「長すぎじゃないのっ。またお風呂で変な事してたんでしょ」

 真っ赤な顔で戻ってきた自分の体を部屋で待っていた瀬里菜は、小さな体で腕を組み、きつく睨み付けた。

「ごめん姉ちゃん」
「もうっ。ほんっとにいやらしいんだから。パパやママに見られたらどうするのよっ」
「う、うん。だって姉ちゃんの体、すごく気持ちいいんだ。やっぱり僕の体とは全然違うよ」
「いちいちそんな事を言わなくてもいいのっ。もうエッチなことしちゃだめだからね」
「分かったよ……」
「じゃ、お風呂に入ってくるから」
「姉ちゃん」
「何よ」
「僕の体でやってみてよ。姉ちゃんの体とは本当に違うから」
「そ、そんな事するわけないでしょ。稔と同じにしないでよ」
「でもさ、明日になったら自分の体に戻るわけだし、男の気持ちよさが分かるのは今のうちだけだよ」

 その言葉に瀬里菜は何も言わず、小さな体で部屋を出て行った。姉から「……じゃあアタシもやってみる」という前向きな言葉が聞けずに残念だったが、すでに彼女の言動からオナニーをした事は分かっているし、きっとバスルームでもするだろう。少しずれた眼鏡を直した稔は、「う〜ん」と背伸びをした後、ベッドに座り細い指で全身を撫でた。

「それにしてもおしっこでパンツが濡れた事、ばれなくて良かった。絶対に殴られるよ」

 パジャマに包まれた柔らかい胸の感触を楽しんだ稔は、ベッドに腰掛けたまま足を開き、ズボンとパンティを引っ張った。陰毛に包まれた滑らかな股間をしばらく眺め、ふと思いを過ぎらせる。

「そういえば姉ちゃんって、まだ雑誌みたいに男とエッチした事がないんだよな。範子さんは触っちゃいけないって言ってたけど、ちょっと指を入れるくらいなら大丈夫かな?」

 瀬里奈はしばらくバスルームから戻ってこないだろう。そう思った稔は、姉の右手をパンティの中に忍ばせると、陰毛を掻き分けて陰唇の間に中指を割り込ませた。風呂上りのそこは、少し粘りのある液体がまだ付着している。
 指の腹に滑りを感じながら膣口へ指先を沿わせると、ゆっくりと膣口に減り込ませていった。

「うっ……ふ」

 ヌルンとした肉襞が指の先端を包み込む。

「ね、姉ちゃんの穴、すごくヌルヌルしてる。もう少し入るかな?」

 足を開いたまま左手をベッドに付き、部屋の白い壁を見ながら更に指を入れてゆくと、第二関節まで入った。指に纏わり付く粘膜の様な感触がある。どうやら瀬里奈の処女膜は指の一本程度ならば通る程の穴が開いているようだ。それを知らない稔は、まだ処女膜に達していないと思い、更に指を入れていった。

「ううっ。す、すごい。姉ちゃんの穴、指が全部入った。範子さんが言った処女膜って、姉ちゃんには無かったのかな。もうエッチしちゃってるんじゃないの?」

 姉の膣に指が入ったことに興奮する稔は、そのままお尻を浮かせて器用にズボンとパンティを膝まで下ろした。そして足を開き、瀬里奈の膣口に中指が根元まで入り込んでいる様子を眺めた。

「うわぁ……。まるで雑誌にあった女の人みたいだ。姉ちゃんっていやらしい」

 ゆっくりと抜いた稔は、愛液で濡れた指をマジマジと見て鼓動を高ぶらせた。

「こんなに長い指が全部入っちゃうんだ。姉ちゃんの穴ってすごいな。も、もう一度入れてみようかな」

 姉の顔で赤らみながら、濡れた中指を再度膣内へとゆっくりと挿入する。先ほどと同じように、瀬里奈の膣は自らの中指を全て受け入れた。

「はぁ、はぁ、はぁ。ね、姉ちゃん……いっ!」

 指を曲げた稔は、膣内に痛みを感じた。何処が痛いのかは分からないが、この痛みが範子の言っていた処女膜が破れるという感覚なのかもしれない。
 これ以上、弄ってはいけないと思った彼は、指を曲げないようにゆっくりと引き抜くと、下腹部を軽く撫でた。

「今の痛さって処女膜が破れた痛みなのかな? でも、破れたっていう感じがしなかったから大丈夫だと思うけど……。体が戻ったら姉ちゃん気付くかな」

 小便で下着を濡らしてしまった時と同様に不安になった稔だが、こうしていやらしい行為をすることによって疼く姉の体にまたしても性欲を刺激されたようだ。瀬里奈が戻ってきてもすぐに誤魔化せるよう、パンティとズボンを元通り穿き直すと、もう一度パジャマの中に両手を忍ばせ、クリトリスと胸で女性の快感を貪るのであった。



 男の体は女よりも正直だと瀬里菜は感じた。稔に言われたからではないが、夕食前に体験した男のオーガズムを思い出すと小さな肉棒がしっかりと勃起する。自分の体なら、少し想像した位ではこれ程顕著に現れないのに。そう思いながらバスルームに入り、掛け湯をした彼女はそそり立つ肉棒を眺めながら湯船に身を沈めた。
 しごいて欲しいと主張しているとしか思えない。瀬里奈は十分に伸ばすことが出来る稔の足を閉じ、そっと肉棒を掴んでみた。何とも言えない掴み心地だ。骨の無い肉茎は指で局所的に摘むと軟らかく感じる。ウィンナーソーセージを一回り大きくしたような、フランクフルトを一回り小さくしたような。彼女はそうイメージした。
 稔が言うように、明日には自分の体に戻れる。出来るだけ早く戻りたいと願う気持ちが大多数を占めていた。しかし、不思議なことに、もう少し稔の体でいたいと言う気持ちも心の隅にあった。このまま体が成長し、大きくなったらどんな風に変わるだろう。男として生きてゆくのは、女よりも楽だろうか?
 化粧や出産という煩わしい事をしなくてもよい男の体。そして、この勃起した肉棒を女の膣へ入れる感覚はどんなだろう。
 肉棒を握ったまま、男女の生き方について考えていた瀬里菜はゆっくりと湯船から上がり、体を洗い始めた。小さな体は思ったよりも簡単に洗うことが出来る。

「ここも……洗うのかな?」


 勃起した肉棒をボディシャンプーの付いたタオルで軽く擦ると、肉茎がビクビクと震えた。

「あっ……ん」

 まだ声変わりが終わっていない弟の裏返った吐息。今まで姉弟として一緒に生活してきたが、初めて聞いた可愛らしくもいやらしい声だ。その声を自分が出させているのだと思うと、何故か鼓動が高鳴った。
 ある意味、生意気な弟を自分の好きなように出来るのだ――そう思った。

「稔……」

 稔は「僕の体でやってみてよ」と言っていたが、自分の体を姉に弄られるなんて恥ずかしくないのだろうか。体の全てを見られ、男の象徴である肉棒を握り、しごかれるという行為を。
 瀬里奈は、ボディシャンプーの付いた滑った右手で肉棒を握ると、上下にしごき始めた。ヌルヌルしてしごきにくいが、手に力を入れてしごくと少しの気持ちよさが湧き上がってくる。稔の部屋でしたときの様に、自分の体とは異質で緩やかな快感だった。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 ニチニチという音と共に、手の動きが早くなる。皮が伸びて亀頭が見え隠れしている様子がとてもいやらしかった。
 背後の扉に人影が無い事を意識しながらしごいていると、また小便が強制的に出るような感覚を覚えた。

「ああっ!」

 そして、勃起した肉棒の尿道口から白い精液が噴出す瞬間を見た瀬里奈は、稔の体をビクンと震わせながら男のオーガズムを再度体験したのであった。