タンスの引き出しを開ける音、そして布が擦れる様な――きっと着替えているのであろう。
 終始無言なのは感動で声が出ないのか、わざと声を出していないのか。
 剛司が果乃河先生の私服を脱ぎ、白いセーラー服と紺色のプリーツスカートを穿く姿を想像する。
 もしかしたら紺色じゃなくて、赤色系のスカートかもしれない。
 そんな事を思いながら五分ほど経っただろうか。
 いい加減白い壁にも飽きてきた俺に、ようやく声が掛かった。

「いいよ。安川君」
「また果乃河先生の真似をしているのか」

 返事をしながら振り向くと、白いセーラー服を身に纏った果乃河先生が立っていた。
 くるりと回転し、靡くスカートの裾を楽しんでいる。
先生8
「どう?似合うかな。やっぱりセーラー服っていいよねぇ」
「……ま、まあ」
「何よその中途半端な返事は。先生が安川君のために、わざわざセーラー服を着てあげたのよ」
「俺のためじゃなくて自分のためだろ」
「へへ。そうだけど!」

 やっぱり白いセーラー服に紺色のプリーツスカートだった。
 果乃河先生、高校時代はこの制服を着て通っていたんだ。
 それにしても、普段見慣れている大人の女性がセーラー服を着ると、かなりの違和感を感じる。
 いや、違和感と言うか新鮮味があるというか、このギャップに何故か興奮してしまう。
 果乃河先生が若返って、女子高生の容姿になればいいのに――とは全く思わず、この大人の容姿でセーラー服を纏うという行為に鼓動が高鳴り、ズボンに隠れている肉棒が無条件で大きくなるのだ。
 普段の先生や、OLスーツを着ているような大人の魅力を存分に表現している女性が好みだったが――剛司に変な性癖を植え付けられたような気がした。

「あれから七年も経ったけど、まだ着れるものね」
「無理やり着ているんじゃないのか?」
「そんな事ないわよ。窮屈なのは大きくなった胸くらいかしら」
「それはそれは。果乃河先生もスタイルを維持するために頑張っているんだな」
「毎日オナニー、頑張っているからね!」
「それで痩せられるなら、うらやましいよ」
「ねえ、それよりも私のセーラー服姿に興奮しているんでしょ。そんなにズボンを膨らませちゃって。チ○ポがギンギンに勃ってるんだね」
「頼むから先生の容姿でそういう事を言わないでくれよ。マジでイメージが崩れるからさ」
「いいじゃない。セーラー服を着ている時点で崩れているんだから。それに普段の私とは全然違うって所に興奮するんじゃないの?」
「うう……」
「図星〜!じゃあこんなのはどう?」

 調子に乗った塔哉が、果乃河先生の両手でプリーツスカートの裾を掴み、ゆっくりと持ち上げていった。
「おいおい!」と言いながらも別に制止するつもりはなく――見え始めた先生の生足に視線を集中させた。
先生9
「恥ずかしいよ。そんなに見ないで」
「……って、自分で見せているんだろ」
「やだ……安川君の目がいやらしいよ。先生、お嫁に行けないわ」
「はぁ〜。よく言うよ」

 恥らうような表情で視線を逸らし、スカートを捲りあげた果乃河先生。
 更に俺の性癖が歪まされるような気がした。
 果乃河朝美さんは俺が通う高校の先生で、担任だ。
 美人で、大人の魅力に溢れている果乃河先生は男子生徒にも女子生徒にも人気があって、休み時間の職員室に押しかける女子達もいる。
 どんなつまらない相談も笑顔で聞いてくれるから、放課後も生徒に囲まれる。
 その様子を傍目で見ているだけの俺は、皆がうらやましかった。
 俺だってあんな風に先生と話したいし、親しくなりたい。
 先生が大好きで大好きで――もうたまらなく大好きだ!
 そんな果乃河先生が、事もあろうに俺の目の前でセーラー服を着てスカートを捲りあげている。
 ありえない状況。そしてありえない行為。
 ダメだっ――自分で自分の理性を抑えられない。
 そう思った瞬間、果乃河先生の手がスカートの裾を放した。
先生10
「……お前、かなりヤバイ目をしてたぞ」
「あっ……ああ」
「襲われるかと思った」
「……襲い掛かりそうだった」
「やっぱりレイプされるのは嫌だからな。少し落ち着けよ」
「……お前が悪いんだ。そうやって果乃河先生の体を使って挑発するから」
「はは。そんなに興奮したのか?」
「正直、自分の中に新しい性癖が芽生えたよ」
「新しい性癖?」
「ずっと大人の雰囲気をかもし出している女性が好きだったんだ。普段の先生やOLスーツを着て歩いている女性が」
「もしかして、この姿に?」
「大人の女性がセーラー服を着るなんて、全然似合わないと思っていた。でも、実際に目の前にしてみると妙に興奮してさ。しかも……俺が……俺が大好きな果乃河先生がそんな姿で挑発してくるんだから」
「そうか。塔哉はセーラー服じゃなくて、セーラー服姿の果乃河先生に興奮したんだな」
「……ああ」
「よし分かった!じゃあセーラー服を着たままセックスしようぜ」

 その言葉に頗る興奮した。
 果乃河先生がセーラー服のまま俺と――。
 頭の中で妄想が一人歩きし始めた瞬間、果乃河先生が俺に近づいてきた。

「安川君が興奮するなら、恥ずかしいけどこのままエッチさせてあげる」
「た、剛司」

 先生の両手が俺の手を掴み、白いセーラー服の胸元に押し当てた。

「ブラジャーを着けてないのが分かる?分からないなら……」

 今度はセーラー服の裾から俺の手を中に導いた。
 生温かい空気を感じた後、人肌の温もりを持った肉を掴まされた。

「どう?先生の生乳は。生徒に触らせるのは初めてなのよ」

 先生の両手だけがセーラー服から抜け出ると、生地の上から俺の手を優しく押さえつけた。
 興奮しすぎて足が震える。
 目の前にある白いセーラー服の中に俺の手が――俺の手が先生の胸を直接掴んでいるのだ。
 ジワリ――じゃなく、ドッと掌に汗が滲み出た。

「好きに揉んでもいいからね」

 果乃河先生がセーラー服の生地ごと俺の手を掴み、円を描くように動かし始める。
 も、もうダメだっ!
 理性の壁が崩れ落ちた俺は、自ら先生の胸を激しく揉み始めた。