以前、MC(マインドコントロール)ネタにチャレンジしてみようと思い、少し書いていたのですがちょっと私には難しいかなぁと感じて断念しましたw
MCされた女性の表現が難しいですね。
ある意味、憑依と近いものがあると感じているのですが、憑依のほうが書きやすいです。
こんな感じの作品を書いていたんですよ。
続きませんけど。
 こうして人気の無くなった教室で机を対面に並べ、水菊先生を前にして座るというのは緊張する。
 水菊先生の印象を生徒に聞くと、その容姿から、まず第一に美人だという事を挙げるかもしれないが、生徒達は必ず「きつい性格」と挙げるだろう。
 曲がったことが大嫌い。
 授業中に私語をする生徒は、即廊下に立たされる。
 問題を当てられて答えられなかったときは、「何勉強してきたの?後ろに立ってなさいっ」の一言だ。
 十人ほどの生徒が後ろに並び、廊下にも数人の生徒が立たされているという状況になる事だって珍しくない。
 あまりの厳しさに、泣き出してしまう女子生徒もいる。そして、授業を受けたくないとボイコットする生徒も。
 もちろん、そんな生徒には容赦なく厳しい点をつけるのだ。

「私のやり方が気に入らない生徒は無理に受けなくてもいいから。高校は義務教育じゃないんだからね」
 
 他の女性の先生はジーンズやカジュアルっぽい服を着てくるのだが、ベージュのジャケットにタイトスカートが水菊先生がいつも来ている服だ。

 今、一成(かずしげ)の前に座っている水菊先生もジャケットにタイトスカートだった。ただいつもと違うのは、授業中に見せる気強いオーラが全然感じられず、一成を見ている瞳にも厳しさが見られなかった。

「み、水菊先生」
「はい……」

 生気のない返事だ。しかも、生徒に向って「はい」だなんて。
 一成は緊張しながらも、質問を投げかけた。

「あ、あの……水菊先生の下の名前は何ですか?」
「可奈穂(かなほ)です」
「歳はいくつですか?」
「二十四歳です」
「ス……ス……スリーサイズは?」
「上から八十八、六十、八十五です」
「へ、へぇ〜」

 無表情に淡々と答える水菊先生。友人の輝政が言っていた通り、水菊先生は催眠術に掛かっているように感じる。
 だいたい、あの水菊先生がこうやって一成のためにわざわざ教室に残り、相手をしてくれるはずがないのだ。
 そう考えると、緊張が緩む。

「水菊先生は彼氏がいるんですか?」
「いません」
「彼氏が欲しいですか?」
「欲しいです」
「そ、それじゃあ……ぼ、僕でどうですか?」
「嫌です」
「ど、どうして?」
「年下が嫌いだからです」
「僕が年下じゃなければ好きですか?」
「あまり好きではありません」
「……どうして?」
「私が宿題を出してもしてこない時があるからです」
「もし宿題を完璧にしてきたらどうですか?」
「普通です」
「そっか……。水菊先生が一番好きな男性は誰ですか?」
「鈴利(すずり)先生です」
「そ、そうなんだ。やっぱり鈴利先生は真面目な人だからなぁ」

 鈴利先生は数学の教師で水菊先生同様、真面目なタイプだ。ただ、水菊先生のように厳しい授業ではなく、それなりにダラダラと進む感じ。しゃべっている生徒を見ると注意するのだが、迫力に欠けるので効果が無い。若いし容姿はそれなりなので、密かに恋心を抱いている女子生徒がいるとかいないとか。

「そうだ。じゃあ……水菊先生の目の前にいるのは生徒の南斗一成ではなく、鈴利先生です。目の前にいるのは鈴利先生です。分かりましたか?」
「……はい。目の前にいるのは鈴利先生です」

 一成の事を鈴利先生と思っているのだろうか?
 しかし、相変わらず無表情だった。

「僕は誰ですか?」
「鈴利先生です」
「う〜ん。無表情で面白くない。水菊先生、今からいつものように自分の感情を表現してください。話し方も普段どおりに。分かりましたか?」
「ええ。分かったわ」

 無表情だった水菊先生に、普段一成が接している雰囲気が現れた。
 そして顔が赤らいだ。
 鈴利先生に好意を持っている証拠だ。

「僕の事、好きですか」
「好き……よ」
「僕とエッチしたいですか?」
「したい……わ」

 あの水菊先生が恥らっている。こんな先生の顔を見るのは初めてだ。
 一成は水菊先生の見たことの無い一面を見ることが出来て興奮した。
 ドキドキしながら鈴利先生の口調を真似て質問を続ける。

「ね、ねえ。僕に見つめられると恥ずかしい?」
「ええ」
「興奮する?」
「す、少し興奮するわ」
「僕のオチンチン、見てみたい?」
「それは……み、見てみたいわ」

 更に赤面した水菊先生が可愛らしく見えた。

「水菊先生。今から僕が言うことを想像してください」
「ええ」
「僕の手が水菊先生の胸を優しく揉み始めます」
「…………」

 水菊先生の体がビクンと震えた。

「胸を優しく揉まれています。気持ちいいですか?」
「気持ち……いい」
「どういう風に揉まれたら気持ちいい?」
「乳首を転がすように」
「僕の指が水菊先生の乳首を転がすように弄っています」
「はぁ、はぁ……んっ」
一成が全く触れていないにも関わらず、水菊先生は体をモジモジと揺らし、息遣いが荒くなった。
「もっと触って欲しい?」
「はい。もっと触って欲しいです」
「じゃあ、僕が乳首に吸い付いています。舌でコロコロと転がし、甘噛みしています」
「あっ、あぁ……」

 先生の唇から切ない吐息が漏れた――。