互いに裸のままでカップラーメンを啜る様は、他人が見ると滑稽に思えるだろうか。
 余程空腹だったのか、瑠那は汁が飛び散る事に全く気を使わずに食べている。その姿を唯人はニヤニヤしながら見ていた。

「ん?何だよ」
「いや、信河先生がそんな風にラーメン食べる姿って想像できないからさ」
「仕方ないだろ。腹が減ってたんだから。信河先生だって、一人ならこんな風に食べてるかもしれないって」
「それは無いだろうなぁ」
「そうか?ま、俺はこうして先生の腹を満たしてやるだけさ」
「はは。そうだな」

 胸元に飛び散った汁を布巾で軽く拭き取り、また大雑把に食べている。春樹は学校で授業をする瑠那が思い出せなくなるくらい、瑠那の雰囲気を壊していた。とりあえず、その様子を持ってきた携帯に収める。

「げふっ。食った食った」
「頼むよ、これ以上、信河先生の雰囲気を壊さないでくれ」
「ならこれはどうだ」

 瑠那がお尻を片方浮き上げ、「プ〜っ」と屁を扱いた。この上ない程、瑠那を下品に扱う春樹は、大きく背伸びをした後、掌で口を拭いて唯人に話しかけた。

「さてと。腹も満たされた事だし、風呂に入ってさっぱりしようか」
「はぁ〜。何かさ、もう学校で信河先生の事をまともに見れない気がするよ」
「そういうなよ。折角、普段は見れない信河先生を演じてやっているのに」
「やりすぎだっての!」
「そうか。まあ、それよりも入るだろ?風呂に」
「……まあな」
「このしなやかな手で、唯人を綺麗に洗ってやるよ。いや、洗い合おうぜ」

 いやらしく笑いながら、瑠那は両手で胸を揺らした。

「なあ、また信河先生の真似をしてくれよ。もう一度、頭をリセットしたいんだ」
「いいじゃないか、このままで」
「いやぁ。何かさぁ、だんだん信河先生が気の毒になってきてさ」
「そんな事気にしなってもいいって。先生の記憶には残らないんだから。ほら、先にバスルームへ行ってるぜ」
「あ、ああ……」

 春樹は食べ終わったカップラーメンをそのままに、瑠那の胸を揺らしながらバスルームへと歩いていってしまった。魅力的な彼女の後姿が消えると、少しやるせない気持ちを抱えたままテーブルの上を片付け、瑠那と同じくバスルームへと向かった。
 すでに脱衣所には瑠那の姿は無く、すりガラスのドアを挟んだバスルームに人影が見える。

「もう入ったのか」

 その人影に向かって呟き、ドアを開くと白いタオルを体に巻いた瑠那がニヤリと笑いながら立っていた。雰囲気が違うと感じたのは、一つに束ねていた髪を解いたせいだ。
信河先生12
「お湯に浸からずに待ってたのよ、黒山。先生の姿、どう?」

 唯人の気持ちを汲んでくれたのか、春樹は瑠那の口調を真似している。

「ああ、すごくセクシーでそそられるよ。タオル一枚ってのは想像以上に興奮するよな。それに髪を解いた先生を見るのは初めてだし」
「そうでしょ、私自身もすごく興奮しているんだよ。ほら、早く一緒に浸かろうよ」
「でも、その前に……」
「ん?あっ!」
信河先生13
「おおお!タオルを肌蹴た先生ってのもそそられるよ」
「もう、調子に乗らないのっ。早く先に浸かりなさい」
「俺が後ろって事?」
「その方が私の体を弄りやすいでしょ。それとも私に後ろから弄って欲しいの?」
「そうか……。う〜ん、迷うなぁ」

 弄りたい気もするし弄られたい気もするが、湯船の中で信河先生の体を好きに弄りたい。その欲望が勝ったようだ。

「どうするの?」
「うん、じゃあ先に浸かるよ」
「そう」

 こうして掛け湯をした二人は、唯人の前に瑠那が座ると言う順で湯船に使った。
 目の前にある瑠那の茶色い髪が、水分を含んで重く背中に張り付いている。その髪を背中の中央にまとめ、両手で肩甲骨の辺りを優しく撫でた。すべすべした肌が掌にしっとりとなじむ。

「くすぐったいか?」
「ううん、そんな事無いけどね。黒山の手って思っていたより大きいんだ」
「そうか? 何度も見てるじゃないか」
「そうやって背中を撫でられると、妙に大きく感じるのよ。この背中が小さいからかな?」
「さあ」

 瑠那は唯人の開いた足の間で体操座りをしていた。その開いた脇の間から両手を前に差し出し、お湯の中に漂う胸を掴むと、膝を抱いていた彼女の腕が開き、唯人に凭れかかって来た。

「んっ……」
「先生の胸、お湯の中だとすごく軽いな」
「そう?確かに肩に掛かる重みは無くなるけど。そんなに乳首ばかり弄らないでよ」
「だってさ、本当の信河先生が戻ってきたみたいで嬉しくて」
「まだ先生に成り切っていて欲しいの?」
「春樹は嫌なのか?」
「別に嫌って訳じゃないけど、ちょっと面倒になっちゃって。やっぱり自分のしゃべり方の方がしゃべりやすいじゃない」
「じゃあさ、湯船から上がるまで。その間だけ先生に成り切ってくれよ」
「ん〜、分かった。もう少し信河瑠那先生でいてあげるよ。でも逆上せるほど長く浸からないからね」
「分かってるよ、センセ!」

 唯人が嬉しそうに瑠那の項にキスをすると、彼女は体をビクンと震わせた。そのまま乳首を執拗に弄ると、瑠那は「あっ、あっ……ダメだよ黒山。そんなにしちゃ」と喘ぎ声で雰囲気を盛り上げつつ、両腕を挙げて唯人の頭に絡めた。
 お湯の中で乳首を摘み、前に引っ張ったり円を描いている。その様子が湯面の揺らぎで歪んで見えた。丹念に項を舐めながら乳首を弄んでいた右手を彼女の下腹部、そして軽く開いている足の付け根へと撫でるように移動する。

「あっ……」
「ねえ先生。これってお湯の滑りじゃないよね」
「さあね」
「先生の膣から湧き出た汁だろ」

 陰唇に指をめり込ませて膣内を掻き回すと、お湯の指触りとは明らかに違う滑りが広がっていた。

「んっ、あっ、はぁっ」

 唇を軽く開き、吐息を漏らす瑠那の横顔を見ながら左手も下腹部へと移動させ、無防備なクリトリスを弄り始める。

「あ、ああっ」

 瑠那が敏感に背筋を反らせると、乳房の上部が湯面から現れ軽く波打った。春樹が演じる成人した女性の反応に、唯人も興奮する。

「先生、気持ちいい?」
「はぁ、はぁ。気持ちいいよ。黒山が私のクリトリスを弄りながら膣を掻き回しているなんて。あっ……ん。私達、もう先生と生徒の関係じゃなくなったよね」
「それはちょっと前からだけど」
「うん。こうして生徒に弄られるなんて……。私、教師になると、こんな事もあるのかなって想像してたの」
「へぇ〜。それが現実になったんだ」
「そう。いつも私の授業を邪魔する黒山唯人と、荻那春樹のせいでね。生徒の癖に、私の体を弄ぶなんて信じられない。勝手に体を操って真似をしたり、エロい事をさせたりするなんて」
「先生の体だって楽しんでたじゃないか。現にこうして感じている訳だし」
「んふっ、まあね。この体って敏感だし、若いからセックスを求めているのは確かよ。でも、相手が生徒じゃねぇ」
「いいだろ、生徒だって。こんなに感じさせてやるんだから」
「ああっ!あっ、クリトリスっ……そんなに激しくっ……んっ!んはぁっ」

 湯船の中で大きく足を開き、唯人の愛撫を受け入れる瑠那の喘ぎ声がバスルーム内に響いた。唯人の腕が瑠那の股間を激しく弄ると、湯面も大きく波打つ。しばらく弄っていると、彼女はつま先で体を支えながら体を湯面に浮かべ始めた。股間を弄る唯人の二の腕に挟まれ、縦につぶれた二つの胸も浮かび上がり、ビクビクと震える度に体の一部分が浮き沈みしている。その間も、唯人の指は彼女のクリトリスと膣内をかき回していた。

「あっ、ああっ、あ、あ、あっ。あんっ」

 唯人はその喘ぎ声を耳元で聞きながら、浮き沈みする瑠那の体を眺めた。彼女の脇のすぐ下から伸びる自分の腕が、瑠那の腕の様に見える。女性らしい滑らかさも無く、肌の色も異なる腕だが、このアングルから見ると、まるで瑠那が自ら股間を弄ってオナニーをしているように思えるのだ。

「はぁ、はぁっ!あっ、あんっ。あっ、あっ、い、いいっ!すごいっ。あっ、あふん」

 膣に入れていた指を抜き、両手を使ってクリトリスを乱暴に弄り続ける。唯人が瑠那の腰の下に膝を立て、華奢な体を持ち上げると、彼女のお腹が湯面から完全に浮き出た。

「あああっ!あっ、そんなに強く弄っちゃ……あっ、私っ……イ、イクッ!」

 彼の肩に頭を乗せ、腕を絡めていた瑠那が一際声を裏返し、大きく喘いだ。足を突っ張り、全身に力を込めた体がビクン、ビクンと震える。

「ああ……。あっ……。あっ。ああ〜」

 クリトリスでオーガズムを迎えた体が沈み始めると、唯人は立てていた膝を開いて彼女の体を抱きしめた。

「はぁ、はぁ、ああ……」
「はあ春樹。先生の体って何回イッたっけ?」
「はぁ、はぁ、ふぅ〜。さあ?」
「最初に自分でオナニーして一回だろ。それからセックスで一回。で、今ので三回か」
「それよりも熱くて逆上せそうだ。上がろうぜ」

 自分の口調でしゃべり始めた春樹は、湯船の淵に手を掛け腰に力が入らない瑠那の体を起こした。その濡れた髪が背中に密着している後姿にもそそられる。

「下から見る先生の姿もそそられるよな」
「あっ。急にケツ掴むなよ」
「へへ」

 瑠那の無防備で滑らかなお尻を掴んだ唯人も、彼女に続いて湯船を上がった。