この作品は、同人誌「入れかえ魂Vol.3」「入れかえ魂Vol.4」に掲載された「どうにもならない(前編)」と「どうにもならない(後編)」となります。
 先生が大好きな高校生が、彼女の体を乗っ取り、色々な悪戯を行います。また、その性質上ダークな展開になりますので、読みたいと思われる方のみ、閲覧くださいませ。
 二日後の日曜日、吾郎の葬儀がしめやかに行われた。
 クラスメイトの生徒達や先生も来ており、智恵も喪服姿で他の先生たちと一緒に来ていた。まさか死んでしまうなんて思っても見なかった智恵だが、彼が本当に死んでしまったのかどうかは分からない。もしかしたら、ずっと姉の冴菜に乗り移っているかもしれないのだ。体は死んでも、魂だけは別の体で生き残る――
 そんな事が現実に起こりえるのだろうか?
 お燗の中にある吾郎の顔を見せてもらうと、とても幸せそうな表情をしているように見える。それが何を意味するのだろうか。智恵は不安な気持ちを隠しきれなかった。

「村内先生……ですよね」
「えっ」

 不意に後ろから声をかけられた智恵が振り向くと、そこには目を真っ赤にした冴菜が立っていた。

「村内先生ですよね」
「あ、ええ……」
「すいません。ちょっとお話を聞かせてもらってもいいですか?」
「い、今?」
「はい。そっちの……人がいないところで」
「……ええ。構わないけど」

 まるで初めて会ったような会話をした二人。きっと冴菜は病院での出来事を覚えていないのだろう。智恵は冴菜の後ろをついて歩いた。


「あの、ちょっとお聞きしたい事があって」
「何?」
「わ、私とは……今日初めて会ったんでしょうか?」
「え?」
「す、すいません。変な聞き方して。実は……」

 冴菜はここ1週間くらいの出来事を智恵に話した。やはり智恵が病院に行ったとき会ったということは覚えていないらしい。それに、寝ている間に色々と身に覚えのない事をしていたのだと。

「私、吾郎が死んだ日に病院に行っているんですよ。それで先生とも会っていて話をしたんですよね。私、一体何を話したんですか?それにどうして吾郎は死んでしまったんでしょう。もしかしたら私が吾郎に何かしたんじゃないかと……。もしそうなら、私はどうすればいいのか……」
「さ、冴菜さん……」

 冴菜は涙を流しながら智恵に話した。智恵はなぜ吾郎が死んでしまったのかはわからないが、少なくてもあの時点で吾郎が冴菜に乗り移っていた事だけは知っている。
それを彼女に言うべきか――

「ごめんなさい冴菜さん。私には何もわからないわ。病院では冴菜さんと他愛もない話を少ししただけなの。だからそれ以上は……」

 その言葉を聞いたあと、冴菜はハンカチで涙を拭うと

「そうですか……優しいですね、先生って」と言って、笑顔を見せたのだった。
「え? 優しいって?」
「だから先生の事、大好き」
「あっ」

 冴菜が不意に智恵に抱きついてきた。

「さ、冴菜さん!?」

 声をかけるが、冴菜は気を失ってしまったようでぐったりとしている。

「冴菜さん、どうしたの?」

 何度か声をかけると、冴菜はピクンと体を震わせて目を覚ました。

「う〜ん……あ、あれ……わ、私……」
「冴菜さん?」
「あ、あれ。すいません。えっと……」

 冴菜は首をかしげながら智恵の顔を見ると、

「あの……どちら様ですか?」と言ったのだった。
「えっ……」

 その表情を見て何かおかしいと感じた智恵だったが、
「姉貴。姉貴が色々と協力してくれたから俺、先生になる事ができたよ。今までありがとな」と言うと、うれしそうな表情をしながら式場を出て行ってしまった。
挿絵

「な、何? それ……」

 訳が分からないと言った表情で智恵の後姿を見ていた冴菜だったが、それよりも何故自分がここにいるのか、一体何が起こったのかさえ理解出来ないでいたのだった――




「ただいま」
「おかえり、智恵。藤田君のお葬式はどうだった?」
「うん。たくさん来ていたわ。ちょっと着替えてくる」
「ええ」

 智恵は一階の応接間にいた母親に話をすると、そのまま二階にある自分の部屋に
上がって行った。そして部屋に入ると喪服を脱いで下着姿になり、そのままベッドにゴロンと横になったのだ。

「ふぅ〜。疲れたぁ。でも……うふふ」

 妙にうれしそうな表情の智恵。
 ベッドの上で仰向けになったまま、両足を天井に向かってピンと伸ばしてみる。
 ほっそりとした長い足。その足を両手でさすりながら「よいしょっと」と言って、勢いをつけて起き上がった。

「最高だよなぁ。こうやって先生のすべてを手に入れることが出来たんだから」

 そう言って、ニヤニヤしながらベッドから立ち上がるとクローゼットを開き、
扉の裏についている縦長の鏡に下着姿の自分の姿を映し出した。そこには、智恵の見事なプロポーションが鏡に映っている。

「どれどれ……そうか。先生はここが感じるのか」

 しばらく目を瞑った智恵が、ブラジャーの上から乳首をキュッとつまむ。

「あんっ!」

 淡い智恵の声。
 何度も乳首をこねていると、次第に硬くプクッと膨れ始める。それはブラジャーの上からでもわかるくらい硬く尖っていた。

「うっ……んんっ……きもちいい……」

 鏡に映る自分の姿を見ながら、智恵はスルスルッとパンティの中に右手を忍ばせた。薄っすらとした毛を左右に分け、その中にあるワレメの間に中指を滑らせると、そこはすでにヌルヌルとした愛液に包まれていた。

「んあっ! あんっ、こ、ここ……すごい……」

 両足を少し蟹股に開きながら、クチュクチュとクリトリスをいじる智恵。皮をめくって、プクッと赤く充血したクリトリスを中指の腹で何度も刺激する。

「あっ、あひっ……んあんっ……あうぅっ……ひんっ!」

 いやらしい喘ぎ声。普段の智恵からは考えられない言動。もちろんそれは、冴菜から智恵に乗り移った吾郎がさせている事。吾郎は智恵の意識を強制的に閉ざし、自らの意識で智恵の体を操っているのだ。
 しかも、智恵の記憶を読み取ることで、智恵と同じ振る舞いをすることまで出来るのだった。
 はぁはぁという息遣いが聞こえる。
 その快感を心の底から味わうように、智恵は必死に指を動かした。

「ああっ、あっ、あっ、あふっ……ひぃっ」

嬉しそうに智恵の体を弄ぶ吾郎。体をビクンと震わせながら、その快感に酔いしれる。首から上を支配できなかったこの体。それが今は、自由に動かすことが出来る。
 そして、智恵の声で自分の思ったとおりにしゃべらせることが出来るのだ。

「あふんっ! 藤田君、もっと……もっと私のクリちゃんを弄ってちょうだい。でないと私、最後までイケないわ」

 智恵のしゃべり方を真似ながら、オナニーを続ける吾郎。
 もうパンティはグチュグチュに濡れ、透明な愛液が太ももを伝って流れ落ちてきている。

「あっ、あっ、それっ……クリちゃんをもっと……もっといじってっ……ああっ、あっ、あっ、ふ……藤田君、い……いいよっ……」

 足に力が入らなくなった智恵が、クローゼットの前にペタンと座り込んでしまった。それでもパンティの中の手は、ずっとクリトリスを弄っていた。

「あっ、あうっ、ああっ……はぁ、はぁ、あひっ……ああっ、あっ、あくっ……ひぃっ」

 もう片方の手が乳首を思い切り摘む。すると、ビクビクッと体に電気が走り、それがクリトリスに連動してたまらない快感を吾郎に味合わせた。
 もう智恵の体はイク寸前。それが分かる吾郎は、さらに激しくクリトリスを刺激した。
 ジンジンする痛みにも似た快感。吾郎の精神は、それに耐えることは出来なかった。

「あっ、ああっ! イクッ……イクッ……んああああっ!」

 ワレメの奥から信じられないほどの愛液が噴出し、パンティはおろか部屋の絨毯までグチョグチョに濡らしている。指にも生暖かくてヌルヌルした愛液がべっとりとついて、それは男の精子とはまた違った指ざわりに思えた。
 吾郎が学校で中途半端に乗り移っていた時とは全然違う感じ。あの時は智恵の意識があったし、首から上、すなわち脳を支配していなかったから感じる事は出来なかったが、今回は吾郎自らが智恵の体、脳を完全に支配し、感じる事が出来るのだ。智恵の脳が感じる事をそのままそっくり感じることで、初めて女性の快感を体験したという気がして、この体は普段よりも更に敏感になっているようだった。

「うあっ! あっ! あああんっ……はぁっ、はあ……あふぅ〜」

 智恵の記憶から読み取る喘ぎと、吾郎が自ら出した自分の喘ぎ声が混ざり合う。本来の智恵なら、もっと女らしい喘ぎ方をしていたのかもしれない。

「はぁ〜、ふぅ〜、す、すげぇよ……すごすぎる」

 息を整えながら、智恵の体が発する快感の余韻に浸る吾郎。呼吸するたびに、智恵の胸が上下に揺れ動く。そう、この胸も吾郎の物。そして、その向こうに見えるグチョグチョに濡れた股間も吾郎が自由に使う事が出来るのだ。

「た、たまんねぇ。たまんねぇよ先生っ」

 嬉しさが心の底からこみ上げてくる。智恵はそのまま後ろに体を倒して、絨毯の上に大の字になった。智恵の目を通して天井の木目を眺めながら、これからの事を考える吾郎。
 もう何も怖いものは無いのだ。
 智恵の記憶を全て読み取る事で、智恵として生きていく事が出来る。しかも、智恵の意識は吾郎の思うままに表に出してくる事さえ出来るのだ。
 必要な時は智恵自身にさせればよい。そう、教師として勉強しなければならない時、会議など訳の分からない事を論議する時など。

「一種の共同生活みたいなもんだよな。まあ、俺のほうが立場は上なんだけど」

 ニコニコしながら呟く智恵。こうやって欲しいものを手に入れてしまうと満足感が満たされてしまって、次に何をしようかと迷ってしまう。
 吾郎は下着姿のまましばらく考えると、これからの生活スタイルを決めた。もちろんそれはしばらくの間だけかもしれないが。

「よし。とりあえず先生の意識をベースにして、時々お邪魔するようにしようか。記憶で読み取れると言っても、本来の先生の行動も見ておきたいしな」

 そう言うと、「うぁ〜!」と背伸びをして、ゆっくりと目を閉じた。
 ほんの五秒ほど経っただけだろうか。パチッと智恵の目が開いて、周りの様子を伺い始めた。

「……あ、あれ? こ、ここ……私の部屋?」

 そう呟くと、ゆっくりと上半身を起こした。

「え? た、確か藤田君のお葬式に行って……」と呟いた後、俯いて自分の姿を見て言葉を失う。
 何故か下着姿になっている。しかも、股間にはぐっしょりと濡れたあとが。そう言えば、体が疼いた後の感じが残っている様な気がする。

「ど、どうして? な、何が!?」

 訳の分からないまま立ち上がり、部屋の中を確かめる。絨毯の上には、喪服が脱ぎ散らかされている。確かに吾郎の葬儀には行ったのだ。でも……智恵には葬儀から帰って来た記憶が無い。

「どういう事? わ、私一体……」

 自分の記憶を辿ってゆく。
 喪服に着替えてから家を出て、吾郎の葬儀に出席して――

「あっ、そうだ。確か冴菜さんに話があるって言われて……」

 徐々に思い出してきた。
 冴菜の後についてゆき、吾郎の事を少し話したあと冴菜が抱きついてきて――そこからの記憶が全く無い。
 そして気づくと、何故か自分の部屋で下着姿になって寝ていた。

「…………」

 智恵の心を不安な気持ちが支配する。

「ま、まさか……わ、私の体の中に……」

 智恵は青白い顔をしながら濡れたパンティを穿きかえると、上下が白の薄い生地で出来たスウェットスーツを着てベッドの上に座った。

「まさか……ふ、藤田君。私の体に入り込んでいるのかしら……」

 これが吾郎の仕業とすれば、もう智恵にはどうする事も出来ないのだ。いつの間にか勝手な行動をさせられ、しかもその時の記憶は全く無いのだから。

「い、いやよ。そんなの……」

 智恵の目からポロポロと涙がこぼれた。頬に伝ってゆく涙をスウェットの袖で拭取る。

「藤田君? ねえ、藤田君? 私の体の中にいるの?」

 か弱い声で呟く智恵。しかし、自分の体からは何の反応も無かった。吾郎がいるのかどうか、全く分からない。

「ねえ藤田君……」

 再度問い掛けても、吾郎からの返事は無かった。
 吾郎はいないのだろうか?
 しかし、葬儀場から家まで帰ってきた記憶が無い限り、吾郎の仕業と考えるのが自然だ。

「…………」

 何も考えたくなくなった智恵はベッドの上でゴロンと横になると、じっと目を瞑った――