高校二年生の剛史が、放課後の体育倉庫で女子水泳部の副部長である聖香とあんな事やこんな事をするお話。聖香は三年。剛史とは全く面識が無い。でも、二人は最初から知っているかのようにタメ口で話をする――。


 小さな窓から見える、夕日が沈み始めた放課後のグランド。先ほどまでざわついていた人の気配はすっかり無くなっていた。フェンス脇にある木の緑が不規則に揺れている。きっと涼しげな風が吹いているんだろうな。でも、俺がいる体育倉庫は殆ど風が通らず、外よりも二〜三度程高く感じた。古びた黄色い電球が二つ、これも倉庫内を暑くしている原因の一つに思えたけど、目の前で額から大量の汗を流し、ハァハァと息を切らしている彼女が一番の熱源じゃないかと感じた。先ほどまで他の女子陸上部の部員と共にグランドを走り回り、部活終了後に急いでここに来た彼女。名前は青葉聖香さん。三年生で女子陸上部副部長。全く染めていない黒いショートヘアに小柄な顔。胸は小さいけど、白い半袖のユニフォームが細身の体格を模していて、とても似合っていた。同じく白い短パンから伸びる長い足。少し日焼けした小麦色の肌が健康的に見えた。背は俺よりも少し低いけど、百七十センチくらいはあると思う。
 青葉さんはまだ整わない息を弾ませながら、幾重に折りたたまれた白いマットに腰掛けた。まだ腕や足から汗が吹き出ていて、熱中症になるんじゃないかと心配になる。インターハイにも出場し、俺よりも体力や持久力がある青葉さんでもこんなに汗を描くんだ。 ユニフォームが汗で濡れ、背中に張り付いている。その背中の生地にスポーツブラのラインが浮かび上がって、ちょっとセクシーに感じた。

「大丈夫かよ。そんなに汗を掻いてたらヤバいんじゃないのか?」

 俺は年上で全く接点がない青葉さんにタメ口で聞いた。すると彼女が「何か飲み物くれよ。喉がカラカラで何も出来ない」と少し枯れた声で答える。カバンに入れていた麦茶入りの水筒を差し出すと、何も言わずに受け取り、勢いよく飲み干した。空になった水筒を受け取ると、彼女の唇が触れた飲み口に自分の唇を宛がい、間接キスをした。青葉さんは額の汗を拭い取ると「はぁ〜」と深く息を吐いた。

「少しは落ち着いたか?」
「まあな。それにしてもタイミングが悪いって言うか。部活終わりの身体ってのはなぁ……。ま、別に構わないけどさ」

 随分と息が整った彼女は上半身を少し後ろへ倒し、両手をマットに付きながら俺を見つめてきた。至近距離で見つめられるのは初めてだし、何だか恥ずかしい。友達でも無く、一度も話した事が無い青葉さんと人気の無い体育倉庫にいるのは訳がある。今の青葉さんは、彼女であって彼女じゃない。身体は青葉聖香さんだけど、その肉体を動かしているのは青葉さん本人じゃないという事だ。

 こうして俺が面識の無い女子と倉庫に来るのは四ヶ月に一度。クラスメイトで親友の藤下秋斗と一緒に、ある程度のバイト代が貯まるのがそのくらいの間隔。貯まったバイト代で購入しているのが、ネットで見つけた幽体離脱薬だ。この薬は一粒五十万円以上するから、俺達は部活もせずにバイトに明け暮れ、一ヶ月で七万円以上稼げるよう努力している。おかげで勉強もろくに出来ない落ちこぼれ組だけど、それでも構わないから手に入れたいと思える薬だった。今回で三回目の購入だけど、残念ながら毎回じゃんけんで負けて秋斗が使っている。でも、負けた方が誰を選ぶか決められるから、倉庫に来るのは俺が好みの女子ばかり。一回目は一年生で、眼鏡を掛けて真面目そうな雰囲気を漂わせていた女子。二人目はクラスメイトで勉強が良くできる女子。そして今回は運動が出来る年上の女子。

「三時間で五十万円するんだ。早く楽しもうぜ」

 青葉さんが男口調で話しかけてくる。そう、彼女の身体を支配しているのは秋斗だ。部活が終わった直後に幽体離脱薬を飲み、青葉さんの身体を乗っ取ったという訳。秋斗の身体は、俺の後ろにある跳び箱を背もたれにして床に座り込んでいる。寝ているように見えるけど、身体には魂が入っていない。
 秋斗曰く、女子の身体に入り込んだら、本人の魂を強引に取り込むらしい。取り込むというか溶け込むというか、アイツの意識が強い状態で魂ごと支配するっていう言い方が近いかもしれない。俺自身、やった事ないから分からないけど。
 短い髪から汗の雫が垂れている。部活で相当な体力を消耗し、疲れ切っているはずの青葉さんだけど、その表情は活き活きとし、瞳は輝いていた。汗で濡れた白いユニフォームごと小ぶりな胸を遠慮なく揉みしだき、襟元を引っ張って覗き込んでいる。細い足を蟹股に開いている様子は、本来の彼女なら有り得ない。秋斗が取らせるその仕草にギャップを感じ、肉棒に血液が漲った。

「それにしてもすごい汗だな。青葉さんの体力が持たないんじゃないか?」
「そう思うなら、お前が頑張ればいいだけじゃん。俺、マグロになってるから」
「秋斗、青葉さんって初めてなのか?」
「いや、しっかり経験してるぜ。相手は男子陸上部の石本先輩だな」
「へぇ〜。そんなにイケメンって訳じゃないのに。まあ、図体はデカイし体力ありそうだけどな」
「私、別にイケメンが好きって訳じゃないよ。性格重視なんだ。それで私の母さんが苦労しているからね。それに、彼って体力があるからセックスも長くて気持ちいいし」

 秋斗は融合した彼女の魂からこれまで生きてきた全てを、恰も自分が体験して来た様に扱う事ができる。成りすます事なんて当たり前、青葉さんが絶対に秘密にしておきたかった事も、全て秋斗に覗き見られるんだ。ある意味、これまで乗っ取った女子三人分の弱みは握ったって事かな。もちろん、アイツはそこまで悪い奴じゃないから何も言わないし、それをネタに脅迫するような事はしないけど。

「もう成りきりモードかよ」
「嫌? 嫌なら秋斗モードで喋るけど。こうして本人に成り切るのって楽しいの。完全に別人になった感じがするから興奮するの」
「あっそ。俺はまだその体験をしていないからな」
「だって剛史、ジャンケン弱いんだもん。でもいいじゃない、好きな女子を選べるんだから。私は新任の岡川先生が良かったんだけど」
「ああ。じゃあ今度はジャンケンなしにしようぜ。俺が岡川先生を乗っ取ってやるよ」
「だ〜め。だって女子のオーガズムは男子じゃ絶対に味わえないんだよ。容姿よりもこの快感を選んだ方が得だし!」

 青葉さんは蟹股に足を開いたまま、白い短パンの上から股間を撫でた。その仕草が本当にいやらしい。女子陸上部の副部長が、全く面識の無い男子生徒の前でこんな事をするなんてあるはずが無い。そして、青葉さんにそんな行動を取らせる秋斗はつくづく役者だと思った。俺だって女子の快感ってやつを体験してみたいけど、こうして秋斗が乗り移って、俺好みと女子とセックス出来るというのも役得だと思っていた。

「まあいいや。今度は絶対に勝つからさ」
「それはどうかな? また勝っちゃったらごめんね!」

 すっかり落ち着いた青葉さんが立ち上がり、ユニフォームや腕をしきりに嗅いでいる。

「私、結構汗臭いよね。部活の後はいつだってこんな感じなの。剛史は汗臭い女子って嫌?」
「別にいやじゃない……っていうか、そういう状態で乗っ取ってもらおうと思って頼んだんじゃないか」
「そうだったっけ。じゃあ剛史、その制服を脱いでよ。この青葉聖香の身体で存分に楽しませてあげる」

 すでに三回目という事で、ある程度は慣れてきた。徐に制服と下着を脱ぎ、青葉さんの前で裸になる。本人を目の前にして裸になるのは大いに抵抗があるけど、中身は秋斗だと分かっているんだ。何も恥ずかしがる事はない。

「どうしたい?」
「どうしたいって……。そうだな、青葉さんは疲れているんだろ?」
「ま、疲れていると言っても何も出来ないわけじゃないわ。私が主導でも構わないけど」
「マジで? 俺、年上の女性にリードしてもらいたいな」
「そうなんだ。剛史ってマゾなんだね」
「そういう訳じゃ無いけどさ。一度そういう体験がしてみたいと思って」
「ふ〜ん。じゃあ私が苛めてあげる!」
「い、苛めるとかじゃなくてさ」

 秋斗は青葉さんの顔で微笑むと、マットに座れと手招きした。言うとおりに座ったところで、彼女が俺の前に立ち、汗で湿った白い半袖のユニフォームを脱いだ。グレーのスポーツブラに包まれた胸が露になると、勃起した肉棒が疼く。

「ねえ剛史、このユニフォームを着てよ」
「は、はぁ?」
「今まで私が着ていた汗臭いユニフォーム、着たいでしょ?」
「い、いや。俺は女装したいとは思わないんだけど」
「いいから着てよ。袖に腕を通しちゃだめだよ」
「どういう意味だよ」
「着れば分かるから」

 俺は、半ば強引に青葉さんの白いユニフォームを着せられてしまった。女子のユニフォームは思っていたよりも小さく、更に汗で濡れているので皮膚に引っかかる感じがあった。袖を通していないので、両腕が身体に密着して動かせない状態だ。

「ユニフォームが伸びちゃいそう。でもそれじゃあ腕が動かせないよね」
「それが狙いだったんだろ?」
「そうよ。汗臭いでしょ?」
「……ちょっとな」
「じゃあ、私の汗臭い臭いを嗅ぎながら手コキしてあげる」

 彼女はマットに上がると、股を開いて俺の後ろに座った。