雫本人の気持ちを考えると……。雅嗣には理性が働いていた。しかし、雫の身体を乗っ取っている小野寺は、彼女の記憶を元に雅嗣の理性を崩し始めた。
 そして、その身体を使って……。
 (その2)の続きです。





「でもなぁ……」

 小野寺が雫の身体を使って俺の理性を試している様な気がした。難しい顔をし、考えるフリをして腕を組んでいると、雫の口が開いた。

「ねえ雅嗣。私って、週に何回オナニーしていると思う?」
「な、何言い出すんだよ」
「だって、我慢しているんでしょ? ほんとは私とエッチしたいのに」
「誰もそんな事は言ってないだろ」
「したいに決まってるじゃん。この身体が抱きたくなる様に、色々と教えてあげる」
「だからさ、俺は……」
「雅嗣は私がオナニーなんてするはず無いと思ってる? 私だって年頃の女の子なんだから、最低でも週に三回はしてるんだよ」
「なっ」

 女子が言うはずのないプライベートな事を、あまりにもあっさりと言うもんだから思わず言葉を失ってしまった。

「ほんとだよ」

 真顔で言う雫は、白いユニフォームパンツの上から下腹部を優しく撫でた。あのパンツの中にある女性器を細くて長い指が這い回り、上ずった喘ぎ声でオナる雫を想像すると肉棒が激しくいきり勃った。

「それに、雅嗣は私の事を処女だと思ってるでしょ。それは間違いだよ。私、もう卒業しちゃった男子バスケ部の先輩と付き合ってた事があって、彼に処女を捧げたの」
「う、嘘だろ? そんな噂、一度も聞いたこと無いぞ」
「だってお互いに秘密にしてたんだもん。親友の亜樹ちゃんにも、親にも話してないよ」
「し、知らなかった。何かショックだな」
「ごめんね。でも、別に雅嗣と付き合ってる訳じゃないし、私だって好きだと思った人に処女を捧げたかったからね。初めてのセックスは彼の家だったの。痛かったけど、皆が言うほど苦痛じゃなかったよ。血は結構出たけどね。それから何度かセックスしたけど、一番スリルがあったのは学校の男子トイレかな。部活が終わった後、二人で人気のない男子トイレに入って……。どうしても喘いじゃうから、彼が私の口を塞いでたの」

 初体験をさらりと言いのけた雫は、ブラウンの長い髪を軽く払うとニヤリと笑い、「雅嗣。私が言いたい事、分かるよね」と呟いた。彼女がすでに経験者だと知り、ショックを隠せない。でも、「もちろん、彼とはもう別れたから付き合っている男子はいないけど」という言葉が付け加えられた事で、少しだけ気持ちが和らいだ。
 雫はゆっくりと近づいてくると俺の肩に両手を沿え、目を細めた。

「オナニーもする。セックス済みで処女でもない。付き合ってる男もいない。これ、全て私の記憶から引き出された事実なの。こうして雅嗣の家にいる事や、肩に手を添えている事、そしてこれから起きる全ての事実は、私の記憶には残らないんだよ。これでも何か躊躇う事がある?」

 まるで、断る理由を外堀から全て埋められてしまった感じだ。

「それとも、私の事が嫌いなの?」
「い、いや。だから、やっぱり雫本人の許可を取らないと、勝手に身体を使ってセックスするのはちょっと……」
「へぇ〜。それだけ六道が好きだって事か。この身体が赤の他人で、同じ状況だったら遠慮なんでしないんじゃね?」

 急に口調が小野寺に戻った。ニタニタと笑う顔は、すでに次の作戦を考えているのかも知れない。

「それは分からないよ。誰の身体だって、本人の同意が取れないって事は同じなんだから」
「よし、分かった。このまま話を続けていても時間の無駄だな。俺は女子の身体がどんなものかを知りたいだけだから、別にお前が相手じゃなくてもいいんだ」
「な、何だよそれ。どういう意味だよ」
「分かってるくせに聞くなよ」
「まさか、他の男と楽しむなんて言うなよ。そんな事したら、ただじゃおかなからなっ!」

 俺は強い口調で小野寺に言った。面食らった雫が妙に可愛く見える。でも、彼女はすぐにニヤリと口を歪め、「じゃあ、雅嗣が私の相手をしてくれるよね!」と抱きついてきた。髪から漂う心地よいリンスの香りと、汗を掻いた後の酸っぱい匂いが少々。俺の胸に押し付けられた二つの乳房がとても柔らかく、また温かく感じる。

「お、小野寺っ」
「もういいじゃない。自分の気持ちに素直になってよ。薬の持続時間は永遠じゃないの。何時までも今の私じゃいられないんだよ」
「だ、だってさ……」
「今しかないんだよ、私を自由に出来るのは。雅嗣がしたい事をさせてあげるのに。それに、幼馴染の私が筆下ろしをしてあげよって言ってるのに、断るの?」
「筆下ろしって。そんな言い方、今時しないだろ」」
「そんな事、どうだっていいじゃない。こうして雅嗣と話をして、一緒にいるだけで私の下半身は火照って蕩けそうになっているんだよ」
「じょ、冗談言うなよ。雫はそんな風に……」
「じゃあ確かめてよ。雅嗣の手で」

 真剣な眼差しで俺を見つめた雫の左手が、白いユニフォームパンツのゴムを引っ張っている。見ちゃいけないと思っても、つい覗き見てしまった。グレーのパンティが雫の股間を隠している様子が窺い知れる。小野寺が、雫の空いている手で俺の右手を掴み、強引にパンツの中へと押し込んだ。更には、パンティの中にまで。ほんとは抵抗できた。でも、パンツの中を覗き見てしまった瞬間、理性の一部が崩れた事が俺自身にも分かっていた。
 右手の甲が生温かい彼女の下腹部に触れている。指達がパンティの生地を盛り上げていた。指先には、雫の陰毛の感触が伝わってくる。

「私がここまでしてるんだよ。後は雅嗣が自分で確かめて」
「…………」

 右手を裏返せば、女子の-―雫の股間に触れる事が出来る。心臓が飛び出しそうなくらい鼓動が高鳴った。パンティの中でゆっくりと手を回転させ、掌を股間に沿わせる。すると、雫の足が肩幅ほどに広がった。

「触りやすいように足を広げてあげる。もう少し下だよ、私のオ・マ・ン・コ!」
「雫の口でそんな言い方するなよ」
「普段とのギャップがあっていいでしょ! んふっ。どう? 指先に感じてるでしょ。ヌルヌルとした私のマン汁」

 小野寺が雫の両手を使い、白いパンツの上から俺の手を押し付けてくる。掌に感じる縮れた陰毛。そして指先を滑らせる生暖かい液体。その周辺を包んでいたパンティの生地がヌルヌルしている。小野寺が言うように、雫の身体はすごく感じているんだ。陰唇にそって指を上下に動かすと、雫はビクンと身体を震わせ、「あうっ!」と可愛らしい喘ぎ声を漏らした。

「うはぁ……。クリトリスってこんなに敏感なんだ」

 驚いた表情で内股になり、俺の手をパンツの生地ごと握り締めた雫は、「もっと弄ってくれよ」と腰を前後に動かした。その仕草が異様ないやらしさをかもし出し、俺の理性を更に崩した。中指の間接を曲げ、陰唇に減り込ませながら上下に擦り付ける。すると、雫は息を荒げながら「あっ、あんっ。あ、あんっ」とセクシーな喘ぎ声を連発した。パンティの中が熱気に包まれ、掌にまで愛液が広がっている。まるでローションの中に右手を突っ込んでいるような感じだった。
 女性としての快感を雫に与えているんだ。アダルトビデオや雑誌でしか見たことがない光景を、俺と雫が演じている。いや、雫の身体を乗っ取った小野寺と演じているんだ。
 白いユニフォームパンツがモゾモゾと動き、その動きに合わせてクチュクチュといやらしい水音を奏でている。そして、雫の喘ぎ声が更に激しくなる。
 俺はこの状況に酔いしれてしまった。ほんの数分前まで、雫の気持ちを大切にしようと思っていたのに。小野寺が操り、成りすます雫に興奮し、理性が吹き飛んでしまったんだ。
 あいつがさせていると思っても、喘ぎ声を上げる彼女の顔がたまらなく愛しい。

「あっ、あふんっ。すげっ! あっ、あっ、気持ちいいっ」
「雫……っていうか、小野寺。そんなに気持ちいいのか?」
「気持ちいいなんてもんじゃ……あんんっ! 男ならずっとイッてるって感じで。あっ、あん」
「女の身体って全然違うんだな」
「んんっ。あっ、これっ……やばっ! あっ、あっ、ろ……六道の身体っ」

 蟹股に足を開き、俺の両肩に手を添えぎゅっと握り締めた雫は、ビクビクと身体を震わせながら一層激しく喘ぎ声を上げた。その様子に興奮しながら、指の動きを更に速める。
 顎を上げ、ぎゅっと目を瞑りながら大きく口を開いて喘ぐ雫は、激しく息を乱しながら喘ぎまくり、一際大きく身体を震わせた。

「ああっ! あっ、あっ、あっ、き、気持ちよすぎて! あっ、ああっ、んはっ、あっ、あああっ!」

 爪先立ちになり、身体を硬直させた彼女は、そのまま俺に凭れ掛かってきた。そして、全身の力が一気に抜けると、床にへたり込んでしまった。
 パンティの中から開放された右手が空気に触れ、ひんやりとしている。俯いたまま、大きく肩で息をする雫を見ながら、愛液で濡れた指をそっと舐めてみた。初めて味わった女性の愛液は甘酸っぱく、少しツンとした匂いがしていた。

「小野寺、大丈夫か?」

 そう問いかけると、雫の口から「ああ。六道の身体、最高に気持ちいいよ」という言葉が返ってきた。そして、顔を上げた彼女は「じゃあ次はこの身体で藤元を楽しませてやる番だな」と、短パンの上から勃起した肉棒を握り締めてきた。

「うっ! お、小野寺」
「こんなに勃起しちゃってさ。直接フェラするのは抵抗あるから、短パンの上から舐めてやるよ。その代わり、手で直接触ってやるからさ!」

 悪戯っぽく笑う雫は膝立ちし、短パンの裾から両手を差し入れ始めた。ボクサーパンツの中にまで入ってきた雫の手が、勃起した肉棒に直接触れた。

「くっ」
「雅嗣がクリトリスを弄ったように、今度は私が雅嗣のオチンチンを弄ってあげるね」

 もう理性なんて言葉は存在しなかった。