ!そういうことか)
(ジャージで練習すると思っていたけど、そうじゃなかったんだ)
(だな)

二人が見ている視線の先には、ジャージを脱ぎ始めた先輩達の姿があった。
ジャージの中から出てきたのは、赤がベースで、脇から白い大きなストライプが縦に二本入ったV首の半袖シャツ。
そして、同じ模様の赤いハーフパンツ。
更には、膝下までの白いソックスだった。
多分練習用のユニフォームなのだろう。
胸元には筆記体で「Terano」という文字がプリントされているが、背番号などは付いていない。

(きっと二年生と三年生がユニフォームを着て、一年はまだジャージしか着れないんじゃないか?)
(多分そうだろ)
(志郎が乗り移る友原亜季ちゃん、すごく似合ってるじゃないか)
(そういう博和が乗り移る友里ちゃんもいいんじゃないか?)
(まあな)

黒いショートカットに小麦色の顔。
二重瞼だから目が大きく見える。
少しだけ鼻が低いように感じるが、唇を少し尖らせながらはにかんだ彼女は生き生きとしていた。
ユニフォームを盛り上げる二つの胸。
そして、ハーフパンツのゴムが締め付ける細いウェスト。
そのパンツの裾から伸びる足は、さほど筋肉質には見えなかった。

一方、友里は少し茶色いロングを束ねて帽子の中へしまいこんでいた。
ほっそりとした顔立ちで雰囲気は博和の妻、有紗に似ているだろうか?
身長も百六十センチくらいで殆ど同じ。
友里に有紗の面影を感じたのかもしれない。
背丈がある分、友原亜季よりもスマートに見えた。

それにしても、ユニフォーム組が七人だとソフトボールは出来ない。
まあ、練習だから別に九人揃う必要は無いのかもしれないが、実際に試合になったらどうするんだろう。
志郎は、そんな事をふと思った。

十三時過ぎ。
ユニフォームを着た女子――キャプテンが全員を集合させた。

「じゃあ準備体操をした後、グランドを五周するから。しっかり身体をほぐしてね」
「はいっ」

キャプテンの言葉に、皆ペアになって柔軟体操を始めた。
亜季と友里はペアになっている。

(志郎。そろそろじゃないか?)
(そうだな。別にソフトボールの練習はしたいと思わないけど、彼女に成り切って練習するのも楽しみの一つだし)
(彼女達、二年生かな?)
(おそらく。三年生ってキャプテンと、キャプテンと一緒に柔軟しているあの子だけかもな)
(そういえば、二人だけ雰囲気が違う感じがする)
(三年生が二人。二年生が五人。一年生が八人か)
(じゃあ三年生に乗り移ればこの女子ソフトボール部の女の子全員が俺達の思い通りってわけだ)
(でも絶対じゃないし)
(……まあな)
(別にあの二人でも構わないんじゃないかな?三年生の二人より好みだし……っていうか、あの二人なら成り切れるよな)
(ああ)
(じゃあ亜季ちゃんと友里ちゃんに)

やっと乗り移れると思った博和のテンションが妙に高くなった。
スッと友里に近づくと、志郎を手招きしている。

(……ったく。俺まで興奮してきたじゃないか)

志郎はニヤニヤ笑っている博和の下に寄ると、目の前で友里に背中を押されている亜季の身体をいやらしい目で眺めた。

二人で行こう!(その9)

普段とは違い、生徒の殆どいない構内を彼女達についていく二人。
体育館を横目に進むと、ドンドンとボールを弾ませる音が聞こえた。
この音の大きさは、きっとバスケットボールだろう。
興味を持った博和が体育館の壁に上半身をのめり込ませ、中を確認している。

(バスケの練習してるよ)
(へぇ〜、やっぱりバスケットボールの音だったのか)
(帰りに寄ってみないか?女子バスケのユニフォームもなかなか良かったぞ)
(そうだな。それだけの精神力があればそうするよ)
(そうだな。何たって俺達には怖いものが無いんだから)
(怖いものか。そうだなぁ……)
(何かあるのか?)
(とりあえず、幽体になっている間に自分の身体を殺されたりしたら嫌だよな)
(まあ……それはそうだけど。でも、そうなれば他人の身体で一生過ごすだけさ)
(お前って能天気だよな)
(志郎だってそうするだろ?)
(さあ、分からないな。俺は独り者だから大して気にしないけど、博和は妻子持ちなんだからちょっとくらいは気にしろよ。お前がいなくなったら悲しむだろ)
(……ま、まあ俺も死ぬ気は全く無いけどな。有紗や子供を誰かに取られるなんて思いたくもないし)
(怖いもの、あるじゃないか)
(そういう意味ではな。でも、幽体は銃で撃たれようが刀で切られようがへっちゃらだろ)
(たぶんな。試したことが無いから何とも言えないけど)
(大丈夫だって。物理的な攻撃は通じないんだから。壁をすり抜けられるのが証拠だろ)
(そうだな。それはおいといて、どうやら目的の場所に着いたみたいだぞ)
(えっ……あ、ああ。へぇ〜、そうだったのか)

二人がついて行った女子達は、広いグランドのベンチに集まった。
彼女達の前にも数人の女子が同じジャージを着て集まっている。
数えてみると、全部で十三人。大した数じゃない。
スポーツバッグから取り出しているのは、帽子や大きめのグローブ、スパイクなど。

(女子野球部か)
(いや、ソフトボール部だろ。あのボールを見てみろよ)
(あ、ほんとだ。確かにデカイな)

青いバケツが数個あり、その中には土で少し汚れたソフトボールがたくさん入っていた。
十二時五十分。
二人の女の子が現れて、合計十五人となった。
一年生らしき女子達がラインを引いたりベースを置いている。
その数、八人。
残りの七人はベンチの前で――。

二人で行こう!(その8)

「ねえ、昨日のドラマ見た?」
「見た見た。言ってた通りの展開だったよね」
「ってか、白々しくて面白くなかったし」
「まあね。多分来週は別れるんだよ。で、三河とくっつくんだよ」
「その様子を田代が見ていて……」
「そうそう。よくある話だよね」

四人の後輩達は、昨日の夜に放送していたドラマの話でキャッキャと盛り上がっている。
両端の二人は、身を乗り出して会話をしていた。
走る列車の中、その空間だけが浮いているように思える。
一方、二人の先輩達は大人しいものだ。
たまにボソボソと会話をしている程度。
ただ、後輩達のテンションの高い会話は気になる様子。
少し間が開いた後、つられて同じ内容の話を始めた。

「見た?」
「うん、見たよ」
「私、結構面白かったと思うんだけど」
「そうね。私も面白かったよ。あの子達が言うような展開になると思う?」
「さあ。でも、最終的には田代とくっついて終わりだと思う」
「うん、私も……っていうか、そうなって欲しいな」
「亜季は田代が大好きだもんね」
「友里も好きって言ってたじゃない」
「まあね、でも亜季ほどじゃないよ。さすがにファンクラブまで入らないもん」
「来月の十二日、コンサートに行くんだ」
「そうなの?」
「ファンクラブに入ってるから、結構前の席が取れて」
「ふ〜ん、そうなんだ」
「そう、今日その事で友里に話そうと思ってたんだ。一緒に行かない?」
「コンサート?」
「うん」
「他には誰か行くの?」
「チケットは四枚あるから。二人で行ってもいいけど、後の二枚を誰かに売らなきゃ。一枚五千五百円だったから結構きついんだ。バイト代貯めてたから良かったけど」
「五千五百円かぁ」
「どう?」
「どうしよっかな。今月はあまりバイト代が入らないから」
「チケット代は後でもいいよ」
「そうっ!じゃあ行くよ」
「うん」
「残りの二枚は?私、加奈子と玲菜なら一緒でもいいけど」
「ううん、やっぱりネットオークションで売るよ。前の席だから売れると思うし、もしかしたら買った値段よりも高く売れるかも」
「そうだね。お金が浮いたら、私のチケットも安くしてよ」
「え〜っ」
「うそうそ、いいよ。ちゃんと払うから」
「じゃあ、高く売れたら帰りのご飯くらいおごってあげるよ」
「ラッキー」


「友原先輩、何を話してるんですか?」

亜季と友里の会話が落ち着いた頃、後輩の一人が話しかけてきた。
友原先輩と呼ばれたのは、亜季のようだ。

「ああ、ちょっとね」
「もしかして、田代のグループのコンサートの事です?」
「う、うん。そうだけど」
「チケット、取れたんですか?」
「ま、まあね。ファンクラブに入ってるから」
「え〜!そうなんですか。いいなぁ……私もファンクラブに入っているんですよ。でもチケット取れなかったんです」
「そうなんだ」
「はい。ねっ、博美」
「うん。二人で頑張ったんだけど取れなかったんですよ」

その言葉に、亜季と友里は顔を見合わせた。

「どうする?」
「う〜ん……」
「別に一緒に行くわけじゃないし」
「そうだけど……」
「可愛い後輩だしね」
「まあ……そうね」

亜季は後輩に向って、「じゃあ二枚余ってるから売ってあげるよ」と笑顔を返した。

「えっ?」
「私、四枚買ったんだけど友里と二人で行くから二枚余ってるんだ。だからその二枚を売ってあげる」
「ほんとですか!?」
「うん、いいよ」
「やった!ねえっ、博美っ」
「うんっ。ありがとうございます」
「いいよ別に」
「練習、張り切って頑張りますから」
「怪我しない程度にね」
「はいっ」

後輩二人はかなり嬉しそうだ。他の二人はそんなに興味がないのか、「私も欲しい」と言って来ない。
残りが二枚だと聞いて諦めたのかもしれないが。

(どうだ?)
(そうだなぁ……)
(友原亜季って名前なんだな。志郎が乗り移ろうとしている女の子は)
(ああ、結構後輩思いっていうか、優しい女の子だ)
(友里って子もそんなに変わらないよな)
(そうだな。まあ、どっちもどっちって感じか)
(どうする?そろそろ乗り移るか?)
(いや、俺はもう少し様子を見るよ。何なら博和が先に乗り移っていてもいいぜ)
(さっき言っただろ。俺は志郎に付いていくって。お前が乗り移らないなら俺も乗り移らない。だって、今一人で乗り移ったとしてもどんな会話をすればいいのか分からないし)
(俺は学校についてから乗り移ろうと思ってるんだ。部員の構成や顧問の先生も確認できるだろ)
(なるほどな。じゃあ俺もそうするよ)

別に女子生徒達の身体を楽しむだけならそこまでこだわらなくても良いだろうに。
二人はこの後、ファーストフードで食事を済ませた女子高生達と共に学校へ移動した。
正門にあった「寺野女子高等学校」という学校の表札を見てニヤけながら。

二人で行こう!(その7)

駅員の笛を合図に電車の扉が閉まり、ゆっくりと動き始めた。
私服を着た乗客が殆ど。
その中に紺色のジャージを着た女子高生達がスペースを確保した。
目で彼女達を追い、人数を数えてみる。

(六人だな)
(ああ)

通路を挟んで二対四で座っている。
三人ずつ座ればいいのに――そう思った志郎達だが、どうしてそういう人数配分で座ったのかはしばらく会話を聞いていると理解できた。
まあ、よくあることかもしれない。
要は、学年で分かれて座っているのだ。
先輩が二人と後輩が四人。
そう言われれば、二人の先輩は少しだけ大人に近づいた容姿をしているように思える。
とはいえ、言われなければ全員同学年だと勘違いするだろう。
それくらいの違いしかなかった。

先輩二人組みは、スポーツバッグを棚の上に乗せている。
一方、後輩四人組は足元に。
通路を通る人の邪魔になりそうだが、それほど乗客は乗っていないので問題ないだろう。

(なあ志郎)
(なんだ?)
(電車の中って結構辛いよな)
(どうしてだよ)
(だってさ、電車の速度に合わせて幽体を移動させなければならないんだから)
(別に体力使うわけじゃないんだから構わないだろ)
(そうは言っても、油断しているとだんだん後ろに下がっていくし)
(じゃあさっさと乗り移ればいいだろ?)
(だけど六人の女子高生。悩ましいところだよ)
(そうか?俺はもう決めてるけど)
(え?誰だよ)
(そりゃ、先輩の体に決まってるじゃないか)
(どうして?)
(先輩の体なら、後輩がある程度言う事を聞くからな。自由度が高いだろ)
(なるほど。さすが志郎だな)
(左に座っている彼女がいいと思ってる)
(そうか。よかったよ)
(何が?)
(俺は右の女の子が好みだから)
(何だよ。お前も先輩に乗り移るのか?)
(だってその方がやりやすいだろ。二人の先輩が右を向けといえば、きっと後輩達は右を向くと思うから)
(まあな。先輩と呼べる部員が他に何人いるかにもよるけどさ)
(別に先輩の体にとどまる必要ないし)
(だな)

どうやら二人の頭の中には、その上で指揮する先生のイメージがすでにあるようだ。
先生が男性か女性か分からないのに。

(じゃあ志郎。早速乗り移るか?)
(いや、俺はもう少し後にするよ。どういう会話をするのか聞いておきたいし)
(さすが憑依の先輩が考える事は素晴らしいよな)
(普通考えるだろ。いきなり乗り移ったとしても、後輩達とどういう会話をすればよいのか分からないし)
(だよな!俺、志郎のやる事に付いて行くよ。頼むぜ先輩!)
(…………)

こうして二人はしばらくの間、女子高生達の会話や行動を眺めることにした。

二人で行こう!(その6)

ふわふわと――というよりは非常に活きの良い幽体が二つ、駅前の空中に現れた。
その欲望というパワーをどうやって発散すればよいのだろう。
兎に角、速く行動に出たい。
好みの女性に乗り移りたい。
そう思っているのは、博和だった。

(なあ志郎。時間が勿体無いから早く乗り移ろうぜ)
(そうは言っても、どういう女性に乗り移るんだよ)
(美人なら誰でもいいんだ。ほら、例えばあの女性なんて俺にはもってこいなんだけど)

そう言った博和の視線の先には、これから友達と遊びに行くような雰囲気をかもし出した女性がいた。
歳は二十代前半だろうか?
もしかしたら大学生かもしれない。
茶色いセミロングに白いブラウス。髪よりも薄い茶色のパンツを穿いていた。

(なるほどな。彼女も捨てがたい)
(捨てがたいとか言っている場合じゃなくてさ)
(分かってるって。でも俺としてはもっと違う楽しみ方がしたいんだけど)
(違う楽しみ方?)
(お前ってさ、単に女性に乗り移ってその快感を楽しみたいだけだろ?)
(それ以外に何があるのさ?)
(やっぱりシチュエーションって大事だと思うんだよ。それによって随分と違うからさ)
(……そうかな)
(そうだって。例えば姉妹とか、学校の先生と女子生徒。友達同士や先輩と後輩の仲)
(……そこまで考えるのか?さすが憑依の先輩だな)
(だってさ、面白くないだろ?そういうシチュエーションがなければ。折角二人とも憑依出来るようになったんだから)
(そう言われればそうかもしれないな。女性の快感を得るだけなら、俺だけでも十分なんだから)
(そういうわけで、それなりの女性二人を探すことにしないか?)
(よし、分かったよ。じゃあ駅前というよりは、別の場所で探したほうがよさそうだな)
(まあな)
(志郎。お前って、もしかしてもう頭の中では決まってるんじゃないか?何処に行くか)
(候補はある)
(何処だよ)
(一つは学校かな。きっと休みでも部活しているだろうから)
(女子高生か)
(先輩と後輩、同級生。先生と生徒。或いは先生同士。色々なパターンが楽しめそうだろ)
(さすが志郎だな。エロさはピカ一だ)
(あとは……身近な女性に乗り移ること)
(身近な女性……か)
(知っている女性の方がそそられると思わないか?)
(そうだな。会社や友人関係の女性に乗り移るのも悪くない。普段は知らない事が分かるかもしれないし)
(だろ!)
(すげえよ志郎。お前ってほんとにエロい奴だよな!)
(それって褒め言葉なんだろ?)
(当たり前じゃないか。ならどうする?)
(あとは博和が考えればいいさ。俺は博和に付いて行くから)
(そうだなぁ……そう言われると迷うよなぁ……)

随分高いところに浮いていた二人の幽体だが、こうやって話し込んでいるうちに徐々に降下し、駅前の噴水あたりを漂っていた。
その周りにいる人たちは全く気づいていない様子。
博和は行き交う人たちを見ながら、しばし考えていた。
そして、一つの答えを出したようだ。

(よし、じゃあ行こうか)
(何処に?)
(あの女の子たちの中に)
(……なるほど。いいんじゃないか?)

志郎は納得したようだ。
二人の視線の先には、駅の自動改札口を入ってゆく女性達の姿があった。
紺色のジャージに身を包んだ女子高生達。
皆、肩から黒いスポーツバッグを担いでいる。
もう十時を過ぎているから朝練というわけではなさそうだ。
思うに、きっと昼から部活をするために早く集まり、どこかで昼食を取ってから学校へ行くのだろう。

(うおお!燃えてきたぞっ。今日は女子高生ライフを楽しむんだ〜!)
(女子高生ライフっていうか、女子高生の身体を楽しむんだ〜の間違いだと思うけどな)
(どっちでもいいんだよ。じゃ、早速行こうぜ)
(ああ)

二人はス〜っと幽体を移動させると、自動改札口をくぐったジャージ姿の女子高生達に近づいた。
そして、アナウンスが聞こえるホームから電車に乗り込む彼女達の後をニヤニヤしながら付いていったのだ。

二人で行こう!(その5)

次の日。
九時半に目覚ましをセットしていた志郎は、アラームよりも先に女性の声で起こされた。

「早く起きてよ。もう九時じゃないのっ」
「ん……んん。もうちょっと寝かせてくれよ」
「だめっ。今日は何の日か分かってるの?」
「ん〜。さぁ……」
「もうっ!早く起きなさいっ!」
「んう……うわっ!」

無理矢理掛け布団を剥がされ、ベッドから転げ落ちた。
まだ眠気の取れない顔を絨毯に擦り付ながら細く目を開くと、白い靴下を穿いた括れた足首が。

「……んん〜……」

その足の生えている方向へゆっくりと顔を上げてゆくと、デニムスカートの中にピンクのパンティが見えた。

「んん……ん?」
「そんなに妹のスカートの中を覗きたいの?」
「……あ、ああ。裕香……か」
「ああじゃないわよ。早く起きてよ」

裕香はちょっと怖い顔で睨み付けた後、まだ絨毯の上に転がり落ちたままの、志郎の顔の前にしゃがみこんだ。
両膝を軽く開いたままなので、志郎の目の前には薄いパンティの生地越しに裕香の股間がかなりの迫力で見える。
妹とはいえ、成人した身体。
眠気がスッと消え、頭を反対側に向けて視線を逸らした志郎は、

「お、おい……み、見えてるぞ」

と呟いた。

「いいじゃない、兄妹なんだから」
「兄妹だってな。お前はもう二十歳なんだから」
「良かったね、美人の妹のスカートの中が見れて」
「自分で言うなって」
「へへ。別に自分で言ってるわけじゃないけどね」

ゆっくりと起き上がり、ベッドに腰掛ける志郎を見ながら裕香もスッと立ち上がった。
腰に両手を当てて、ちょっと偉そうなポーズ。
高校まではショートカットで髪を茶色く染めていた裕香も、今は肩よりも長くて黒いストレート。
大学に入ってからは大人びた雰囲気を漂わせるようになっていた。
童顔だった顔も、顎がシャープになってお姉さんの雰囲気。
体つきも――というか、別に妹を恋愛対象に見るわけではないのだが。

「お兄ちゃん、もしかして興奮してるの?」
「はあ?」
「そんなに股間、膨らませてちゃって」
「……こ、これは……せ、生理現象だって」

Tシャツに短パン姿の志郎は、ちょっと恥ずかしそうに両手で前を隠した。

「妹に欲情するなんて、お兄ちゃんも変態だね」
「だから違うって」
「いいのいいの。私、そんなお兄ちゃんが好きだから」
「な、なに言ってんだよ」
「別に。気にしないで。それよりも早く用意したら?」
「よ、用意って何の用意だよ」
「決まってるでしょ。今日は博和さんと待ち合わせしてるんでしょ」
「ええ……あ、ああ……って、どうしてそれを知ってるんだ?」
「へへ〜ん。教えて欲しい?」
「…………」

黄色と白のチェック柄をしたブラウスの前で腕を組んでニヤニヤと笑っている。
Dカップが腕の上に乗って、その存在をアピールしているかのようだ。
そんな胸に一瞬視線を向けた志郎は、じっと裕香の目を見た。

「……何?私の顔に何か付いてる?」
「……そうだな。憑いてるのは身体の方だと思うけどな」
「活字なら分かるけど、言葉でしゃべると分かりにくいよね」
「そんな事はどうでもいいんだ。いつから裕香に乗り移ってるんだ?」
「そうねぇ。八時くらいからかな?興奮して早く目が覚めたから迎えに来ちゃった」
「で、わざわざ裕香に乗り移って俺を起こしに来たと?」
「そう。それにしても裕香ちゃん、すごく綺麗になったよね。びっくりしたよ」
「はぁ〜。いつまでそのしゃべり方するつもりだ?」
「いいでしょ、身体にあったしゃべり方のほうが。お兄ちゃんも違和感ないだろうし」
「そういう問題じゃなくてさ」

志郎はベッドの上に置いていた目覚ましで時間を確認しながら、アラームのスイッチを切った。

「もうすぐ九時半か。じゃあ裕香の身体に一時間以上乗り移っていたって事だな」
「まあ……そういう事かな。えへっ!」

わざとらしく笑顔を作る裕香。その裏には少し気が引けた表情が見え隠れしていた。

「何かしたのか?裕香の身体に」
「べ、別に何もしてないよ。そんな事するはずないじゃん」
「俺の妹なんだぞ」
「だから何もしてないって。それより早く行こうよ、時間が勿体無いでしょ」
「……ったく。ま、俺もお前が結婚する前に有紗さんの身体を弄んだからな」
「まあ、あれは俺のためって事で。あ、素に戻っちまった。折角最後まで裕香ちゃんの真似しようと思ってたのに」

裕香の声で博和のしゃべり方をされると妙に違和感を感じてしまう。
やはり他人が乗り移っているというのは不思議な感覚だった。
いつもと同じ裕香の姿。しかし、その身体には博和の魂が入り込んで好き勝手に操っている。
何でもさせることが出来るのだから、改めて考えると怖いものだ。

「まだ朝飯も食べてないのに」
「関係ないだろ。幽体になれば」
「そうは言ってもな」
「なあ、早く行こうぜ。俺、裕香ちゃんの身体から抜け出るからさ」

裕香に乗り移っていた博和は「う〜ん」と背伸びをすると、そのままスッと裕香の身体から抜け出た。
両手を上にあげた裕香が、しばらく目をパチクリさせている。
そして、何気に志郎に視線を合わせた。

「……あれ、お兄ちゃん?」
「……何だ?」
「どうしてお兄ちゃんがここに……っていうか、どうして私、お兄ちゃんの部屋にいるの?」
「さあ。それは俺が聞きたいよ」
「え?えっ?ど、どうして?ええっ!もう九時半過ぎてるのっ!」
「ああ」
「私、九時半に友達と会う約束してるのにっ!どうしてくれるのよっ」
「俺のせいじゃないって。それよりもう少し寝たいんだから早く部屋から出て行ってくれよ」
「あっ……う、うん……でもどうしてよ、おかしいなぁ……」

困惑する裕香を適当にあしらい、部屋から追い出した志郎はベッドに横たわった。
すでに眠気は覚めてしまっているが、これが志郎の得意技だろうか。
眠ろうと思えばすぐにでも眠り、その身体から幽体になって抜け出すことが出来る。
今もこうやって目を閉じれば、フッと眠気に襲われ、スッと身体から幽体が現れる。

(お、出てきた出てきた)
(……見えるんだな。やっぱり)
(そりゃそうさ、幽体同士なんだから)
(ちょっと感動するな。自分以外の幽体を見るのって)
(そうか?俺は別に何とも思わないけどさ)
(まあ、博和とは感動するツボが違うからな)
(それって俺が鈍感だって事か?)
(別にそんな事を言っているわけじゃないさ。ほら、時間が勿体なんだろ)
(ああ、そうだった!早速物色しようぜ)
(物色って……お前ってそんな失礼な言葉を使うようになったのか)
(え、いやすまん。マジで失礼だったな。僕達に身体を貸してくれる素敵な女性を探しに行こう)
(都合のいい奴)
(まあな……って、何か俺とお前って立場が逆転したって感じだよな。昔は志郎の方がはしゃいでたのに)
(そうか?ノリはあまり変わらないと思うけど。まあ、あの頃は若かったからな)
(まだ何年も経ってないって)
(それに、俺より博和の方が新鮮に感じられるだろうから)
(そりゃ、こんな事出来るようになって間がないからなぁ)
(まあいいや、とりあえず……)
(行こうぜ!)

こうして幽体になった二人は部屋の壁を難なくすり抜けると、人が集まる駅前へと急いだのだった。
その頃、裕香は何故穿いていたパンティが変わっているのか理解できなかった。
確か、ピンクではなく白いパンティを穿いていたはず。

「おかしいなぁ……」

何度考えても思い出せない。七時半に起きて身なりを整え、朝食を取ったところまでは覚えている。
しかし、その後の記憶が全くないのだ。

「う〜ん……私、痴呆症にでもなっちゃったのかしら?」

そんな事を呟きながら、先ほど電話で誤った女友達を待たせまいと玄関から走りだした裕香。
もちろん、いやらしい愛液で濡れた白いパンティがくしゃくしゃに丸められて洗濯籠に入っていることは知る由もない――。

二人で行こう!(その4)

「昨日の夜は酷い頭痛がしてさ。ずっと布団の中でうなされていたんだ。で、どのくらいかした時にフッと体が軽くなって……びっくりしたよ。目を開けたら自分の身体が浮いているんだから。そして足元には寝ている俺がいるだろ。ピンと来たね。これってきっと志郎と同じ、幽体離脱なんだって。それで早速試してみたって事」
「試したって憑依を?だ、誰に?」
「もちろん有紗にだよ。お前、結婚する前に有紗に乗り移っただろ。あの時、こんな風に感じていたんだなって思ったよ。本当にお前ってうらやましいヤツだよな」
「お、お前だって同じようにやってるじゃないか」
「そうさ。俺もこれからはどんな女性にだって憑依できるんだ」

裕紀に乗り移っている博和は、本当に嬉しそうな表情をしていた。
信じがたいが、自分に出来る事を博和ができないとはいえない。
それに、目の前の現実が物語っているのだ。

「すごいよな、幽体離脱って。こうやって簡単に他人の体を操れるんだから」

そう言いながら、裕紀は目の前でほっそりとした手を何度も何度も握ったり開いたりした。

「どうして博和まで出来るようになったんだろう」
「さあな。それは俺が聞きたいよ」
「大学で俺と一緒にいた事が原因かな」
「さあ。別に原因は何でもいいんだ。頭痛も治ったし……こうやって今を楽しむことが出来ればさ」
「…………」

博和は裕紀の目でじっと志郎を見つめた。
当たり前だが、何処から見ても博和には見えない。
きっと博和も志郎が女性に憑依していたときは同じ事を思っていたに違いない。
そんな事を考えていた。

「で、どうするんだ?」
「本当はこの体で志郎とセックスしてみたいんだけどさ。今日は遅いからやめとくよ」
「……そんな事まで考えていたのか」
「昨日から女になって男とセックスしたいって思ってたんだけどさ、それよりももっと楽しいことが出来るって考えたんだ」
「楽しいこと?」
「そう。つまり、女性同士でセックスするって事だよ」
「女性同士……レズセックスってやつか」
「ああ。志郎も興味あるだろ」
「……まあ、ないとは言わないけどさ」
「最近は女性に憑依してるのか?」
「いや、あまりしてないな。一時期ずっとハマッてたから、その反動かもしれない」
「へぇ〜。それって女性の体に飽きたって事か?」
「う〜ん、別に飽きたって訳じゃないけど微妙だな。それに仕事をやりだしてから気力が萎えてるし」
「何言ってんだよ、まだ若いのに。それに結婚していないお前がそんな事言ってたら、いつまで経っても結婚なんて出来ないぜ」
「結婚するのと憑依に飽きる事は全然違うと思うけど」
「兎に角だ。今のワンパターンな生活を止めて昔のように楽しもう。そうだろっ!」
「……そうだな。最近は仕事のことばかり考えていたからな」
「じゃあさ志郎。明日有給休暇を取れよ」
「あ、明日!?明日はなぁ……」
「何か大事な会議でもあるのか?」
「いや、別にないけど」
「それなら構わないだろ」
「まあ……な」
「よし、決まりだ。じゃあ明日は幽体になってここの駅前に待ち合わせだ。いいだろ」
「博和も有給を取るのか?」
「いや、明日は元々休みになってるから」
「なんだ。ずるい奴」
「それをいうな。ほら、揉ませてやるから」
「自分の胸じゃないのに」
「いいから。ほらっ」

背筋を正し、裕紀の胸を張り出した博和。
志郎は、誰も見ていないことを確認すると、片手でブラウスの上から胸を揉んでみた。

「久しぶりだな。女性の胸を触るの」
「へぇ〜。胸を揉まれるのってこんな感じなんだ。何か気持ちいいな。自分で揉むのとはまた違った感じだ」

しばらく裕紀の胸の柔らかさを味わった志郎は、そっと胸から手を離した。

「でも、有紗さんと赤ちゃんはどうするんだ?休みなら家族サービスしなければならないだろ」
「大丈夫。明日は実家に帰るんだってさ」
「お前は一緒に行かないのか?」
「仕事を持ち帰るから行けないって言ってある」
「なるほど。すでに俺がOKするって考えてたのか」
「そういうわけじゃないさ。もし志郎に断られても、俺一人で適当な女性に憑依して楽しもうと思っていただけだから」
「あっそ」
「そんなわけで、そうだな。明日は十時くらいでどうだ?」
「構わないけど」
「じゃあそういう事で。この体を返してくるよ」
「その裕紀っていう女性、急いでたんじゃないのか?」
「ああ。駅から走って出てきたところを憑依したからな」
「知らないぞ」
「よく言うよ。昔はそんな事、全く気にせずに憑依していたくせに」
「…………」

博和は笑いながらジャケットを着ると、裕紀の体を立ち上がらせた。
そして、志郎に軽くウィンクをした後、軽やかな足取りで店を出て行った。

「……あいつ、妙に明るくなったな。憑依出来るようになったからか……」

しばらくすると、テーブルに伏せていた博和がムクッと起き上がった。

「はぁ……ただいま」
「おかえり。どうだった?」
「慌てふためいていたよ。そりゃそうだろうな。三十分近く時間が過ぎているんだから」
「だろうな」
「じゃあ俺達も帰ろうか。ここは俺が払うよ」
「三人分?」
「ああ」
「じゃあよろしく……っていうか、お互いの幽体って見えるだろうか?」
「そりゃ見えるだろ。人間同士は見えるんだから、幽体同士も見えるんだって」
「そんなもんか」
「そんなもんだよ」

こうして志郎と博和は喫茶店を後にし、互いの帰路に着いた――。

二人で行こう!(その3)

「ねえ。ところでさっきからそこに寝ている人、誰なの?」
「あ、ああ。俺の友人だけど」
「そう。名前は?」
「博和」
「ふ〜ん。で、どうして寝ているの?」
「それは俺が聞きたいよ。わざわざ呼び出しておいて……」
「そうなんだ。きっと何か話があったんじゃない?」
「だから来てやったのに」

裕紀はウェイトレスが持ってきたアイスコーヒーにミルクとシロップを入れた後、白いストローで半分ほど飲んだ。
眠る博和をじっと見つめる彼女を見て、「いいかげんに起きろよな」と、つぶやいた志郎。しかし、

「起きないわよ、彼」

またストローで一口飲んだ裕紀が返事をした。

「どうしてだよ?」
「え?だって魂が入っていないから」

平気な顔して突拍子も無い事を言い出した。

「魂が入っていない?それって幽体離脱しているって事?」

そう言う話ならお手の物だ。
幽体離脱は志郎の十八番なのだから。

「そうね。この様子じゃ、どう考えても幽体離脱してるわ」
「まさか博和が?俺じゃあるまいし」
「え?」
「あ、いや。何でもないけど……博和が幽体離脱しているなんて……」

裕紀にじっと見つめられる、その黒い瞳の奥に吸い込まれそうだった。

「信じられない?」
「信じられないって……あんたは……小谷さんは信じられるのか?それとも、もしかして霊媒師とか?」
「霊媒師じゃないけど信じられるわ。だって志郎さんもできるんでしょ」
「えっ!?」
「幽体離脱して私みたいな女性に乗り移っては、その快感を楽しんでるんでしょ」
「な、何を急に……」
「ほら、こんな風にして……」

真顔で話していた裕紀はニヤッと笑うと、椅子に座ったままタイトスカートをせり上げ、細い足を蟹股に開いてパンストの上からのっぺりとした股間を触り始めた。

「ここって男と全然違うわよね。柔らかくて弾力があって……パンストの上からなぞっただけでもゾクゾクするわ。ねえ志郎」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。一体何を言って……」
「まだ分からないの?私のこと」
「分からないって……え?」

裕紀がニヤニヤ笑いながら、テーブルに伏せている博和を顎で数回指した。

「ま、まさか……」
「嬉しくて仕方が無いって言ってたでしょ。あれってこの事なのよ」
「も、もしかして……お前、ひ……博和かっ!」

思わずそう叫んでしまった志郎。
まさか博和が幽体離脱してこの女性に乗り移っているなんて――。

「やっと分かったのね。志郎って鈍感なんだから」
「そんな事言ったって、まさかお前が幽体離脱出来るなんて思わないから……ほ、本当に博和なのか?」
「本当よ。信じないの?それなら俺のしゃべり方で話してやろうか?志郎」

タイトスカートを元に戻した裕紀が、急に男の口調に変化する。
その変貌に驚いた志郎は、激しく高鳴る鼓動で裕紀の話を聞いた――。

二人で行こう!(その2)

「……おい、何してるんだよ」
「ん〜、精神統一」
「ハア?」
「いいから静かにしてろよ」
「眠いのか?何か自慢話をしたかったんだろ」
「いいから静かに」
「な、何だよそれ……」

志郎の会話を制止した博和は、テーブルの上に置いた両腕におでこを乗せ、伏せたままになっていた。
何も話さないまま、二分ほど経っただろうか?
いいかげんうんざりしてきた志郎が話を始めた。

「おい、さっきから何してるんだよ。いいかげんに話せよ」

そう問い掛けたのだが、博和はまったく反応しない。

「何してるんだよ」

テーブルに伏せている博和の肩を揺すっても、眠っているようにガクガクと頭が揺れるだけだ。

「おい、博和っ!」

信じられないことに、本気で寝てしまっている。
頭を殴ってやろうか。そう思った矢先、人の気配を感じた。
テーブルに影を落とした人物に視線を移すと、紺色のジャケットにタイトスカートというリクルートスーツを来た若い女性。

「あの、相席させて頂いても宜しいですか?」
「え?」

その女性は、笑顔で志郎に話し掛けてくる。
志郎は回りのテーブルを見た。
使っていないテーブルはあるし、一人掛けのカウンターも十分すぎるほど空いている。

「駄目ですか?」
「あ、いや。そんな事は無いですけど」

志郎はその女性に、他にもテーブルが空いている事を知らせるため、視線を店内に振ってみた。
しかし、「一人で座るの、ちょっと寂しくて」と言われてしまったのだ。

別に相席が嫌なわけで無い。
でもわざわざここに座らなくても。
そんな気持ちでいる志郎だったが、その女性が強引に志郎の横に座ってきたものだから仕方なく同意した。
美人から声を掛けられたのは嬉しいが、今は博和がこういう状態なので好ましく思わなかった。

「ゴメンね。無理矢理座っちゃって」

相席出来たのが嬉しかったのか、急になれなれしい言葉を使い始めた彼女。
少し茶色く髪を染めたストレートのショートカットから、シャンプーかリンスか分からないがいい香りが漂ってくる。
彼女は、薄いピンクのマニキュアを塗った指で黒いセカンドバッグを開くと、中から免許証を取り出して眺めていた。

「小谷 裕紀。二十二歳。ふ〜ん、年下なんだ。年上かと思ったけど」
「え?」
「ううん。何でもないの。私、小谷裕紀って言うの。あなたは?」
「お、俺は志郎」
「志郎さん。ふ〜ん、志郎さんてカッコいいわね」
「はぁ?」
「私、志郎さんとなら上手くやっていけそう」
「な、何が?何言ってるんです?」
「好みじゃないですか?この顔とスタイル」
「こ、好みとかそう言う問題じゃなくて……」
「ほら、ウェストだってこんなに細いのに」

裕紀がジャケットのボタンを外して、白いブラウス姿を志郎に見せる。
確かに、ブラウス越しにでも分かるウェストの細さは、タイトスカートにお腹の肉が乗っていないことからも明らかだ。

「どう?胸だって結構ありそうよ」

今度はブラウスの上から両手で胸を持ち上げて揺らしてみせる。
下から揺すると、両胸がブラウスの中で軽く跳ねている様だった。
周りに客がいないとはいえ、喫茶店の中でそんな事を――。

「お、おい。ちょっと!変な目で見られるじゃないか」
「私は構わないわよ。別に恥ずかしくないんだから」

胸を持ち上げるのを止めた裕紀は、焦る志郎を見てクスッと笑うとウェイトレスを呼んでアイスコーヒーを一つ注文した。

「走っていたみたいだから喉が渇いて仕方なかったのよねぇ」

まるで他人事の様に話している独り言がちょっと妙だった。
額を見ると、薄っすらと汗をかいている。
その視線に気づいた裕紀は、セカンドバックから白いハンカチを取り出し、今更額の汗をぬぐった。
だが、志郎はそんな仕草に少し心がときめいた。
少し間が空いた後、裕紀が博和を見ながら口を開いた――。

二人で行こう!(その1)

「行こう!」シリーズとは。
大学生の志郎は、眠ると幽体離脱し他人へ憑依出来るという奇妙は特技の持ち主。
その特技を使って女性に憑依し、男性では味わえない神秘の快感を味わうというストーリーでした。
途中から親友の博和が登場し、志郎が憑依した女性と博和がセックスするという内容になりましたが、
個人的にコスプレ好きということもあって、色々な職業の女性に憑依しています。
最終的には志郎の就職先を探すために憑依するという設定になりました。
最終話の「ソフト会社に行こう!」では、博和と共に無事就職することが出来たところで終わっています。
これから続くお話は、その就職後数年経ったところから始まっています。



**************************************



――幽体離脱をして他人に身体に憑依する。
そんな特技を持つ志郎は、これまで色々は女性に憑依し、男性では味わえない神秘の快感を味わってきた。
女子高生や先生、婦警やナース、水着姿のお姉さんや家庭教師etc.
それらの身体を使って悪友――ではなく、親友の博和に美味しい思いをさせてきた志郎だったが――。


「二人で行こう!(その1)」


平日の喫茶店は、駅前といえども夜が更けるにつれて客数が少なくなり、寂しげだ。
壁に並んでいる薄暗い色の付いた窓ガラスが余計にそう感じさせるのかも知れないが、木製の造りは懐かしさを感じさせる。
その喫茶店にある七つのテーブルと十席ほどのカウンターには、サラリーマン風の男性が五人ほど疎らに座っていた。
そして、二人のウェイトレスがレジの前で何やら世間話をしていた。

ファミレスではなく、喫茶店で深夜の一時まで開いている店は珍しい。
そんな喫茶店に志郎を呼び出したのは、良くも悪くも親友の博和。
二人は同じソフト会社に勤めているのだが、部署や立場が違うために一緒に帰ることは滅多に無い。
もっぱら遅くなるのは博和で、夜の九時までに帰宅できるのは稀である。
そんな彼がどうしても話したいことがあると言うので、仕事が終わった夜十時過ぎにわざわざ待ち合わせる事にしたのだった。

カランカランと木製の扉についていた鈴を鳴らして足を踏み入れると、ダークグレーのスーツを着た博和の姿があった。
一番奥のテーブル。
四人掛け出来るスペースに一人で座って右手を軽く振っている。

「おっ!志郎。遅かったじゃないか」
「これでも急いで来たんだけどな。お前がどうしても話がしたいって言うから」
「そうか。まあそこに座れよ」
「誰か来るのか?有紗さん?」
「いや、違うけど」
「誰も来ないのか?それなら二人掛けのテーブルでも良かったのに」
「まあまあ、とりあえず座れよ」
「…………」

有紗は博和の妻だ。
実は志郎、博和が結婚する前に有紗に乗り移ったことがある。
もちろん、大好きな有紗に乗り移って欲しいと願ったのは博和の方だが。
そして志郎は、有紗の体で博和とセックスしたのだ。

その後、博和と有紗は良い仲になり――結婚してしばらく、二人の間には長男が誕生していた。
二十四歳と言う若さで子供を作った博和を、まだ独身貴族の志郎は大変だと思う反面、うらやましいとも思っていた。
そんな博和と、テーブルを挟んで向かい合うように座った。

「俺さ、もう嬉しくて仕方ないんだ」

いきなり博和が話を始めた。
何かを早く伝えたいという気持ちが表情に表れている。

「何が?」
「ええ?何がってさ。もう言葉では表現出来ないくらいなんだ」
「子供が生まれたからか?生まれてからもう半年も経つのに」
「違う違う。そんな事じゃないって」
「じゃあ何だよ」
「教えてほしいか?」
「勿体ぶらずに早く言えよ」

博和の顔は笑顔であふれんばかり。
よほど嬉しいことがあったのだろう。
嬉しい事なら別に隠す必要なんてないのに。
志郎はそう思いながら話を聞きだそうとした。

「よし、教えてやるよ。ちょっと待ってろよ」
「何だよ、偉そうに」

志郎たちよりも少し年下であろうウェイトレスが持ってきたグラスに手を伸ばしながら、自慢話を語ろうとする博和を眺めた。
しかし、博和はニヤッと笑うとテーブルに伏せてしまったのだ――。
ご注意!
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創作物の著作権はTira(イラストは絵師さん)にありますので、無断転載は禁止です。
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