硬い先端を細い指先で潰すように、また引っ張るように刺激すると異常なほどの快感が全身に走る。
 目の前にあるディスプレイに映る優梨子の白いレオタード姿。そして俯くと彼女自身が自らの手で乳首を弄っている。
 優梨子の鼓動が激しく高鳴っている事を奥治は感じていた。
 乳房を両手に収めて十本の指で大きく揉みしだくと、指に吸い付くような滑らかな肌。
「あっ、んっ、ああ〜」
 半分ほど開いた唇から、彼女の吐息が漏れた。
 切ない表情で胸を弄る様子は、優梨子が普段オナニーをしている状況と殆ど変わらなかった。
 脳裏に彼女のオナニーシーンを思い浮かべ、その状況を真似しつつ弄っているのだ。
 胸をしばらく弄った後、股間に手を伸ばすのが彼女のやり方。
 彼女がどうすれば気持ちよくなるのかを、奥治は記憶から読み取っているのである。
「はぁ、はぁ……あん」
 大きく息を吸い込むと、彼女のお腹が膨らんだ。
 奥治が息を吸い込むことで、優梨子の滑らかで脂肪の付いていないお腹に空気が溜まる。
 彼女の目を通して見ている体を自分が制御している。
 そんな些細なことでも、奥治は頗る興奮するのであった。
「あっ、あっ、あんん……。き、気持ちいぃ〜。そろそろ……」
 優梨子は奥治の言葉を代弁すると、大胆にも長い両足を机に投げ出し、蟹股に開いた。
 椅子に浅く腰掛け、背もたれに凭れながらゆっくりと右手を股間に沿わせてゆく。
 ディスプレイの明かりが、彼女の濡れた股間を照らしていた。
「んっ……あはっ」
 陰毛を掻き分け、愛液で濡れた陰唇に指を這わせる。
 彼女が一番感じるクリトリスの皮を二本の指で剥き、赤く充血したその突起をいやらしく弄った。
「うあっ!ああっ、はぁ、はぁ……あっ、あんっ。す、すごいっ……」
 机に上げた足の指に力を入れ、その快感の強さを表現する。
 椅子がしきりに軋み、彼女の体はビクビクと波打つように震えた。
 優梨子の体は慣れていても、初めて女性の快感を味わう奥治にとっては未知なる体験。
 男性のそれとは全く異なるものであった。
 たかが指先で弄っただけなのにこれほど気持ちいいなんて。
 足が吊りそうになりながらも、奥治は優梨子の指を動かし、クリトリスを弄り続けた。
「あっ、あっ、んんっ。んっ!んっ!はぁ、はぁ……ああっ。はぁ、ああ〜っ」
 優梨子の切ない喘ぎ声が彼の部屋に絶えず響いている。
 膣から溢れた愛液が椅子の生地に染み込み、いやらしいシミを作っていた。
 そんな淫らな自分の姿を、ディスプレイの中に映る彼女は笑顔で見つめ続けている。

 ――私、そんな風にいやらしい声を上げないし、大胆に足を開かないわ――

 本当はそう言いたいのかも知れない。
 しかし、奥治が操る優梨子の手は止まるどころか、更に激しくクリトリスを弄り始めた。
 柔らかい胸を触っていた左手の指が加勢し、濡れた膣の中に入り込んでゆく。
「んんんっ!」
 体の中に指を入れるなんて、口以外では初めての体験だ。
 抵抗も無く入り込んでゆく指で膣壁をなぞると、それに応えるように締め付けてくる。
 それは自分の意思で行っているのではなく、優梨子の体が自ら行っているようであった。
「はぁ、はぁ、あっ、ああっ。優梨子ちゃんの膣……すごく温かくてヌルヌルして……。すごいよっ」
 いやらしい言葉も全て優梨子の声となり、第三者から見れば彼女がしゃべっている様にしか思えない。
 優梨子に隠語を言わせていると思うと、彼の興奮も最高潮になる。
 クチュクチュといやらしい水音を膣が奏で、クリトリスは彼に極上の快感を送り続けている。
 奥治が男として生きてきたこれまでの感覚から逸脱した快感に、彼は完全に麻痺した。
「あ、ああっ、はぁ、あっ、あっ、ああっ!」
 背中を丸め、机に大きく投げ出した蟹股の足を痙攣させながら、奥治は優梨子の女性としての快感を貪った。
 今にも椅子が倒れそうなくらいに背もたれに上半身を預け、膣内を掻き回す。
 左手の指が一本追加され、二本で捏ね繰り回しつつ、右手の指はクリトリスが悲鳴を上げるくらい弄り倒した。
「あふっ。あっ、ああっ、イ、イイッ!すごくイイッ!あうっ、あっ、あんんっ」
 引くついた足がキーボードを蹴り、ディスプレイが斜めに歪んだ。
 いつまでも笑顔で見つめるディスプレイの優梨子。
 その表情とは対照的に、奥治が操る優梨子は悩ましげに眉を歪め、涎を垂らしながら息を荒げていた。
 もうそこまでオーガズムが近づいている。
 それを優梨子の記憶が教えてくれた。
 これ以上激しく手を動かすことが出来ない奥治だが、このままで十分であった。
 快感の勾配を上り詰めた彼女の体が、一気に彼を快感の嵐に巻き込む。
「ああっ、はぁ、はぁ、あっ、イクッ!イクッ……優梨子ちゃんの体でっ……イクゥッ!」
 優梨子の体がビクン、ビクンと大きく震えた。
 そして投げ出した足がまたキーボードを蹴り、マウスを机から弾き落とした。
「あああっ。あっ、あんんん〜」
 力強く指を締め付ける膣壁。
 そして椅子にほとばしる愛液。
「あふっ……あふっ……は、はぁ、はぁ、はぁ〜」
 奥治は優梨子の体がオーガズムを迎えると、その快感を堪能しながらも、体がフッと軽くなる感じを覚えた。
「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ?」
 歪んだディスプレイが若干低く見える。
 俯くと、優梨子の体が少し遠ざかったように思えた。
 しかも幽体の腕が優梨子の腕から浮かび上がっている。
「あ、あれ?もしかして優梨子ちゃんの体から抜け出したのか?」
 どうやら優梨子の体でオーガズムを迎えたことで、彼女の体から抜け出すことが出来たようだ。
「……優梨子ちゃんの体でイッたから、その衝撃で体から抜け出したってことか。なるほどな……。でも、これで自分の体に戻ることが出来るんだ。ちょっとホッとしたな」
 イベント会場の女子トイレで、優梨子に乗り移った瞬間を思い出す。
 あの時は、確か彼女の体を思い切り抱きしめることで乗り移る事が出来たはず。
 軽い刺激では弾かれるが、体を思い切り抱きしめれば戻れるはずだ。
 そう思い、ベッドに横たわる体に近づいた奥治だったが――。
「待てよ。このまま自分の体に戻って優梨子ちゃんが目覚めたら……かなりやばい事になるよな。とりあえず優梨子ちゃんをイベント会場に返さないと、俺が誘拐犯みたいになってしまうんだ」
「ん……んん」
 床に散らばるレオタードや下着を眺めながら考えていると、優梨子の眉が動き、目を覚ましそうになった。
「やばい。今、目が覚めたら何て思われるか分からない。とりあえず、体から抜け出せることが分かったから……」
 奥治は力なく椅子に凭れかかる優梨子の前に浮き上がると、彼女の体を思い切り抱きしめた。
「うっ……うう……」
 一瞬、呻き声を上げながら目を開いた優梨子の体に奥治の幽体がめり込んでゆく。
「あっ……は……」
 抱きしめた腕が、そして幽体が全て入り込むと優梨子はビクンと体を震わせ、戻りかけた意識を奥底へと沈めた。