10階建てマンションの最上階の一室。
ソファーに座り、ブラックコーヒーを味わいながらテレビを見ていた超霊能力者の直登は、テーブルの上で鳴り始めた携帯を手に取り、通話ボタンを押した。

「もしもし」
「あ、先生ですか。古川です」

携帯の向こうから聞こえてきた声の主は、いつも直登の元に女性を運んでくる古川だった。
「古川か。何だ?どうかしたのか」
「ええ。先生、実は……」

古川の話によると、彼は交通事故に遭ってしまったらしい。
そして事故現場の近くにある総合病院へ運ばれたのだと言うのだ。
幸い命に別状は無く……というか、徐行していた軽自動車のドアミラーに、左腕が少し当たっただけ。
しかし、ドンくさい古川はそのまま地面に転んでしまったので、念のために3日間ほど入院すると言っている。
それも古川がわざとらしく演出した結果なのだが……

「災難だったな」
「いやあ、しっかりと慰謝料は払ってもらいますよ。それに先生、その相手と言うのは……」

古川の声は何とも嬉しそうだった。
何の職業についているのかは分からないのだが、とにかく古川は金を持っている。
その金を使って個室に入院した彼の元に、事故を起こした当事者が毎日お見舞いにくるらしい。

「ふっ。お前らしいな」
「ねっ、だから先生のお力でお願いしますよ。お金ならちゃんと出しますから」
「そうだな。いつもの5割り増しでどうだ?」
「えっ、5割り増しでいいんですか?そりゃあもう是非お願いしますよ」
「よし。それなら引き受けてやるよ」
「お願いしますっ」

その言葉を最後に聞いた直登は携帯を切った。

「古川め、相変わらずな奴だな」

フッと笑った直登は、タバコに火を付けるとゆっくりと吸い込み、天井に向かってふぅと煙を吐いた。
空気中を広がりながら消えてゆくタバコの煙。
それを見ながら大きく背伸びをした直登はタバコを消すと、ソファーの上で精神統一を始めたのだった――。
超霊能力の男(古川の入院)




コンコン――

軽くドアを叩く音がした。
それに気づいた古川は、「開いてるよ」とドアを見つめた。
ドアがゆっくりと開き、グレーのOLスーツを着た若い女性が申し訳なさそうな表情で現れた。

「失礼します」
「ああ」

古川はドアの前で頭を下げた女性に返事をした。
彼女が運悪く(?)古川と接触事故を起こしてしまった岸山 沙織だ。
肩より少しだけ長いセミロングでダークブラウンな髪。
ほっそりとした顔つきの彼女は、相変わらず申し訳なさそうな表情をしながらベッドで寝ている古川に近づいてきた。

「あの、腕の方は大丈夫ですか?」
「さあなぁ。かなり痛かったからまだ全然治らないよ。どうしてくれるんだ?」

と、車と接触した左腕を見せるのだが、包帯も巻かれていなかった。
パジャマを腕まくりしている古川は元気そのものに思える。

「す、すいません……」
「すいませんで済むんだったら警察なんていらないよな。まったくどうしてくれるんだか」
「…………」

古川に皮肉たっぷりの言葉を投げかけられた沙織は更に意思消沈してしまった。
何を言われても自分が悪いと思っているので、何も言い返せないようだ。

「慰謝料はしっかりと払ってもらうからな」
「…………」
「そうだな。まずはその身体で払ってもらおうか」
「えっ……そ、そんな……」

沙織はとても困った表情をしていた。
その表情を見て古川は楽しんでいるようだ。

「なぁ。そのグレーのジャケットに包まれている大きそうな胸を揉ませてくれよ」
「そんな……はは。お前は変態オヤジかよ……あっ……えっ!?」

沙織はハッとして両手で口を押さえた。

「何?今何か言ったか?」
「い、いえ……な、何も……」
(え?わ、私……今変な事言った!?)

思わず口から出た言葉に、沙織は動揺しているようだ。
しかし、その言葉を聞いた古川はニヤニヤと笑い始めた。

「変態オヤジか。へぇ〜、なかなか言ってくれるじゃないか。じゃあその変態オヤジの前でオナニーでもしてもらおうか」
「やだ……そ、そんな事……」
「そのほっそりとした指で胸を揉んでみてくれよ」
「で、出来ません……」
「本当はやりたいんだろ。俺に見てほしいって顔に書いてあるぜ」
「そ、そんな事……」

沙織は泣きそうな顔をしながら俯いていた。
身体の前でぎゅっと両手を握り締めている。
だが、その握り締めていた両手がゆっくりと上にあがり始めると、
なぜかグレーのジャケットごと胸を掴んだのだ。

「あっ!えっ!?えっ!?」

何が起きたのか分からないといった表情の沙織。
古川の前で自ら胸を揉んでいる。

「なっ……や、やだっ!どうして?手、手が勝手にっ……」
「いやらしい奴だな。手が勝手に動くはずないだろ」
「ち、違うのっ。いやっ!」

沙織は顔をしかめながら両手を胸から離そうとした。
しかし、沙織の両手はいやらしい手付きで胸を揉みしだいている。
まるで自分の手では無い様な感覚。まったく言う事を利かない。

「やだっ!どうして……そ、そんな……」
「気持ちいいんだろ」
「やぁ〜……んっ……いいよ……すごく気持ちいい……なっ……やだぁ」

身体をくねらせながら、何かに抵抗しようとする沙織。
しかし、その身体の動きがピタリと止まると、今まで胸を揉んでいた両手がタイトスカートの裾を掴み、ゆっくりと上に捲りあげ始めた。

「ちょ、ちょっと……ど、どうして……」
「いいねぇ、そうやって少しずつスカートを捲りあげていくのってさ。男心をくすぐるよ」
「違うのっ!わ、私じゃないっ!」
「そんなに恥ずかしがるなってさ。ちゃんと見てやるから」
「いやぁ〜」

古川の前で腰まで捲り上げられたタイトスカート。
その中に隠れていた肌色のパンストと白いパンティに隠された沙織の大事な所。

「み、見ないでくださいっ。お願いだからっ」
「見ないでくださいって、お前が自分で見せているんじゃないか」
「違うのよぉ。私じゃないの。身体が勝手に動いているのっ」
「それならその勝手に動く身体で俺の上に乗ってもらおうか」
「どうして私がそんな事……んふっ、いいわよ。ちょっと待ってね……えっ!?ま、またっ……勝手に口がっ」

沙織の意に反して黒いパンプスを脱いだ身体。
タイトスカートを腰まで競り上げたままの沙織がベッドの上、掛け布団を捲った古川の股間の上にゆっくりと腰を下ろす。
女座りをするように座り込んだ沙織はジャケットのボタンを一つずつ外すと、ベッドの隅にパサッと放り投げた。
白いブラウスに包まれた胸がとても大きく見える。

「さあ、どうしてほしいの?古川さん?」

古川を見つめながらクスッと怪しい笑みを浮かべた沙織。
その顔には先ほどまで困惑し、恐怖に頬を引きつらせていた表情は微塵も感じられなかった。