家の前に着くと、俺達は周りを気にしながら玄関の扉を開いた。

「雄太、お前まだ勃起しているのか?」
「し、仕方ないだろ。お前があんな事したんだから」
「余程興奮したんだな。もしかして、射精してるんじゃないか?」
「してないっつ〜の。……危なかったけど」

 俺は靴を脱ぎ捨て、二階の部屋に上がりながら先程の出来事を思い出した。
 それは電車の中で、長斗が荒垣さんの体を使ってやった行動だ――。

「なあ雄太」
「何だよ」
「お前、電車の中で痴漢されてみたいと思わないか?」
「俺が電車の中で? したいとは思うけど、されたいとは思わないな」
「そうか? 結構刺激的だぜ」
「そうかな」
「折角だから、俺がこの美人ニュースキャスターの体でお前に悪戯してやるよ」
「ちょ、ちょっと待てよ。それはマズいだろ。周りに人がいるのに」

 俺達が立っているのは、電車の端にある優先座席の前。目の前には三人の老人と若い男性が一人座っていた。それに、立っている人も数人いる。こんな状況で何を考えているんだと長斗を見ると、こいつは荒垣さんの顔をニヤリを歪ませ、俺の後ろに立ちなおした。

「いいから大人しくしてろよ。気持ちよくしてやるからさ」

 肩越しに荒垣さんの囁きが聞えると、後ろからお腹を抱きしめられた。

「お、おいっ!」
「大きな声を出さないでよ雄太。変に思われちゃうじゃない」
「ご、ごめん……」
「早く家に帰ってゆっくりしたいね」
「……そ、そうだな」

 思わず出た声に、優先座席の老人たちが顔を上げた。でも、恋人か姉弟のような会話を聞くと皆、気にしなくなった。美人の大人と学校の制服を着た俺の関係を、周りの人はどう思うんだろう。

「どう? 背中に私の胸、感じない?」
「…………」

 長斗は、また荒垣さんの声で小さく囁いた。そう言われれば、背中に柔らかい感触が伝わってくるような気がする。これが荒垣さんの胸……なんだ。

「コート越しだから分かりにくいかな。ま、それはまた家に帰ってから楽しむ事にして……」
「……っ!」

 俺はまた声を上げそうになった。荒垣さんの両手がスルスルと降りてきて、ズボン越しに肉棒を撫で始めたからだ。

「どうかしら? 荒垣美智穂の手で撫でられるのは」
「な、長斗……」

 き、気持ちいい。
 荒垣さんが、滑らかな指を使ってズボンの股間を撫で上げている。瞬く間に勃起した肉棒が、ズボンを大きく膨らませた。

「もう勃起したんだ」
「これ以上はマズいって。み、見られてる」
「大丈夫だって。同意の下なんだから、見られていても問題ないでしょ!」

 老人が俺の顔と股間に視線を送り、怪訝そうにしている。

「長斗。お前……なっ」
「大きな声を出さないの」

 女言葉を巧みに使う長斗は、両手をズボンのポケットに忍ばせてきた。
 そしてポケットの中から肉棒を撫で始めた。

「どう? チンポを握れらた感触は」
「う……うう」

 生地越しに掴まれただけなのにすごく気持ちいい。
 それから長斗は、老人や若者がチラチラと見ている中、肉棒をいやらしく弄っていた。肉茎を爪で掻く様に擦ったり、生地越しに尿道口を穿ったり。
 一番気持ち良かったのは、やっぱり肉棒を握ってしごかれた事だ。
 ゆっくりとした動きだけど、荒垣さんの手で握り締め、確実にしごいてくれる。
 後ろから荒垣さんの声で一々感想を聞かれるのはとても恥ずかしかったけど、それがまた刺激的だった。
 ガマン汁が溢れたトランクスの中。下腹部にヌルヌルとした感覚を覚えた。

「はぁ、はぁ、はぁ」
「そんなに興奮したら、トランクスの中で出ちゃうわよ」
「だ、だってさ。荒垣さんの手で……しかも電車の中でこんな事されたら……」
「へへ。刺激的だって言っただろ?」
「……あ、ああ」

 俺は素直に頷いた。痴漢されるのも悪くないと。

「じゃ、後は家に帰ってからね」

 ポケットから手を抜いた荒垣さんが隣に立ってニヤニヤと笑っている。

「そういう笑い方するなよ」
「だっておかしくてさ。じゃあこんな姿を見たらどうだ?」
「…………」
「んっ、柔らかい」
「お前、勝手に荒垣さんの……」
「後で触らせてやるからさ」
「おい……。頼むから止めてくれよ。俺……」
「乳首が勃起してる。うっ……ふん、お前のチンポを触ってたから、この体が興奮したのかな」

 ニヤけていた荒垣さんが、普段テレビで見ているような真面目な雰囲気を通り越して、セクシーな表情に変わった。左手はつり革、そして右手を茶色いコートの胸元に差し入れている。
 その様子が分かる様に、俺に体を向けた長斗は、コートの中で荒垣さんの手をいやらしく動かした。
 中に着ているピンクの長袖シャツの生地ごと、胸を揉みしだく様がたまらない。

「めちゃくちゃ柔らかいよ。お前も早く触りたいだろ?」
「お、おい。もう止めとけよ」
「……そうだな。下半身が火照って来たし、これ以上弄ると電車の中でセックスしたくなりそうだ。お前もトランクスの中で射精したら困るだろうからな」

 平気で隠語を口にする荒垣さんに興奮を隠せない俺は、わざと視線を逸らして車窓を眺めた。
 しごいていないのにイッてしまいそうな――そんな感覚だった。
 その後、長斗は大人しくしていたけど、周りの乗客の中にはニュースキャスターの荒垣美智穂に似ていると思う人が数人いるようで、しきりに彼女の顔を確認していた。

「気付き始めているやつもいるみたいだな」
「ああ。ま、髪を上げて眼鏡を掛けてるだけだから、雄太の様にすぐに分かる人もいるだろ」
「どうする?」
「まあいいんじゃない? 次の駅で降りるし、早足でお前の家に行けば」
「……そうだな」

 こうして俺達は電車を降りると足早に駅を離れたんだけど、勃起した肉棒が邪魔して思うように足を出せなかった。
 そして現在に至るわけで、荒垣さんの体を好き勝手に使う長斗には興奮させられっぱなしだった。