中学生の守君が友人の裕樹君のために、大学生の姉の肉体を使って
ほにゃららする作品です。
 その3まで続きます。

 六畳ほどのフローリングの部屋。木目調の壁には最近流行のアイドルがマイクを持って笑顔で歌っている大きなポスターが一枚貼られている。勉強机には中学生の参考書が並んでいるが、折り目も無く綺麗に並べられているところを見ると、殆ど使われてなさそうだ。
 ベッドには、布団とパジャマが無造作に置かれていた。守は掛け布団を足元に追いやり、ベッドに腰掛けると青色の液体が入った小瓶を裕樹に見せ、ニヤニヤと笑った。

「これだよこれ。昼休みに言ってた薬」
「ねえ、守君。やっぱりまずいんじゃないの?」
「大丈夫だって、俺の姉ちゃんなんだからさ。俺、知ってんだ。姉ちゃん、よく部屋に彼氏を連れ込んでエッチな事してるんだぜ。エッチし始めるとベッドがギシギシ鳴ってるのが聞こえてくるんだ。壁に耳を当てたら姉ちゃんの喘ぐ声もかすかに聞こえるんだぜ。だから遠慮することないんだ」
「ええ〜っ! で、でも…そうかもしれないけどさ。僕はそこまでして欲しいと思わないし」
「構わないって。俺と裕樹の仲じゃん。折角手に入れた薬なんだから試してみたいだろ?」
「それは…そうだけど」
「じゃ、三分後に隣の部屋に来てくれよ。時間を掛けてると、姉ちゃんが出かけちゃうかも知れないからな」
「あっ、ま…守君っ!」

 やっぱり止めようよと言いかけた裕樹だが、手に持っていた飲み薬を一気に飲み干した守を見て小さな溜息をついた。
 軽く手を上げた彼の体が薄っすらと透けてゆく。

「お、早速見えなくなってきたぞ。じゃあ後でな!」

 あっという間に皮膚の色が無くなり、透明人間と化した守が服を脱ぎ捨て部屋を出てゆく。独りでに開いた扉が閉じられると、ほんの少しして隣の扉が開く音がした。

 その後、「あうっ!」という女性の声が壁の向こうから聞こえた。きっと守が事を始めたのだろう。そう思い、大きな溜息を吐き出した裕樹は、勉強机にある時計を見つめた。




 少し時間を戻して中学校の昼休み――。
 普段よりも風がきつい裏庭。空を眺めると、白い雲が形を変えながら足早に流れていた。裕樹と守は昼食を取った後、いつもここで他愛も無い話をしていた。勉強について語ることは殆ど無く、ゲームや漫画に特化している。しかし、最近は守が異性に目覚め、クラスの女子やアイドルについて話すようになっていた。誰それは胸が大きくなって来ただの、スカートからパンツが見えただの――その程度ならまだしも、初心な裕樹にはついて行けない内容も含まれていることがあった。
 そんな守に問い掛けられた一言。

「なあ裕樹。お前って女の裸を見たことあるか?」だった。

 こんな所で話す内容じゃないと思いながらも、裕樹は耳を赤くしながら答えた。

「お、女の裸なんて見たことないよ。お母さん以外は」
「だろ? じゃあさ、今度俺の姉ちゃんの裸、見せてやろうか?」
「守君のお姉さん?」
「ああ。歳が離れてて大学の三年生なんだけどさ。弟が言うのもなんだけど、結構スタイルいいんだ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。どうしてお姉さんの裸なんか…」
「実は俺、面白い薬を手に入れたんだ。それを使えば姉ちゃんの裸を自由に見ることが出来るんだ」
「ど、どういう事?」
「へへ、それはだなぁ〜」

 守はニヤリと笑うと、誰も聞いていない中庭で裕樹の耳に顔を近づけ、小さく呟いた。

「えっ…。嘘でしょ?」
「それがマジなんだ。いや、まだ試したわけじゃないんだけど、本物の薬だって。だから俺んちに来いよ。姉ちゃんは今日、大学が休みで夕方からバイトに行くって言ってたから俺たちが帰った時は、まだ居るはずなんだ」
「でも、そんな事したらお姉さんに怒られるよ」
「大丈夫だって。きっと姉ちゃん、何も覚えてないはずだからさ。兎に角、今日は裕樹の記念日にしてやるよ」
「僕の記念日? 何の記念日?」
「そこまで言わせるなよ。まあ、真面目なお前には分からないかもしれないけどさ。俺たち、もう十五歳だもんな。それそろ……ってな!」
「…………」

 その時の裕樹は、守が何を言いたいのか分からなかった――。