自分の部屋に戻った裕介は、早速カバンからラッピングされた2つの箱を机の上に取り出した。
どちらもかわいいリボンが結ばれている。
椅子に座って大きく息を吸い込んだ後、まず女子生徒からもらった小さな箱から開けてみた。箱の中には、ハート型の小さなチョコレートが数個入っていて、小さく織り込まれた白い紙も同梱されていた。
「ん?これは」
心なしか震える手で、破かないようにゆっくりと紙を広げると、そこには女の子の可愛らしい文字が綴られていた。
どちらもかわいいリボンが結ばれている。
椅子に座って大きく息を吸い込んだ後、まず女子生徒からもらった小さな箱から開けてみた。箱の中には、ハート型の小さなチョコレートが数個入っていて、小さく織り込まれた白い紙も同梱されていた。
「ん?これは」
心なしか震える手で、破かないようにゆっくりと紙を広げると、そこには女の子の可愛らしい文字が綴られていた。
#######
加美野 裕介様
初めて見たとき、胸がキュンとなりました。
それからずっとあなたのことを見ていました。
どうしてもこの気持ちを伝えたくて。
……好きです。
私と付き合ってください。
すぐにお返事をもらおうとは思っていません。
1ヵ月後。
ホワイトデーのときに聞かせてください。
1年C組 長谷下 のぞみ
#######
「…………」
無言で紙を握り締めていた裕介。
どのくらい経っただろうか?
「僕の事、好きだって……」
モテた事がない裕介にとっては、衝撃的な文章。
「好き」なんて言葉、全く縁がなかったのに。
「は、はは」
半分笑いながら手紙を読みかえす。
何度読んでも手紙には、のぞみの「好きです」という言葉が可愛らしく書かれていた。
「何か夢みたいだ」
手紙を綺麗に折りたたみ、机の上に置いた。
「あの娘、可愛かったなあ。のぞみちゃんて言うのか」
今朝会った彼女を思い出す。
肩にかかるくらいの短いストレートの黒い髪。
少しもすれてない可愛らしい顔。
学校の規律を守っている膝上までの紺色スカートの下には、細くて白い足が見えていた。
「でもなぁ。僕が付き合うような子じゃないとおもうんだけどなあ」
自分の容姿に自信がない裕介は、横に並んで歩いたときを想像していた。
背は裕介の方が10センチは高いけど。
でも、やっぱりしっくりこない。
「何か申し訳ないなあ」
色々考えているうちに、机の上に置きざりにしていたくるみの箱を思い出した。
「そうだ。くるみにももらったんだ」
早速リボンを解いて包装紙を外し、箱を開けてみた。
中には大きなハート型のチョコレートと、かわいい封筒が入っていた。
チョコレートは市販のものではないらしい。
ちょっと歪な形がそれを物語っている。
「……これって手作りだよなあ」
そんなチョコを見ながら封筒を開けて、手紙を読んでみた。
#######
裕介へ
あのねっ、実はさっ。私、裕介の事好きだったりするの。
いっつも意地悪してるけどね、あれ、私と話をしてほしかったからなんだ。
だって、ああでもしないと裕介ったら全然相手にしてくれないんだから。
他の子は裕介の事、全然魅力ないっていってるけど、私はそんな事ないと思うの。
そりゃ、へにゃへにゃしてて頼りないけど、ほかの男子にはない優しさがあるもんね。
だから……。
好きだよ!裕介。
裕介は私の事、どう思ってるの?
意地悪な女だと思ってるでしょ。
でもね。ほんとは違うって事、知って欲しいの。
ねっ、私と付きあってよっ!
すぐじゃなくてもいいの。
1ヵ月後、そう。ホワイトデーの時にいい返事を聞かせてよ。
待ってるからね!
くるみ
#######
「…………」
またしても裕介の時間が止まる。
予想もしていなかったくるみの手紙。
よく理解できない。
「これって……僕の事、好きだっていうこと?」
今年はついているのか、いないのか。
戸惑いを隠せない裕介は、机に置いている鏡に目を向けた。
ボーっとだらしない顔が映っている。
しかし、その後ろにもう一人の顔が映っているのが見えた。
「うわっ!」
驚いた裕介は、椅子からひっくり返って尻餅をついてしまった。
加美野 裕介様
初めて見たとき、胸がキュンとなりました。
それからずっとあなたのことを見ていました。
どうしてもこの気持ちを伝えたくて。
……好きです。
私と付き合ってください。
すぐにお返事をもらおうとは思っていません。
1ヵ月後。
ホワイトデーのときに聞かせてください。
1年C組 長谷下 のぞみ
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「…………」
無言で紙を握り締めていた裕介。
どのくらい経っただろうか?
「僕の事、好きだって……」
モテた事がない裕介にとっては、衝撃的な文章。
「好き」なんて言葉、全く縁がなかったのに。
「は、はは」
半分笑いながら手紙を読みかえす。
何度読んでも手紙には、のぞみの「好きです」という言葉が可愛らしく書かれていた。
「何か夢みたいだ」
手紙を綺麗に折りたたみ、机の上に置いた。
「あの娘、可愛かったなあ。のぞみちゃんて言うのか」
今朝会った彼女を思い出す。
肩にかかるくらいの短いストレートの黒い髪。
少しもすれてない可愛らしい顔。
学校の規律を守っている膝上までの紺色スカートの下には、細くて白い足が見えていた。
「でもなぁ。僕が付き合うような子じゃないとおもうんだけどなあ」
自分の容姿に自信がない裕介は、横に並んで歩いたときを想像していた。
背は裕介の方が10センチは高いけど。
でも、やっぱりしっくりこない。
「何か申し訳ないなあ」
色々考えているうちに、机の上に置きざりにしていたくるみの箱を思い出した。
「そうだ。くるみにももらったんだ」
早速リボンを解いて包装紙を外し、箱を開けてみた。
中には大きなハート型のチョコレートと、かわいい封筒が入っていた。
チョコレートは市販のものではないらしい。
ちょっと歪な形がそれを物語っている。
「……これって手作りだよなあ」
そんなチョコを見ながら封筒を開けて、手紙を読んでみた。
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裕介へ
あのねっ、実はさっ。私、裕介の事好きだったりするの。
いっつも意地悪してるけどね、あれ、私と話をしてほしかったからなんだ。
だって、ああでもしないと裕介ったら全然相手にしてくれないんだから。
他の子は裕介の事、全然魅力ないっていってるけど、私はそんな事ないと思うの。
そりゃ、へにゃへにゃしてて頼りないけど、ほかの男子にはない優しさがあるもんね。
だから……。
好きだよ!裕介。
裕介は私の事、どう思ってるの?
意地悪な女だと思ってるでしょ。
でもね。ほんとは違うって事、知って欲しいの。
ねっ、私と付きあってよっ!
すぐじゃなくてもいいの。
1ヵ月後、そう。ホワイトデーの時にいい返事を聞かせてよ。
待ってるからね!
くるみ
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「…………」
またしても裕介の時間が止まる。
予想もしていなかったくるみの手紙。
よく理解できない。
「これって……僕の事、好きだっていうこと?」
今年はついているのか、いないのか。
戸惑いを隠せない裕介は、机に置いている鏡に目を向けた。
ボーっとだらしない顔が映っている。
しかし、その後ろにもう一人の顔が映っているのが見えた。
「うわっ!」
驚いた裕介は、椅子からひっくり返って尻餅をついてしまった。
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